気まぐれ日記
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二月の二十八日、最終日。 一ヶ月を四週間と考えれば、今月ほどちょうどいい日はないのですが、ほとんどの月は三十日ないし三十一日。 仕事の関係上、二十八日というのはすんごく半端。
もう、二月も終わりだと言うのに、寒い。 確かに一番寒い日というのは過ぎたのかもしれないけど、温かくなると言う考えを持っているのか、余計寒い。早く温かくならないかな……。
何をするにも半端なんだよね、今日は。 (新しく小説を始めるにも、ね)
実は、一つ出来かけているのがあるんですが……。 内容的に自分でなんともいえないです。
では、明日をお楽しみに。
夜10時半から黒バラやるので、すぐに終わります。
「すずめのゆで卵」名前由来。
キーワード 「銀行」(意味はない) 柘植 拓馬……拓殖銀行・通称「拓銀」。まさか、つぶれるとは誰も思わなかった北海道の銀行。よく考えると縁起悪い。柘植は拓殖に字が似ているので。 柘植 道子……北海道銀行・通称「道銀」。フィリップ(黒猫?)がキャラクター。地元でメジャーな銀行(だと思う)。
柘植 洋……親が北海道の銀行なら、息子も同じ。北洋銀行。草はここの通帳もっていないのでかかわりはない。でも、北洋銀行って、北海道発?
越田 水穂……みずほ銀行。なんとなく。
山口 一……山一証券。なんとなく。 山口富士子……UFJ銀行。
三井もみじ……三井銀行、もみじ銀行。「りそな」にしようかどうか迷ったが、「りそな」は漢字にしにくいので、もみじにしました。 以上、深い意味はありません。別に、山田太朗でもよかったんだよ。
三月いっぴからまた新しく何か始めたいなあ、と。
それからというもの、紅葉は卒業するまで何も話さなかった。卒業時、一言、「覚えておけ」という言葉を拓馬に告げた。 それが、今頃になって挨拶代わりに家族を誘拐するような人物になっていたのは拓馬にも考えられなかった。 「また、あの人来るのかな?」 「もう、やめて欲しいわ。あんな辛いのは嫌よ」 と、道子。我慢も限界きていたらしい。 「な、なにかされたのか?」 「ええ、あれは拷問だったわ」 洋は拓馬に耳打ちした。理由がわかった彼は苦笑いを浮かべる。 電話が鳴った。拓馬はすぐにとる。 「はい、柘植探偵事務所」 警察署からだった。誘拐と聞いては気になっていたようで無事を聞き安心したようだった。それから、 「実は、署に今朝ファックスが来まして……」 三井紅葉からだった。 文面は『いつか、国を揺るがすような事件を起こしてやる』と、言うものだった。 電話を切ると、拓馬はタバコに火をつけた。 「ねえ、父さん。結局あの人は、男? 女?」 「さあな。あいつなら女でも男子校にもぐりこんだだろうし、男でもおかしくない。私にも結局わからん」 「話は、終りね。朝ごはんにしましょ」 道子はそう言って立ち上がった。
数日後、越田水穂を殺害した犯人が見つかった。 犯人は山口一だった。 山口は金を返す当てがなく、結局水穂と口論となり殺害。 ちなみに参考になった資料は、洋が作った調査結果だった。 今のところ、三井紅葉は動きを見せていない。彼(彼女?)が動いたとき、柘植探偵事務所が活躍する、かもしれない。
終わり
2005年02月25日(金) |
そろそろ終盤に近づきました。 |
