気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
八月? 明日から八月? 「すまんのう、わざわざ来てもらって」 「アニム様のお願いですもの。喜んでお受けします」 アニムが宿に戻って来た。彼は女性を一人連れて来ていた。 「待たせたのう。彼女にクイスマークの屋敷へ行ってもらおうと思ってのう」 「お久しぶりです、ヒーガル様、ヴェックス様、それと、リュレイミア様」 「ラナ!」 「ラナ、お久しぶり」 「ラナさん!」 三人は驚いた。 彼女こそ、長年ビアソーイダ城のメイドを勤めるラナだった。 「アニム、いつの間に、どうして」 「そもそも、小生らだけでは手に負えぬと思っておったのだ」 「でも、ラナが危険だわ」 「大丈夫ですよ、ヴェックス様。心配は無用です」 ラナはにっこり笑った。 「兄さま......」 「お前、知らなかったっけ? ラナは人間じゃない」 「精霊に近い種族なのです」 「何が気に入ってうちに何百年もいるんだかわかんねえけどな」 ラナはにっこりと笑っただけだった。
さーて、始めますか。 「それが何故なのか、わかるかのう?」 と、アニム。ロナは首を振った。 「では、戻るか」 「あの、何もしないのですか?」 「また小生たちが屋敷に戻ったところで何が出来るかのう。クイスマーク本人が分からなければ、そして、例の症状が出ない限りは何もできん」 「そう、ですか......」 「おい、アニム......」 「アニム?」 「......」 「さてと、今日は街でゆっくりしよう」 街に戻ったバルクたちは皆うかない表情をしていた。 「アニム、どうして?」 街に戻るまでルイの質問攻めが繰り返されたがアニムはずっと黙っていた。そして街に着く頃にはルイも仏頂面で黙った。 アニムは宿を取り、「野暮用がある」とそのままどこかへ行ってしまった。 「納得行かない!」 食堂のテーブルをだんっと叩いてルイは憤っていた。バルクは半分諦めに近い顔でその様子を見ている。そして、少しルイをなだめた。 「ルイ、落ち着けよ。まだ手がないわけじゃねえ。アニムだってあの場にいてもどうにもならねえから離れただけだ」 「でもね、酷いよ。わかってるのに......今日にもあの人たちが殺されちゃったら......」 ルイの声がだんだん弱まる。彼女にもどうしていいのか分からなかった。
投票は権利だった。選挙権ってくらいだからね。
今、自分自身に投げかける一言。 サボリが多いため、ちょっとだけ脱線というか、短文というか。 「幽霊って信じる?」 ルイが突然尋ねた。彼女がどういう意図を持って質問したのか二人にはわからないが、即答した。 「いるか、んなもん」 「いない」 二人がそう答えて、ルイは、やっぱりと言った表情をする。 「人間って、あんまり信じないって聞いてたけど、そうなんだ。でも、エルフは信じてないんだね」 「少なくとも、エルフの幽霊など聞いた事がない」 彼の母親はともかく、彼にとってエルフはとてつもなく底抜けに明るい種族である。ちょっとやそっとで恨みを持ち復讐するようなものではないと考えている。 「でもね、幽霊はいるのよ」 「ふーん」 興味無さげにバルクは返事をする。 「よくいるタイプが浮遊霊とか地縛霊ってやつね。それから......」 「へー」 「それから......」 アニムは二人の様子をぼんやりと見つつ、ついに声をかけた。 「ルイ、お主、見えぬだろ」 「え?」 「お主は悪魔族だからと思っていたが......そうなのか?」 「う、うん。悪魔だからって見える訳じゃないの。魂とか残留思念とかを糧にする一部の魔族とか、魂を扱う神族くらいしか見えないの。だから、見る必要のない私には見えない」 「やはり。そして、バルク。お主は見えておるだろ?」 「うっ......」 「人間にも見える見えないあるって聞いたけど、見る必要があるから?」 「ただ、単に霊感が強いだけかものう。バルクの場合」 「だから嫌なんだよ。うちの地下には年期入ったヤツもいるし......」 「ね、バルク、どんなの見えてるの?」 「いやだ、知るか!」 「この先の街はいるかもしれん。昔戦地でたくさんの人が亡くなった場所だからのう」 「見えねー見えねー......」 バルクは剣を抱き、呪文のようにつぶやいた。
