気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
今年は慌ただしく終わりそうですが、最後の最後はゆったり出来そう。
ホテル。
明日、風邪でダウンした方が戻ってくるんですよ。それはいいとしても今日はまた一人ダウンしてしまった方がいるんですよ。もう、どうすんのよ、この年の瀬に。とういうか、年の瀬だからこそこんな事態になるんでしょうね、きっと。
今週のアニメ:いやね、もうこの方が出演なさるとは。ちくわの人じゃなかった、犬。(笑) いや、古いよなー。 「これで、犬と鳥に伝える事ができたね」 鳥と別れた後の道中で彼女は言った。 「後は、何がいるの?」 「ネズミと牛と兎とドラゴンと蛇と馬と羊と猿と猪だ」 「......なんか多彩にいるのね」 それに虎と犬と鳥。彼女はその動物の組み合わせに気づいた。 「エトじゃない?」 「エト?」 「なんかね、ずうっと遠くにある国の伝説の動物たちがその組み合わせなの。その十二の動物のことをエトって呼ぶのよ」 「ほう、そうか」 「でも、これで探しやすくなったわ」 日がだいぶ昇り辺りが明るくなる。 「ところで、チャーミグって人、かなりの女好きなんじゃない?」 「なんでわかる?」 話す動物に会うたびに何かと賛美されるから、と彼女は答えた。
ピザ帽子のあのロールを食いました。やっぱCMのようなふっくらな感はありませんが、でもでも、これがなんともいけます。うまいです。 「鳥、お前チャーミグから言葉を?」 「そうだ、虎、お前もか?」 「ああ。私はチャーミグの死を伝達している」 「そうか、あのじーさん、死んだのかよ」 鳥は羽をばたつかせて、虎の足下に降りた。 「あなた、お名前は?」 「おお、お嬢さん! なんてお美しい。失礼しました。わたくし、レノーアともうします」 「レノーアね」 「そうそう、お嬢さん、なんでそんな虎と旅を?」 「成り行き、かな?」 「どうだ、そんなことを言うのなら、お前も一緒に旅をしないか?」 虎は誘ったが、鳥は首を振った。 「行きたいが、マイハニーとただいま子育て中なんだ。こうしちゃいられない。飯とってこないとな」 「そうか」 「でもよ、お前さん、他の動物にもそれを伝えるんだろ」 「ああ、犬のザブには伝えた」 「じゃあ、みんなに伝達した頃にじーさんの家に行ってみるよ。なんかやるんだろ?」 鳥はそう言って羽ばたいて行った。 「皆、忙しいのか?」 虎はふと思う。自分は暇なのかもしれないと。 「私は暇なのだろうか?」 と、彼女に聞いた。彼女はちょっと笑って、 「あなたはみんなに伝えることで忙しいでしょ?」 言い、虎の背を撫でた。
は、大晦日くらいですね。
言わずと知れた「のだめ」の千秋先輩。昨日友人と話をしていてそんな話が出た。(友人はのだめのせいで本を落としそうになった) えーと、十一月末頃の日記をご覧ください。 田中学院 小等部六学年 六年生が行うクリスマスパーティーは二十五日終業式の後に行われる。まずは、豪華ランチでもてなす。これは毎年の事で学校側が用意してくれる。これは六年生も一緒になって食事をするのだが、今回は熊田けい子の指導により、六年生はパーティーが終わるまでお預けとなった。 「ふ、今はやりはこれよね」 女子はメイド、男子はボーイ。六年全員が支給人となった。だからジュースを注ぐのも、落としたフォークを拾うのも六年の仕事。衣装もばっちりそろえている。 「熊田ってさ、高等部の浅野美也子先輩と仲いいんだってよ」 「新聞部部長でオタクの?」 「そこ、ちゃっちゃっとなさい。焼き付け刃じゃやっぱダメね」 この日のため、けい子は全員に講習を受けさせたのだ。 次にビンゴゲーム。時間がなく決まらずにビンゴゲームとなってしまった。妥協してしまったと言っても言い。 「皆さんにカード行き渡りましたかー?」 司会を務めるのは我らがリーダー山川清太だった。