やっと、この書きにくい話から開放されると思うと、ちょっと淋しい気がするのは、私という人間はわがままなんすねー。
それから二人の縄をほどいて、二人を起こす。 「あら、あなた……」 「父さん」 「さ、帰ろう」 拓馬は、言葉少なかった。二人も何も話さなかった。それでも三人は歩いていた。家に帰るために。 「いろいろ聞きたいことがあるだろうが、今はもう寝よう。疲れただろう」 「そうね。洋、今日はもう寝なさい。ゲームなんかやっちゃダメよ」 「うん、そうする」 洋は素直に従った。彼も、そうしたかったのだ。 「私も休ませて。なんだか疲れちゃった」 「ああ、お休み」 「お休みなさい、あなた」 拓馬は事務所に入ってロッカーを開けた。その奥には古いアルバムがある。とある高校の卒業アルバムだ。それを開くと、まだ無精ひげも生えていない若い自分がいる。その横には、にっこりと笑うおとなしそうな子がいる。 「三井の奴、なんでまた……」 彼はそれをそのまま机に置いた。そして、自分も床についた。
「ねえ、これ本当に昨日の人?」 洋は疑いの目を向けている。昨日拓馬が見た写真を洋が見ていた。 「ああ、それが三井だよ。ほら、個人写真の名前もそうだろ」 「でも、あなた、男子校だったでしょ?」 と、道子。 「だから、俺もよくわからん。でも奴は三井紅葉だ。面影はあった」 「でも、あの人、自分は三井もみじだって」 「こうようとも読むだろ、もみじは」 それでも洋は納得いかなかった。拓馬は続けた。 「あいつは。昔からよくわからない奴だった。ガラの悪い先輩らに目をつけられても、平気な顔していた。放課後に呼び出された時に、ちょっといってくると言って、その後平然と戻ってきた。私にはよくなついていたな。まあ、それも深い意味はないと思っていたが……」 そして、あるとき紅葉は拓馬に言った。 「仲間にならないか?」と。 拓馬は、その時から探偵になりたいと思っていた。だから断った。その時の紅葉の顔は、悲しみと憎悪が混じったようなものだった。思えば、始まりはその時だったのかもしれない。
数十秒止まってしまった。 それほど、書くことがない。そんな一日。
夜十二時、拓馬はとある場所に一人いた。 十二時までは酷く長い静かな時間だった。彼は久しぶりに孤独を感じたのだ。 「おーい、三井。約束どおり来てやったぞ」 「あら、よくわかったわね」 「わかるよ。まったく」 三井と呼ばれた女性は、拓馬の前に現れる。 「探偵の真似事なんかしちゃって……それに、あんなブスの奥さんなんかもいちゃってさ、ムカツク」 「……妻と息子を返してもらおうか? 要求は何だ」 「要求なんかないわ、ちょっと挨拶するだけよ。あなたの奥さんと息子さんは、あそこにいるわ」 三井が指差したのは、プレハブ小屋だった。 「無事なんだろうな」 「もちろんよ。傷一つつけていないわよ」 拓馬は走ってプレハブ小屋に向かった。戸を開けると、確かに道子と洋がいる。二人は縛られて小屋の中央にいる。その間には、四角い箱と時計をくっつけた代物があった。 「時限爆弾か!?」 あと二十秒、で爆発するらしい。二人は縛られて眠っていて逃げられそうもない。 「たっくん、どっちかを切れば止まるわよ」 と、三井の声。 ご丁寧に箱の隣にハサミがある。そして、箱から二本のコードがはみ出ていた。 ピンクと青のコードが。 拓馬は舌打ちした。必ずどっちかだ。迷っている暇はない。拓馬は青いコードを切った。二秒前。 しかし、時計は一、ゼロと動いていた。 パーン!
