気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
月末は嫌だな......と思わざるを得ない、そんな日でした。 「悪魔召喚制限規律審査員ってなんですか?」 と、良介。 「その名の通り、召喚術を規制して、問題があれば現れる悪魔の審査員よ。私の力不足ゆえ、呼び出せないという事ですよね」 可奈はややしょんぼりとして言った。 「まあ、平たく言うとそうなんですが、クトゥルフ神話の神々は危険すぎるんで原則的に呼び出せないんですよ。誰であろうが無理です。従って、東可奈殿、お諦めください」 「分かりました」 「ご了承、ありがとうございます。では、私はこれで失礼」 久村は消え去った。 「そういう訳で、先生。治せませんでした」 「先生はすごーく安心したよ」 内山は魔法陣から出て、可奈は魔法陣を消す。彼女はまだ残念そうにしている。 「こういうのは私の方が得意ですよ」 と、貴乃が言い出した。
変な夢を見た時、夢占いの本があるのでそれを調べてみた。 「それでは治療始めます」 可奈は静かに言った。 「まずコレを敷いて、先生は真ん中に座ってください。そして、部長と貴乃ちゃんは何もしないでね」 「初めに聞いていいか? 何をする?」 「困った時は悪魔頼みです」 「あくま?」 「では、呼び出します。先生は出来るだけリラックスしてください」 「いや、出来ない」 可奈はかまわず、呪文のようなものをつぶやき始めた。 しいん......。 三十秒、何も起こらなかった。が、内山の足下が淡く光りだす。 「な、光った!」 「私も初めての事で、何が起こるか分かりません。何しろ今から呼び出すのは近代神話のニャルトラホテップ!」 「な、クトゥルフ?」 「部長、クトゥルフってなんですか?」 と、貴乃。 「うーと、創作神話っていうべきかなァ......」 と、良介。 「なんで、ニャルなんとか?」 「ああ、アレ、姿なき神だから」 「普通、逆ですよね?」 「著者の考えている事なんかずれてるから。それより、可奈ちゃんが召喚したかっただけかもしれない」 「ねえ、部長、すっごい危険を感じるんですけど」 「うん、だって、人間にはちっとも優しくないからね」 「でも、さっき創作っていってましたよね?」 「創作でも、それが世界に広まって信者が出来れば立派な神話なんだよ」 良介の説明が終わると同時に、それは現れた。 「こんにちは、皆さん」 それは、礼儀正しくお辞儀した。スーツ姿の男だった。 「ニャルトラホテップ?」 「いえ、そんなことより、私、こういう者です」 スーツの男は名刺を可奈に渡した。 『悪魔召喚制限規律審査員 久村 スミヨシ』 「久村、スミヨシ? 日本人?」 「いえいえ、悪魔ですが、私日本支部担当でして、親しみやすいようにこのような名前なんです」 男、久村はにっこりと笑った。
DVDを借りて。
見ましたよー! DVD借りて見たよー!