そう言えば、
ドラクエ5やってる妹。
いえ、今の話が......。
深いため息をつきたいところですが、胸にここでは胸にとどめておきます。 「二重人格なのか?」 アニムの質問にロナは答える。 「そんなようなものです」 「ようなものって?」 「クイスマーク様には、先祖の霊が憑いています」 「魔族か?」 「いえ、先祖です」 「あんな行動に出る先祖ってどんな先祖なんだ?」 「クイスマーク様の先祖は虐げられた一族なのです。そして、今の時代に蘇った時、その念を若い女性にぶつけているようなのです」 「お主はここに来て長いのか? 何故、お主だけ無事なんだ? そもそも、何者なのだ?」 そう問われ、彼女は顔を曇らせた。 「私はクイスマーク様の元婚約者です。今はクイスマーク様を見守ることしか出来ません」 彼女は続ける。 「ただ、クイスマーク様が先祖の霊に操られても、私には何故か手を出してきません」
この間電話で話した友人が、「今日、乙女の日(比喩表現)で...」 「ヴェックス、いなくなったメイドは何人だ?」 「六人......」 くくり付けられた死体は六体だった。 「ルイ......」 アニムが辛そうに求めるように呼んだ。ルイは首を振りながらも飛び上がった。普段は便宜上しまっている羽を広げ、ぎこちなく宙に飛び上がる。 屋根にくくり付けられた六体の白骨を一つ一つ見る。恐る恐る見て、それが確かに人間のものと判断する。長い月日に晒されたメイド服はぼろぼろで崩れている。 ルイはフラフラと地上に舞い降りた。 「ルイ、ご苦労様」 彼女は青ざめていた。その表情で彼らは何も尋ねなかった。 「知って、しまわれたんですね」 ロナだった。 「お早うございます。ずいぶん早いご出立でしたね」 「これは、どういうことだ? クイスマークがやったのか?」 と、バルクが尋ねた。 「はい、と言うべきか? いいえ、と言うべきか? 今、クイスマーク様に尋ねても何も答えてくれません」 「どういうこと?」 「クイスマーク様は、二つの顔をお持ちなのです。いつもはお優しい方ですが、ご病気が出ると、あのような行動に出てしまいます」
ホラーチックなのが書きたくて書いた今回のウォンテッダー。
やっと、やっと「迷宮百年の睡魔」の漫画版を読む事が出来ました。SF世界でありながらも幻想チック。女王とか綺麗なんだよー! ちくしょー!(褒め言葉) その夜はバルクは眠ったが剣はその胸にあった。そして、夜が開けると同時に目が覚めた。 そして一行は早朝にその屋敷を出た。 「お早い出発ですね」 「先生、今度は協会で」 「皆さん、良い旅を」 三人のメイドに見送られて四人は屋敷を出た。 屋敷を出て、バルクがやっと息をつく。ヴェックスもそんな表情をしている。しかし彼女は浮かない。そして、ルイはその顔を恐怖に染めて震えた。 「どうした、ルイ?」 「あ、あれ......」 彼女は屋敷の屋根を指差した。 屋根の尖った部分に、それはあった。遠目でもそれははっきりと白く見えた。いくつか屋根の先には白骨の死体がくくり付けられていた。
前々の職場から帰るとき、よく聞いていたラジオドラマでやってた「ネガティブハッピーチェーンソーエッジ」なんていうタイトル聞いて「え?」とか思いながらも一回で覚えてしまった、のを思い出した。(夏の一冊)ですよ。それでも今日はポジで生きたいと思います。 何事もなく食堂に着き、何事もなく席に着いた。 「いやあ、すまないね。私も忙しい身なもので」 と、クイスマークがすでに席についていた。その横で給仕が前菜をとりわけている。そして、一人一人の前に置いて行った。 「一人での食事はつまらないものだが、今日はすばらしい。かわいらしい女性が二人もいらっしゃる」 ワインが注がれたグラスを少し持ち上げる。 「あなた方三人はウォンテッダーと聞いた。ぜひ、活躍のお話を聞かせて欲しい」 そうせがまれてアニムは話を始める。ルイはそれに「メリーレイク島のスイカは絶品だった」とか「ミレンディのブランディーケーキは美味しかった」などと付け加える。ヴェックスとバルクは剣の柄から手を離したものの、やはり落ち着かずにいた。 そして、何事もなく食事を終え、部屋に戻った。 この屋敷に着いてから今まで結局行方知れずメイドたちは見つけられなかった。
