気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
ジャングルの奥地から商品が届きました。 バルクと旅をするようになってから、野宿する時も眠るようになった。普通はどちらかが見張り番をする。野犬、狼、強盗などに襲われる危険があるからだ。 しかし、バルクは野生の勘というか、危機感知が鋭く、眠っていてもそれを感じて目覚める事が出来る。更に、バルクが持つドラゴンの魂の剣、セルヴェスの剣は危険を察知することが出来る。バルクの勘とその剣のお陰で野宿でもよく眠れるようになった。 バルクの勘が血筋のものとすれば、ヴェックスにも備わっているらしい。 「兄さん、どんな旅をして来たのか教えてよ」 一日目は、ほとんどバルクたちの旅の話で終わった。馬車の中で、宿の部屋で、ずうっと彼女はバルクたちの話に耳を傾けていた。
今日はもう、ノーコメントで! だが、今のバルクを知る者がそれを聞いても疑って掛かる。 「ウソでしょ?」 「冗談だろ?」 と。その話が出るとアニムとルイの反応はいつもこうだった。 「まあ、しょうがないか。でもいいな、私も教官なんかやってなきゃ旅に出てるわ」 「出りゃいいじゃねーか?」 「かわいい生徒を置いて旅に出れないよ」 ヴェックスは目を細めて言う。 「つーか、なんでまたメイド学校の教官なんかやってんだ?」 「それがね......」 五年ほど前、ヴェックスはふらりとコンファイアへ遊びに行った。特に用事も目的もなく、ただただ船に乗りたいという理由だった。 港に着いて風吹くままに歩いていたらメイド協会の前だった。 「よく遭難しなかったな」 「こういう運は先祖代々いいでしょ? それでたまたま強盗集団に襲われていた協会を助けたわけ」 「結構ベタだな」 「なんていうか、一人で強盗集団を退治する辺りがすごいというか、バルクの家系かな」 「さすがと言うか、めちゃくちゃもいいところだ」 ルイとアニム、あきれながら言う。 「なんか、酷い言われようだけど。兄さん、本当は悪い事してるんじゃないの?」 「してねーよ、多分」 「それで、メイドたちに護身術を教えてくれって。あと、メイド協会の護衛役も」 「じゃあ、今離れたら、メイド協会は隙だらけじゃない?」 「大丈夫、手は打ってるし、多分何事もない」 「心配ねーな」 ヴェックスもバルクもどこからくるのか分からない自信があった。 「まったく、ビアソーイダ王族というものは......」 アニムは更にあきれるが、反面羨ましくも思う。
なんか、しばらく本屋見てないと結構新刊が出てたりします。
だと思う、今日このごろ。いや、今に始まった事じゃない。どうも、うちは社会的に何か欠けている。なんかね、そういうことでよく注意されるんですよ。分からないわけじゃないけど、気配りが足りない? 何がないの? なんかもうワンマン営業。いっそ、自分一人でやる仕事があってんじゃないかと。と、いうか、仕事したくない人間です。 ビアソーイダ王族。剣術に長け放浪癖があるのが特徴。 「そして、多兄弟」 「それぞれ勝手きままに生きている奴らが多い」 それは、バルクもヴェックスも含まれている。 「よくそれで王国がつぶれずにいるもんだのう」 「それは大丈夫。兄弟のうち、何人かは真面目に継いでくれるから」 それが長男とは決まっていないが、それでも長い歴史を持つビアソーイダ王国なのだから、誰かしらが跡を継いでいった。 「でも、兄さんは本当に元気になったわ」 「自分でも驚いている」 バルクは幼い頃、病弱だった。風に当たれば咳をすると言った具合だった。そのため、部屋に閉じこめられてばかりいたので、暇をつぶすために本ばかり読んでいた。本来は身体を動かし遊んでいる方が性に合っていたのだが。兄弟のうちで一番本を読んだのはバルクである。
