気まぐれ日記
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三十一日間。月でも長い方。でも終わればあっという間。これって年のせい? そういえば、今のも三月から書き始めたけれど、書くのは楽しいが、そろそろ面倒になってます。この辺で、ちょっと何か書きたい気がします。 「街」やっと、「青ムシ抄」をやることが出来ました。
レスティのこじんまりとした家に招かれた二人は、まずソファーを勧められた。 「おなかはすいていないかい?」 「大丈夫だよ」 彼も彼女も疲れていた。出来れば一眠りしたい気持ちだった。 「ねえ、レスティ。あれからどうなったんだ?」 あれから……彼がこの世界を脱出したときからだ。レスティは指を三本立てた。 「三日?」 「いや、三年だよ。お前がいなくなって三年たったんだ」 「三年も?」 彼があの世界にいたのはせいぜい一ヶ月ほどだったのだ。リサもそのくらいである。 「どうやら時間の流れは全く違うようだね」 レスティは特に不思議がる様子はなかった。しわしわの手でお茶を入れ始める。 「相変わらず女王は何かたくらんでいるよ。お前を逃したわりに肌もつやつやして、相変わらずあの姿だよ」 「そうか……」 「ただ、ああなっている原因はわからないけどね」 レスティは一瞬だけふくれっつらをする。コウが生まれる前からそうだった。あの姿を保つ女王には、きっと何か秘策がある。 「あの、レスティさん」 「なんだい。お嬢ちゃん」 「コウが歌っていた歌は、なんなの?」 「ああ、古い言葉で『願いをかなえよ』という意味の歌だよ。童謡みたいなものさ」 「その歌を歌って……ここに着いたんだ。レスティ」 「お嬢ちゃんは、この世界の魔女じゃないんだね。だからかもしれないね。こりゃ、ちょっと興味あるね。どうやら、あたしたちの魔力に似ているよ」 「魔力?……魔法力? 呼び名も違うみたいね」 レスティはお茶をカップに注いで彼らに渡した。 「二人とも、しばらくここにいるといい。特にコウは見つかったらすぐに連れて行かれる。いいね。まあ、もっともこの森から出られやしないがね」 レスティは、にやっと笑った。
2005年03月30日(水) |
緒事情により、(その2) |
やっぱり行くことにします? 未定のまま。 それにしても、もうすぐ4月というのに、今朝は吹雪いていました。 春はいずこ?
結局二人は、元の位置に戻っていた。二回目である。 「どうする、どうやら私たちをこの森から出さないつもりみたいよ」 「うん。そうだろうね」 「また、歌ってみようか?」 「どうだろう?」 「案外うまくいくかもよ」 彼はうなずいて、あのギターのようなものを取り出した。 「それ、どこにもっていたの?」 「ああ、これ? 取り寄せる魔法」 「便利すぎ。まあ、いいけど」 ともかく、彼は前奏をを引き始め彼女は歌った……何も起こらなかった。元のように森があり、獣の鳴き声が遠くに聞こえる。 「何も、起こらないね」 彼はつぶやいた。 「違う。この森が私の魔法力を吸収したの。だから、ここでは魔法は使えない」 「俺は使えたけど?」 彼が手にする楽器を見せる。それが、手品のように消える。彼に言わせると、「しまった」ということだ。 「じゃあ、私の世界じゃないのね。ここは」 彼らは黙ってしまった。この森から出られずにこのまま一生過ごすのだろうかと彼女は不安になった。日が落ちようにとしている。夜は不安だった。せめて、月があると明るいのにと彼女は思った。 「誰だい、帰ってみればお客様がいるなんて何年ぶりだろうね」 そんな声が聞こえた。彼女は知らない声。しかし彼は知っている。 「レスティ!」 彼の向く方向を彼女は見た。小さな身体をした少女だった。ランプを掲げてこちらを照らしている。 「コウ、お前、コウだね」 「そうだよ」 レスティは走ってこちらに向かってきた。 「お前、どこに行っていたんだい。とにかく無事なようだね」 「レスティも、やっぱり無事だったんだね」 「そりゃ、あんな魔女にやられちゃレスティの名が廃るからね。で、そっちのお嬢さんは?」 「彼女は、別世界の魔女だよ。ここに来れたのも彼女のおかげなんだ」 「そうかい。まあ、立ち話もなんだからね」 レスティが、ランプを投げ出した。そこがぱっと明るくなって、一軒の家が出来た。 「あたしの家だよ。お入り」 急に老婆になったレスティが、にやりと笑った。
旅行を取りやめました。でも、そのまま有給はとっておこう。 ここんところ、有給など使わんかったし。 旭山動物園にでも行こうかな……。
森は意外に深かった。行けども行けども木々がある。 彼らは話しながら歩いている。 「そういえば、名前を聞いていなかったね」 「ああ、俺はコウ」 「あたしはリサ。コウは日本人?」 「? ああ、あの世界はニホンっていうのか?」 「……違うんだ、やっぱり」 「違うって?」 「あなたもやっぱりあの世界の人じゃないって」 「そういう、リサもそうなんだな」 「そういうこと。あたしは、高位魔女になるためにあの世界に来たの」 「ふうん。変な風習があるもんだな。あの魔法もない世界で、どうしたら魔女になれるんだ」 「わからないけど、そういう決まりなんだもん。で、コウは?」 「俺は、魔女だから食われる運命なんだと。だから逃げてきたんだ」 「……何それ?」 「そのまま。レスティがいなかったら俺は女王に食われていた。魔女は皆、女王に食われるらしい」 「うえ……。あたしの世界は魔女と魔法使いだらけだからその女王も食料に困らないわね。ねえ、レスティって誰?」 「女王に食われなかった、唯一の魔女。俺も今のとこ食べられてないから二番目だな」 「どうやって食べるんだろ?」 「とりあえず、血は抜かれかかったけど」 「うわあ……」 「あっ!」 彼が、声を上げた。見覚えある木の枝に、彼女の制服の赤い三角タイがむすんである。 「戻ってきたんだね」 「迷ったな、これは」 「まっすぐ進んでいたのに……」 「多分、木を避けて歩いたことでずれていったのか……」 魔力が働いて、彼らを迷わせているのか……。彼女もそれを思いついた。
遅番でした。遅番は朝ゆっくり出来るけど、夜は遅い。(当たり前) でも、同じことを三日やるのはちょっと厳しかった。
なんの魔法なの? 彼女は悩んだが、思い切って使ってみることにした。興味があったからだ。 「ねえもう一度、ひいて。最初から」 「な、なんだ?」 彼も彼女の異変に気づいた。だが、わけがわからない。 「これは、もしかしてすごい歌かもしれないってこと」 「そうなんだ」 彼は最初からひき始めた。そして、彼女は彼と共に歌う。今度は魔法を使うという意識をこめて。集中していて気づかなかったが、彼らを何かが取り巻いて……彼らは見知らぬ地にいた。 「……なんてことなの?」 「ここは……あんたがやったのか?」 「そう、なるわね」 あたりは木々に囲まれている。小鳥のさえずりが聞こえる。何かの動物の鳴き声が遠くから聞こえた。 森の中。 そう言うのがふさわしかった。 「でも、豊かな森だわ。適当に太陽の光が入って、生命があふれていて……」 豊かな森は、月の光同様、魔法力を蓄えてくれる。彼女の世界でもそうだった。 「なあ、これからどうするんだ?」 彼は聞いた。 「そおねえ……、どうしましょう。とりあえず、森を出ましょう」 「でも、どこが出口なんだ」 「そんなのは、まっすぐ突き進めば出られるはずよ」 「そうか?」 とにかく、突っ立っていてもどうしようもないので、彼らは歩き出した。
