気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
まだ、少し頭痛がします。
頭痛が!
むっきゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
お子様向けにゲーム作って、ん十年。
偏屈ぞろいの仕事場で唯一の味方が年内で退職。 「あら兄さんも食事?」 レンが意地悪く言った。 「冷たいな」 「冗談よ。今日は乾杯ね。カスガ君とキッカちゃんの歓迎パーティーよ」 「歓迎って......」 「知り合いになれたっていうお祝い」 レンは店員を呼んで飲み物を注文した。ややしてレンとミカサの前に酒が、カスガとキッカの前にジュースが置かれた。 「これは私のおごり。じゃあ、かんぱーい!」 キッカがおずおずと口にして、おいしいと呟く。果物をそのままつぶして漉したもので、甘すぎず、すっきりとしていた。 「そうだ、キッカ。会わせたい人がいる」 ミカサは呟いた。客たちの雑談でかき消されそうだったが、なんとか聞こえる。 「もしかして、ラン姉様のところ?」 黙って頷く。 「カスガにも会わせたい。明日の朝、付き合って欲しい。その後ならば、どこへ行っても構わない」 「わかりました。ランさんは、剣乙女なのですか?」 「ああ、そうだ」 ミカサはそれきりあまり話さず、酒と料理を交互に口にしていた。
そんな大した話しじゃないんですよ。 レンの踊りは魅惑的で観客たちはうっとりと見とれていた。キッカもぽやんとしていて雰囲気に酔っているようだった。そんなキッカを横目で見つつカスガも酔いしれたいと思う。 レンは観客などみえてないかの様に、のびのびと踊っていた。音楽に合わせて回転し、軽やかなステップを踏む。 音楽が終わると同時にレンは舞台を飛び降りた。 「また後でねー!」 と、声を張り上げた。 「どお?」 「とっても、ステキでした」 キッカは素直な感想を述べた。カスガも頷いている。 「そお?」 素っ気ない振りをしながらもまんざらではない笑みを浮かべる。店長らしい太った男がやって来て、「いやあ、レンちゃんいつもいいね!」と笑った。 「じゃあ、約束通り、ね? 店長さん」 人差し指と親指で輪っかを作り、店長に笑いかける。 「ああ、もちろん。ところでお連れさんだよ」 店長が指差す方向にミカサがいた。
始めようと思います。 カスガにとって、良かったと思っている。 喫茶店のケーキを美味しそうに頬張るキッカ、おずおずと将来について語るキッカ、これから長い付き合いになる彼女なのだから、知っていてもいいことだと思った。知り得る機会があって良かった。レンは口先だけではないということも分かる。キッカが話しやすいように言葉を投げかけた。 「あなた、幸せね。とても信頼されているようね。あなたは彼女の期待に応えてあげてね」 レンはにこやかに言った。そして、カスガにも質問を投げかけた。 これからどうするつもりか、キッカとどのように過ごすつもりか。それらを答えて、キッカを安心させる事が出来たらしい。彼女は前よりも笑顔を見せていた。 宿に戻るとレンが言ったようにミカサは部屋で寝ていた。 「兄さん放っておいて夕食を食べにいきましょ」 レンは二人を誘う。お得意の「お財布にやさしい」お店へ案内してくれる。少しばかり俗世的な店だった。 「ここで踊りを踊れば半額なのよ」 そう言ってレンは舞台に上がった。旅をしている割には派手な衣装はここで発揮された。彼女が舞台に上がると音楽が変わり、他の客たちが口笛を吹いたり拍手がわき起こった。 彼女が叫んだ。 「今宵はラッキー! 舞姫レンのショーダンスを楽しんでね!」 そして彼女は踊り始めた。
来週の日曜日まで休みなしです。
親子揃ってテレビを見てる時、いろいろ話しをします。 降りて来たミカサに酒場の主人は声をかけた。 「最近、どんどん酷くなっているんだ」 「そうだな」 「お前さんが救出した時はまだ人間らしかった」 「それでも、まだ......」 あの剣乙女に会いたいと言っていた。ミカサは確かに聞いていた。ほとんど感情を無くしながらも、今現在、ツテープ城に残され捕われている剣乙女たちを安否を千里眼で確認している。 「俺も、こんなんでなかったらランを人間らしく出来るだろうか?」 「それよか、手当り次第を妹として連れてくるアンタもどうかしている」 「......」 「まあ、気がすむまでやるがいいさ。ランはお前さんが気がすむまで預かっているよ」 「是非、頼む」 ミカサは酒場を出た。