給料明細を見て、思う。
はくぼレースが開催されるような時期、世間は七月まっただか。 ロナと呼ばれているそのメイドは、クイスマークの秘書もこなしているとメイドたちは言った。それだけを話すとメイドたちは「仕事がありますので」と部屋を去り、一人のメイドはバルクたちを客室へ案内するとやはり「仕事がありますので」と去って行った。 バルクとヴェックスは始終落ち着かない様子だった。部屋は一人一人に割り与えられたが、固まっている方がいい、とヴェックスはルイの、バルクはアニムの部屋に落ち着いた。 四人は食事の用意が出来たとメイドが呼びに来るまで部屋の中で大人しくしていた。ただ、黙って時間が過ぎ去るのを待っていた。恐怖の時間が過ぎ去るのをただただじっと待つ。 「こちらにどうぞ。ご主人様も待っておられますので」 「ありがとう」 ルイは緊張がほぐれたかのように言った。心なしか、ほっとした表情をする。それでもバルクとヴェックスは剣の柄を放さないでいた。 「情けねーな」 と、バルクはぼやく。 「なんでこうも、ありもしねえ事でビクビクしなくちゃあ、ならねえんだ」 「それだけお主は勘が強いだけだ。気にするでない。むしろ、小生はそれで助かっている」 「疲れんだよ、結構」 「そうだのう、この次は温泉にでも行こう」 「ああ、そうだな」 その返事にアニムが少し笑む。
と、問いたいです。何がそんなにいけないんですか? と。 クイスマークが去った後、十分ほどしてメイドたちは現れた。 「先生、お久しぶりです」 「どうしたんですか?」 「本部で、何かあったんですか?」 彼女たちは次々にヴェックスに話しかけて来た。 「あなたたちこそ、大丈夫? 嫌なことされてない? 何か変な事が起きていない?」 彼女たちは顔を見合わせて笑った。 「そんなことないですよ、先生」 「クイスマーク様はとても親切ですわ」 「ここでお仕事できて幸せです」 「そう、それならいいのだけど」 良くなかった。戻るはずのメイドたちは戻って来ていない。彼女たちの態度を見ても、それは分からない。 「皆さん、お部屋を用意しましたので、こちらへどうぞ」 玄関先で会ったメイドだった。 「この方は?」 と、ヴェックスがメイドの一人に聞いた。 「クイスマーク様のお知り合いのメイドです。協会のメイドではないですが、私たちも敵わないくらい有能なんですよ」 少々、困惑気味に彼女は答えた。
ネットで調べたらすぐに分かりました。便利な世の中です。
リメイク版(GBA)のなつかしゲームをやってます。
暇こいた妹がなつかしゲームやってます。とうとうラストダンジョンです。その前のイベントで、主人公が最初ストーカーから始まり廃人になりかけるにも関わらず「一緒にいたい」などと言うヒロインがけなげです。アレ? こんな内容だっけ?(結構やりこんだ自分が吐く台詞) 「ようこそ、いらっしゃいました。しかしながら失礼ですが、どちら様で?」 クイスマークが部屋に入って来た。商人としては若く、そして美形だった。 「私は、メイド協会の教官をしているヴェックス=トリス他の三人は付き添いのウォンテッダーです」 ヴェックスが立ち上がって自己紹介する。 「それは遠くからはるばる、お疲れ様です。今日は、そうですな。ごゆっくりお休みください。話は、明日でもいいですかな? 実は今日は忙しいもので」 「いえ、今日のうちにお話を聞いていただけませんか? 私も忙しい身なので」 と、ヴェックス。さらに続ける。 