浜月まおさんからいただきました。なんか気まずいような恥ずかしいような、そんな気持ちです。
と、いうのも、この話をどうもっていっていいものなんだろうか? 本来の自分がいなくなり、自分ではない自分が二人である内山を良介は不憫に思う。 「で、ここはこうなるわけだ。ここまで理解できたか?」 今日は隆宏の方である。内山はしゃべりだすまでどちらなのか分からない。朝は宏隆、午後には隆宏ということもある。 「先生、放課後部室まで来てください」 「なんだい? 岡崎くん」 「先生の、それ、治します」 「わかった。確か、オカルト研究部は三階の準備室だったね」 正確には、準備室の半分。 「はい」 「内山先生。これからやる療法はあくまで本来の自分を取り戻すものですから」 と、東可奈は言った。 「それと、成功例はまだないです。何しろ初めてなもので」 「え?」 「いそうでいないのです。二重人格って」 「......」 「部長からの話では、極度のストレスによるものだと思いますが、それだけでもないような気がします」 「結局、何が言いたいの? 東さんは」 「治らなかったらごめんなさい」 可奈は、あっさりと言った。
物事をやると間違える。 良介には理解不能だった。何故、内山は多重人格になってしまったのか、が分からなかった。良介は気づかないだけである。常人には耐えられなかった。それだけだった。 「で、本来の内山は......治療中に消えてしまった」 「普通に怖いんだけど」 「そして、分裂して少々おバカな内山宏隆と少々堅物の内山隆宏が残った」 「どっちが本当の名前?」 「内山隆宏だが、本来は宏隆の方が近いかな」 「......」 「あいつ、自分の馬鹿さを嫌がっていたから、堅物な隆宏がいいんだろうな、きっと」 「そういうもんなの?」 「さあ? ただ、可哀想なことをしたと思っている」
ああ、なんかスマスマのコントであったな、そんなの。 当時の内山は「映画同好会」と信じて疑わずに入って来たらしい。しかも、映画を見るだけなら楽じゃないか、というような感覚で。 それが、「オカマ部」と知った時の落胆は酷かった。 「ちょっとまて、『オカマ部』って、結局何するの?」 「もちろん女装するんだよ」 「女装して何すんの?」 「別に何も」 「じゃあ、なんで『映画同好会』なの?」 「まあ、それにはいろいろわけがあるんだ」 優介の説明では、まずこの学校には『被服部』と『メイク部』と『美容部』がある。暇な生徒を狙っては化粧をしたり、髪を切ったりいじくったり、マネキン代わりにする。 「俺たちはそんな部の相手をしていたんだ。でも、女物の服が多かったから付いたのが『オカマ部』でも、あんまりだから『活動写真同好会』」 「いや、それ映画同好会に失礼な話じゃない?」 「ああ、メイクとかマネキンがわりとかじっとしているのが退屈だったから、映画とか見てたんだよ」 「兄貴の大学生活、それでよかったの?」 「お礼金もらってたからねえ」 それで、内山は話が違うと早々退部することになったが、田学の変な校則『一度決めたことは最後までやり通せ』のため、違反となるので少なくとも一年は辞めることが出来ない。泣く泣く内山は『活動写真同好会』を続けた。 その内、『演劇部』も関わって来て『被服部』が作った衣装で『メイク部』『美容部』がメイク・かつら担当した劇に付き合わされたのだった。 そんな一年を過ごした内山は、性格が三重、四重となってしまったそうだ。 「ウソだよね?」 「本当の話さ」 この兄はあっけらかんと話している。 「で、カウンセラーとか精神科とかいろいろな療治方法を行って、今は二重人格で落ち着いているんだ」 「......」
久しぶりに平日に休みを取りました。
いや、私のせいなんだけど。 「兄貴、一体何やったの?」 と、良介。 「ああ、あれは大学二年の時だったかな......」 岡崎優介と上田明、黒岩淳一の三人はサークルを開いていた。表向き、活動写真同好会、つまり映画同好会である。しかし、実際はオカマ部である。 「オカマ部?」 「ああ、まあ、悪ふざけなんだけど」 「兄貴、長い間一緒に暮らしていたけど、そんなそぶり一度も見せたことないよね?」 「当たり前じゃないか。そんなことやったらじいちゃんに殺されるだろ」 「うん、まあ」 「それでな、映画同好会だと騙された内山が入って来たんだ」
