気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
ああ、もう、自分にお疲れさまでした。
ただいま降谷さん宅です。ありえねーほど寛いでます。
なんでエアコン調節下手なんだろう。
ちょっくら出かけてきますので、話はお休み。
今の仕事はまだ勝手がわかりません。 彼女が寝ているうちに動物たちは集まった。猪が森の主に頼み、動物たちを集めチャーミグの住んでいた森に移した。 「お早う」 「お早うクレン」 庭出た彼女、そこには十二の動物たちが円を作って座っていた。彼女が起きて来た事で、ドラゴン(人の王の姿をしている)が咳払いを 「コンクが亡くなっている事は実に惜しいが代理の息子ビキが来ている。皆集まった、それではチャーミグを偲ぼうではないか」 どこからか仕入れられた酒が皆に配られた。食べ物は果物類だけだった。酒と果物の香りが甘く漂う。 動物たちはチャーミグとの生活を語った。チャーミグは決して彼らを人として扱わなかった。それは動物たちにとって誇らしいことだったようだ。語りは暗くなるまで行われ、円の中央にたき火をすることになる。それからも語りは続けられた。いい加減飽きた猿のビキはひとりうたた寝していた。その後、動物たちはまばらに眠り始める。 「よかったね、マレモン」 「ああ、よかった」 クレンはそう言って地面に横になった。チャーミグは寂しかったのじゃないかと思ったが、それもすぐに睡魔でかき消された。
もう週の中になってました。 「皆が来るまで中で待っていよう」 と、ドラゴン。 「みんなが来るまでどれくらいかかるのかしら?」 「もう着いている者がいる」 と、羊。ドアを開けると、何かが飛び出して来た。 「来た来た、やっと来た!」 キュキュと名乗った鼠だった。 「待ってた!」 と、ビキと名乗る猿。 「やっと来た」 と、ザブと名乗る犬。 「他の者もじきに来るだろう」 と、ドラゴンは言った。 「でも、かなり遠いところにいる動物もいたでしょ?」 「アタークは森の主の使いだ。その辺うまくやってくれるだろう」 と言う。 「さ、お嬢さんはお疲れだろう。後は私たちに任せて、お嬢さんはお休みなさい」 「奥にチャーミグが使っていた寝具がある。それを使うといい」 彼女は思わず虎を見る。 「クレン、大丈夫だ」 「じゃあ、お部屋だけ借りるわね」 彼女は他の動物たちが来るのを待っていようと思ったが、眠かったのでチャーミグの部屋に入った。動物たちには動物たちだけの積もる話があるのだろうとも思った。 それが、ちょっと寂しかった。
ここ数日で、とうとうオチを思いついてしまった。 ドラゴン、フラワキンは合図を送りながら空を駆ける。その背に彼女と虎と羊を乗せている。 「すごい、飛んでる」 彼女は下を眺めた。今まで長い間かけて歩いた道が小さく短く見える。何か複雑な思いをしたが一瞬で消えた。空を飛んでいると思うと小さく思えた。 「どんなところ?」 「何が?」 「チャーミグが住んでいたところって」 「森の中だ」 「そう、チャーミグは私たちが見つからないようなところで言葉を教えた」 「もうじき着く」 森の中にぽつんと空き地がある。そこに小さな小屋があった。そこに降り立つ。 「ここが......」 夜の森、夜の住民たち以外の声がするだけの静かな森、長い間誰も住んでない小屋。怖いくらいだった。
よく、「○○(雑誌名)に殺される!」と叫ぶ皆様を拝見(できるところにいく)しますが、自分、今週殺されました。 「クレン、一体......」 人にして、神の力を借りられるのはごくわずか。更に彼女のような恐ろしい神の力を借りられるのもごく稀なもの。更に複数となるとそれはいないに等しい。 「マレモン、内緒ね」 彼女の寂しそうな表情に虎はこれ以上追求しなかった。 「もうそろそろ来る頃だ」 羊が外に出た。すると家が消えた。それも幻術だった。 「ほら来た」 羊につられて空を見ると、金色の筋が見えたそれがだんだん近づいて来る。 「人の王!」 「フラワキンに連絡を取った。これで移動は楽だ」 ドラゴン、フラワキンが地上に降りた。 「久しぶり、お嬢さん」 「今晩は」 「そして、アリエよ。お前もずいぶん横着だな」 「手間を省かしただけだ。さ、懐かしきチャーミグの元へ行こう」
何をおこがましい!