昨夜はなんか頭痛が酷かった。たまにそういう時があるんですよ。なんだよ、フルラリオ=アンザニカって? 頭痛のせいでどうでもいい、ややこしい名前付けてしまった。 フルラリオ自身も不安を感じていた。そして、それをヴェックス一人で行かせる事も不安を感じていた。 「どうか、ヴェックスのことをお願いします」 彼女はバルクたちに、一礼をした。 ヴェックスの準備が済むとすぐにクイスマークの屋敷に向かった。乗り合い馬車を利用して三日ほどかかる。途中、休憩、宿場として街や村に寄った。 馬車の中でヴェックスとバルクは久しぶりと言う事もあって会話を始めた。 「ヒーガル兄さんの仕事仲間の事は、フレクアから聞いたわ」 「フレクアから? あいつ、まだほっつき歩いているのか」 「なんだか、楽しそうだったわ。兄さんも、そう。すごい楽しそうね」 「苦労もあったけどな」 「兄がいつもお世話になっているわね。えーと、あなたがアニム、そっちの子がルイね」 アニムに向かってヴェックスは手を差し出した。 「ヴェックス=トリス=ビアソーイダ。あなたたちにはバルクって名乗ってるようだけど、ヒーガルの実の妹よ。よろしく」 「よろしく。アニム=マスディス」 軽く握って放すとルイにも向けた。 「よろしく」 「え、ええ、よろしく」 二人は戸惑ったような顔をしていた。 「何が聞きたいのか、よくわかるわ。私だって、うちがどういう家系なのかわかっているもの」 ヴェックスはにっこりと笑った。
って、ホント、気が滅入ります。 中庭に鈍い音が響く。剣と剣がぶつかり合った音。ヴェックスがまず離れ、そして一息も入れずバルクに切り掛かる。バルクはそれから逃げるように避ける。 「兄さんは避けないで。ハンディよ」 「無茶言うな!」 バルクが切り掛かる。が、ヴェックスにそれが届く前に引く。そして、素早く反対側から斬りつけた。 「きゃっ!」 「腕、鈍ったんじゃねえか?」 「参ったわ」 ヴェックスは剣を収めた。 「どうしても、ここにいると腕が鈍るわ」 バルクも剣を収める。 「でもよ、さすがに動きは早いな」 「ここで護身術を教えているの」 「へえ......」 さぞかし最強のメイドが送り出されているだろう、とバルクは思う。 「久しぶりにいい刺激になったわ。ところで、兄さん、どうしたの?」 「たまたま、コンファイアに寄ったんだよ」 「じゃあ、別にクイスマークのことを聞いたわけじゃないのね」 「あ、ああ」 「ねえ、兄さん。お願い。あそこには何人ものメイドが送られているの。だけど、誰も返ってこないの」 その中には何人か彼女の教え子もいるという。 「ヴェックス教官、私もお願いしようと思いました。しかし、私たちのことを、教官の身内でもウォンテッダーに任せてもいいのでしょうか?」 と、メイドが言った。手合わせ中は黙って見ていた彼女が、間に入って来た。 「......私も、行きます。彼らは、私のサポート。それでいいかしら? 学長」 「学長!?」 「兼会長よ」 「会長!?」 「申し遅れました、私はこの学長兼会長を務めてます、フルラリオ=アンザニカです。会長といっても代理ですので、あまり仕事はできないのですけど」 「父親である学長兼会長が今、出張中なの。その間だけ代理で彼女が」 「びっくりした......」 「びっくりもしますね。こんな娘っ子が学長だなんて」 そう言って彼女は笑った。 「ヴェックス教官、クイスマークの件、お願いいたします」
今日の分、書いたと勘違いしていた。
を、友人が踏んでいたので、さっそくリク受け付けます。友人だけにリク聞きやすい。 アニムもルイも知っていた。だから驚きはしない。 バルクの家系は変わっている。ビアソーイダ王族。王族というだけでも変わっているのだが、そのビアソーイダという王族は世界でも一番変わっていると言っても過言ではない。 まず、挨拶代わりに手合わせは当たり前である。 「バルク、がんばれ」 「怪我しない程度にね」 二人はお茶をすすりながら言った。 「あ、あのヴェックス教官?」 戸惑ったようなメイド、ヴェックスは知らない振りをして、バルクを中庭に案内した。 「話は聞いたわ、兄さん。あのヘネシーを負かしたって」 中庭に向かいながら、ヴェッスクが話しかける。 