いや、もう、これは自分だけのせいではない。そう割り切って、この月曜日を乗り越えたことを感謝しようと思う。 「へぇ、内山が入って来たのか」 と、優介。 「やっぱ知ってんの?」 岡崎家の夕食は午後七時と決まっている。遅くなる者は自分で用意して食事しなければならない。それは祖父岡崎甲之助の家訓だが、良介の母、乙女はちゃんと作って温めるだけにしているので作るという行為は必要ない。 その日、仕事で食事時間に遅れた優介は料理を温めて、自室で食べていた。そこ良介が入って来て内山の話をした。 「ああ、同じサークルの後輩だよ。小学生の時はさすがに覚えてないけど。二重人格はまだ治ってないのか」 「治るもんなの?」 「だけどな、俺たちにも責任があるんだよな」 優介は、そうつぶやいた。
いや、自分の休日の過ごし方に少し疑問を感じただけなんだけど、MADが面白すぎて一日の大半をそれで過ごしたなんてバカにもほどがあるよー。
五稜郭祭で、土方歳三コンテストでした。
久しぶりにやったら、特になんともなかった。(それでも実年齢より上)酷い開きはなかったです。 「本当の担任、内山隆宏です」 と、札を付けたまま内山は言った。 「宏隆は私の別の人格でいろいろふざけたことを言うが、基本的にはあまり私と変わらない。授業も出来ないわけじゃない。なるべく私が出て来るようにするから、よろしく」 生徒たちの不安がマックスなった。 この先生、二十%の方だ! 「えーと、岡崎君だっけ? この札、もらっていい?」 「あーそれ、効果は三十分だから無駄ですよ」 「ああ、そう。じゃあ返しておく」 その後、簡単な自己紹介を行い、ホームルームは終わる。内山は札をつけたまま、出て行った。
今、えぬえちけーにて、やけに洋食に詳しいばあちゃんが料理を紹介する番組がやってました。 すなわち、中等部、高等部には変人、奇人、変態が固まっているのだ。だから、生徒は心配している。現にこのクラスには、田学一、二を争う変人、岡崎良介がいるのだ。 そんな生徒の不安をよそに良介は居眠りをしていた。家が古武術の道場で、将来的に継ぐ者である良介は朝稽古のため、この時間は居眠りの時間だった。ホームルームで起きていることは奇跡に近い。 「岡崎君、もういい加減起きようね」 ああ、ダメだ。この先生、ダメだ。生徒の一部は思った。 「......」 良介はぼんやりと起きた。 「あ......アレ? 内山先生? どうしてここに?」 「そりゃ、このクラスの代理担任になかったからさ」 「それは、内山隆宏先生でしょ」 良介がごそごそと机の中をひっかき回す。そこからよれよれの薄汚い札が出て来た。何か書かれていて黄ばんでシミのようなものが点々としている札。それを教師に貼付けた。それも額に。その昔、キョンシーとかというやつに貼っていたアレみたいなカンジに。 「なんか、貴乃ちゃんに聞いたけど、内山先生、二重人格なんだってさ」 生徒たちが呆然とする。 「へぇ、あとで詳しく教えてね」 「さすが、岡崎君ね」 「ねえ、良介。じゃあ内山先生ずっとその札つけっぱなしなの?」 「いや、今まだホームルームだからさ、皆知ってた方がいいんじゃないかって」
一種の不摂生(多分栄養過多)のせいか、あごに吹き出物が......。 多分、八十%は大丈夫だろう。 なぜ、八十%なのか。それは、生徒の八十%は普通の生徒だからである。この学院に通い慣れた八十%の生徒は滅多なことでは驚かない。 逆に、二十%の方を見ると、これはこれで大変である。生徒の方が。 とにかく、田学の二十%は、変人、奇人、変態である。この教師が二十%の方でないことを生徒は祈った。 「さて、他に聞きたいことは?」 「先生、教科はなんですか?」 「ああ、算数だ」 「......」 「......」 「先生、それ少等部です」 生徒たちに不安がよぎる。 「ああ、すまんすまん。そうだったな。数学だった」 「念のため、田学に入ったのはいつですか?」 「ああ、少等部だよ」 生徒たちがどよめく。ならば、かなり田学慣れしているだろう、と。 「中学から親の転勤で別の学校行ったけど」 生徒たちはまた不安になった。 「それでも大学はこっちに戻ってきたんだ」 つまり、少等部と大学部でしか田学を経験していない。ますます不安になる生徒たちだった。