なんか激しいギャップっていうのがすごい笑えてしまいます。 「わかりました。さあ、アリエ」 「めえ」 羊は占いを始めた。 「なになに? 『すべてと共に......』」 「すべてと共に?」 「......お嬢さんの勝ちだね」 彼女は更ににっこりと笑った。 「まさか、お嬢さんにこんな芸当出来るとは思わなかった」 「成功するとは思わなかったわ」 「後で私の家に来てください」 「ええ、その時にお礼をするわ」 なおも占いを続ける。彼女たちは買い出しのため、店に向かう。その時、すれ違ったのが昨日の中年の女性だった。同じくらいの年の男性と共に。 買い物の後、ふたりは羊の家に向かった。 「さあ、今夜出発する」 「夜に?」 もう夜になるというのに羊は言う。 「心配ない、もう呼んでいる」 夜になるまで彼女は宿の支払いをして、羊の家で待った。 「ねえ、クレン」 と、虎が暇そうに尋ねた。 「何?」 「さっき何をしたんだ?」 「さっき? ああ、占いの時? 悪戯の神様を呼んだのよ」
雨が降りそうなせいか、生あたたかかったです。 「退屈しない、ねえ」 彼女はつぶやいた。 「私も退屈しなかったわ。マレモンと一緒にいて」 「私もだ。クレンと旅が出来て人というものが少し分かった気がする。チャーミグはつくづく世捨て人だったのだ、と思う」 「確かにチャーミグは世捨て人だ。旅は退屈ではないだろう。しかし、この村を出ずとも私は退屈してない」 「そう。じゃあいいわ。ひとり欠席ね」 「仕方がない」 彼女は村へ戻ろうとする。虎もその後を付いて行く。羊は何も言わず言えの中に入って行った。 次の日、彼女と虎はまた羊が占いをしている。 「占ってくれるかしら?」 と、彼女は男に言った。 「ええ、並んでいてください」 羊の幻術によって生み出されている男は、実に人らしく振る舞っていた。羊がイメージする人がそこにいるように動く。物を受け取ったり出来るのも、羊の術の賜物である。 順番が巡り、彼女の番となった。 「何を占って欲しい?」 「私の行く先を」 彼女はにっこりと笑った。
一時的に終了。 村のはずれの一軒家の前で男は立ち止まった。すると、みるみる姿が薄れて消えてしまった。 「幻術?」 「その通り」 羊が言った。 「久しいな、マレモン」 「会った事はないが......」 「何を言う、マレモン。お前がまだ猫のような子供の時に会った」 「覚えてない」 「チャーミグが亡くなったそうだな」 「ああ、それを伝えに来た」 「語らずともわかる。私は行かない」 羊はきっぱりと言った。 「なんだと?」 「どうして?」 「面倒だ」 羊は更にきっぱりと言った。 「はっきり言えば私はこの村に満足している。子供騙しのような占いで食料にありつける。噂でこの村にやって来る人もいる。毎日に飽きがない」
お仕事です。 羊の占い師はすぐに見つかった。何しろ羊が一緒なので、目立つ。そして、幾人かの客がその周りを囲っているからだ。 「次の方、どうぞ」 付き人の男は言う。中年の女性が羊の前に立った。 「夫の帰りを待ち続けて三年になります。いっそ、探した方が良いのでしょうか?」 「分かりました。羊の言葉を聞いてみましょう。さ、アリエ」 「めえ」 男は箱を差し出した。少し降って羊の口元に寄せる。羊は口を箱の中につっこみ、その中の紙を一枚取り出す。 「ふむ、『今まで通り』だそうだ。今まで通り待ちなさい」 「ありがとうございます」 依頼人は、果物を一つ置いて帰って行った。 「さて、次の方は......」 男が言いかけて羊は男の袖を引いた。 「めえ」 「そうかそうか。今日はお開きだそうだ。明日また」 男は立ち上がると、羊を連れて帰って行った。 「そうそう、そこのお嬢さんと虎さん、話があるそうです。付いて来てください」
なんて言ってこの日記休みたくないんだけど。