先日、映画のロケやってました。 一方、ミカサは宿を出て酒場にいた。 街にある酒場が並ぶ通りにある一件だった。入ると、主人がミカサと確認した上で奥へ通す。奥の階段を上がり、二階の一室に入った。 「お待ちしてました。ミカサ殿」 そこには肌の白い女性が椅子に座っていた。ミカサを見る事無く窓を眺めている。彼女の側には鞘に納められた大剣があった。 「久しぶり」 「そうですね。では、早速始めましょう」 彼女はそのまま姿勢を崩さず、話し始めた。 「今現在、ツテープの剣乙女たちは百人強。その内一人は規定外という事で出されてます」 「確認出来た」 「まあ、すばらしい。その子は呪われているといって城からだされたそうよ」 「それも聞いた」 「今度、お会いしたいわ。続けます」 「ああ」 「新たに四十五人が剣に飲まれてしまいました。復活の見込みがあるのは四十一人。しかし、時が経つごとに復活は難しでしょう」 「それはいつも聞いている」 「完全に飲まれた四人。名前は、ヒャクア、キョウ、ナデン、スズラ」 「わかった」 「飲み込まれた剣乙女にはくれぐれもお気を付けください」 「分かっている」 「では、今回はここまで」 彼女は一度も動かず、ミカサはその部屋を出て行った。
ってくらい吹雪。積雪。 古着屋の後は喫茶店に入る。こちらもレンご推薦の安い喫茶店だという。入った途端、甘い匂いが漂っていた。カスガはそれが苦手だった。 「ここのケーキは安くて美味しいのよ。カスガ君は甘いの苦手だからソルトサブレでも食べているといいわ」 レンが勝手に適当に注文してしまう。 「キッカちゃんは何が好きなのかな?」 「私は......特に、何も」 「じゃあ、ここのケーキ好きになるといいわ」 レンは二人を見る。特に会話もなく、お互い遠慮しているように見える。レンはこほんと咳払いをして言った。 「お二人さん、もしかしてまだ出会ってそれほど経ってないようね。お互い、まだ何も知らないっていう感じがするわ。この際、私が仲人になってあげるわ。うん、それいい考えかも」 レンはにやにやと笑う。 「よしっ、じゃあ、まず自己紹介から! それから出身地、好きなもの......好きな事でもいいわ。嫌いなもの、えーと、それから、そうねこれからどうしたいか、とか話し合う! じゃあ、まず、カスガ君から!」 レンは元気良くカスガを指差した。
これが降ると、
どう、話を進めようか迷ってます。 「ねえ、ねえ、キッカちゃん。私と一緒にお買い物に行かない?」 レンはキッカの肩に手を置いて言った。 「いいじゃないか。行っておいでよ、キッカ」 「でも......」 「なら、カスガ君もいっしょに行きましょう」 「えっ?」 「それなら、キッカちゃんも行くでしょ? ね。そういうわけで兄さん、お留守番。どうせ、部屋で寝るんでしょ?」 「ああ」 短く返事をして、そしてカスガに向かって小声で言った。 「妹をよろしく」 レンとともに街の中を歩く事になった。キッカは見るもの全てが珍しいようだった。 「キッカちゃん、服は? 着替えとかある?」 レンの問いに彼女は首を振る。 「なら、ここで買っちゃおう。ここ古着屋なのよ」 そう言って腕を引いた。 「ほら、カスガ君も来る」 半ば無理矢理入った店は意外に広く、古着ながらもあまりそれを感じさせないものが多かった。ちょうど物入りだと、カスガも自分のものを選んでいた。 一方、レンはキッカの服を選んでいた。キッカに選ぶ能力がないと判断し、嬉々として選んでいた。 「ほらほら、これなんかかわいいわ」 「あの」 「こっちもいいわね」 「その」 「これも似合いそうよ」 試着をして、今度はカスガにも選んでもらう。 「どれも、似合うよ」 「よーし、じゃあ、これ全部」 レンが言うが、カスガは首を振って断った。 「いくら何でも、多いって」