はい、田中学院が始まりまーす! 高等部、二年三組。朝のホームルームが始まろうとしていた。副担任の安藤先生が教壇に上がる。 いつもは担任の一之瀬先生が上がるのだが。もちろん止む得ない理由で休むことはあったのだが。 「えー、一之瀬先生は、入院なさったので今日は代行の先生を紹介します」 と、安藤先生。 「一之瀬先生は、急性の神経性胃炎から慢性の神経性胃炎になりましたので入院しました」 「やっぱり」生徒たちは思った。安藤先生は、わざとそれを誇張しているのはありありと分かる。 「そういうわけで、内山先生に来ていただいた」 「内山宏隆です。皆さん、よろしく」 若い先生だった。生徒たちは思った。果たして何日持つだろうと。 この学院の生徒たちは決して先生を困らせようという意思はない。しかし、自分の行動に貪欲な生徒が何人もいる。その生徒たちは変人、奇人と呼ばれた。田中学院、通称田学は変人の巣とも呼ばれた。 「それでは、私はこれで。内山先生、よろしくお願いします」 安藤先生は出て行く。生徒は思う。安藤先生も多分、胃炎を患っている。その内、一之瀬先生と同じ道をたどるだろう、と。 「さて、皆。HRの時間だが、今は質問タイムとしよう。先生に聞きたいことは?」 「はい」 一人の生徒が手を挙げた。 「はい、えーと君は......倉本さんだね?」 「はい。先生、出身校はどこですか?」 「ココだよ」 ここ。田学だった。それなら、八十%は大丈夫だろう。 田中学院、それはちょっと異常な私立学校のお話である。
またまた無駄に文章を書くため、ちょっとばかり手を抜きます。 もう、何度も書いたキャラ説 岡崎良介:高等部ニ年。オカルト研究部部長。 岡崎秀介:大学部二年。暗い過去を持つ、本人も望まない魔性を持つ男。 岡崎優介:社会人。岡崎家の長男。 中野春季:大学部二年。それまでプレイボーイ(?)が一転して男色の道に向かう。秀介とは(友人としては)いい仲。 中野夏季:高等部ニ年。新聞部部員。双子の姉妹。たまに秋季と入れ替わるらしい。 中野秋季:高等部ニ年。新聞部部員。双子の姉妹。どちらが姉とかは決めてないらしい。 中野冬季:中等部ニ年。スポーツ万能の中野家の末子。晴仁とは仲がいい。 田中玲子:大学部ニ年。理事長の娘。惚れやすい。今までの経歴は、中野春季→岡崎優介→岡崎秀介→岡崎良介(?)となっている。 倉本綾名:高等部ニ年。剣道部主将。実は剣道よりも合気道などのほうが得意。 山川京一郎:高等部ニ年。文芸部部長。ミステリー好き。 鈴木千太朗:高等部ニ年。いわゆる不良少年だが、田学の色濃いキャラクター陣により、問題視されない。 斉藤直行:高等部ニ年。小柄ながら、非常に漢な性格。 柘植洋:高等部一年。父親が探偵というだけで文芸部員にされてしまった少年。 東可奈:中等部ニ年。「あずま」でなく、「ひがし」。オカルト研究部部員。学院の魔女。 高山貴乃:中等部ニ年。神社の娘。手伝いで巫女にもなる。 野田晴仁:中等部ニ年。学院のほとんどを網羅する頭脳を持つ。貴乃の式神にストーカーされる。 上田明:高等部の保健医。オカルト研究部の顧問。岡崎優介の同期の友人。 黒岩淳一:高等部の体育教師。お化け苦手。岡崎優介の同期の友人。 まだいるような気がするけど、とりあえず。
★猫バトン★ 「にょわー!」 アニムが奇声を上げたにゃ。ちなみに彼は『高原エルフ族、見た目は子供で実は六十歳のジジイで、ちょいがめつい』奴にゃ。 「どうしたにゃ? ......にゃんだコレ?」 バルクもまた変にゃ語尾が付いたにゃ。ちなみに彼はバルク。『夢見る中年オヤジ』にゃ。 「誰が夢見る中年オヤジにゃ! 自分のキャラにウソ設定付けんじゃねーにょ!」 「だいたい、にゃんでお主(おにゅし)まで猫語尾にゃんだ!」 それはにゃ、猫バトンののろ......。 「またそれか! いい加減にしろにゃ!」 「だいたい、俺みたいにゃごついにょに、「にゃ」とか「にょ」とか言わせて楽しいのかにょ?」 