着々と球を引いて行く。 「ちょっとここで、ブレイクタイム〜!」 と、そろそろ誰かがビンゴしそうな頃合いに中断。 「ここで世紀の占い師、ミスター山田に、占いをしてもらいまーす」 と、ミスター山田と呼ばれた生徒(六年、山田孝志・趣味占い)が現れた。 「ミスター山田、誰が一番にビンゴしそうですか?」 「うむ、次の次で、そこのピンクのワンピースを着た女子に当たりそうだ」 「そうですか。では行きます」 ミスター山田の占いの通り、次の番号では誰もビンゴしなかった。そして、その次の番号で、 「ビンゴ!」 「おめでとうございまーす!」 「占い通りだー!」 「今のはちょっとしたサービスです。皆様も、勉強の悩み、友達の悩みがあればどうぞ」 ミスター山田が去って行く。そして、ビンゴは続けられた。 「ビンゴで当たらなかった人には残念賞よ」 と言って配られたのは、キャンディーがニ、三個入った詰め合わせだった。 そんな感じでビンゴゲームはぐだぐだと進められた。聖劇なども進められていよいよサンタの登場である。 「サンタクロースを捕まえよう!」 「サンタクロースは何故われわれの目の前に現れない!」 「だから本当にいるのかいないのか、はっきりさせよう!」 という呼びかけで、サンタクロースを捕まえるという設定になった。 「サンタクロースは既にこの学校に隠れてます。皆さんでみつけてください!」 今までにない、ちょっと楽しげな展開に低学年の生徒が喜ぶ。 『はーい!』 と返事したとたん、ちりぢりになった。 しばらくして、「サンタみーっけ!」などと言う声、「へへん、捕まらないよーだ!」という声。 「東先輩のじいさんって」 「......」 結局サンタクロース(東剣ノ介・東可奈の祖父)は捕まらなかった。 「残念だったね、皆さん」 清太は本当に残念そうな声で言った。内心は「あのジジイ殺す」だった。が、そんな時、廊下が騒がしかった。 「メリーくりすまーす!」 会場にトナカイが入って来た。本物である。 「すまないの、皆には今夜プレゼントをやろう」 サンタこと、東剣ノ介がかっかっかっと笑う。それはそれは、サンタらしく。が、皆、トナカイに目が行っていた。 「ま、こんなもんじゃない?」 「それにしても、まさかトナカイが......」 「でもよ、予算オーバーだぜ」 もしかしたら、今年最後かもしれない六年生企画によるクリスマスパーティーだった。 ぐだぐだに終わる。
なんつーか、やっぱり地元のイベントは盛り上がりが少ないというか、なんというか......。
地元は、11月ごろ一回どかっと雪が降るんですが、12月の中にはなくなります。
昨日の続きですが、病院側はまだ苦肉の策を続けてます。明らかに、病院の方から来た病原菌だろうに、うちらから移した、みたいな形になってます。移されたのはこっちだー。 しばらくすると虎は戻って来た。口の周りを血で濡らしている。狩りは成功のようだ。 「おかえり、マレモン」 「クレンは大丈夫か?」 「うん、これを食べたから。とりあえず、お腹に入ればいいの」 「人は面倒だ」 「そうだね」 少しの間、彼女は眠った。虎は起きて火の番をする。虎は物音や気配に敏感ですぐに目覚める事ができるというので、彼女はそれに任せた。 日が昇るか昇らないうちに起き、彼女と虎はまた歩く。 「虎ー!」 朝もまだ薄暗い中、そう呼ぶ声が聞こえた。 「虎、ここだー! ここ」 「鳥か」 「そうだ、鳥だ」 「鳥? 話す動物?」 声の方を見ると、ちょうど日が昇りそれを照らした。色鮮やかな鳥が木に止まっていた。
本日休業させてください。