「ありゃ、運が良かったんだよ」 「ヘネシーはあのサミクラスの生まれ変わりって言われるほどなのよ」 「ああ、あとニ、三年もすればもう俺らは敵わねーな」 中庭は狭かったが、剣の手合わせには充分だった。この王族が出会ったらどんな狭い路地でも手合わせしなければ気が済まないだろうが。 「多少の手加減、お願いね、兄さん」 ヴェックスが剣を抜く。刃が長くも短くもない剣、ミドルソードである。 剣はいつも腰にさしている。若い娘が四六時中いるところなので、不審者が入って来たらすぐに対応できるようにしている。教官兼警備も行っていた。 「しゃーねーな」 バルクも剣を抜く。光が当たると、うっすら緑色に見える剣。 「ってか、多少の手加減ってなんなんだ?」 「本気でやれば兄さんに勝てないことくらいわかるわ」
だけど夕方から仕事ででなけりゃならないの。うっかり休みいれちまったのよ。あー! もう! 自分の馬鹿! 「ああ、そうだけど」 と、バルク。 「クイスマークを訪ねて来て欲しいのですが......いえ、やっぱり聞かなかった事にしてください」 メイドは、首を振った。 「どうぞごゆっくり」 メイドは一度席を離れた。 「クイスマークはコンファイア国の富豪の一人だのう。富豪になるくらいだからそれなりに裏では黒いことをやっておる」 と、アニム。誰に聞かれた訳でなく言った。 「ふうん」 バルクは興味なさげにお茶をすする。ルイはお茶とともに出されたクッキーをぽりぽりと食べた。 「何人もメイドが必要な屋敷って、広いんだよね」 「そのメイドがまともな仕事をしていたら、の話だったらのう」 話が途切れる。先のメイドがバルクたちの前に現れた。 「あの、ヒーガルさん? ヴェックス教官が戻られました」 メイドの後ろに背の高いほっそりとした女性がいた。歳は三十前後で金髪の美人である。 「お久しぶり、ヒーガル兄さん」 「よう、ヴェックス。しばらく見ないうちに美人になったな」 「あら、兄さんこそ、貫禄ついて......」 バルクは急にビクついた。 「お庭に出てくださいな。話があります」
基本的に逃げません。踏み逃げしません。
すいません、小説お休みします。
気づけば、そろそろカウント二万ですねー。 メイド協会の見学できる範囲は狭い。 「ご見学の方ですね。こちらにどうぞ」 二十代後半のメイドに案内され、ちり一つない事務室に通される。 「ここは毎日交代で掃除をしてます」 「へえ、さすが」 泥汚れもない絨毯、ほこり一つない書類棚、磨き光るデスク。 「さ、こちらへお座りください」 革のソファもつやつやときれいにされている。ローテーブルにはレースクロスが掛かっており、さりげなく小さい花を活けていた。 「どうぞ」 別のメイドが茶を菓子を置いて行く。 「ここにいるメイドは皆、待機中のメイドですか?」 と、ルイが尋ねた。 「ええ、いつでも答えられるようにここには何人かのメイドが残る事になってます。失礼ですが、あなたは入学希望者ですか?」 「い、いえ違います」 「そうですか」 少し残念そうにメイドは言った。 「最近、メイドになる若い子がめっきり減ってしまって」 「それでも、ここに何人かのこっていると言う事は、メイドは足りているということではないのか?」 「いえ、実際三人のところを二人で抑えていただいたりと少しばかり人手不足なのです。同じように執事協会も人手が足りなくて」 「そうなのか......」 リンリン、と鈴がなった。 「伝書鳩が戻って来たわ」 「ここでは伝書鳩を使っているのか?」 「ええ、普通の郵便も使いますが、こっちの方が早いものでして」 メイドは立ち上がった。窓を開け、鳥箱を開ける。鳩が巣に戻ると鈴がなるようにしている仕掛けの箱。窓と連結している。 「ああ、また、クイスマークの......」 メイドの表情が暗くなる。 「クイスマーク?」 「ええ、もう何度も依頼が来ているのですが......。確か、あなた方はウォンテッダーの方々でしたね?」