「バルク、きもいにゃ」 仕方がないにゃ、受けていたものは消化しにゃければにゃらにゃいにゃ。百歩譲って、猫病とするにゃ、感染力絶大、でも語尾に「にゃ」「にゅ」「にょ」が付くだけ、一日で身体から抜ける(にゅける)から特にワクチンとかにゃい。予防は無理。 「だから、にゃんでそんにゃ無駄な設定を作るのにゃ」 ちにゃみに、女の子キャラには特典で、猫耳をつけるにゃ。 「無駄にゃ萌えを提供すんじゃねーにょ」 ほらほら、ルイ(ちにゃみに、悪魔っ娘にゃ)がこうにゃるにゃ。 「見て見て、バルク、かわいいにゃー」 「わっ、ルイ、お前、その猫耳!」 「似合うにょう、無駄に」 「猫病にかかったから、付けてみたにゃ」 「本当に、オプションかにゃ!」 うん、女の子はやっぱりこうでにゃきゃ。 「結局お主が一番楽しんでるにゃ!」
今週は学生になったつもりで書いてみた。
北に旅立ちました。(笑) 浅野美也子の日記 ゴールデンウィークも終わって、私は久々にゆっくりすることにした。 連休前の忙しさは半端じゃなかった。学院新聞の編集をしなければならないし、イベント新刊出さなきゃならないしで、本当に大変だった。 「部長、次の原稿ですが......」 「まだテーマ出てないですよね」 新聞部部員、中野双子だ。私の右手左手としてよく働いてくれる。 「作る気ない」 本当になかった。 「あらあら、部長、エネルギー切れですか?」 「さすがの部長も、イベント疲れが出てますね」 反論する気もなかった。 「じゃあ、今日は部長を元気つける会でもしましょ」 「そうしましょ、そうしましょ。じゃあ、まず部長何か欲しいものは?」 「買いのがした大手さんの新刊」 「却下」 「そーゆーのわかんないから、私たち」 それでも、この双子は私の気持ちを分かってくれる。 「しゃーない、じゃあ、美味しいもの食べにいきましょ」 「確か、のみやのソフトクリーム半額だったよ」 「じゃ、行きましょうか」 その後、中野兄と、岡崎先輩と、学院の魔女が一緒にソフトクリームを食べているところ見て、異様に創作意欲が湧いたことは言うまでもない。
今日も今日とて公園では花見続行中。夜桜もキレイだなぁーと思いつつ通り過ぎる。 田中玲子の日記 連休気分も抜けて、ようやく日常に戻った。だけど、私の恋はいまだ春が来ない。相手は秀介だから仕方がないというわけ? 秀介は昔なんかいろいろあったって言うけど、それを癒せる女になりたいのに......私じゃ無理だって言うの? しかも、 「秀介ー!」 秀介に近づこうとすると、 ドスッ! 「あ、すんませーん!」 足下にテニスラケットが飛んで来たりする。ああ、「秀介を愛でる会」とかなんとかってやつね。我が学校ながら変態ばかりだわ。 秀介はこんなように、本人の意思とは無関係に「変態に好かれる」という体質を持っている。困ったもんだわ。 その「秀介を愛でる会」のなんとかって奴よりも強力なのが......。 「おい、秀介! 帰ろうぜ!」 「先輩、あの、一緒に帰りませんか?」 中野春季と東可奈だ。 「ちょっと、中野先輩。邪魔しないでください?」 「何? 可奈ちゃん? 別に俺は邪魔してねーよ。そだ、帰りになんか食って行こうぜ」 「のみやのソフトクリームですね」 「ちょっ、ここはトンデン軒のチャーシューメンだろ? それに可奈ちゃんはまだ中等部だろ」 「関係ありません。私の予想ではのみやのソフトは今日半額です」 「......じゃ、ソフトにするか」 「ちょっ、秀介、おま、そりゃないだろ?」 春季は男色、可奈ちゃんは魔女。あんたらの方があり得ないわ。 「ちょっと、秀介......!」 ガスッ! 「すんませーん、ボールとってください」 取れる訳ないでしょ! 私の意識が薄れて行く......。 「あの、大丈夫ですか? 玲子先輩」 どこかで聞いたことある声だった。 「ここ、何処!」 目が覚めた。後頭部がまだずきずきする。 「上田先生は脳しんとうとか言ってたけど、大丈夫みたいですね」 岡崎良介だった。学院きっての変態。秀介の弟だけど。 「一人で帰れますか?」 「え、ええ」 立ち上がろうとしてふらついた。結構ダメージが強かったらしい。ふらつくその手を良介が支えた。 「もし良かったら、背負っていきますよ」 「え、ええ?」 私が返事する間なく、良介が軽々と私を背負った。 私は心に決めた。もう、追いかけるのはよそう。そして、私を愛してくれそうな人を......。 年下はあまり考えたことはなかったけど。