「お忙しい中、申し訳ありませんが、お時間いただきたい」 「女性の方にそう言われましたら、仕方がありません。どうぞ、おかけください」 「単刀直入に言います。うちで派遣したメイドたちに会わせてください。契約は半年に一度なのです。なのに、あなたのところから一人もメイドが帰って来ていないのです」 「おかしいですね。メイドは帰してしますが?」 「じゃあ、今派遣されているメイドに会わせてください」 「わかりました。では、少々お待ちください。そうそう、私はこれから仕事なのです。メイドに伝えますが、今夜は止まって行ってください。部屋を用意させます」 そう言って、クイスマークは出て行った。
何か不吉な予感が......! 四人はクイスマークの屋敷の門の前に四人はいた。馬車を降り、その街外れにその屋敷はある。 「やっと着いた」 ヴェックスが独り言のように言った。門の側にあるベルの紐を引く。門の前で引くと屋敷の中になるベルが鳴るような仕掛けになっている。ややして、一人のメイドが現れた。 「いらっしゃいませ。ご主人様に御用ですか?」 と、メイドが迎えた。ヴェックスは、うなずいただけだった。 「こちらへどうぞ」 メイドに屋敷の中を案内される。 「メイド協会の?」 というアニムの小声の質問にヴェックスは首を振った。 「ただいま、ご主人様を呼んで参りますので、この部屋でおくつろぎください」 応接間の前でメイドは立ち去った。何の変哲もない応接間。調度品もそれほど豪華ではないが、さすが有数の大商人ということだけあり、一通りは揃えていた。 とりあえず、中に入ってソファーに腰掛けた。しばらく沈黙が続く。バルクが剣の柄から手を放さないでいた。何か落ち着かない癖にも見えた。ヴェックスもまた、やり場のない手を剣の柄を握る事で落ち着かせていた。
寒い日が続きます。
なんか書きたい気でいます。 彼女の一声で皆が目覚めた。 「おはよ、バルク」 バルクはわけ分からず。ヴェックスも首をひねっていた。 御者は目覚めて慌てて馬車を走らせる。 「一体何があったんだ?」 「魔族が現れただけだ」 バルクの警戒心すら起こさせないほど、小者の魔族だ、と教えた。 「俺はともかく、セルヴェスが気づかないなんてな」 「きっと、セルヴェスも気にしなかったのよ」 その後は何事もなく宿泊地に着いた。 「とうとう、明日クイスマークの屋敷に着くわね」 宿の部屋でヴェックスが言う。 「そういうわけで、今日は早く寝るわ」 「そうだな」 バルクが立ち上がる。彼が向かった先は部屋ではない。 「兄さん、イメトレ?」 ヴェックスが聞いた。それにアニムが答える。 「昨日やらなかったからのう。何かない限りは毎晩やっておる」 「すごいよね、イメージで負けることが出来るなんて」 「兄さんは昔からそう。でも、兄さんのイメトレ見るの、好き」 ヴェックスは庭をのぞく、バルクが踊るように剣を振るう。誰と戦っているのか分からない。サミクラスという伝説の最強の男とかもしれない。剣王女、バネッタかもしれない。とにかく、バルクが苦戦するのだから、腕の立つ相手なのだろう。
昨日から仕事中に眠いです。 「仕方がない、こいつは諦めよう」 「この女の子はどうだ?」 と、ルイを見る。 「ではさっそく記憶をいただこう」 一人がルイに近づいた。アニムの不味い記憶により、少し腹正しくなっていた。 その時、ルイの目が開いた。 「下級魔族」 ぽそりと言う。ルイに近づいていた魔族が怖じ気着く。 「だからバルクの勘も不発だったのね」 ルイは魔族の腕を掴んだ。魔族が悲鳴を上げる。 「ひいいいい! 力が、力が抜ける!」 「ふん。私には魔力吸収の能力があるの。このまま消滅しちゃう?」 「やめてやめてやめて」 「じゃあ、ここから離れて」 彼女は腕を放した。 「この小娘め!」 魔族の一人が彼女に向かって行った。肉を糧にする魔族だった。爪を伸ばしそれで掻き斬るように振り回す。しかし、魔族は忽然と消えた。 「アニム、起きたの?」 「なんの、寝た振りだ」 「らしいわね」 「お主こそ。