今週の番外:ワロタ。 自由都市ニリンジョース。いつでも誰でもこの街に入る事ができる。ただ一つのルールは『争い事は他所でやれ』だった。いろいろな人がいる中、争いは常に付きまとうもの。それを破れば二度とこの街に入る事が出来ない。永久追放の印を押されてしまうという。 「大きな街......」 キッカはやはりカスガの後ろに隠れるようにしていた。 「二人とも、宿はお決まり? もし良かったら同室にしても構わない? この先に街で一番安い宿なんだけど、二人部屋なのよね。さすがに兄妹でも同室ってちょっとねえ......だから、キッカちゃんと私、カスガ君と兄さんで部屋を取るの。そうすれば、お互い一部屋分よねえ」 「レン」 ミカサが嗜めた。 「君たち、すまないね。妹が......」 口数も少ないのか、ミカサは口ごもる。 「あの、それで良かったら、こちらからもお願いします」 キッカがカスガを見つめる。 「大丈夫だよ、キッカ。俺は、人を見る目は確かだ」 レンの言う通り、財布に優しい宿がある。 「あのう、アンタは迷惑じゃない?」 カスガがミカサに尋ねる。 「いいや」 彼は短く答えた。 「あのう、レンさん。キッカをよろしくお願いします」 「あらあ、何、改まっちゃって」 カスガは声を潜めた。宿の質素さが珍しいのか、キョロキョロしているキッカを横目で見ながら、レンに伝える。 「あいつ、キッカは、いままでいい境遇にあったことはないと思うんだ。だから、楽しいことを教えてあげて欲しいんだ」 「あなたが教えてあげればいいじゃない?」 「俺は、男だし。女って、甘い物好きだろうけど俺、苦手だし」 「なるほどなるほど。あいわかった。お姉さんにまかせなさい!」 レンはウィンクをした。
ふと、横にあった小辞林。
こっから、がらりと話が変わります。 その青年は一人剣乙女を連れていた。 青年は身軽な雰囲気だった。若いのに苦労したのか、実年齢よりは少し老けているように思える。ただし眼だけは子供のように爛々と輝いていてた。 剣乙女は黒い長い髪で両方のこめかみあたりを一房結って、そこに鈴を付けていた。動く度に小さく鳴らしている。異国の服を着た少女だった。青年より幼いが、陰鬱な表情をしていた。ただ、青年と接する時は年相応の笑顔を見せている。 男も剣乙女を連れていた。 「かわいらしいコンビですこと」 連れの剣乙女は言った。緩いウェーブの金髪の美女だった。奔放的なイメージを拭えない。男の方は対照的に無表情で無感情の雰囲気を持っていた。 自由街道という名の自由都市へ向かう道で、この二組は出会った。 「あなたたちも自由都市ニリンジョースへ?」 剣乙女が尋ねた。 「ええ」 「そう、あなたも剣乙女なのね。私も、そうなの。その子、あなたが選んだ主? なかなかかっこいいじゃない? あなたも可愛いわ。お似合いよ。あ、まさか身内じゃないわよね? お兄さんってことはないわよね? 実は私の主、兄さんなのよ。ちゃんと血を分けた兄弟なの。まあ、国に使われるより全然マシだけどね」 「レン」 男が嗜めた。 「あ、ごめん。兄さん。あんまり可愛くて。どうせ向かっている場所は同じだし、一緒にニリンジョースへ向かいましょうよ。ね、そうしましょう。私、レン。兄さんはミカサ。あなたたちは?」 ほぼレンで話を進めてしまい、引っ込みもなにも付かなくなってしまった。仕方が無く、青年は自己紹介をした。 「カスガ。で、こっちはキッカ」 キッカは黙ってカスガの腕にしがみついていた。
いや、もう、短く短く切り上げますわ。 二人はその国から出た。国境を超えるのに手続きは必要ない。その割に入る時はさんざん時間をかけて取り調べる。 カスガもこの国に入る時は、名前、出身地、目的などを聞かれた。そして、世界中の手配書と見比べ、問題がないとわかれば入国出来る。 が、出る時は見向きもされない。 「もう、この国に入ることもないだろう」 「そうだといいですね」 「キッカはどこか行きたいところがあるのか?」 「私は......どこへ行ったらいいのかわかりません」 「なら、まずは隣りの街に行こう。あそこは自由都市なんだ」 「自由都市?」 「いつでも誰でも入れる街なんだ。入国手続きもいらない。他の剣乙女も居ることがある」 「仲間が増えた事だし、しっかり稼がなきゃな」 「稼ぐ?」 「俺、用心棒やっているんだ」 「用心棒......」 「そ、こう見えても腕っ節は強いんだぜ?」 カスガが笑った。キッカはぽかんとしていたが、やがて彼につられて笑った。