いや、あのですね、今日管理栄養士の合格発表だったんですよ。若い栄養士の子がですね、合格したようです。
この間の土産に旅情報誌買ったら、もう「動物園行ってくっから」で、今週行くことを心に決めたそうです。降谷さーん! パス取られたよ!(笑) 高山貴乃の日記 オカルト部、それはそれは楽な部である。運動部のような上下関係やキツい練習はないし、いいわけをつけて休むことも出来る。何しろ、三人しかいないし。 それでも連休明けは集まった。 「部長、今日の予定は?」 「今日は部室の掃除だよ」 確かに、連休中誰も来なかった教室(二分の一)は少々ほこりが溜まっていた。それでも、異聞の一なのだ。すぐに終わった。 私はそこで部室を出た。 「ああちょっと待って、貴乃ちゃん、気をつけて」 「え? はい」 部長からそんな言葉を掛けられるのは珍しい。何かある。 「ねえ、可奈ちゃん。部長、どうしちゃったの?」 「大丈夫よ、いつもと同じ。だけど、本当に気をつけた方がいいわ。式神、使った方がいいわよ」 可奈ちゃんに言われたら、そうするしかないじゃない。 言われた通り式神を自分自身につけた。 疲れる一日だった。でも、そのお陰か何も起きなかった。 岡崎良介の日記(一部) 連休明けの放課後、珍しいことに中等部の生徒が尋ねて来た。オカルト部は「オタクくさい」などとは呼ばれず、可奈ちゃんの存在感が強いためか「近づいてはならない」みたいな状態だから滅多に人が来ることがない。(俺の友人とかは除く)よく見れば、野田君だ。貴乃ちゃんや可奈ちゃんのクラスの男子生徒だ。 「あの、ちょっと相談が......」 「なんだい?」 「最近、誰かに見られていることが多々あって......」 貴乃ちゃんだ。 好きな子を追い回すタイプである。更に、追い回すのは式神。誰かに見られている感はあっても姿は見えないのだ。当然気味の悪い思いをする。多分、連休中、ずっと追いかけ回していたんだろう。式神で。 「ああ、もうそんな心配することないと思うよ、うん。一応、可奈ちゃんに伝えておくから」 「あの、東って、本当に魔女なんですか?」 「魔女は必ずしも悪いわけじゃないよ」 この学園の隅々まで網羅しているこの少年にも、可奈ちゃんの存在は謎らしい。
と、いうツッコミは無しで。ネタバレしちゃうでしょ?(←いや、毎週毎週ネタバレすれすれの一言書いている奴に言われたくない)跳のない週は寂しいということ。 山川京一郎の日記 今日は朝から眠い。 ゴールデンウィーク明けの月曜日。月曜日ってだけでかったりーのに連休明けっつーだけでかったりーのにダブルできやがった。 そんな中、元気な奴は岡崎と中野姉妹と倉本と......。変態ばかりだ。 朝礼を終えてLHRの時間に移る。連休明けということもあり、連絡事項が多々あるらしい。ああ、そういえば、学祭のことを話すんだっけ? 渡り廊下を歩いていると、女生徒の悲鳴が響いた。 「なんだなんだ!」 『ばつ』だった。 渡り廊下の突き当たりの掲示板に大きく黒ペンキで×と書かれていた。俺の頭に火カスとか月ミスとかはたまたコナンとかのテーマ曲が流れる。 「ミステリだ......」 憂鬱な気分も何処へやら、俺は早速捜査に入った。 「始まった、山川の悪い病気が」 「連休明けから良くやるわね」 「ほどほどにしとけよ、山川」 中野姉妹と倉本だった。お前らに言われたくねーんだよ。 「あー、ちょっと山川?」 「なんですか? 先生」 黒ペンキのメーカーが分かった頃、担任の先生が声をかけて来た。 「もう、犯人は捕まってんだ」 「はあ?」 「連休明けによくいるんだよ、五月病のノイローゼの生徒がね。だからもう、捜査しなくていいから。二時間目始まってるから」 教室に戻り、俺が聞いたのは今年の学祭でクラスの出し物の演劇『激闘! 動物園! 丸山VS朝日山』で象の着ぐるみを着なければならなくなった、ということだった。 その後、憂鬱な一日を過ごしたのは言うまでもない。
単行本など買ったので!