クラッカー音が鳴った。あたりに紙ふぶきが飛び散る。拓馬があっけにとられていると笑い声が聞こえた。 「あはは、びっくりした? でも、最初に言ったでしょ? 挨拶だって。じゃあまたね、たっくん」 三井は、去っていった。 拓馬は、力なくというより、力が抜けてしばらく動かなかった。
あーもー、どうでもいいやって感じではじめます。
拓馬は自宅に戻り、タバコを吸った。夕方のことである。十二時まで時間は長い。彼は吸いながら考えていた。 何故、道子はさらわれた。続いて洋も。そして、何故パグを放さなければならないのか。 考えついた結論は、犯人は何も考えていないだろうというものだった。つまり、犯人はその時の思いつきで洋を誘拐し、わざわざ夜中の十二時に一人で来いと言ってきたのだ。 「ふだけた奴だ……」 だからといって、家族を誘拐されたらいい迷惑だ。
その頃、道子はとある場所に閉じ込められていた。妙な文を書かされたりして彼女はどうにかして、ここから抜け出そうと考えていた矢先、洋が加わった。 「洋、あなたも捕まったの?」 「母さん、無事だったんだ。よかった」 「お父さんは?」 「母さんが誘拐されたから、一応警察に届けにいったけど……でも、あの人にはお見通しらしくて、警察署に電話してたよ」 「そう……とにかく、ここから脱出しないとね」 ドアには鍵がかかっている。窓は小さく出るには無理だった。 「こんなとこから出るのは無理だよな」 「うーん……私はもう限界まで来てるんだけど」 道子が困り顔で言う。 「何が?」 「とにかく、早く出たいわね」 その時、ノックが鳴った。 「はいるわよ」 入ってきたのは大柄でたくましいといった女性だった。不釣合いなメガネをかけている。そして、道子と洋を誘拐した張本人だった。 「あなたが、どういうおつもりで私たちを誘拐したのかわかりませんが……」 「まあまあ、とにかくおなか空きませんこと? 軽食をご用意したの。お食べになって」 と、ピンク色のランチボックスを差し出した。 「そんなことよりも」 と、道子はボックスを受け取って洋に渡す。 「何かしら?」 と、女性はたじろいだ。道子が真剣に見つめているからだ。 「お手洗いはどこかしら」
休ませていただきます。決して、文につまったわけじゃありません。 でも、文につまってるのは本当だわ。
月ミス。全部見てしまった。殺人起きないのに。
洋の残りの春休みは、母親救出のために使われることになった。パグを家から出すのだが、洋はその後をついていくことにした。淋しそうにするパグは家の前をうろうろしたが、しばらくして徐々に家から離れた。その後を気づかれないように洋が追う。犬の尾行は初めてだった。 パグはうろちょろしながら歩く。だから気づかれるのではないかと思いながら、彼は慎重に行っていた。慎重すぎて、あることに気づかなかった。 「坊や、おとなしくしてるなら怪我はないわよ」 背後からの声。冷たいものが首に当たった。それが何かはすぐにわかった。パグが首根っこをつままれ、車に入れられた。そして、同じく自分も。ちょうど、人通りのない道での出来事だった。
拓馬は、そのまま警察署に向かった。もしかして家の中に盗聴器があるかもしれないと思い、直接届けることで犯人が知ることがないようにした。 「犯人からの電話連絡もないんですか?」 「はい。この怪文書とハンカチのみです」 「で、問題の犬は?」 「息子が後を追っています」 「そんな、もし危険が……」 その時、署の電話が鳴った。いや、いつも電話は鳴るだろうが、このときは嫌な予感がよぎった。 「はい……えっ? なんだって?」 「柘植、さん。あなたにお電話です」 嫌な予感はさらに増した。 「はい、柘植です」 「息子も預かった。今夜十二時、町外れの工場まで一人で来い」 妙な声が流れる。ボイスチェンジャーで声を変えていた。 「洋まで……くそっ!」 拓馬は唇をかんだ。 「柘植さん」 刑事の一人が声を掛ける。 「これは、もはや私の問題だ」 彼は警察署を出た。