2005年03月27日(日) |
今更ですが(その2) |
「街」(PS版)のバッドエンディング集めをしています。あと、何回渋谷を爆破したら「青ムシ抄」が見られるでせうか……。
彼は再び、彼女に会った。特に不思議と思わない。一度会って話をして歌をリクエストした少女だと覚えていた。 「また、聞かせてくれる?」 「ああ、構わないけど。あんたも物好きだな」 「聞いていると、懐かしくなるの」 「へえ……」 そう言われたのは初めてだった。 「ぜひ、歌詞の意味も知りたいんだけど」 「それは無理だ」 「どうして?」 「だって、俺にもわからないもの」 彼は、歌い始めた。彼女は黙って聞いている。それが、毎日のように続いた。 ある時、彼女はその歌を口ずさんでいた。彼と一緒に歌っていた。ふいに脱力感が彼女を襲う。 「きゃっ?!」 べたっ 彼女はバランスを崩し、アスファルト地面に座り込んでしまった。 「どうしたの?」 彼は不思議そうに彼女を見た。彼女もわけがわからないっと言ったような顔をしている。ただ、この世界にて、魔法を使うことがなく魔法力を使う感覚を忘れていた。 「どうなってるの?」 と、思いつつも理由は一つしかない。彼の歌は、魔法を起こす呪文ということだ。魔法力を持った彼女が歌うことにより、魔法が発動されかかったのだ。
「鋼の錬金術師 ドリームカーニバル」を入手した。(ブックオフで)「すべてがFになる」のゲームと迷ったが、前者の方が安かったので。 とりあえず、小攻撃連打しとけば、師匠でも大佐でもふっとびます。(難易度1)大総統閣下も吹っ飛んでくれます。とどめに超必殺技を。とにかく、エドとアルのシナリオを(あくまで難易度1)三十分でクリアしました。 ところで、この手のゲームって、他のアニメとかと同じように作っているって……(以下略)
彼がこの世界に来たのは、彼女よりも数日早かった。 見たこともない世界だが、食われるよりは何十倍もマシだった。望めば、あの世界に帰れる。しかし、どこに着くかわからない。もし、またあの城に戻ることがあれば、今度こそ文字通り女王の餌食だろうと思った。 「この世界にも月があるのか」 彼はつぶやいた。月明かりがこうこうと彼を照らす。レスティはどうしているだろうと、思い出した。 こういうときは、どうしたらいいのだろうか? レスティに教わったのは。 まず、世界を見ること。同じような格好をすること。言葉を覚えること。彼が最初に見たのは、公園という場所で仲間と集まっている男たちだった。ちょうど自分と同じくらいだろうと思ったので、服装はそこから手に入れた。月明かりのおかげか、彼の魔法は思い通りになる。言葉も魔法のおかげかすんなり覚えた。しかし、他に何が必要なのかわからなかった。 彼は街の中を歩いていると、路上で楽器を用いて歌っている人を見た。彼は歌を一曲しか知らない。しかし、こうして立っているだけでも何かが見えてくるのでないかと思った。 そして、彼は路上で歌うことにした。 楽器はレスティが弾いていたものだ。歌もレスティに教わった。 「それ、何語?」 同じ服を着た少女たちが聞いてくる。彼は聞かれていることがよくわからず、「さあ」と答えた。 「でも、なんかいい歌っぽい」 そうやってほめてくれた。実は彼も、何を歌っている歌なのかわからなかったりする。 彼は、毎日場所を変えて歌った。その場所その場所で、この世界の事柄が見ることができた。
まさか、これが最後のキャストだったとは本人たちにもわからなかっただろうけれど、大山ドラえもん映画の最後にふさわしいものではなかっただろうか? ずうっと前、ここで「最近のドラえもん映画はつまらない」と書いたけれど、これは面白かった。(いろいろツッコミたいとこもあったけど)
そんなある日、彼女は妙な人物に出会った。 路上で歌を歌っている人がいることはわかっていた。(人に歌を聞いてもらう目的がよくわからなかったが)しかし、彼は違っていた。人間とは明らかに。見た目は人間と変わらない。彼女もそれは同じだ。 彼には魔法力がある。 彼は、ギターを弾きながら、わからない言葉で歌っていた。しかし、不思議と心に伝わってくるものがある。その歌が終わるまで彼女は待っていた。歌が終わると、彼は彼女に話しかけた。 「何か、用?」 日本語だった。彼女はとりあえず挨拶した。 「あ、こんにちは」 「こんにちは」 「いい歌ですね」 「そお?」 「言葉はわからないけれど」 「俺、この一曲しか知らないんだ」 ギターをボロンとかき鳴らす。よく見ると、この世界のギターとは少し違う。 「じゃあ、なんでここで歌っているの」 「ここに座っていると、世界のことがわかるんだ」 「へえ」 彼を改めてよく見る。一緒に講習を受けた人とも違う。この世界にも魔法力を持った人間がいるのかもしれないと、彼女は思った。 「君は、魔女かい?」 それは突然だった。ここで魔女と答えるわけにはいかない。自分が魔女と言うことは、決して知らせてはいけないことを、講習で学んだ。 「いいえ。何でそんなこと聞くの?」 「ごめん。そんなわけないよな」 「そうよ。あなたは変だわ」 いろいろな意味で。そして、魔法でも使えるんじゃないかしら、とも。 「変だとは失礼だな。でも、まあこんなところで歌っている連中も変だからな」 彼は笑いながらいう。 「ねえ、もう一回歌って」 「ああ、いいぜ。何しろ俺はこの一曲しか知らないしな」 彼はギター(のようなもの)をひき始めた。そして、歌う。言葉はわからないがなんだか懐かしい気持ちになる歌だった。彼女は自分の世界の両親と妹を思い出した。ふいに涙がこぼれる。それに気づいた彼は途中で歌をやめた。 「どうしたんだ?」 「ううん、なんでもないの。ごめんね」 彼女はその場から去って行った。彼は呆然と彼女を見送った。
なんか身体だるいわ忙しいわで、他のことに首が回らなく、怒られた。風邪っぽいのもあり。(こちらはすぐにおさまったけれど) 特に、二十二日はふわふわしてました。 明日は休み。あさってには気を取り直したいです。
彼女はめでたく高校生となった。 ここでは普通に高校生として暮らさなければならない。普通に、つまりはこの世界の人間と同じように。 最初はなれないところもあったが、彼女は徐々にこの世界での生活に慣れていった。両親も優しく厳しく、親として申し分ない。妹も生意気盛りの甘えん坊で、リタを見ているようだった。これが暗示を解くだけで他人になってしまうのが、彼女にとって淋しくもあり、罪悪感を感じた。 学校生活も楽しい。友達も出来た。それにより、彼女の行動範囲は広がった。楽しいことばかりでなく、勉強も必要だった。数学は大部分が自分の世界と同じなので得意だったが、ややこしい歴史や小難しい漢字の出てくる国語などは不得意だった。得意不得意は誰にもあることだと、担任の先生は呆れながらも彼女を励ました。