占いをして.....いやここで語ったらほんとになりそうだ。明日話す。以上! メイド養成学校兼メイド派遣協会本部。コンファイア王国の王都に近い郊外にそれはある。千年以上の長い歴史は信頼の証拠であり、世界の王族、貴族はそこでメイドを要請し、メイドを目指す娘たちはその地へ向かう。特に先を急がない旅人やウォンテッダーたちは物珍しさから見学する。 「見学の方々ですね。ここにお名前をお願いします」 受付の娘は帳面を差し出す。すでに本日何人かの見学者が名前を連ねている。バルクは自分の名前を書いてから、受付の娘に尋ねた。 「ヴェックス=トリス.....はいるか?」 「ヴェックス教官ですね。失礼ですが......ヒーガル=バルクさんですね。今は授業中ですのでお昼までご見学してお待ちください。伝えておきます。あ、学校の方は見学できません。派遣事務所および詰所が見学範囲ですので、ご注意ください」 受付の娘は、にこやかに言った。
友人と話をするためあっても、なんかぐだぐだに終わります。でも、語ることは同じ事です。(笑)同志は心強いです。(笑) コンファイア王国は四神諸島のビアソーイダ島を中心として西に位置する島国である。 「一度、首都に向かうのも良いかもしれんが、この島には面白いものがあってのう」 と、アニム。 「ああ、アレだろ」 「何なに?」 「メイド養成学校およびメイド協会本部だ」 「何それ?」 ルイの反応は何か冷たい。 「大真面目に言葉通りの協会だ」 「ほとんどのメイドはそこで育てられてそこから派遣されているんだよ」 「それって、見学できるの?」 「もちろんだ」 アニム。ガイドブックを見せている。 「ここに書いておる」 「俺の妹の一人が興味本位で入った事があるんだ。それに」 「それで、どうなったのだ?」 「ああ、立派に卒業したぜ。でよ、確か今はそこの教官をしてる」 「バルクの妹さん? 会ってみたいな」 「お主の兄弟という兄弟は......自覚ないのか?」 「まあ、弟が一人残っているし、大丈夫だろ」 ともかく、三人は適当な食堂へ入った。肉料理を食べるために。
なんかアノ天空な城の映画。 ある時、派手に転がったバルクを見てアニムとルイはかなり驚いた。バルクは我に返ったように立ち上がる。 「大丈夫、バルク?」 「身体の調子でも悪いのか?」 バルクはきょとんとして、それからばつの悪そうな顔をした。 「いや、ただ相手が強かっただけなんだ。よけきれなくて刺されちまった」 「バルク? まさか想像で斬られたのか?」 「ああ、まあ」 更にばつの悪い顔をするバルク。アニムはあきれつつ、それっきり何も聞かなかった。 「どんな相手を想像したの?」 「サミクラスとだ」 ルイはわけ分からず、そしてアニムは更にあきれてしまった。 「ねえ、アニム、サミクラスって誰?」 「千年も前の英雄だ。人類で最強とされた男のことだ」 それから二人はバルクのイメージトレーニングについて何も言わなくなった。バルクは毎晩それを続けている。宿で泊まる場合も、夜中に仕事(または酒を飲んだとき)以外の時はそれを行っていた。 船の旅は特に何事もなく終わった。何事もなく終わって良かった。船には逃げ場がない。無事に港に到着し、まずやることと言えば、肉料理を食べることだった。船旅イコール魚料理なのは昔からの決まり事らしい。とにかく船での食事は魚、魚介類である。ルイの、船旅が好きになれない理由の一つでもある。
天下のまわりものだった。 船の旅はルイにとって楽しいものではなかった。初めて乗った時は最悪で、彼女は船酔いで寝込んでいた。彼女曰く『おばあちゃんに抱かれて飛んだ時みたい』である。彼女の祖母は、飛ぶのが下手だったらしい。船酔いも治まり、船の中を散策できるようになったがそれもすぐに飽きてしまった。なので、船は楽しいというイメージから遠い。 アニムはというと、昼間、甲板で占い業に精を出していた。若い女性の恋占いから紳士のビジネス運、ウォンテッダーの道しるべまで長年培った勘とハッタリで答えを出す。ともかく、彼は暇さえあれば金を得ることを選んでいる。それでも夜になると船内で貸し出されている本を読んだりしている。 バルクは昼間眠ったりぼんやりと煙草を吸ったり(船に乗っている時のみ吸うらしい)甲板をぶらりと散歩したり、アニムと同じく本を読んだり過ごしている。ちなみにルイは本を読もうとはするが、一時間弱で飽きてしまう。それでも夜になると、乗客のいない甲板で剣を振るう。イメージトレーニングというべきか、相手を想像してそれに合わせて剣を振るう。傍目には滑稽に移るが、本人は真剣にそれに取り組み、たまに負けたりする。