昨日今日と、なんか仕事が忙しくバタバタしてました。明日もきっとバタバタしていると思う。 彼女は精霊たちに礼を言った。これが、精霊を使う礼儀だった。精霊と契約する際、精霊の性格を見抜き、それを讃える(?)言葉で呼び出す。精霊が気に入れば力を貸してくれるし、気に入らなければ何もしない。または精霊の気分によってもだいぶ違って来る。 「クレン、ありがとう」 「なんで?」 「もし、クレンが気づかなければ、私はもう少しあの街にいただろう」 「あなただったら、あの街の人たちから逃げる事が出来るんじゃない?」 「そうでもない。私一匹と多数の人では、多数の人の方が圧倒だ」 「そうかしら?」 「そうなのだ。さあ、急ごう」 二人は歩き出す。 夜が来た。 何もない街道の真ん中で彼女と虎は取り残されたように一人と一匹だった。 「夜通し歩くのか?」 彼女の荷物には野宿をするための道具はない。いざという時の為の食料があるだけだった。 「そうね。でも、ここらへんで野宿というか、一休みしようか」 適当な木の下などを探し、そこに座った。どこかの街で買った食料の一つを取り出して食べる。それは粉っぽいビスケットであるが、栄養は豊富で一本食べると半日はもつ、らしい。水筒も取り出し、水を飲んで飲み込んだ。。 「私はちょっと狩りに行ってくる」 「いってらっしゃい」 少し、虎がうらやましかった。
なんか「集○社の雑誌のお祭り」にて上映された銀魂が、「あの訓」らしいんですが、他人様の日記な為、どの訓なのかわかりません。どの訓ですか? もしかして、あの訓ですか? DVDでますか!? 「マレモン、この街変だわ」 彼女はそっと耳打ちした。 「なんでそう思う?」 「だって、こんなもてなすのに他に話す動物は一匹もいないのよ。変じゃない」 「それも、確かだ」 虎もそう思う。確かに、自分たち動物は自由を一番に考える生き物だった。しかし一匹くらいこの街で贅沢に暮らす動物だっているはずだろう。 「明日には、この街を出ましょう」 「そうだな」 そんなわけで翌日、彼女と虎は街を出た。出るとき、街の人たちは引き止めたり、残念そうにしたりしていた。 街から出て、しばらくたった後、数十人の男たちが彼女と虎の前に立ちはだかった。 「さっきの街の人だな」 マレモンは鼻を動かす。 「なんの用かしら? 忘れ物をした覚えはないけれど?」 「俺たちはマレモン殿に用事があるんだ。女、怪我しないうちに去りな」 「マレモンに? そうか。やっぱりそうか。あの街には一匹も話す動物がいない。でも、訪れる動物は結構いる。何故かというと、あなた方街の人たちが、あがめては食べてしまうのね」 マレモン、一瞬びくっとする。 「そうだ。俺たちはあがめた動物を食べる事により、神秘的な力を手に入れるとされている」 「実際、百年前に話す動物を食べて、神秘的な力を手に入れた奴がいるんだ」 「それってどんな力なの?」 「確か、生まれてくる家畜の雄雌が分かる力だ」 マレモンはきょとんとしてから、彼女と一緒に大笑いした。 「笑うな! そう言う訳だ。女、離れろ! 怪我すんぜ!」 「冗談言わないで。マレモンを食べられてたまるもんですか! ね、マレモン。あなただって、食べられたくないでしょ!」 「全くだ。人とともしていても、人を襲わないという確証はない!」 「かわいい炎の精霊ちゃん! きらめく炎で我に力を!」 「お願いします、美しき精霊様、清き水で力を貸して!」 一人の男から放たれる炎を彼女は水のガードでマレモンとともに守る。水が蒸発してあたりが熱くなったが、やけどは免れた。 「地の精霊さん。私の願いを聞いてください。愚か者どもに地の裁きを!」 彼女が地面にぺたんと手を当てる。すると地割れが起きそこから根が伸びた。根が男たちの足に絡み付く。 「くそっ! おいっ! 風の精霊! なんとかしろ!」 男の一人が叫ぶ。カマイタチが起き、根を切り刻んで数人ほどが動けるようになった。 「ぐわあっ!」 マレモンが男の一人に飛びかかった。 「うわっ!」 前足で押し倒し、男の首元に噛み付こうとする。 「わ、止せ! 助けてくれ!」 「引け」 「わ、わかった」 「みんなだ」 マレモンがゆっくり男から離れる。 「炎の精霊さま、お願い。歯向かう人は燃やしちゃって」 「ちっ!」 男たちは去って行った。あたりが静かになる。 「ふう、ありがとうございました。精霊様。おかげで私はまたあなた方様と生けます」