なんか、前にメモったものがあるんです。最近の事なんですが、 その村は、村にしては大きい村だった。だが、街ほどにぎやかではなかった。 「後、羊ね。羊の名前分かる?」 「アリエだ。変わった奴でな」 「今まで会って来ているけど、皆変わってるわ」 「ああ、あいつはまた別な変わり方をしている」 村で唯一一件だけの宿を取る。 「あんたも噂を聞きつけて来たのかい?」 と、宿の主人に聞かれた。 「噂?」 「知らないで来たのか。じゃあ、占ってもらうといい。ここには有名な羊がいるんだ」 「ご都合主義も、いいところね」 「何か言ったか?」 「いえ、何も。で、その羊、しゃべるんですね」 「いや、占いをするだけだ」 彼女は少し表情を崩す。 「どうやって?」 「付き添った奴が、箱にいろんな言葉が書かれている札を入れて、それを羊に引かせるんだ。それが、また的中するんだよ」 「ふーん」 宿に荷物を置き、村の様子を見て回る。いつものように美味しい物がないか、ということと、例の羊に会いに行く事にした。 「まさに、アリエだ」 と、その道中に虎が言った。 「でも、話さないって」 「アリエは占いが得意だ」 「......そう」 「それ以上に変わり者だがな」 「そうなんだ」 少し、アリエと呼ばれる羊に興味を持った。是非、占ってもらいたいと彼女は思う。
名前の由来を公開しようかと。
下ネタが好きなんだとか? 「見つかるかな?」 「いずれ、見つかるといいわね」 「ここにいても見つかりそうにもないな」 「でも、あなたはこの山の神様でしょ? あなたがここから離れたら山が死んでしまう」 「そんなやわな山じゃないさ。俺がいたんだぜ?」 山の神は笑った。そして、消えた。庵も消えた。商業隊と彼女と虎、それだけだった。 村に一泊して商業隊とともに彼女と虎は山を越えた。 「それにしても、あんたの指示がなかったらあたしたち皆山の神に殺されていたかもね」 キイ・レイが言う。 「ありがとう。あんたのお陰で助かったよ」 娘は改めて礼を言った。 「私は何もしてないわ」 「いや、あんたは本当、神との交渉人だよ」 「そうね、私の娘も無事に返してもらって助かりました」 「私は、本当に当たり前の事をしただけなの」 娘は何かを悟った。それでも、もう一度彼女に礼を言った。 「あんたにとって当たり前でも、あたしたちには出来ない事なんだから。あんたのお陰で皆助かったんだ、ありがとう」 しばらく商業隊の馬車に乗せてもらい、村に着いたところでおろしてもらった。 「お代はいらねェよ。姉ちゃんたちのお陰で助かったからな」 「あの、乗せていただいてありがとうございました」 「いやいや、礼を言うのは俺たちだよ」 商業隊と別れる。 彼女と虎は、村に入って行った。
つつじ(エゾツツジだっけか?)も咲いて、春が来た(誰か、お前の頭に春が来てるんだよと突っ込んでください)と浮かれてますが、微妙に寒いかもしれない。八度? そんなもんなの? 彼女は更に続ける。 「小さな子供には親が必要なのよ。その子が泣いたらなだめる事が出来るかしら?」 「私は知ってる。子供の相手は大変なんだ」 山の神が選んだ娘がぐずり始めた。木の実などで機嫌を取っていたが、そろそろ親が恋しくなったようだった。 「おかあさーん!」 娘は駆け出して山の神からは離れ母親の足に絡み付いた。山の神は娘を母親から引きはがしたが、娘は泣き暴れた。腕が顔に当たり、足が腹を蹴った。何より、叫び声が酷かった。とうとう神は子供を放した。 「ひどい声だ」 「どうして一番小さい子を嫁に?」 「一番長くいられると思ったんだ」 彼女は、山の神と言えども、人と変わらず見た目通りなのかもしれないと思った。 「やっぱり、人を嫁にするのは諦めた方がいいのか?」 「時間なんか、関係ないわ。あなたが一緒にいたいと思った人、そして、あなたと一緒にいたい人と過ごせばいいことよ」