2005年02月20日(日) |
なんだかんだやってますが |
ようは、もう面倒なんです。 「すずめのゆで卵」は失敗ですわ。このままお間抜けに終わりたい気分です。書くのも飽きた。(かなり最初の方から) 書きなれないせいだけでなく、まったくジャンル違いでもあるかも。そもそも、推理なんていうものはトリックの思いつかないわっちには無理だわさ。 でも、推理でなく直感は働きやすいので、犯人だけはわかる。(トリックは説明されてもわからないときがある)
謎の怪文書。でも、謎だからこそ怪文書。しかし、洋はそれを調査することはない。何故なら、あさってから学校。新学期が始まる。そのためか、講習も今日明日はない。だから彼はのんびりとゲームでもやることにした。 何時間かして、ふと気づいた。 「そういや、母さん今日は早番なはずだけど……」 母、道子が帰ってこない。帰りに買い物をしてきても、とっくに帰ってきていいはずの時間だった。彼はゲームをやめて父のいる事務所へ向かった。やはり母はいない。 「父さん、母さんは?」 「いや、まだ……。そういえば、遅いな」 ガシャン! 「うわっ!」 事務所の窓が割れた。破片が飛び散った床に丸い白いものが転がっている。ハンカチに包まれた石だった。 「洋、怪我はないか?」 「いってー!」 石が手に当たっただけで外傷はない。それでも痛い。 「大丈夫、痛かっただけだから。それより……」 ハンカチを開くと、そこには字が書かれている。よく見慣れた、道子の字だった。 『家族を見殺しにしていいのか? 早く犬を放せ 警察には知らせるな』 「これ、母さんの……」 「ああ、これは書かされたんだな」 「じゃあ、母さん誘拐されたってこと?」 「これは……」 拓馬は唸る。 「これは、柘植探偵事務所創設以来の大事件だ!」 「っていうか、そんな事件一度もなかっただろ」 しかし、母、道子が誘拐されたのは本当だ。警察にしろ、大事件である。しかも、要求は犬を放すことだけだ。 「昨日の怪文書の犯人と同じだって思っていいね」 「そうだな」 拓馬はハンカチをじっと見つめた。手がかりはまだ見つからない。 「お前、一体、何だって言うんだよな」 洋は見た目はなんの変哲もない犬、パグを抱きかかえた。首輪もない犬はおとなしく抱きかかえられている。
2005年02月19日(土) |
♪飛び方を忘れた小鳥のように~ |
ディレクターズカット版、クリア。 しかし、狙いのエンディングではなかったため、惚れ薬利用して再チャレンジ。 それにしても、ルシファーは顔は良いくせにイカレてますわ。ノートンに匹敵してるかも。
ドラクエ攻略本。いつものようなガイドブックかと思いきや、なかなか楽しめるように出来てました。(地元で巨大な本屋では売れ切れで、小さな本屋にはおいてあった) 世界編の方が楽しめるかと思います。 あと、フィールド上の宝箱も親切にばっちり教えてくれてます。(チェック項目も) 知識編にはおなじみアイテムのイラストばっちりなのです。(特に四コマ作家が喜ぶ)でも、やる方にとっては結構どうでも良いのですが、目の保養にもなるでしょう。 再チャレンジしてお目当てのエンディング見ました。二人分見たのでちょっと得した気分。
昨日のことですが、二十年ぶりの記録的な大雪で職場の前の坂で立ち往生。みんなで雪かきしてどうにか車を進めました。 もう一回くらいくるんだろうか? 雪……。