はじめます。(続きですので、三日くらい前にもどってね) 「それもいいかもね。私も一緒に住むよ。あなたのお世話係をすれば一生食べるのに困らないかも」 「だが、いつになるかまではわからんぞ」 「うん。楽しみにしている」 彼女は虎の毛のふわふわした触感を楽しみ(実際固かったが)、虎は初めてベッドで眠った。翌朝、虎は調子を崩していた。 「このベッドという物はダメだ。柔らか過ぎる」 「マレモン、あなた、蚤かなにか飼ってない? かゆいんだけど」 彼女はあちこち体を掻いている。 「私は床に寝るのが性に合っているらしい」 街を出ると街はマレモンの歓迎会で彼女と虎は広場に招かれた。その道中、皆、マレモンを触っていく。話す動物は恐れず、敬うが、どちらかと言えば親近感を持って接している。 「マレモン殿、ゆうべは良くお休みになれましたか?」 町長がマレモンに挨拶した。 「いや、あのベッドというものはダメだ」 「......そうですか、残念です。お許しください」 「いや、謝る事ではない。一度経験しておきたかった」 「それはそれはありがたいお言葉です。それでは、マレモン殿、今日はごゆっくりお楽しみください」 それからしばらく、彼女と虎は街の人たち余興や伝統料理を楽しいんだ。 「あの、この街に話す動物は他にもいますか?」 「いーえ、いません」 「そうですか......」 何故だろうと、彼女は思う。 「この街に来た話す動物はどのくらいですか?」 「ああ、はい。今までに私が知っている間で、十匹前後ですかね」 「そうですか......。話す動物はあがめられるのですよね?」 「はい、そうですよ」 彼女はいよいよ考えた。
にも関わらず、あんまり寝なかったような......。今日ははよ寝よう。うん。 彼女は虎に向かって言った。 「忘れていたの、今日契約更新しなきゃならないの」 「ほう。精霊とか?」 「うん、まあ。炎の精霊と水の精霊なんだけどね」 「では、私は適当なところで休んでいるから行ってくるといい」 「うん、じゃあ後でね」 魔法を使うものは、契約更新などの義務がある。これを逃すと、その精霊との契約が永遠に出来ないこともあり、忘れずに行わなければならない。 「あん、すてきなすてきな炎の精霊さん?出て来てん」 誰もいない広い場所を探すのも一苦労だったが、なんとか探して彼女はそう叫んだ。 「なんだ? クレンか。そういや今日、更新だったね」 現れたのは三十センチほどの小さな精霊だった。そして子供である。 「そうなのよ、精霊さん。またきれいな炎をよろしくお願いしますう」 「しゃーないな、クレン。でも、やけどに気をつけろよ」 「やん、もう、精霊さんの炎にやけどしっぱなしよ」 「じゃ、クレン。ここに血を」 クレンは人差し指をナイフで切り、精霊の額に乗せた。 「更新完了。じゃあ、またねクレン」 「ええ、また会える日を楽しみにしてるわ、精霊さん」 「ああ、疲れた......」 精霊の機嫌をとるのも楽じゃない。 「水の精霊様、今後もよろしくお願いいたします」 「わかりました、クレン殿。頭をあげなさい」 水の精霊はやはり三十センチほどの女性だった。きれいな容姿をしている。 「では、クレン。ここにそなたの血を」 「はい」 同じように額に切った指を乗せる。 「精霊様、今後も澄んだ水をお待ちしています」 「ごきげんよう、クレン殿」 虎の元にもどったクレンはくたくたになって帰って来た。 「更新は済んだのか?」 「うん、疲れた」 「だろうな。奴らに合わせるのは大変だろう」 「でも、いつも力になってくれるから」 ロクに剣も振れずに旅を出来るのは彼らのおかげである。だから年に一度ならいいか、と彼女は思う。 「半年後には、風の精霊と地の精霊の更新があるんだけどね」
自分のせいだ、自分の!