もうね、どうでもいいんだよ。 「チャーミグの弟子ならば、邪見に出来ないではないか」 神は腕を振り上げた。庵の扉が開き、商業隊が飛び出した。馬と馬車が周りを埋める。 「そ、外だ!」 「ようやく出れたのか」 馬車から商人たちが顔を出す。 「ああ、戻って来れた」 キイ・レイだった。 「あ、マレモン」 彼女も顔をのぞかせる。 「ありがとう。山の神と交渉してくれたのね」 「チャーミグの名前を出したんだ」 「おじいさんの?」 「クレン、無事か?」 「ええ」 「クレンのお陰だ。皆、下手な事しなかった」 彼女は、山の神は人の娘の嫁が欲しいだけなので落ち着くように言った。山の神は娘の中でも一番若い娘を選んだ。娘の母親は心配し、嫌がったがそれでも彼女は逆らわないように言い聞かせた。温厚でも神とつくものは、恐ろしいものである、と。 「山の神様、人の娘。それも一番若い娘はどう思いますか?」 馬車から降りた彼女は神に尋ねる。 「かわいいよ」 「だけど、すぐに成長してしまいます。人はあなた方神とは時間が違いますもの」 「それは承知だ」 「でも、この子はまだ幼すぎます」
突然わいたフレーズ。 虎は山の神の庵を目の前にしている。 「虎か。珍しいな」 神は庵の中から言った。 「山の神は人を嫁にとるのか?」 「ああ、そうさ」 庵の扉が開いた。中からは髪が伸びたぼさぼさ頭の少年が出て来た。 「人の娘はかわいいからな。ほら、この娘なんかが俺のお気に入りなんだけど」 庵から小さな少女が顔をのぞかせた。 「あ、虎......」 見ると、商業隊が連れていた子供たちの一人だった。山の神が木の実を渡すと娘はそれを喜んで口に入れた。 「他の人たちはどうなったんだ?」 「庵に閉じ込めているよ」 悪びれた様子もなく神は言った。 「出来れば返してもらいたい」 「出せばこの娘を返せとうるさいだろ? やだね」 「それでは困る。中には私の旅の仲間がいるのだ」 「へえ、人しかいなかったけど」 「私の仲間は人だ」 「面白い虎だ。さきほどから気になっていたが、人の言葉を操っている。誰に教わった?」 「チャーミグだ」 沈黙。 山の神は笑いもしなければ怒りもしない。ただ、黙っていた。 「チャーミグは元気か?」 「亡くなった」 「そうか、人として過ごしたのか。それにしても、物好きは変わらなかったか」 山の神が笑い出した。
って、一昨日の夜のことなんですが。
とりあえず、投票権は有効に活用しました。
今日は忠犬ハチ公の日なんだそうです。
午前中はお天気も良く、タイヤ交換しました。 「山の神は人の娘を嫁にするんだ。商業隊ごともっていっちまったんだよ」 「どこの昔話なんだ」 「山の神に昔も今もない。山の神が嫁を探している以上、ここを通った人の娘、それもかわいい子は連れて行かれちまうんだ」 「やれやれ、その山の神とやらのところ、分かるか?」 「場所までなら」 「教えてくれ」 「山の神に逆らうのか?」 「行って話をするだけだ」 「僕は行かない」 「ついてこなくていい。どこへ行けばいいのか、教えてくれ」 兎は山の神の居場所を教えた。そして、虎を見送った。虎は山の神がいるという、霧がかる山の頂上を目指した。 頂上付近には村がある。まだ薄く霧が残るその村に虎は立ち寄った。 「これは、旅の虎さんかい?」 虎に特に驚きもせず、村人はそう挨拶をした。 「山の神に会いたいのだが......どこに行けば会える?」 「ああ、それならもう少し登ったところに神の家があるよ」 「今朝からご機嫌でね。きっとすぐにでも相談に乗ってくれるよ」 「相談?」 「ああ、山の神さまは気のいい神様でね」 「わしらはそれで助けられて暮らしているんだ」 虎はふとわかった気がした。 「わかった。行ってみる」 虎は村人の言う神の家に向かう。
続きが思いつかない次第です。 辺りは白。姿も声もない。 虎は戸惑っていた。ぐるぐると歩き回った。 「虎の匂いがする!」 誰かが言った。 「逃げなきゃ逃げなきゃ!」 聞き覚えがあった。あの兎だ。二度、虎の前に現れ二度逃げて行った兎。 「待て! 兎! 私はチャーミグの弟子マレモンだ!」 「虎......チャーミグ......マレモン?」 「そうだ。兎、お前の名前は確か、バックリーン、そう聞いている」 「そう、僕、バックリーン。チャーミグ爺の弟子なんだ」 「だから、逃げる必要ない。チャーミグが亡くなったんだ。それをお前に伝えたいだけだ。そして、皆で一緒に葬儀をするんだ」 「葬儀? そりゃいい!」 「ところで、バックリーン。お前は商業隊がどこに行ったのか、知ってるか?」 「ああ、知ってる知ってる。山の神だよ。山の神が嫁探しだ」 「嫁探し?」