名前とか気持ちは和風で、あとは洋風です。 キッカとカスガは二人並んで歩いた。カスガがこの街に着いた時は、剣乙女が酒場に居ると騒がしかったが、酒場を出て少し歩くと静かになった。そもそも国境いにあるこの街はあまり活気がなく、いつも閑散としている。 カスガの腰にはすでにキッカの刀があった。 「カスガ様、これだけは聞きとうございます。どこへ向かっているのですか?」 「ああ、ごめん。とくに当てはないんだ。ふらりふらりと一人旅。そういうキッカはどこへ行きたいんだ?」 「......私は、出来るだけこの国から出て行きたい。けれども私は私の剣を扱えない。今まで狙われなかった事はなかった。私の剣が妖刀だったから私は今まで無事で居られたのです」 「そうか。じゃあ、この国から出て行こう」 「いいのですか?」 「ああ、いいさ。天涯孤独で身を置く場所は今のところない」 「私もです。私も、身内はありません。だから、一緒に」 「それじゃ、さっそくすぐにでもこの国を出よう」
「つるぎおとめ」ですよ。 「呪いが解けたのか?」 「ならば、俺が貰い受けてやろう!」 他の男たちが青年から刀を奪おうとした。奪った刀は再び黒く染め上がる。 「主にしか、扱えません」 少女は機嫌の悪い声で言う。 「危ないですよ。主が見つかった刀は主にしか扱えません」 刀を奪い取った男はすぐに刀を放した。青い顔をしていた。 「さ、これをお取りください」 刀を拾い上げてキッカは笑った。青年はそれを受け取る。 「さあ......ああ、あなたの名前を教えてください」 「カスガ」 「では、カスガ様、参りましょう」 少女は酒場の出口へ向かった。
施設の手作りおやつです。 その場にいた者は理解した。この少女の剣は城では扱えず、少女も追い出されたのだろうと。捨てられた剣乙女だと。 剣乙女は剣と一心同体と言って良い。乙女が弱れば剣も脆く、乙女が死ねば剣も失ってしまう。 「酷いな、ちゃんと扱えよ」 青年はその刀を拾い上げた。その刀身をゆっくりと眺める。 「きれいだな」 「あなたは、大丈夫そうね」 ややして少女が語りかけた。 「ああ、まあ。実は俺の母親も剣乙女だったんだ。あんたと同じ、刀だったんだよ。さすがに妖刀じゃなかったけれど」 「そう」 少女はその言葉の続きを待っているかのように青年を見つめていた。 「なあ、これ、俺が扱わせてもらってもいいかな?」 少女はようやくにっこりと笑った。黒い刀身がまぶしい光を放つ。 「何? どうなったんだ?」 「悪しき妖刀から、良き妖刀に変ったの。あなたを主と認めました。私はキッカ、あなたの行く道どこへでもついて行きます」
この前のアンビリを見て。 おそらくは国の物とならなかった剣乙女だろうと思われた。少女は色白の長い黒い髪をしていた。その目も黒く、そして虚ろ気だった。 「あんたが、剣乙女か?」 一人の男が尋ねた。少女は頷いた。 「早速だが、剣を手に入れたい。扱わせてもらえないか?」 「あなたには無理」 少女はきっぱりと言い放った。男は目を白黒させるだけだった。そして、身体を震わせて怒鳴った。 「それはどういうことだ! 使ってみなきゃわかんねーだろ!」 そう怒鳴られて少女は顔をしかめた。そして仕方が無さそうにおずおずと手にした剣を男に差し出した。 「これが、私の剣です」 それは、男が目にしたことのない形の剣だった。 「刀......」 同じ目的で店に入った青年が口にした。 「そう、知っているの?」 「ああ、まあ」 少女は少し興味を持ったような顔で青年を見る。しかし、先の男に刀を取られた。 「貸せ!」 奪うように刀を手に取ると、男はそれを抜いた。その刀身は黒かった。 「なんだ、この剣は」 「私の、剣......」 「こ、こんな剣、見た事ねえ! なんで、コレ片刃なんだ!」 「刀は、そうです」 「し、しかも、なんだか、気味が悪りい!」 「それは、人の血を吸う妖刀ですから。たまに持ち主の血も吸います」 男は刀を放した。