何故って、ゲームが発売されたからに決まっているじゃないですか!(威張って言う事じゃない)
着た服を着ました。入った。(笑) それから彼女と虎は何ヶ月も旅をともに過ごした。彼女は虎の行動に慣れ、虎は彼女の行動に慣れて来た。 街に入ると彼女は宿を探し、虎はその宿の近くにある木の下を寝床にする。納屋を寝床にしようとしたら馬が怖がって出来なかった。どこへ言っても言葉を話す虎は珍しがられ、その前に恐れられた。 そして、初めて虎とともに宿に入れる街を訪れた。動物が話すことを神聖と考えている街で、マレモンは慎重に扱われた。彼女は虎とともにその街で一番高級な宿に入る事が出来て満足だった。(ちゃんと只かどうかは尋ねている) 「あなたってば、すてきね。この毛並みがいいわ」 虎にブラシをかけてやる。虎はくすぐったそうに身震いをした。 「毛並みの悪い虎は、体調が悪かったりすることがある。私はいつでも万全にしておきたい」 「なんで?」 「人も健康が一番だろう。それに人と慣れ合う分、私は他の虎に軽く見られるのだ」 「そう......」 「でも、今日ほど話せてうれしいと思った事は初めてだ」 「どうして?」 「クレンと一緒に過ごせるからだ」 「そう言えば、こうやって夜を過ごすのは初めてね」 「そうだ。私はこのベッドというもので眠ってみたかったんだ」 じいさんとの生活では、決してベッドで寝る事はなかった。雨だろうが嵐だろうが虎は外に出されていた。 「この街はいいぞ。将来はこの街に住もうか?」
アレです。 彼女と虎は街を出る。 「行き先は?」 「そうだな。ここは少々寒い。温かいところへ向かおう」 「じゃあ、東の方がいいわね」 「クレンに任せる」 彼女たちは東に歩き出した。 クレンは妙な気分になりながらも虎の横を歩く。人語を話す虎は紳士的で優しい。不思議だった。もう少しあの街にいるつもりだったのだが、虎と旅する事になるとは思わなかった。父の敵討ちを理由に故郷を飛び出して彼女はやることもなく、ぶらぶらと旅をせざるを得なかった。だが、今はなんとなく旅をする意味を掴みかけた気がした。 一方、虎はなんてことない。ただ、自分に人が近寄るのは言葉を教えたじいさん以来だ、と思っていた。それも、女だと。 「クレンには、いわゆる夫婦となる相手はいないのか?」 「はぁ? いないわ、そんなもの」 「そうか」 「そう。私、男なんか信じない」 小さい頃にさんざんいじめられたせいか、彼女はそう言った。もちろん、それだけではないが。虎は首をひねった。 「人、それぞれっていうのよ。虎だってそれぞれでしょ? あなたのように言葉を話す虎もいれば、人に襲いかかる虎もいるでしょ?」 「そうだ」 「だから、私のように男なんか信じない人もいるの」
いや、宵っ張りの人にとってはそんな遅くないと思いますが、ネットでとある事を調べました。 こうしてクレンとマレモンは、一緒に旅をすることになった。 「よろしくね、マレモン」 「本当にいいのか? クレン」 「うん。どうせ、あてのない旅だから......」 「ところで、クレンはどうやって路銀を集めているんだ?」 「いろいろ、ね。これでも賞金稼ぎもしているのよ」 「その剣は使えないと聞いたが?」 「剣は使えないけど、魔法は使えるもの」 「ほう、魔法使いだったのか」 「そう、これでもね」 この世界ではごく一般的に魔法が使える。ただし、一般的には小さな精霊の力を借りたものだった。だから、威力は弱い。 「まあ、いざとなったら助太刀する」 「ありがと。そうと決まったら、すぐにでもここを出発しましょ」 「クレンはもういいのか?」 「ええ、私は荷物そんなに持たないから」 背に背負った大きなリュックと腰に差した剣。そのくらいしかない。それで済むのはこの辺りは一日ないし二日ほど歩けば次の街または村に着くからだ。 「マレモン、あなたは?」 「私は見ての通りだ」 虎は虎である。しいて言えば前足に巻いた金の入った袋くらいだ。 「そう言えば、ケーキのお味は?」 「うまかったが、夕べのスープの方が好みだ」
始めます。 ザブが去ってから彼女はあたりを見回した。そして、 「そろそろ、食べに行きましょうか」 立ち上がる。まだ少し早い気がしたが、ゆっくり歩けばなんてことない。店の前で少し待ってもいい、と言った気分。 虎もベンチから降りて少し伸びをする。尾を少し揺らすと彼女について歩いた。時間が経ってさきほどよりは人が増えている。もちろん、行き交う者ものの目は虎に行く。虎は知らんぷりを通していた。 「ここが夕べ新聞に載っていた店よ」 店に入ると悲鳴が上がった。 「お客さん、虎はご遠慮願います」 従業員がおびえながら彼女に言う。彼女も仕方がないと思いつつもケーキだけは譲れない。それは虎との約束もあるが、自分も食べたいからである。 「マレモンは大人しいわよ」 「しかしながら、他のお客さんが怖がりますので」 「そう、じゃあテイクアウトでお願いするわ。お茶も飲みたかったのにな。マレモン、お店の前で待っていて」 「わかった」 「すいません、お客さん」 彼女はケーキを四つと、お茶をサービスとして紙コップに入れてもらった。そのサービスには彼女も喜んだ。 店を出るとマレモンと先ほどの公園に戻り、ベンチでケーキの箱を開く。 「どれがいい? 私はどれも好きだけど。こん中から二つね」 虎は見てもどんなものか分からなかったので、チーズの匂いがする物とバターの匂いがする物を選んだ。 「ベイクドチーズとパイね」 「そんな名前があるのか?」 「どんな物にも名前はあるでしょ?」 「確かにそうだ」 「ねえ、マレモン。あなたの旅に私が付いて行ってもいいかしら?」 「どうしてだ?」 「私、どこに行っていいか分からないの。だから、宛がなくても目的があるあなたに付いて行ってもいいんじゃないかなって」 「私とともにするのは構わんが、さっきのように店に入れないことは多くなるぞ」 「いいわよ。そんなの」 彼女はそう言ってケーキを、とりわけクリームがたくさん乗ったショートケーキをほおばった。
ロングストレートヘア!