あの演奏が魔法でなかったら眠っていただろうに」 アニム手にしたカードを見た。先ほどの魔族が封じられている。 「道化だ」 「本当にね。こんな下級魔族じゃ、バルクの勘が働かなかったのもうなずけるわ」 実際、直前になって身の危険を感じたらバルクも飛び起きれるだろう。 「さてと、お仲間一人いなくなったけど、あなたたち、どうする?」 「逃げる」 「逃げよう」 「逃げます」 真族たちが消えて行く。 「では、ルイ頼むぞ」 「わかってるって」 悪魔族が得意とする魔法がある。 「起きてー!」 声に魔力を乗せ、強力な覚醒をもたらす魔法。別名、目覚まし時計。 悪魔は人間の欲求に関する魔法が得意だった。だから、目覚ましの逆も得意である。
もう、お盆なんだと思うこのごろ。時が経つのは早い。 旅芸人たちが奏でる演奏により、皆が皆眠りについた。子守唄にしては少しやかましいにも関わらず、強制的にまぶたを下ろせさせた。 「おやおや、皆さん、眠ってしまいましたね」 馬車も止まってしまっていた。御者も馬も眠っていた。旅芸人たちはそれぞれ手を止め、楽器を置いた。 「人間はこうも簡単だからつまらないが」 「手っ取り早く食う事が出来る」 「では、いただくとしようか。奴らの記憶を」 「では、いただくとしよう。彼らの血を」 「いただきまーす。肉、目玉、内蔵!」 「骨! 早く骨よこせ!」 記憶を糧にする魔族、血を糧にする魔族、肉を糧にする魔族、骨を糧にする魔族。魔族は様々だった。 「どれからいく? 一番若そうなヤツは?」 「これ、コレだ! まだ子供だ」 「やわらかそうだな」 「うまい記憶を持っているといいな」 四人が目を向けたのは、アニムだった。 まずは、記憶を糧とする魔族がアニムに襲う。死んでしまってからだと記憶を食べる事は出来ない。必然的にその魔族が一番となるが、それを咎める魔族もいない。 「うっぐ......! しまった、エルフだ。ヤツは、エルフだ!」 「なっ! エルフだと!」 「なんでこんなところにいるんだ!」 「エルフなんぞ食われたもんじゃない!」 アニムにとってどうでもいい記憶を少しばかり失っただけで彼は助かった。 魔族にとって、エルフは不味いとされる。血も肉も魔力もすべて不味いとされている。記憶すら不味いとされた。例外として、彼の感情を美味いとする魔族もいる。とにかく、エルフを好んで食する魔族がいたら、それはかなりの物好きとされる。
はいはい、昨日は友人と日帰り旅行。北海道の首都(降谷女史曰く)札幌へ。
降谷女史へ。
友人とお出かけします。ちょっと県(?)庁所在地にいってきますわ。 バルクの勘は外れてしまった。 バルクは座り直し、馬車には乗客が乗る。三人の乗客だった。そして馬車は再び動き出す。乗り合い馬車には一応停車場があるが、途中下車や途中乗車も出来る。 「どうした、バルク」 「どうしたの、バルク」 「どうしたの、兄さん」 三人、同じ事を同時に尋ねた。 「いや、わかんねー」 それまでぴりぴりと感じていたものが、今はない。セルヴェスも黙っている。剣をあてにしているわけではないが、自分の勘が外れることはなかった。 「どういう事だ?」 自分に問うたところで答えは出なかった。 新たに乗った客三人は、旅芸人のようだった。昨日から乗っている旅芸人は弦楽器をつ爪弾くと、一人は笛を取り出し、一人は鈴を鳴らし、一人は歌い始めた。馬車はにぎやかになった。
仕事場の調理員宛に電話が掛かって来た。その調理員が電話に出ると「損保?」とか「お○○じ?」とかの単語が出て来る。最終的に険しい声で「やめてください」「弁護士に話しますよ」と......。 いいタイミングでバルクたちはメイド協会を訪れた。 「兄さんの顔見たらなんか踏ん切りがついたの」 と、ヴェックスは笑った。その笑顔もすぐに消える。 「クイスマークの黒い噂は知っているけど、私たちは表向きを見る事しか出来ない。だから嫌でもメイドたちを派遣せざるを得ないの」 「行ってみるしかないのう。