もう少し、サボらせてください。
見ちゃうんだよね、ドラマって。
ラストだ〜! 朝になり、動物たちは解散する。 マレモンは動物たちの真ん中に立って言った。 「本当はこれだけを伝えれば良かっただけなんだ。それでも私はチャーミグのために何かしたかった。皆が集まってくれて本当に良かった。これから言うことはチャーミグの伝言だ。 『無理やり言葉を教え込んで悪かった。このことにより、多種の動物が話せるようになれば世の中は平安だろうと思った。だが、人も動物も言葉を持ってしても味方には慣れないときがある。特にレノーアと一緒にいるときは鶏肉を食べんようにしていたが、儂は鶏肉が好きだった。人も動物も糧を得て生きている。それが別の命でもある。だから儂は言葉を教えるのを諦めた。しかし、一度教えると楽しくなりこの過ちは続けられた。 動物たちよ、いつでも言葉を捨てても構わない。言葉を持って人と共存するのも構わない。自由に生きてくれ』だそうだ」 動物たちはそれぞれ帰って行った。 ほとんどの動物たちはそれまで通り過ごすそうだ。その中で言葉は必要ないといい、忘れると言った動物が何匹かいた。 「マレモンはどうするの」 と、クレンは聞いた。 「その前に、クレンはいつから自分についているのがチャーミグだって分かった?」 「最初からよ。分からなかったら私の仕事は成り立たないもの」 「そうか......」 「で、マレモンはどうする?」 「旅を続けたい。今度はクレンと一緒に旅をする」 「旅をして、どうするの?」 「美味しい物がどういうものか知りたい。いろんな街に行きたい。海を渡ってみたい。知らない動物に会ってみたい。でも、一番はクレンと一緒にいたい」 「......マレモン、あなたって、いい男ね」 彼女は困ったように笑った。虎は彼女の足に頭をこすりつける。 「じゃあ、行こうか。マレモン」 彼女と虎は歩き始めた。 終わり
休み明けほど仕事したくねー日はございません。 夜が明けきらない内に彼女は起きた。 「マレモン、あなた、起きていたの?」 「皆寝てしまっているからな、一応見張りを」 「そう」 彼女は立ち上がって、辺りを見回した。 「皆、本当にありがとう」 「......クレンじゃない」 「ああ、儂を慕ってここまで来てくれたことに感謝する」 「チャーミグ」 「ありがとう。最後の弟子、マレモン」 「師匠、どうしてこんなことを?」 「そりゃ、儂は人だからな。お前たちに言葉を教えて儂を恨んではないか、と思ってな。人という生き物はそういうことが気になるんだ。人よりもお前たちと長くいたのだ、お前たちに送られなければ逝くことも出来なかったのだ。だから、ようやく逝ける。この娘さんは身体を貸してくれた ただけだ。理由も聞かずにな。それが娘さんの仕事でもあるんだと言った」 「さようなら、師匠。最期に会えて嬉しかった」 彼女の身体が地面に伏せる。虎は空を見た。空が徐々に明るくなる。夜明けだった。
草うららか
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