誰も、彼女を魔女と思わない。ここは魔法が存在しない世界なのだ、と彼女は改めて気づかされた。 「これが、テレビ?」 四角い箱から音や絵が現れる不思議な箱。しかし、ちゃんと科学的に作られているものである。説明を聞いてもピンとこなかったが彼女は納得した。少しずつ、この世界を受け入れる。受け入れようとしている。それは、彼女が異世界にあこがれていたからできるのだ。
やろうと思ったことが、半分も出来ないのですよ、主任。 だから、暇だと思わんで頂戴。 でも、その主任もまた、その昔私以上に忙しかったのだから文句も言えない。
有給が堂々ととれる会社は元気だ、という新聞の広告があった。 そうだよな、公務員くらいだよな有給取れるのは。(母の弁) 有給とってにらまれるのは、確かにおかしい。休めて当たり前なのだから。
ドイツかどっかの国で、何ぼ休んでも文句が言われないところがあるらしい。 「腰が痛いので休む」 「風邪を引いて休む」 は、もちろん、 「行く気がないから休む」 と、いう理由もOK。 そして、「腰痛いので休む」言って、旅行に行って遊んできても文句言われない、らしい。 それでも、本当にサボるのが少なく、後の大勢がちゃんと働いているのだから、すごいのだ。
では、多忙につき今日はここまで。
仕事場にあった。携帯電話。
彼女は高校生として、この世界を見ることになった。 異世界へ向かう理由は、高位魔女として見聞を高める。広い知識を持つという意味で行われているが、実際ははっきりとした理由は教えられていない。人によっては、この世界の過去、または未来へ向かうらしい。 「理紗、あなた、自分が行く学校の場所わかる?」 母がそう尋ねてきた。この世界では、彼女にとって母である。彼女はなるべく遠慮なく母と思って甘えることにした。 「わかんない」 正直に答える。ここへ辿りつくのですら聞いてきたのだ。土地勘は全くつかめていない。 「じゃあ、一緒に行きましょ」 母が言うには、手続き云々とともに学校に挨拶に行くという。ちなみに今日は授業はないらしい。 「ちゃんと覚えるのよ」 「はーい」 高等学校は案外近くにあったのですぐに覚えられた。生徒は今日はいない。担任になるという先生に挨拶して、説明を受ける。とにかく、今は春休みなので授業はまだないらしい。教科書の購入や授業料などいろいろなの説明を受けて帰ってきた。彼女は半分ほどしか聞いてなかったが。 いろいろ、準備があるのね……。 本当は編入のための試験というものがあるらしいが、彼女はそれをパスした。受けてパスしたのではなく、受けることをパスした。魔法で何とかなったから。 とにかく、彼女はその春休み中そろえるものはそろえておかなければならなかった。制服、ジャージ、靴類、教科書、鞄、筆記用具などなど彼女の世界で使っているものとは違うので、母とあちこちを回っていた。おかげで、この地域のことがだいぶわかった。
多分、仕事場。
今日は一休み。
主人公の名前ですが、日本名でもおかしくない(漢字にしやすい)名前を選びました。
コウは食われてしまう予定だったんですが、やめました。(今言ってどうする) リサの養育費その他もろもろの経費はリサが帰った後にどういう形で残るのか? それは、そのまま残り、あの家族らに大きな謎を残すでしょう。(笑)その辺、つっこむともう手がつけられなくなるんで。 どうして高位魔女になるために異世界にいかなければならないのかって? それは魔女っ子の基本でしょ?(うそです。理由は後でこじつけます)
魔女っ子メグちゃんは、ママだけが本当のママで、パパや弟は人間界で住むために入りこんだのだったっけ? 私の年代では再放送(小学生の時にやっていた)なので記憶があいまい。ララベルっていうやつもいたよね。
彼女は適当に家を選んだ。 どうせ住むなら、いい家を選ぶわよね。 そして、彼女が入り込む余地のある家にしなければならない。金銭面でも迷惑をかけるのだから。 同じ年頃の少女がなくなった家を通り過ぎた。ここでは自分の存在はあまりにむごすぎる。条件はよかったが。 老夫婦の家も考えた。だが、自分では無理だ。 結局、核家族である家にお邪魔することになった。彼女はインターフォンを鳴らした。 「どちら様でしょうか?」 女性の声だった。優しそうではある。 「お母さん、私よ。忘れちゃったの?」 思いっきり魔法力を込めた声で言った。これで、かかるはずだ。 「まあ、理紗。お帰り。こんなに遅くまでどこに行っていたの?」 「やーねえ、お母さん。ちょっと、「引越しました」っていうはがきを出しに行っていただけじゃない」 「ああ、そうだったわね」 なんの疑いもせず、その異界の訪問者を入れた。 「さ、あなたも引越しの片付けしないとね」 「そうだな、理紗。お前だけまだなんだぞ」 と、男性は言った。 そして、年下の女の子。少し生意気そうだがかわいい顔をしている。 「お姉ちゃんは寝るとこないよ」 「もう、すぐに片付けるわよ」 引越しといっても元からある家だし、この家族たちは元から住んでいる。明日にはそのことは忘れ、自分を家族の一員として扱ってくれるだろう。そして彼女が去るときは、彼女のことはすっぱりと忘れてくれる。とりあえず魔法は成功した。 この世界での家族も構成は同じにしたかった。後は愛せる家族であって欲しいと思った。
卒業シーズン中、妹は来月専門学校生となる。 去年六月からずうっと家にいついていたのだからどうしようもない妹だが、いなくなると静かになりすぎる。 今時期、こんな思いをしている家は結構あるだろうな。
彼女はその都市を見て、呆然とした。 「ここは、どこなのよ」 ニホンコク……もとい日本国は、世界でも小さな島国だったはずだが、実際は天を貫くかごとくのビルが立ち並んだ大都市だった。写真で見たニューヨークだかという国よりは狭そうだが、劣ってはいない。夜なのにその都市は光り輝いていた。 ともかく、と彼女は考えた。 これから、どうやってこの世界に溶け込むか。やっぱり家庭の中に飛び込むのが一番いい。彼女は都市の中に入っていった。が、彼女の探す家らしい家はなかった。彼女と同年代の少女が同じ服を着て何人かで歩いているのはよく見かける。同年代の少年、やっぱり同じような形の服を着た中年男性、若い人もいる。酔っ払って歩いて危なっかしい人、かと思えば隠れるように座っているボロを来た人たち。彼女は見るだけで疲れて公園のベンチに座った。ため息を一つつく。 「君、こんな時間に何をしているのかな?」 紺色の服を着た男が彼女に話しかけた。彼女はすぐに思い出した。この人は警察官という職業で、いわゆる警備兵や道案内人などの仕事を行っている。ならば、自分の行きたいところも教えてくれるのではないか、と警官に尋ねてみた。 「すいません。家があるところに行きたいのだけど」 「君は、迷子かい」 「迷子じゃないわ。場所がわからないだけ。なんていえばいいのかな、ジュウタクガイ? そう住宅街よ、そこに行きたいの」 「この辺の住宅街っていったら、この道を右に曲がってずっと行ったところだよ。そこまで行ったら帰れるのかい」 「うん、ありがとうございました。警察官さん」 警察官さん? 警官はあまり聞きなれない言葉を不審に思ったが、夜道には気をつけるように彼女に伝えた。