他の武器(槍とか弓とか)はどうなっているとか、金属がない世界なのか? とか、じゃあ鍋とかはないのか? とか、そんなことをいう輩は読まない方がいいと思います。 しかし父親の言葉は虚しく、この家族は引っ越しをする前に国王の兵たちにより皆殺しにされてしまった。母親と産まれたばかりの赤子は奪われた。一人、遊びに出ていた一番上の息子だけはそれ免れた。 それから、十五年後。 「剣乙女が来ているんだってよ!」 「マジで?」 「なんでも、剣を扱ってくれる奴を探しているらしい」 「いいじゃねえか、ぜひぜひ扱わせてくれって奴だな」 そう言いながら走ってその酒場へ向かう男たちがいる。確かに剣乙女が来るのはこんな田舎では珍しいことだった。 剣乙女が生まれれば、ほとんどが国に献上することになっている。剣乙女が携えてくる剣ほどすばらしい物はないとされているので、それを多く所持すれば国が強くなる。しかし、大事な娘を国にやれるかという家も多々あるため、それを逃れる為に内密にし国の物にならない娘もいる。 酒場には剣乙女が一つのテーブルに座っていた。
8日18時頃の方。 拍手メッセージありがとうございました。 誤字脱字は気を付けてますが、よくやります。おっちょこちょいなんです。別に興奮してるわけじゃないのです。素で間違っているのです。 そんなんでも楽しんでいただいてありがとうございます。
本気でやれば、半年以内に終わったはずでした。
妹がですね、暴食に走った昨夜。 それから、二十年以上経った。世界はそれほど大きな事件も無かったが、魔族による被害はじわりじわりと広がり始めていた。 「これが罪を償う事か」 カシスが吐き捨てた。 「なら、俺は自分で罪を償う」 その剣を自分に向けた。 それを見守っていたのは兄弟たちだった。止める事は出来なかった。 丁重に遺体を葬ることしか出来なかった。 「オフィーリス嬢、あいつと契約をしていたんだってな」 「ええ、あの子が死んだら血を貰うことになっていたわ」 だから、ベグゼッドが刺された時、ほとんど血は流れなかった。 「これを渡すように言われていたの」 オフィーリスから、羊皮紙を受け取った。ベグゼッドの筆で『何時でも、この者を受け入れよ。未来永劫、これを有効とせよ。これがただ一つベグゼッド=オウル=フォーランズのこの世に残す我侭なり』と書かれていた。 「子供みたいなことを......」 「でも、この世界での身元を保証出来るわ」 オフィーリスはそれから声を沈めた。 「私にも予測は出来なかった。まさか、こんな形でベグゼッドが罪を償うとは思わなかった。少し、可哀想に思う」 「だが......」 「表向き、カシスが殺した事になるけれど、それは魔族がさせた錯覚によるものだったの」 「知っている。私も見ていた。私が言いたいのは」 「ええ、そうよ。カシスが自分で死んだ事によってティママンが復活するわ。行きましょう」 安置所にはカシスが横たわっている。それが目を開き起きあがった。 「そろそろ、来ると思っていた」 「久しぶり、ティママン」 「ああ、本当に久しぶりだな」 「いつまで、その姿でいるつもり?」 「それがよ、戻らねえの。ま、いいけどな」 「だけど、その姿じゃこの国には居られないわ。だから早くここから離れましょう。久しぶりに魔界に戻るっていうのもどうかしら?」 「いいや、どうやら俺の仕事が出来てるようだし、別の国へ行くぜ。あいつを殺した魔族の行方を追うさ」 「そう、じゃあそっちはまかせるわ。私は魔界へ戻る。グオンはどうする?」 グオンは寂しい笑いを作ってきっぱり言った。 「私はあいつが残した仕事を片づけて、それから身の振り方をゆっくり考えます」 ビアソーイダとフォーランズの関係は表向き途絶えたが、コンファイアを通じて密に情報が交換されていた。そして時の流れにより少しずつ交流が盛んになった。 しかし、カシスの名前は歴史から消える事になる。ただ、最強の剣士がいたということだけは伝わった。 そして千年後、造船技術の発達により、世界が広がった。様々な国に行く事が出来るようになり、いつしかウォンテッダーと呼ばれる旅人たちが行き来するようになる。 ひとまず、終了です。言い訳は明日します。