そして、魔族が取り憑いてないことを祈ろう」 アニムは独り言のように言う。「取り憑く」とは比喩表現だが、魔族と取引してろくな事がない。魔族の糧は様々だが、人間の命に関わるものが多い。結局、魔族に取り憑かれているのと同じようなものだ。 「来るぞ」 バルクが突然立ち上がった。自然と柄に手がかかる。セルヴェスがそうさせているのか、バルクが無意識にそうしたのか、どちらにしろ、危機が訪れていることは確かだった。 急に馬車が止まった。その反動でバルクが尻餅をついた。 「バルク、立ったのが無意味になったのう」 「うるせー」 他の乗客も立ち上がる。 「お客さん、すいません。乗客です」 と御者が言った。 呆然とするバルク。アニムもルイもヴェックスも驚いた。 「あれ?」 手が自然と柄から離れていた。 「なんだったんだ? 今の」 バルクが首を傾げた。
銀魂撮るビデオが尽きたので別のビデオをつぶそうと引っ張りだして来たら、なんとポケモン(金銀編)だった。正月だったらしいスペシャルが入っていた。 翌朝、やや寝不足な表情でバルクは起きた。ヴェックスも同じような表情だ。 朝食を食べる間もなく馬車に乗り込む。クイスマークの屋敷までまだ二日かかる。乗り合い馬車の中、客はバルクたち四人と他四人。バルクたちは眠っていた。アニムだけは目を閉じながらも完全には寝入っていなかった。盗難の恐れがあったからだ。バルクの勘はあくまで自分に危害を加えるものに対してのものだったので、危害なく盗みを働くものに対しては働かない。だから今は一番銭勘定にうるさいアニムが気を配る時だった。 他の客四人も特に動くことなく、眠っているか、黙っているかだった。旅芸人が練習で弦楽器を爪弾く。それは寝ている客に贈る子守唄だった。たまに調子を外すが、それもまた眠りにはここち良い。午前中は、静かに過ぎ去った。休憩地点の村で食事を取る。宿では簡単な弁当を持たせてくれたが、物足りなかったのでバルクたちははりきって食べた。 「で、クイスマークにはどう出るんだ?」 「メイド協会は、様々な貴族や王族から援助を得て運営している。それをメイドたちの労働で返している。まさかメイドを返せとは言えんだろう」 「ああ、でも半年に一度は一度協会に戻るようになっているのよ。その場合、戻って来れない時は連絡をもらう事になっている。クイスマークからは一度もそんな連絡は来ていない」 その代わり、メイドの要請は届いて来る。人手不足の協会としては、一度訪ねならざるをえない状況だった。 「だから私も、そしてフルラリオも気が気でなかった。そこへ、兄さんたちが訪ねて来てくれた」
って、なんか偉そうなかんじ。 話を聞き終えたのは、真夜中もいいところだった。彼女がほうっと感想を漏らした。 「いいなあ、旅に出たい」 「オイオイ」 「だって、その剣魅力的なんだもん」 「まあ、俺だってこれには感謝している」 「それと、エルフに悪魔に魔族に......この異種族がたまんない」 「バルクはというか、ビアソーイダ王族は充分人間外だと思うが?」 と、アニム。バルクはアニムをにらむが、ヴェックスは気にしてない。 「イーリスは元気にしているかしらね」 「まあ、元気だろうな。ヘネシーもいることだし」 「確かにあの子がいれば大丈夫ね。いいなあ、旅に出たい」 「いいことばかりじゃねえぞ」 「その通り、今日は寝るとしよう。何しろ、明日は早い」 ルイはこっくりこっくりと居眠りをしていた。アニムがちょっと声をかけると目を覚ます。 「寝るぞ、ルイ」 「ああ、うん。お休み」 寝ぼけているらしく、彼女はまた居眠りをする。それを数回繰り返してやっと自分の部屋のベッドに潜り込んだ。
昨日、便利そうで買ったボールペン。消しゴムで消せるというペンなんですが、見事に騙された。いや、もちろん、消しゴムでちゃんと消せるんです。(ちょっと黒いの残るけど)
ああー、もう! いやっ! ダメっ!
草うららか
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