本日のお買い物。これは職場で使用。 そして、『へんないきもの』をブックオフで購入。まさに、ブックオフ様様。 なんだか、地球は不思議生物だらけに思えるけど日本人が一番変に思えてくるのがこの本の特徴。
身体を固定されているのがわかる。目を開けると、かろうじて腕に針が刺されていてそれを管を通り、容器に収められているのが見えた。すでに底を血で満たしている。 「どお? 様子は」 女王の声が聞こえた。 「今のところ、問題はありません」 ドアの前に立っていた見張り兵士が答える。 「そ」 女王が部屋に入ってきた。こんなに続けて会いに来ることは滅多になかった。 「最期だから顔見せに来るのか?」 「食べるものを見てきて何が悪いのかしら」 「食われてたまるか」 「すっかりレスティにしつけられたのね。可哀想に。何も知らなかったらこんなに怖い思いはしなかったでしょうに」 女王がころころと笑う。悪びれた様子もない。彼を哀れにも見ていない。月明かりに照らされて、女王の肌が更に白く青白く見えた。 「逃げだしてやる」 とはいうものの、腕にはまっているのは鉄の枷だった。何か方法はないものか、と彼は考える。移動術? まだコントロールできずどこに行くのかわからないのでレスティには止められていた。しかし、このまま血を抜かれて食われてしまうよりはずうっとマシなことを彼は知っている。だから、彼はそれを実行した。月の光は魔力を高めてくれる。彼は忘れていたがそれも手伝って彼の身体は、この世界から消えた。 そこに残ったのは、わずかな彼の血と鉄の枷だ。女王は、歯軋りをし見張りの兵士に処刑を宣告した。
ゆっくりしてたら時間が……。
彼は魔法も順調に覚えていった。こうして何年も経って彼は大人になった。レスティは相変わらず若い女性の姿をしていた。 「あんたもそろそろ、ここから出て行く頃になったわね」 「レスティのおかげだ。でも、女王はなんで俺をここにおいて置くんだ?」 「あの強欲はあんたの魔力が欲しいのさ。だから逃げないとね」 「逃げるって、どこへ?」 「あの女王の手の届かないところだよ」 静かな夜だった。月は満ちていて窓から光があふれている。しかし、その静寂が破れた。 ばたん! ドアが激しく開かれた。兵士が彼とレスティを囲んだ。そして、女王がそこに現れた。 「こんばんわ。魔女レスティ」 十七年、彼を育てたというより城に閉じ込めていたわりに、当時と同じ若さを女王は保っていた。 「あなたがこの子に何をしていたかはずっと知っていたわ。でも、好都合だった」 「そうだろうね。魔力が育ったんだもの」 「礼を言うわ。でもね、あなたがしたことはこの国では許されないことなの」 「あんたがやることの方が、あたしは許せないね」 レスティはにやりと笑った。その顔がみるみる年を取り、老婆の姿となる。 「あんたはその子を食べるんだからね。魔力を得て、その若さを保つためにね」 「その魔女を公開処刑にしなさい!」 レスティは兵士に羽交い絞めにされ、無理やり引かれていった。 「レスティ!」 彼は彼女のあとを追おうとした。兵士に止められる。 「かわいい我が息子。何故、あんな魔女の言うことを信じたの?」 「お母様……いや、女王。あんたは何故、俺をこの城に閉じ込めた?」 「何を言い出すの? あなたを閉じ込めるなんて……ただ、外は危険なだけよ」 女王はそっと、兵士に目配せをした。それを彼は見逃さない。しかし兵士が動く方が早かった。逃げようとしたがみぞおちに一発食らい、彼は床に伏した。 「そろそろ食べごろだと思っていたから、ちょうどいい。坊や、あなたのその血肉、一滴一欠けらも残さず、わたしがいただくわ。何せ、あなたは不幸の元に生まれた魔女なんですもの」 女王は笑いながら去っていく。 「女王様」 レスティを連れて行った兵士が困った顔で女王に報告した。 「魔女は魔法を使って逃げました」 「ふうん、そう。じゃあ、あなたが公開処刑を受けることね」 彼は少し安堵した。レスティはうまく逃げたようだ。自分も逃げなくては、と思いつつ身体に力は入らない。彼は気絶した。
旅行は思い立った日が吉日。チケットもネットで予約ってね。
彼はレスティの言いつけ通り、魔女のことを言わなかった。もっとも、彼は昼間は寝ていたので言うことはなかった。 夜、レスティから教わることを彼はどんどん吸収していった。今まで何も教わらなかったせいなのか、もともとが好奇心が旺盛なのか、はたまたどちらもなのか。ともかく彼は早いスペースで覚えていった。 「ねえ、レスティ。ぼく、外に出てみたい」 「そうね、今はまだ寒いからね。暖かくなったら外に連れて行ってやろうか」 「わーい楽しみだなあ」 「あんたは頭がいいからあたしも楽だよ。常識も語学もマナーも覚えてしまったし……今度はどんどん難しくなっていくよ」 「うん。ねえ、レスティ」 「なんだい?」 「ぼくに魔法を教えて」 「もちろん。あたしはあんたに魔法を教えるためにここにきているもんだからね。でも、魔法を教える前にほかの事を覚えなければならないんだよ」 「それが、言葉とかいろんなことなんだね」 「そうさ。ほんと、あんたは頭がいいよ」 レスティは思わず彼の頭をなでた。女王にもそんなことはされたことはないが、悪い気はしなかった。 「レスティは、ぼくのお母さんみたいだね」 「なに言っているんだい。あんたの母親は……」 「知ってるよ。女王様じゃないのは」 「……」 レスティは少し黙った。そして、彼に伝えた。 「あんたが本当の母親のところに帰れるように、あたしはそう祈るよ」 「ぼくの本当のお母さん……。どうすれば、会えるの」 「そのために魔法を教える。それまで、がんばれるかい?」 彼はうなずいた。言葉はなかったが彼は心に決めた。
目覚めが悪かったのか、見た夢(記憶なし)が悪かったのか、一日眠かった。調子が悪いとも言う。 旅行に行こうかと思っている。出来れば、バースディ割りが使いたい。それだけ。