週刊少年日曜日を読む事になろうとは。 占いなど、半分はハッタリにすぎない、ということをアニムは知っている。ただし、それはアニムのような副業として行っている者に対してのことだ。 「いや、待てよ」 本物ならばこんな占いの流行らないところに来るだろうか? と彼は思い直す。 ともかく、予言にしてもハッタリとしても『大きなもの』が助けてくれるというのだから信じてみようと思った。 アニムはつくづく思う。バルク、ルイと行動を共してから立て続けにトラブルに巻き込まれている。何か、妙な関係なんではないかと思うが、少し考えれば悪魔やら魔族などが闊歩する世の中なのだ、何の不思議もなくそれが当たり前だ。そして、それらに巻き込まれるのもウォンテッダーであるのだ。
なんとなく再開FF3。 アニムは港へ向かった。その近くに乗船待ち用の小屋や船券売り場が並んでいる。小さな小屋は窓が付いており、そこからチケットが買えるようになっている。 「急ですまんが、四神諸島のどこでも良い、今からでも取れるチケットはあるかのう? 今からでも出発したい」 通常、船券は遅くてもその日から明後日出発までのチケットしか買えない。しかし、今滞在しているような人の少ない街や、乗船客がかなり少ない場合に限り特別融通が利く。 「さすがに今出発の船は締め切りました。ですが、明日の午前中の船、コンファイア行きであればありますよ」 「ほう。では、それを三枚。一室は一人部屋、もう一室は二人部屋でな」 むろん、三人部屋の方が安いのだが、ルイは別室である。お互いのため。 「ありがとうございます」 料金を払って、チケットを引き取る。意外にことがスムーズに進んだことにアニムは少々満足していた。 バルクとルイの元に戻ろうとする道のりに、それはいた。 「やあ、君も占い師なんだってね」 「ではそーゆーお主も占い師なのだな」 アニムの場合、副業でさらに半分はハッタリであるが。 「ああ、まあね」 いかにも占い師、という出で立ちの男はアニムに微笑みかける。 「この街の人たちはあんまり占いを信じなくてね、商売上がったりなんだ。お陰で余計な事をしたくなってね」 「何が見えた?」 「ああ、君たちは四神諸島に行くのだろ? 大凶だね。特に歴史ある古いところは要注意だ」 「あそこはどれもこれも古いものばかりだ」 「それもそうだ。でも何か大きなものが助けてくれる。良い旅を」 「大きなもの?」 占い師はもう背を向けて歩いている。アニムは首をひねった。
自分、本当にこの仕事向いてないんじゃないかと思う、今日このごろ。なんか、占いとかでは専門職気質だっていうけど、全然なんですが。 三人は、同時にため息をついた。ぼやいたところで動かなければ何も始まらない。手当たり次第動いても路銀の無駄。 「まずは、目的地だな」 そんなバルクの言葉をアニムは待ってましたといわんばかりに地図をテーブルの上に広げた。見慣れた世界地図、折れ曲がりシミが付いていたりと使い込まれた地図。 「現在地はこの辺だ」 「久しぶりにイーリスに会いたいな」 「会いたいなって、お前、イーリスはあれでも一応王子だぞ」 「いいじゃない。それともバルクの故郷にする?」 「ならば、それら含めて四神諸島全体だ。意外に知られていないことがあるかもしれん」 「それなら、まあ、いいか」 「きまり! なら早速......」 「チケット取れるとよいのう」 船のチケット。取れるときと取れない時がある。行き先によっては三週間待ちということもたまにある。 「アンギルスなら行けるかもしれんが、まあ、急ぐ旅でもなし。ちょっと行ってくる」 と、アニムは立ち上がった。