どれだよ。(一人ツッコミ) 「よう、虎」 そんな声が聞こえた。彼女が声のする方を見る。下の方だった。 「犬?」 いつの間にか地面に座っている犬だった。やや大きめな犬で首輪をしているが鎖はない。耳がぴんとたった、薄い茶色の毛の犬だった 「お嬢さん、お早うございます。今日もいい天気ですね」 「お前、チャーミグから言葉を教わった犬か?」 「おうよ、虎。お前もあのじいさんから言葉を教わったのか?」 「そうだ。でな、じいさんが亡くなったことを伝える為に私は話す動物たちを探している。兎に会ったが、話も聞かず逃げられてしまった」 「そうか、あのじいさん、死んじまったんだ......わかった。俺もお前のように伝えるよ。俺は飼われているからこの街から出られないがね」 「それはありがたい」 「でよ、みんなに伝えてどうするんだ? 葬式でもやるのか?」 「いや、葬式は近所の人が一通り済ませた」 「じゃあ、なんで伝えまわっているんだ?」 「なんとなく、そうしなければならないと思っているからだ」 「ふうん。まあ、俺たちが集まったら面白いかもな。お嬢さんは? まさか、この虎に惚れちまったってことはないだろうな?」 「違うわ。ところで、あなたのお名前は?」 「ザブ」 「ザブね。よろしく、ザブ」 彼女はザブの頭を撫でた。ザブもクセで自分から頭をこすりつけるようにする。 「じゃあ、俺はこれで失礼するよ。また逃げ出したと思われるだろうな。美しいお嬢さん、また会う日を楽しみにしているよ」
はい、恐ろしいほど金欠状態です。 「私は、ね......。お父さんの敵討ちに旅に出たの。でもね、それは表向きの理由。これ、お父さんの形見なんだけど、私には少し重いの。ただ、単に私は自分の生まれたところにいたくなかっただけなんだ」 彼女が言うが、虎はきょとんとしている。 「ごめんね、つまらない理由でしょ」 「いや、人というのはどうして生まれた場所にこだわるのだろうと思ってな」 「虎は違うの?」 「一つのところに定着して暮らすのは人が多いが、それは何故だろうと思ってな」 「なんでだろうね」 朝早い大通りは人はまだまばらだった。それでもやはり虎は目立つ。それで、虎頭の美女も一緒なので余計だった。 「それで、マレモン。おじいさんが言葉を教えた動物たちには会えたの?」 「ああ、兎だけだがな」 「兎......」 「兎のやつは駄目だ。私の姿を見るなり逃げて行ってしまった」 「そう」 と、返事しつつ彼女は当たり前だと思う。いくら言葉で意思が伝えられるとしても、虎と兎では隔たりがある。食うか食われるか、の隔たりが。 「公園にも行ってみようか?」 「公園......ああ、人が遊んだり休んだりするところか」 大通りの突き当たりには大きな公園がある。その中に池や広場がある。ただ今はあまり人はいない。 「広いわね」 「私が駆けるにはちと狭い」 散歩中の老人が虎の姿を見て首を傾げたが、彼女は見なかった事にした。公園のベンチに腰かけ、虎はベンチに登ってそこに座った。 「うん、今日はいい天気のようね」 「だが、今日の夕方には大雨だろう」 「分かるの?」 「私のひげが教えてくれる」 虎は前足でひげをこするような仕草をする。
くまの○ーさんは、なんでしょう? というラジオのクイズがあったらしい? 翌日、彼女は虎と会った。昨夜の事は夢じゃないと確信させられる。約束の場所に既に虎は待っていた。地面に大きな体を伏せている。通行人は虎を見て見ぬ振りをする。 「おはよ、マレモン」 「お早う、クレン」 「さ、さっそくケーキを食べに行こうと言いたいところだけど、まだケーキ屋は開いてないの」 「つまらんな。人の朝は遅過ぎる」 「そんなことはないんだけどね」 彼女は、人の生活に合わせて店が開く事を教え、虎はそれを感心した。 