女王に預けられた彼は、乳母に育てられた。女王自らが育てるわけではない。外には出されず、何も教わらず何年か過ぎた。ただ、一つだけ持ちこめられたのは、彼の名前、母親がつけた名前だった。 「コウ様、お食事の時間です」 「……うん」 言葉を教わらないため、彼はまだ片言の言葉しか使えなかった。出された食器を適当に使いぎこちなく食べるしかない。遊びもない。 ただ、時々女王が顔を見せに来る。 「お前の母親だよ」 「……お母様、ごきげんよう」 彼が覚えた言葉はこの程度だった。 「元気かい」 女王が尋ねる。 「うん」 「少しは大きくなったようだね」 「うん」 「ちゃんと、食べているかい」 「うん」 「そう、じゃあまた顔を見に来るからね」 そういって、女王は部屋を出て行く。 彼は何も疑問に思わなかった。ただ毎日をつまらなく過ごしていた。部屋からは出られない。外を窓から眺めることもない。乳母は文字を教えないし、言葉も教えない。 ある夜、魔女が彼を訪ねてきた。 「お母様?」 「いいや、違うね」 女王には似ていた。しかしこんな夜中に尋ねたことはない。 「今晩は、コウ。あたしはレスティだよ」 あの、彼の母親を訪ねた魔女だった。あの時は老婆の姿だったが、今は若い女性の姿をしている。 「あんたは、どうやってここに?」 「さ、あたしとお勉強しましょ」 「はあ?」 「ここの奴らはあんたを飼い殺しにするつもりだからね。あんたには知恵をつけさせまいとしているんだよ。今晩からあたしがあんたに勉強を教えるから」 「レスティ、遊んでくれる?」 「ああ、もちろんさ。その代わり勉強もするんだ。何皆簡単なことばかりさ。やるかえ?」 「もちろん。やることないもん」 昼は寝てすごせばいいのだ。誰も何も言わない。乳母もそのほうが好都合だろう。 「それと、レスティのことは誰にもしゃべっちゃいけないよ。ここにこられなくなるからね」 「うん」
2005年03月14日(月) |
こんなにシビアな話に |
するつもりはなかったです。とくに彼女の方は。 彼のほうは、かなり暗くするつもりだったんですが、やっぱり幸せな結末が良いでしょ? だから当初とは違う方向で考えてます。
やっと講習も最終日を迎えた。行く準備ももう整えている。彼女は期待を胸に膨らませていた。ニホンとはどのような国なのだろうと。 教員は、異世界を開くための方法を教えている。明日いっせいにこの教室にいる者たちが異世界に向かう。その人数は当初の四分の一ほどになってしまったが、高位魔女の口からは「今年は優秀だ」ともれていた。 「では、皆さん、また明日。気をつけて行ってきてください」 怪我もすっかり治った教員はにっこりと微笑んだ。この日はもう講習はない。今日はもう、家族と別れを惜しむ時間になったのだ。 彼女が家に帰ると、もうテーブルにはたくさんの料理が並んでいた。 「おかえり。早かったわね」 と、母。父はまだ仕事から帰ってきていない。 「お姉ちゃん、お帰り」 妹のリタが彼女に抱きついた。 「わたし、お姉ちゃんにお守り作ったんだ」 リタは一度彼女から離れてポケットから小さな袋状のものを出した。 「あんたがお裁縫を?」 見ると、おまじないの文字を刺繍してある巾着袋で中には何も入ってなかった。これに魔法力のある石を入れることにより、身を守ってくれるお守りとなる。 「石は後で来るよ」 「?」 リタはにやにやと笑った。 父が帰ってくると、家族での彼女の送別会を含んだ夕食が始まった。父は彼女に石を握らせた。小さながらもルビーで、魔法力がこもっている。 「中古品だがね」 と、父は言ってワインを飲んだ。 「ありがとう、お父さん」 それをリタが作った巾着袋にいれ、首から提げた。 夕食が終わると、彼女は早めに寝た。明日は早いのと、こみ上げた涙を隠すために。
「それじゃ、行ってくるね」 「気をつけてね」 母は励ますように手を振った。 「無理はいかんぞ」 父は心配そうな顔をする。 「お姉ちゃん、リタを忘れないで」 妹は抱きついて離れない。 「バカね、忘れるわけないじゃない。じゃ、行ってきます」
国際ホテルのバイキング。なかなかよかった。デザートのケーキも「小さくてもいっちょまえ」なケーキでよかった。 機会があったらまた行こう。(食事券もらったら)
講習も半ばに入った頃、悪魔が現れた。この建物がある近くに。すでに一般の人が数人怪我を負っていた。 「皆さんは、ここから絶対出ないように!」 教員の一人が叫んで教室を飛び出した。もう一人の教員が駆けつけてきて強力な魔法でバリアを作る。 「皆さん、決してここから出ないで。私が皆さんを守るために出来るのはこうして結界を作ることだけなのです。あとは、皆さんで力を合わせてこの結界を維持してください。やり方は、獣除けと同じです」 そう言って、その教員も駆け出して行った。 外から轟音が聞こえた。その瞬間、窓の戸板が次々壊れた。悲鳴が聞こえた。だけど、誰もが動かずにいた。高位魔女の忠告を守っていた。もしかしたら、怖くて誰も覗けなかったのかもしれない。結界を維持するために集中していたのかもしれない。それが、長く長く感じたが、三十分ほどだったことが後でわかった。 「皆さん、ご協力ありがとうございました。もう結界を解いて構いません」 バリアを作った教員がぼろぼろの姿で現れた。あちこちにやけどやアザを作っている。 「今日はもう、何も出来ません。後始末は政府がやってくれますし、皆さんはお帰りください。ご家族も心配しているでしょうから。本日の講習分、一日伸びます。ご了承ください」 受講者たちは、そう言われてぞろぞろと帰っていった。 「先生、大丈夫ですか?」 あまりにぼろぼろな高位魔女に彼女は声を掛けた。 「ええ、大丈夫です。私が一番軽くすんだのですから」 彼女が帰宅して、彼女の家族は彼女の無事を喜んだ。街の片隅にある家でも悪魔が現れたのは広がっているらしい。 「よかった、本当によかった」 母が彼女を抱いて泣いた。彼女も母を抱きしめた。 翌日の講習、受講者は半分に減っていた。あの最初の日から教員としていた高位魔女は現れなかった。代わりに昨日のぼろぼろだった高位魔女が講師として挨拶した。あちこちに包帯を巻いて。多分、治癒の魔法もあまり効かないのだろうと思う。 講習が終わった後聞いてみると、今まで教員をしていた高位魔女は亡くなったと言った。昨日の悪魔に殺されたと。
講習は、面白い内容もあればつまらないものもある。 生活についてのことは楽しかったが、政治面はわかりにくい。それでも、頭に入れておいたら良い、程度のことなので彼女は胸をなぜおろした。講習を受けるたびに異世界への思いは募っていった。 自動車ってなんだろう? ビルってどんな建物? テレビってなに? 語学は大変だった。だから自分の行く国に合わせて勉強したのだ。 「リサさんは……日本人顔ね」 「ニホンジン?」 「ええ、日本国。この国よ」 異世界の地図は球体で表している。それも不思議だった。教員は大きな大陸の隣にある小さな島を指した。 「こんなに小さいの、日本国って」 「ふふ、小さいかどうかは行ってみてから言うのね。じゃあ、習うのは日本語と、英語を少々」 「英語ってなんですか?」 「英語は異世界ではあちこちで話されてけれど、日本国では学校で習うくらいなの。あなたは学校へ行くべき年頃だから、少しだけでもおぼえておくといいわ」 「そうですか」 「あと、日本語は大変よ。ひらがな、カタカナ、漢字に謙譲語、丁寧語、尊敬語……」 「なんですか、それ!」 「異世界でも独自の文化だからなのよね」 彼女は、とんでもないところに行かされるのではないかと不安になった。こんな狭い国で、講習で聞いた自動車もビルもテレビもないかもしれないと。 「あの、ニホンってどんなところですか?」 「行ってのお楽しみ」 教員はくすくすと笑った。