落ち込む事があり、なんだかその日はこのままでいいのかなァと思いつつ、蔦やで借りたDVD見てました。そんな一日。
あの、伝説(?)のサウンドノベル、ラジカルドリーマーのシナリオが読めるところを発見しました。(と、言うより知りたかったら探せばありそうだったが)ゲームの方はやはり入手困難なようで..... 。 「だったら、早く目的見つけなきゃね」 と、ルイ。今度はフルーツサンデーを食べている。 「ここにいても始まらないなら、違うところに移ろうよ」 ルイの言う通りだった。移動している方が宿代が掛からない。 「せっかく人間世界に来ているんだもの。いろいろ楽しみたいし」 ルイ......リュレイミアは、悪魔界の時期総統とされているが、それが嫌で人間世界に逃げ出した。それでも、現総統である祖母は大好きで、愛称のルイも祖母ルイファーナと同じである。逃げ出した彼女はバルクたちと出会い、旅をして一度は戻ったが再び人間世界に逃げて来た。『だって、嫌なんだもん』とすねる彼女は到底戻る様子はない。結局、彼女の祖母に話をつけて『彼女の気が変わるまで』アニムとバルクは彼女に付き合う事になった。
ワイン飲んできました。
この間のタロットカードの補足。 「滞在するのも構わぬが、無駄に滞在する金などないぞ」 と、アニム。彼の目的はまだ果たされていない。 彼は幼い頃、故郷から連れ出され売買されてしまった。アニムを買った人間がゼム=ワーケード。世界でも有数の大商人であるが、黒い噂も絶える事ない。アニムはそこから逃げ出し、見知らぬ土地で行き倒れたところでマスディスという老人に拾われた。皮肉な事に、人間に助けられたのだった。今ある彼は、老人によって読み書きや世界のことを知ったエルフで、より人間に近い。それでも長い寿命のため、見かけと中身は違っている。(ただし、爺臭い言葉使いはマスディス老のものが移った) 復讐のため、大商人ゼムを法的に裁くためアニムは彼を探し歩いている。 「路銀はいつまでもあるものではない」 副業の占いもこの街では不人気で稼ぎは少ない。ちなみにアニムの占いはほとんどハッタリである。
どうも、イライラするなァ。部屋の散らかりとか見てると余計かもしれない。 ウォンテッダーは賞金首を捕まえ、その賞金を旅費にしている者が多い。バルクたちもその中に入る。故にほとんどのウォンテッダーは腕っ節が強い。 「目的か......」 バルクの以前の目的は『思ったものだけを斬る剣』を取り返すことだった。ティママンという伝説の英雄が使っていた(とされる)剣で、本来扱うのがとても難しい剣である。 その剣を手にした男は自慢げに「この剣で俺の身体を貫いても、俺は死なないぜ」と言い、剣を自ら刺して死んでしまった。刺す時になって男は一瞬不安を感じたからだ。その不安のために男は死んでしまった。バルクはその墓の前で男の妻から剣を返された。『馬鹿な夫で......』と男の妻は泣きながら語った。そんな後味の悪い思いをしたため、バルクはその剣を元の位置に戻した。 今、バルクが腰から下げているのはドラゴンの長であったセルヴェスが死して形になった剣である。不思議と危険を知らせたり、稽古に付き合うように重さを変えたりする剣だった。 「セルヴェスさんよ、悪ィな。退屈させちまって」 セルヴェスと共に世界を見て回って欲しい。そう、セルヴェスの仲間に頼まれている。