小説ってやっぱり面白い時がある。全部が全部読んでいるわけじゃないので、面白いのを逃しているときもあるかもしれないけれど、 「何、そんな顔してんの?」 ベグゼッドが声をかける。手にした皿には多量の料理が盛られていた。 「だって、寂しくなるじゃないかよ」 「違うよ。日常に戻るだけだ」 ベグゼッドはきっぱりと言った。 「だけど、日常の中に楽しみが増えるだけだよ」 「楽しみ?」 「またさ、すぐ会えるよ。俺、カシスに会えるの楽しみにしてる」 カシスが笑った。 「何が可笑しいんだ?」 「ううん、俺も、楽しみにしてるよ」 そこに急に声が聞こえて来た。 『残念ながら、日常は戻らないわ』 声の主はオフィーリス。逆さまになってベグゼッドの前に現れた。 「ベグゼッド、久しぶり」 「オフィーリス、どこに行っていたの?」 「ちょっと、この世界をあちこち」 「日常が戻らないって、どういうこと?」 「魔界から、魔族たちが多量にこの世界に入ったの。もう、時間が動き出して止る事は無いわ」 「時間......」 「だから、人間は魔族によって脅かされる。あなたには罪があるわ。いつか、受けなくてはならない罪。ごめんなさい、私にはあなたを守る事が出来ないかもしれないけれど」 「オフィーリス、俺はね、後悔なんかしてないし、罪も受け入れられると思う」 「そう、強い子ね」 オフィーリスはそうして、去って行った。 『さよなら、ベグゼッド。また、会いましょうね』 翌日、サミクラスとオリオが旅立ち、他の兄弟たちもそれぞれ好きなように旅立った。ベグゼッドもフォーランズへ帰って行った。残ったのはハイネーケとカシス、国王だった。 グオンはしばらくトレンシアで暮らす事になり、オリオとともに向かった。 「姉上は?」 船に乗る時になってバネッタがいない事に気づき、父王に尋ねた。 「アレなら、サミクラスと行ったよ。あのバカ娘め」 と、ため息まじりでフォーランズ王は答えた。
解読に白熱し、気づいたら今の時間になってました。
「ざーざー降る」と言って、作家のお父さんに怒られて「本当にそうか確かめてこい!」と雨が降る外に出されたことがある作家さんがいらしたそうです。 その夜も三人の王は宴会だった。コンファイア王は、子供が増えたと喜んでいた。 「帰ったら妻が喜ぶだろう」 そう、漏らしていた。 「しかし、あのじゃじゃ馬の跳ねっ返りだ。返って迷惑になるかもしれん」 フォーランズ王の声は沈んでいた。既に娘を手放した気でいて、寂しそうだった。 「儂はあの二人の子供が怖い」 「それでも、私らの孫だ。かわいいだろう」 「全くだ」 三人は笑い合った。 最終的に、カシスとの決着は一瞬で勝負がついてしまった。彼曰く、「本当は長引かせて楽しもうと思っていたけど、面倒になった」と一瞬であしらった。 カシスは当然怒ったが、自分の腕の未熟さに嘆いていた。 「カシスは充分よくやったと思うよ。兄さんが時間掛けて相手しようと思っていたんだし」 うなだれている弟をオリオが宥めた。 「ほら、カシス。しばらく僕も留守にするから、送迎会してくれよ」 その日も様々な料理がテーブルにたくさん並んでいた。滅多に連日で贅沢することがない。明日になれば、兄弟たちはそれぞれまた旅立ち、国王は帰って行き、ベグゼッドも戻らなければならない。 やっぱり、カシスはうなだれた。
とりあえず、見逃してください。 「うーん、まいったなぁ。傷は付けたくないし......」 バネッタの剣を避けながらサミクラスは考えていた。その考えていることがバネッタに丸聞こえだったが彼女は無視した。 「どうした? 私が欲しいのではないのか?」 「そりゃ、欲しいさ。こんないい女、滅多にお目にかかれないからな!」 サミクラスが踏み出した剣を裂け、代わりに彼女の懐に入る。そして、持っている剣を打った。剣が吹き飛び、離れたところに刺さる。 「怪我、ないよな?」 「......」 バネッタは呆然とした。 それから、くくっと笑いを漏らした。 「私の負けだ。このバネッタ=ワーズ=フォーランズをくれてやろう」 「やったぁ!」 サミクラスがバネッタを抱き上げた。 「そんなわけで、結婚式だ。親父!」 「このバカ息子!」 ビアソーイダ王が叫んだ。
日和見感染的なノリで、東京行こうかと計画建ててます。
草うららか
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