どっかり雪降った。かなり水分の含んだ重い雪。 ところで、久しぶりにてっぺん来ました。でも、ここで愚痴りたくないです。むし返して、また腹が立つだけだから。 帰ったらプレゼントが届いていたんで暖和されたし。 何より、「ホームレス……!」(鋼10巻)に爆笑したらちょっとすっきりしました。(単純)
教員の記憶が消える。目の前には教室が広がった。 「もし、この中で高位魔女になることをやめたいと思った方がいたら、去りなさい」 教員はもう一度言った。数名が教室を出て行った。 「今年は優秀ね」 教員は、机に座る者たちを見回した。ほとんどがまだ座っている。 「今のを見て出て行かない人はあまりいないのに……」 彼女はおずおずと手を上げた。 「あの、先生」 「なんでしょう?」 「今の記憶は、全て本当なのですか?」 「ええ、もちろん。私が見たこと、です。ここに残った皆さんの中には現実として受け止めきれないこともあるでしょうが……。高位魔女になるのには覚悟が必要です。今のようなことが現実に起こることを忘れないでください。……では、今日はこれまでです。また明日」 教員が教室から出て行った。 短い時間と思いきや、もう昼を少しすんでいた。彼女はてっきり午後にかかると思い弁当を持参していた。母が作った物で大好きなイチゴのサンドウィッチだった。天気がよかった。彼女は公園でそれを広げることにした。 「講習ご苦労さん」 と、男の声だった。一緒に講習を受けていた人だ。彼女と同じくらいの年頃で、少年と言っていいかもしれない。彼女はぽかんとそれを見た。 「あんた、高位魔女になりたいのか?」 「うん。あなたもそうなんでしょ?」 「いや、俺は違う。俺は異世界に行きたいんだ。高位魔女は異世界に言った後でもやめることが出来るし」 「そうだけど……」 「まあ、お互いがんばろうや」 と、男は去っていった。 「そんな不純な理由でいいの?」 彼女はふと、異世界に行きたいという理由で高位魔女になるのではないかと思った。首を振って否定した。高位魔女になり、高給を得る。 どちらにしろ、不純だった。
こんな形で掲載すべきだなかった。 ちゃんと、ひとまとめにするべきだった。 まあ、やっちゃったモンはしゃーねーわ。
講習初日、彼女と同じように講習を受ける人々。彼女と同じくらいの年や年下の子。かなり年上のような人もいる。そして、男も混じっている。 この世界は男も女も魔法力はあるが、女の方が格別に魔法力は高い。高位魔女はそれを更に高いものだ。しかし、ときたま男でも高位魔女をしのぐほどの魔法力を持ったものがいるのだ。もちろん、彼らも高位魔女となれるのである。 「おはようございます、皆さん」 教員の一人が挨拶する。うら若い女の人で腕に金の腕輪をしている。高位魔女の一人だった。金の腕輪はその証。悪魔たちが出現しないときはそれぞれ何かの職についている。魔法に関することが多い。 「まずは、合格おめでとうございます。でも、本番はこれからだということは、わかりますね」 教員は、少し黙ってから続ける。 「まずは、皆さん。もし、高位魔女を目指していないのであればすぐにここから去りなさい」 誰も、席を立たなかった。もちろん、彼女も。 「高位魔女は悪魔と戦わなくてはなりません。わたくしも何度も戦いました。酷い怪我を負ったこともあります」 教員はブラウスの袖を捲り上げる。手首からひじにかけて赤黒いアザが広がっていた。 「戦いで、友人が目の前で殺されたこともあります。助けようにも、助けられなかったのです。それでも、高位魔女を目指すのなら残ってください」 彼女の目の前に、光景が広がった。教員が見せている記憶だった。獅子のような悪魔が襲い掛かった。彼女は一瞬目をつぶった。しかし、これは記憶だと自分に言い聞かせて目を見開いた。悪魔はまだいる。今度は鷲のような悪魔が一緒にいる。二匹は一緒にかかってきた。彼女は目を開けてそれを見つめた。彼女を通り抜け、一人の高位魔女が魔法を使い追い払った。 教員ではない魔女だ。彼女はその魔女を見ていた。 魔女の息は上がっていた。もう限界に近い。それを狙ったのか、悪魔たちは魔女を囲んだ。そして、血しぶきが上がった。悲鳴、悪魔たちが狂喜の声を上げている。悪魔たちが去った後には、魔女はいなかった。骨もない。衣類の切れ端が風に飛ばされた。
なさい、といいたい。でも、風呂入って飯を食わなければならない。
彼女は短い休暇のあと、一ヶ月間の講習を受けることになっている。その日までまだ間があった。彼女はその休暇をなるべく家族と過ごした。もちろん、別れなければならない友人たちもいたが、こちらは淡白だ。 「リサ、がんばってね」 「お土産よろしくね」 「高位魔女になったらお祝いするよ」 だから彼女は気兼ねなく異世界への憧れを語った。でも、家族の前ではそれをあまり口にしなかった。自分が耐えられなかった。父と庭いじりしたり、母とお菓子を作ったり、妹と街に洋服を見に行ったりとそんな時間をすごした。 異世界への講習はあっという間に始まった。一日も欠かすことは出来ない。異世界のことを一ヶ月間で頭に叩き込まなければならないからだ。もちろん彼女は真面目に受けた。彼女は、異世界に行きたかった。高位魔女になりたかったからだ。
実は、まるちゃん(東洋水産)の焼きそば弁当は、北海道でしか売っていなかった。塩だけじゃないのよ、ギター侍。 妹が、東京に行ったとき聞いてきた話だが、売ってなかったことに驚いた。そして、別のカップ焼きそば(不味いらしい)のCMでも登場する彼は、「おいしい顔ができませんから」と無表情でそのやきそばを食べているらしい。
一年が経った。彼の母はこの日が来ないことを祈っていたが、月日は無情に過ぎ去った。彼を引き渡さなければならない前日、国の唯一の魔女が彼女を訪れた。その魔女は、魔女であっても城に預けられることなく、そのまま自分の森で暮らしていたという魔女である。その魔女の森は、女王や従者を寄せ付けずにいた。ただ、たまに森から出て来てふらりと街の様子を見て帰っていく、変わり者だった。 「こんにちは」 その魔女は、そう挨拶した。 「あなたは……魔女レスティですか」 この魔女と接することは、女王陛下から禁じられていた。何故なら。女王の思い通りにならないからだ。 「心配することはないよ、気配は十二分に消したからね」 と、言ってレスティは家の中に入っていった。 「あ、あの……」 気配を消したからと言っても母は戸惑った。 「どうぞ、お構いなく。私は助言しに来ただけだからね。あんたの坊やはどこ?」 ゆりかごの中で眠る赤ん坊を見つけ、魔女は微笑んだ。しわくちゃな顔にさらにしわがよった。 「おお、めんこい坊やだこと」 節くれたの指で彼の頬をつついた。 