なんかいろいろ起こるんだよね。何だろ? 冒頭はお決まりの文句から。(初めて読む人にも安心) ウォンテッダー、求める者。ある者は名声を。ある者は富を。 家族や友人を救うためにエルフの秘薬を探し歩いた者、ドラグーンになるためにドラゴンを探しまわった者、それらをすべてウォンテッダーと称される。 今では只単に賞金稼ぎをしながら旅する者も、ウォンテッダーと呼ぶ。 「あー、暇だ」 バルクはつぶやいた。髪のほとんどが白髪だが、歳はまだ三十代中ごろの男である。その昔飲んだ薬の副作用でそうなったと本人は言う。 「暇ということは、平和な事だ。たまにはいいだろう」 アニムは街の情報紙を読みながらフライドポテトをつまんでいた。ページはウォンテッド(賞金首)されたリストがあり、似顔絵、その特徴、賞金などが記されている。目深に被ったフードで表情などは見えないが、浅黒い肌の手が見えている。 「でも、こうやってふらふらしているのもどうかと思う」 そう言いながらルイはアニムと同じ売店で買ったチョコレートサンデーを大口を開けて食べている。悪魔界、総統の祖母を持つルイは悪魔族の娘だった。悪魔は人間に直接的な害を与える訳でない。更に悪魔は人間に友好的で、人間世界には知らず知らずのうちに悪魔が紛れ込んでいるという。 「そうだのう。大した賞金首もいないことだし」 この三人はいろいろ目的があったが、それを済ませてしまったウォンテッダーである。今は、目的を探すために旅をしているというウォンテッダーだった。
八月のさなか、東京行く事に決めました。(だからと言って、あのオタクの祭典ではない) 毎回の事ながら、まず登場人物の紹介から。 良く出て来る人たち(ウォンテッダー編) アニム=マスディス 高原エルフ。人間に育てられた故、人間世界に適応する。見た目は子供、中身はジジイ。 バルク 本名、ヒーガル=バルク=ビアソーイダ。剣術得意のおっさん。アニムとは腐れ縁。 ルイ 本名 リュレイミア。悪魔っ娘。ひょんなことからアニム、バルクと旅をする。 イーリス フォーランズ王国の王子。生活に支障をきたすほど非常に無口。 ヘネシー イーリスの恋人。放浪癖あり。 グオン イーリスの教育係。わけあって不死者。度を超える女性史上主義。
いや、なんとなく。 部室(準備室の二分の一)が白い煙に包まれる。それが廊下に漏れるが、まわりの生徒はいっさい気にしない。かかわり合いになろうとしない。 「これで、先生は大丈夫」 「本当に大丈夫なのか?」 「うん、絶対大丈夫」 その自信がどこから来るのか分からないが、貴乃はにっこり笑った。良介は可奈を見る。 「人間、そう言われると自信がつく人もいれば、そうでない人もいるわね」 「そうだよね」 良介は内山がどっちに転んでも、もうどうでも良くなった。 それからの内山は、というと。 「皆さん、授業を始めますよ」 「きりーつ」 がたがたと生徒が立ち上がる。 「礼、着席」 「さて、今日の授業は......うん、タマネギと牛肉を使った料理だったね」 と、言い出す。 「宏隆先生、今は数学です」 「ああ、そうだった。んじゃ、ちょい待ってって。おい、隆宏!」 ややして、 「あー、失礼。じゃ、授業始める。教科書126ページな」 と、そんな具合になった。 自由に入れ替えが出来る性格になった。どういう訳か、授業を間違うけれど。それよりも、宏隆は技術家庭科(今、あるのか?)の教員となった。数学はやはりついて行けないらしい。 良介は、本当に申し訳ない事をしたと思っている。兄に対しても。 そして、貴乃は、もちろん反省などしていない。
「陽気なギャングが地球を回す」DVD見ました。
これで二度目だったりする。 「いやもういい。ありがとう」 「先生、遠慮せずに」 「いやホント、もういいから」 「式神!」 内山の足が止まった。内山には姿が見えない。 「やめてくれー!」 「二重人格は一種の悪霊憑きです。だからお祓いが効果的」 「いや、悪霊違う! そんなの聞いた事ない! やめて、お願い」 良介と可奈は黙っているだけだった。 「止めないの?」 と、良介。可奈は首を振って言った。 「でないと、本当に治らないもの。虚言癖」 「虚言とは違うよ。先生は本当にそう思い込んでいるんだもの」 「恐怖で治るといいんだけども」 「ニャルトラホテップはやり過ぎだと思う」 可奈は黙りこくった。そして、貴乃が高らかに叫ぶ。 「悪霊退散!」
草うららか
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