なんだか思うように物が探せません。
新キャラのキイ・レイは、「キイ」も「レイ」名前です。ミドルネームだと思っても良いです。続けて「キイレイ」でも構いません。そんなのたまにあっても良いのでは、と。これもある物の名前をもじってます。 その夜、彼女は娘と一緒の馬車で眠った。すっかり意気投合して仲良くなった。他の女たちや、子供もそこで眠っていたが娘としばらくたわいのない話をしていた。 「へえ、お父さんの敵討ちに?」 「ええ、表向きはね」 「アンタ、若いくせにいろいろあるんだね。あたしたちゃ、これが生活だからね」 「楽しい?」 「まあ、楽しく思わなきゃ、やって行けないからね」 そんな話をして、真夜中には眠った。 虎は外の手頃な草むらで寝ていた。馬が怖がるからと馬の側に行かないようにしているので、少しは慣れたところを寝床にしていた。 翌朝、目を覚ました虎が見た物は辺り一面の霧だった。 虎は起きて鼻を動かした。 馬の事を気にせず、馬車のところへ行ってみる。 「いない!」 離れていたとはいえ、馬車などが動けば気づく。霧で見えないが、音は聞こえる。 「クレン! クレン!」 叫べど、返事はなかった。 キャラバンは、こつ然と姿を消した。彼女とともに。
気づけば、先月何も更新してませんでした。 「おんや、お嬢さんに虎。どうしたんだい?」 「実はお願いがありまして。私たち、この山を越えたいんだけど、日中まで頂上の村につくかどうか分からないのです。ここで野宿しようと思ったんですが、ちょうどあなた方が来たので馬車を寝床として借りたいのだけど」 「ああ、いいぜ。こんなかわいいお嬢さんなら歓迎だよ」 「よかった」 「ただし、借り賃はもらいます」 「しっかりしてるわね」 商人とはがめついものだ。 それでも、気のいい商人たちは彼女に食事を分けたり、楽しい話をしたりした。奥さんと思われる何人かの女性が彼女にアクセサリーを見せて売りつけようともした。子供たちは虎を見て、怖がったりそっとなぜたりしていた。 「ずいぶん大人しい虎だね」 彼女と同じような年の娘が言った。 「マレモンよ」 「あんたのペットかい?」 「いいえ、マレモンはペットじゃないわ。旅の仲間よ」 「ふーん、まあそういう捉え方もあるんだね。まあ、今日はあたしの馬車で寝るといいよ。遠慮はないさ、女子供ばかりだから」 「ありがと。あなた、名前は?」 「キイ・レイだ。あんたは?」 「クレン」 彼女はすっと手を差し出した。娘もすっとその手を握った。
あんまりいいもんじゃない。だって、大半の読んでる人には通じないから。でもね、分かる人だけは、とっても優越感なのでやります。 道を歩いていると、兎が茂みから飛び出した。 「あ」 「兎!」 「ひ、ひっ! 虎だ〜!」 兎はその脚力で逃げて行った。 「今、しゃべった!」 「ああ、また、逃げられた」 その兎こそ、以前虎が逃したチャーミグの弟子の兎だった。 兎が逃げて行った先に、山があった。この山の頂上付近に村があるという。ただ、今から登ると今日中に着くか着かないか、という具合で彼女はためらった。 「クレン、何か近づいている」 「え、何?」 「馬が歩く音だ」 耳をぴくぴく動かして虎は言う。しばらくするとそれは彼女の視界にも入った。 「商業隊だわ」 早い話、旅商人の団体、キャラバンである。彼らの馬車には住むに困らない最低限のものが積んである。言ってみれば、それが彼らの家でもある。 「交渉してみましょ。馬車で寝かせてもらえるかもしれない」 彼女は商業隊に近づいていった。
ドロボウの始まりです。
草うららか
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