「なるほど、それで無駄がないのだな」 「少し、この街を散歩しましょうか。私、この街は初めてなんだ」 「私もだ」 「マレモン、あなたは旅の途中なの?」 「旅......そうかもしれない」 「そうかもしれないって?」 「私は探しているのだ。私と同じように話す動物を」 「どうして?」 「じいさんが死んでしまった時、聞いたのだ。『わしはお前の他にたくさんの動物に言葉を教えた』と。だから最期を看取った私には、その動物たちにじいさんの死を伝えなければならないのだ」 「そう」 この虎は律儀だな、と彼女は思う。一方で、人の食べ物に興味を持っているのだ。人と生活し人の言葉を得た虎は人に対して好奇心が旺盛だった。 「クレンはどうして旅をしている?」 今度は虎から尋ねて来た。
そろそろ、タオルケットと羽毛布団と毛布だけじゃ寒くなりました。今も指なし手袋とミッフィーのブランケットを装備してます。それでも寒い。風邪ひかないようにしないと。 彼女はマレモンが老人から言葉を教わる姿を想像した。 「あなた、そのおじいさんから言葉教えてもらったの?」 「そうだ、面白いじいさんでな。私を虎として扱ったが、人の言葉を教える時は人として扱ったのだ」 「ふーん。だから人の食べ物、あまり知らないのね」 「そうなのだ。スープ、うまかった。明日のケーキが楽しみだ」 そう言って、マレモンは店を出て行こうとする。その虎に彼女は叫んだ。 「おやすみ、マレモン」 「おやすみ、クレン」 彼女は、虎の背中の優雅な黒と黄色の模様を見送った。虎が完全に店を出ると、彼女は笑い出した。 ややして彼女は笑うのを止める。虎がいる中で店はしーんとしていたが、彼女が笑うのを止めると、どよどよしはじめた。 彼女は立ち上がってカウンターの店主のもとへ行き、スープ代を払って店を出る。 「もう、あの店、入れないわね」 それどころか、明日はケーキ屋で注目されるだろう、と思う。それでも、あの虎を恨むことも憎むことも出来なかった。虎はただ純粋にあの店に入りたかっただけであり、スープを飲みたいと思っただけであり、ケーキを食べてみたいと思っただけだ。 彼女はそう思って気づいた。自分は結構あの虎を気に入っている事を。
いえ、自分の持ち物でなく。 「そうじゃないの。熱いのが駄目なのを、猫舌と言うの」 「そうか。人の言葉は深い」 彼女はそのスープをかき混ぜて冷ましてやった。それを再び虎に渡す。虎もおそるおそる舐めて、気に入ったのか、おかわりを所望した。 「いいわ、このスープ一口飲んだけど、あなたにあげるわ」 「かたじけない。今まで食べたもので一番うまい」 「そりゃそーよ。だって、ビーフコンソメだもの」 「ごちそうさま、お嬢さん。ありがとう」 「例を言うのはまだ早いわ。ケーキがあるもの。それに私はお嬢さんという年でもないわ。そいういやまだ、名乗ってなかったわね。私、クレンっていうの。クレン=グリム。あなたにも名前あるの?」 「私はマレモン」 「マレモン?」 「私に人の言葉を教えたじいさんが名付けた名前だ」 「へえ......」
今朝ですね、おじさんとわんこが散歩してました。(車から見てた)わんこが何か加えていたんですよ。なんかウィンナーのパック詰めを。うちのジュニアには出来ないな。でも、どうやって教えるんだろうと、疑問。 「人間の大切なものなのか? ならば早いうちに返そうかと思うのだが、何しろ人間の顔を見分ける事ができん」 「そっか。でもあなたに害がないと知れば取り返しに来るかもね」 「そう願おう」 「じゃあ、明日、私がケーキおごっちゃうよ」 「すまぬ」 「宿は決まっているの?」 「宿? 人間の寝床のことか。それは私には必要ない」 「どこで寝てるの?」 「屋根の下であればどこでもいい。食事も自分で狩る」 「じゃあ、なんでこの店に入って来たの?」 「何故か、入りたい気持ちになったのだ」 そこにスープが運ばれて来た。 「それはなんだ?」 「スープよ。飲む?」 「飲むものなのか?」 彼女はスープの受け皿に少量のスープを入れた。 「はい、どうぞ」 虎は舌を出してスープを舐めようとした。が、そこで止まってしまう。 「あなた、もしかして、猫舌?」 「私は猫ではない」