「こんなめんこい坊やをあの強欲に渡さなければならないなんて、お気の毒に」 「……」 母は黙った。この子が女王に預けられないのなら自分はどうなっても構わない。しかし、彼女の他の者たちが、どんな仕打ちをされるのかわからなかった。自分たちはどうなってもいい、と夫の両親、自分の両親や身内は言ってくれたが、そうはいかなかった。誰もが、女王の恐ろしさを知っているからだ。 「でも、この子を渡さなければあの傲慢は何をするかわからないからね。いいことを教えてやるよ」 「なんですか。それで、この子を渡さなくてすむのですか?」 「いいや、この子が必ずここへ帰ってくるおまじないさ。だから真面目にやることだよ。まあ、おまじない自体は簡単さ。この子に名前をつけてやるのさ」 「名前をですか、でもそれは……」 女王が、魔女に名前をつけることがきまりだった。 「それを押し通すのさ。なーにアイツだって適当につけているだけなんだ。構いやしない。後生だと言って粘ったら折れるよ」 「なんて、名前をつければ……」 「願いを込めてつければなんでも」 「わかりました」 「わたしはこれで。幸運を祈ってるよ」 魔女は、そのままくるりときびすを返すと、家の出口まで向かう。 「あの、ありがとうございます」 その魔女は、振り向かずに家を出て、森へ帰っていった。
2005年03月07日(月) |
なんで私だけ責められる? |
ってなことが多い。そりゃ、もとを正せば私が悪いんだけどさ。 でも、なんかそれが自分だけ悪いっていうような責め方が嫌だ。自分やめるときは、絶対ぶっつりいなくなるようなやめ方でやめてやる、と思った日。 ちらりと、ニュースで。やる気のない公務員を首にする動きがあるようだ。でも、実際どうだか……。
彼はその地に、その時間に生まれたために、魔女となった。 彼の母は意図的に、彼をその地に生んだわけではない。たまたま、そこが魔女が生まれる場所で時間だったからだ。 彼が生まれたとき、城から数人の従者が来て祝った。 「今、このとき魔女が生まれたことを祝おう」 「魔女は我らのために」 「この日を大いに祝おう」 しかし、彼の母は眉をひそめた。 「この子は、男の子です」 それでも、従者たちは祝いの言葉をやめなかった。その一人がやんわりと母を諭す。 「男の子でも、この日、この時、この地に生まれたものは魔女なのですよ。多くの魔力を秘めた者ですから」 この百年、魔女が生まれたことはなかったので母は今生まれたばかりの子供がどうなるのかわからなかった。ただ、嫌な予感はしている。 「この子をどうするおつもりですか?」 と、恐る恐る尋ねた。 「魔女は一年間母に預ける」 「一年後、魔女は女王陛下がお預かりになる」 「そして、魔女は陛下により育てられる」 母はそれを聞いて絶望した。 「そ、そんな……」 しかし女王に逆らうことは自分どころか、夫、その両親、そして自分の身内にまで影響するだろう。 「ご心配は無用」 「魔女を産んだあなたにも幸福が訪れる」 「魔女にも幸福は訪れる」 「一年後」 「お迎えします」 「では、ごきげんよう」 従者たちが城へ帰ってゆく。 母は夫と共に一晩中泣いた。
田学、お雛様の巻。あれ、お払いじゃねえだろうが……。 昨日は、やっぱり飲みすぎた。昼頃まで使い物になりませんでした。午後はちょっと動いていたんですが、吐き気に見舞われてました。 辛かった……だったらそこまで飲むなって! では、ちょっと間が空きましたが、魔女魔女の話の続き。
彼女の母は複雑だったが、娘に出来うる限りの祝福を与えた。彼女の好きなものがテーブルに並んでいく。彼女の父親もあやふやな笑顔でそれを見ていた。 「今日はあのワインを出しましょうね」 とっておきのワインをあけて、家族で祝った。 「お姉ちゃん、異世界ってどんなところ?」 「まだわからないわよ。これから一ヶ月間、向かう世界のことを勉強してから行くことが出来るんだもん」 「いいなー、私も高位魔女目指そうかな」 「そうね、うちから二人も高位魔女が出たらすごいわよね」 彼女の妹と彼女は笑って話し合った。彼女ははじめて口にするワインを一口でやめた。彼女にはまだ早かったらしい。 「そうだな、リタも高位魔女になったら我が家は安泰だな」 と、彼女の父は笑った。しかし、本気ではない。 娘二人が、床についても、彼女の両親は自分たちの部屋で起きていた。 「あの子が、あの悪魔と戦うことになったら、私は夜も眠れないでしょうね」 母は、不安な顔で言った。ベッドを整えて自分は寝巻きに着替えている。 「私もだよ。異世界へ行くのですら心配だ。でも、リサは頭の良い子だ。それは魔法の使いかたとか勉強とかだけではないことは、お前もわかるだろう。だからこそ、異世界への許可が下りたんだ。それに、高位魔女になったからといってすぐに悪魔と戦わせることは女王様だってしないだろう」 「まあ、あなたったら。あの子がもう高位魔女になることを考えているのね」 「異世界までいけるようになったら、高位魔女になったも同じだろう。それよりも、我が家で高位魔女が出たことを名誉に思おう」 「確かに、すごいことだからね……」 「不安がっても始まらないことさ、もう寝よう」 「そうね、お休み」 母は、ベッド脇のろうそくの火を魔法で消した。闇が広まって、その部屋は静まり返った。
につき、休業。なんだか出だしからつまづいてますね。
田中学院は、結構まともな名前を使っているので、実在すると思っていたけど、本当にそうでした。実在する「田中玲子」様。すいません。 なんか、新しくはじめたばかりなのにこういうことして脱線してますね。十四日もそうですね。
お払い儀式は、静かに行われた。 「これで、大丈夫だろう」 と、貴乃の父。 「そうかしら?」 と、貴乃。 「まだ邪気は残っています」 と、可奈。 「どう?」 と、良介。これは自分に憑く『魔』に向けての問いかけ。恒例の降霊会の時、いつの間にか彼に憑いた『魔』。良介と同じ姿をしているが、これは憑いた相手の姿になるということらしい。ちなみに、この『魔』は、全人類が人のために思う気持ちにならなければ消えないという「結局自分が一番かわいい」という思いの『魔』である。 『ぜーんぜん。しっかしよ、あの人形にはおもしれーもんが憑いているな』 と、『魔』は自分のことを棚にあげてしゃべった。 「っと、とにかく夜になるのを待つだけだ」 貴乃の父はそういって、切り上げた。
その真夜中、お雛様が動き出した。まっすぐ、貴乃の父のものへ向かう。 「うわああ!」 その悲鳴に貴乃が飛び起きた。そして、自分の父の部屋に向かった。 「どうしたの! パパ!」 「ひ、雛人形が!」 苦しそうな声。見ると、女雛が貴乃の父の胸にある。 「これは、どういうこと?」 「これは、お嫁に行きそびれて一生を独身ですごした女性の怨霊なの」 「そういえば、雛人形はすぐ片付けないと、嫁にいけないってよく言うね」 「可奈ちゃん、部長!」 「いやあ、いいもの見れました」 「わたしも」 良介と可奈はいつの間にか貴乃の家にいた。 「可奈ちゃんが、真夜中に絶対何か起こるっていうから……」 「わたしの読みもはずれずにすみました」 「たぶん、日中には何も憑いていなかったんじゃないかな」 「じゃあ、今が払うチャンスってこと?」 貴乃は御札を懐から取り出した。パジャマ姿で。いつも身につけているらしい。 「いらっしゃい、式神ちゃん。あの怨霊食べちゃえ」 人魂のような白い丸いものが現れて、雛人形を飲み込んだ。そして、雛人形から怨霊が消え、白いものは満足そうに消えた。 「すてき。やっぱり貴乃ちゃんの式神は最高」 「久しぶり見れてよかった」 可奈と、良介も満足そうに帰っていった。 「なあ、貴乃」 「何、パパ」 貴乃の父は、雛人形を手でどかし、起き上がった。 「あいつらは、何しにここに来たんだ?」 「見に来ただけよ。さ、もう呪いも解けたみたいだし……」 貴乃は人形を持ち上げた。 ころっ…… 女雛の頭が転げ落ちた。
その雛人形は、高山家の押入れにある。その人形の元の持ち主は、気持ち悪がって引き取れないと言ったのだ。不幸中の幸いだが、貴乃は複雑だった。 初めて手に入れた雛人形の女雛は首がもげて接着剤でくっつけたものだったからだ。
えーと、タイムリーなことに田中学院でアクセスがありました。「田中学院」は実在する学校名でした。だから、「この話は架空であり、実際の人物や団体とは一切関係ありません」みたいなことを言っておきます。一応。 で、季節の伏し目に田学。今日はひなまつりということです。
高山貴乃。田中学院中等部でオカルト研究部部員。本日家業があるため早めに帰ることになる。 「パパー、それ何?」 彼女の家は神社で、父親は神主、彼女は巫女である。巫女と言っても正月にはおみくじを売ったり、七五三でもお守りを売ったりとその程度のことしかやっていない。今日は、バイト料も出るということで家業を手伝うことにした。 「見てわからんか?」 「雛人形はわかるけど」 なんの変哲もない雛人形が社の中にある。しかし、ただならぬ何かを感じ取って彼女はピンと来た。 「わかった、これ、夜中に動き出すんでしょ?」 「惜しい。夜中に動いて人の首を絞めるんだよ」 「おんなじでしょ」 まあ、そんな代物がここで預かるのは珍しいことではない。 「私のお雛様はないくせに、毎年毎年なんでいつも呪われているような雛人形がくるわけ?」 「それだけ、この世は闇に近くなっているんだよ。さ、お払いだ。お前も手伝ってくれ」 「だと思っていたわ、パパ。今日は観客がいるのよ」 「そんな、危険なことに一般人を巻き込むわけには……」 「大丈夫。呪いで死ぬような人たちじゃないから。可奈ちゃん、部長いいよ」 待ち構えていたように、その二人は入ってきた。 「初めてです。和式の悪魔祓いは」 と、東可奈。貴乃のクラスメイトで同じオカルト研究部部員。そして、岡崎良介、オカルト研究部部長。 「すいません、見学させてください」 「本当に大丈夫かね?」 貴乃の父は不安そうだった。 「大丈夫。可奈ちゃんは守護霊様が着いているし、部長には魔が憑いているから、全然平気」 「……あ、そう」 ともあれ、悪魔祓いが始まった。
お雛様は押入れの中。可愛そうですが仕方がない。 出したら出しっぱなしになる確率大。ほこりまみれになるよりはいいかもしれない。あと、お雛さん置く場所もない。(置いたら洗濯物おけないかも)
彼女は歓喜に満ちていた。彼女が手にしたのは合格通知書だった。羊皮紙に魔法文字で書かれたそれを天に掲げていた。 「リサもこれで一人前になるのねえ」 彼女の母はうれしさ半分寂しさ半分にいう。 「お母さん、あたし、異世界に行けるのよ。そして帰ってくる頃には高位魔法の使える魔女になっているのよ」 「まだそう決まったわけじゃないでしょ」 「でも、異世界に行ける魔女でも少ないのよ。ここまできたら、目指すは高位魔女、そして高給取り! うちの貧乏ともおさらばよ」 「その前にうちが破産しなきゃいいけど……。でも、リサ。あんたは私の誇りだよ。何せ異世界へ行ける許可を取ったのはお前くらいだからね。さ、今日はご馳走だね。リサの好きなものをたくさん用意しようねえ」 と、彼女の母は家に入っていった。続いて彼女も。 とある世界のごく普通の家庭での出来事である。ちょっとばかり魔法が発達した世界。もちろん人間たちは魔法を用いて暮らしている。そのほとんどは、「火を起こして料理したり、風呂を沸かす」「水を引き出して畑にまく」などのごく一般的に使うことができる魔法である。 「襲いかかる悪魔を殺す」「妖精を操りその能力を利用する」などの魔法は一般では禁じられている。この世界のこの国の女王がそれを定めた。このような魔法が飛び交うと無関係なものまで巻き込まれてしまうことを考慮した上だった。しかし、高位の魔女にはそれを許されている。こうした魔法の使い手がいないと、襲い来る悪魔たちに対処できないからだ。 この世界を脅かす悪魔のことは未知の存在である。悪魔はいつも不意に現れ、人間たちを連れ去っていく。その人間たちは誰一人帰って来ない。時には、人間たちを次々傷つけ殺していく。それが悪魔だった。悪魔は、同じような人間の姿から獣や鳥、魚を異様にしたものまで様々な姿がある。小鳥や小動物のような姿の悪魔は一般でも撃退できるが、姿が大きくなるにつれ強くなり、人間型の悪魔は最高位の魔女ですらたちうちできない、とされてる。人間型の悪魔は滅多に現れることはないので、あくまでそういわれているだけだが。 彼女が目指す高位魔女は、それらと戦わなければならない。それでも彼女は高位魔女を目指していた。
まだ、走り書きでしか書いていないので、うまく書けるかどうかもわからないのですが、魔女な話が書きたいがために書きました。 異世界からの魔女……すっげー使い古されてるわ。 とにかく、ぼけっとしながら走り書いた文章からはじめます。
魔女になるために。
「ここはどこなのよ」 彼女は途方に暮れた。あまりにも自分の世界とかけ離れた世界。言い知れぬ不安が彼女を襲った。それでも、彼女は魔女になるために、この世界に来た。 彼女が目指すのは、魔女でも最高位の魔女。百人に一人なれるかなれないかと言われる、高度な魔法を使うことが許される魔女を目指していた。
その地に生まれた者を、魔女とする。
その地は、月日や時間によって変化していく。だから、魔女となる者が生まれるのは稀であり、意図的に魔女を生むのは難しい。 彼は、その地に生まれたため、魔女となった。決して望んではいなかった。
この世界で暮らすために。
彼女はこの世界に入り込むために、家族を作った。魔法で記憶を操り、自分を娘として受け入れてくれるために。そうでなくては暮らしていけないと思った。まだわからないこの世界で。
魔女は、皆のために。
彼は魔女として扱われた。しかし、彼はその運命を拒んでいた。だから、この世界に逃げ込んだ。
二人は知らない。お互いに、自分の知らない世界から魔女が来ていることを。
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