『そろそろ、主人公たちの名前が必要だから、早急に名前を付けようと思うが、何からとろうか考える会』
君の、君の名前、聞いてみてびっくり、さぁ、どうぞ。(おかあさんといっしょ) 「虎!」 人語を操る虎だった。 「いかにも」 稀に、人語を解し操る動物がいる。動物としては長生きをし、何かを得たもの。猫なんかが多いが、虎は初めてだった。と、いうか猫でもなかなかお目にかかれないものである。人間が生きているうちで一度でも会えばいい方だった。 「虎......」 彼女はもう一度つぶやいた。 「そうだと言っている。この場にいる以上、とって食おうとは思わんから心配は無用だ」 「そ、そう。それならいいんだけど」 「ところで、お嬢さん」 「何?」 「何を読んでいるのか、聞いても良いか?」 「いいけど? コレ?」 「そうだ」 「たいした事は書いてないわよ」 彼女が手にしている新聞は、この街の情報も含めた新聞だった。だから、ケーキの特集などと書かれていたのだが。 「それでもかまわない。なんと書かれている?」 「今月、もっともおいしそうなケーキナンバーワンの店は、ファイブウィンのマロンケーキだ。だって」 「ほう、ケーキ。まだ口にした事がない」 「食べた事がないの?」 「何しろ、人語を話し始めたのはつい最近のことだ」 「そう、じゃあ、明日食べに行こうか?」 悪い虎ではなさそうだ、と思い彼女は誘ってみた。 「良いのか?」 「いいわよ。どうせ食べに行こうと思っていたんだし。ところで、アンタ、お金持ってんの?」 「オカネ? ああ、コレのことか?」 虎は自分の前足に巻き付けた巾着袋を彼女の前に差し出した。彼女の手首の倍ほどある前足の巾着を広げる。 「何コレ!」 「何故か、私を前にした人が落として行った物だ」 「ふーん」 虎を前にし恐怖のあまり落として行ったのだろう、と彼女は考える。
十二月になってしまった。 彼女は美人だった。だけど彼女にはどうでもいいことだった。その背には黒と黄色と白のまだらな髪の束がある。地毛だった。彼女はそれでよく『虎の毛』と馬鹿にされた。主に近所の男の子に。その男の子らが成長して今度は彼女に言い寄って来た。それも彼女にはどうでもいい。父親の形見の剣を手にして生まれた故郷を飛び出した。そして、何ヶ月かした頃、旅にも慣れて、とある酒場に行き着いた。 彼女がその酒場に入ると、男たちがどよめく。それほど彼女は美人だった。または腰に差してある剣に驚いたのかもしれない。どこか金持ちの国の王様が持っていそうな立派な剣だった。はたまた、彼女の髪に目がいったのかもしれない。そんなまだらな髪はあまりない。今回に限り、そのどれでもなかった。彼女の後に入って来た、それに驚いたようだ。 彼女はそれに気づかなかった。まっすぐカウンターに向かい、何か温かいスープを注文した。そして、空いているテーブルに付いた。途中で買って来た新聞に目を通す。 「お嬢さん、同席よろしいか?」 「どうぞ。ただし、下心なしに限るわ」 相手を見ずに彼女は言った、目は新聞の記事だ。よっぽど気になる事が書いているらしいが、実は『特集! 美味なるケーキ店ベスト10』というものだった。 「心配及ばん。人間の娘は対象外だ」 「そう、じゃあ何? 虎だったらいいの?」 彼女はまだ新聞に目を奪われている。虎と出たのは昔、そう馬鹿にされたからだ。 「まあな」 そう返されて、少しむっとした彼女はやっと相手を見て驚いた。 虎だった。
草うららか
|MAIL
|