「嘘をついたっていうことか?」 「うん」 自宅にて拓馬は唸った。洋が描いた人物画は紛れもなく山口氏だった。 「でも、なんでだろ。やっぱり山口さんが犯人なのか?」 「そこまではわからん。ただ、疑われると思うだろ、普通。だから、知らないと言ったんだろ」 「じゃあ、越田さんから金を借りていた人たちをピックアップしていけば……」 「まあな、そのうち当たるだろ」 「なんか、父さん乗り気じゃないね」 「ああ、そうなんだ」 拓馬はテーブルに一枚の紙切れを置いた。雑誌や新聞などの字をつなぎ合わせて作った怪文書だった。 『このイえ は のろワレていル ただチに犬をはなセ』 「なんだ、こりゃ?」 「すごいだろ、ただの怪文書ではないだろ」 「ただの怪文書だよ。犬って、パグのことかな」 パグは生意気にもソファーの上にあるクッションの上で昼寝をしている。 「で、父さんはそれで何もする気がないんだね」 「そうだ、こんな面白いことはない」 拓馬は妙にうれしそうだった。山口氏のことなどもうどうでもいいらしい。
にしたい。 もっと、お間抜けに切羽詰らせたいです。 よくわかりません。 ところで、ハヤシライスにたけのこって罪悪でしょうか?(意見求む)
「そうゆうわけで、父さん。俺は納得いかない」 洋は、山口氏の報告書を渡し、父が一通り目を通したところで言った。 「なるほどな。では、洋。私の情報を少しやろう」 「情報?」 「山口氏は、先日殺された越田水穂と不倫していたとしたら、どうする?」 「なんだよ、それ唐突すぎだろ」 「越田水穂が殺されたとなれば、山口氏が離れるのは当然だろ」 「そりゃ、そうだろ。疑われるかもしれないし。でも、そりゃ、ありきたりすぎだろ、いくらなんでも」 「そうか? これを見てみろ。お前が描いたんだ」 「あっ」 拓馬はチラシの裏に描かれた人物を見せた。それは、紛れもなく山口氏だった。 「ま、これが大した証拠にはならないがね」 確かに、山口氏がいてもおかしくはない。皆野次馬していたのだから。しかし、可能性もないわけではない。 「さて、どうする? 洋?」 「うーん、ゲームやってくる。裏ダンジョンやっとみつけたから」 「……」 拓馬は、まったくどうしょうもない息子だと愚痴った。
翌日、洋は山口氏の会社に訪れた。 「初めまして。すいませんお忙しいところ」 「君は、一体? 見たところ学生でしょ?」 洋は父親の名刺を渡した。山口氏はそれをチラッと見ただけで内ポケットにしまった。 「ええ、まあ。でも、探偵の真似事をしているんです。単刀直入にお聞きします。越田水穂さんをご存知ですか?」 「……ああ、彼女からお金を借りたことがあるよ。彼女はお金持ちだから」 「そうだったんですか。ところで、その越田さんがなくなったことは?」 「いえ、知りませんが……? なくなったんですか?」 「ええ、アパートの自室で自殺しました」 「そうですか……ありがとうございました」 「いいや。これくらいのことなら」 それから山口氏と別れて、洋は会社を出た。
寒い。 居間のすぐ隣の部屋ですら黙っていると寒い。だから書き込みが短いのですよ。 今日、普通救急救命講習を受けた。訓練用の人形(アンさんという名前らしい)は、本物のデスマスクらしい。(古いため、壊れかけていた)ちなみに、私はメリーさん(メアリさん?)でやりました。
洋は、昼までぼんやりとすごした。本でももってくりゃよかった。それとも携帯ゲーム機? どちらにしろ暇だった。自分と同じく誰かを待っているのか、時間をつぶすためなのか、ロビーのイスに座り、ぼーとしている人がいる。日曜日なので、人が多いような気もする。 彼は時計を見た。まだ、昼まで時間はある。一度、ビルを出て、本でも買いに行こうと思った。 ようやく昼になった。彼は山口氏のオフィスに向かった。どうやら昼で会社をしめるらしい。皆が、帰り支度をしている。もちろん山口氏も。洋は勝手に「今日は日曜なので昼までだ」という判断をした。本当のところは急ぎの仕事が昼で終わったからなのだが間違ってはいない。 山口氏を尾行して、彼は山口氏の自宅に戻った。 「?」 その後日も山口氏を尾行したが不倫の不の字も出てこない。一週間後、山口氏のいないときを見計らって、奥さんの富士子に打ち明けた。 「この一週間、旦那さんを尾行しましたが、浮気をしている様子はありませんでした」 「そうですか。私の勘違いだったのかしら」 「いえ、もしかしたらすでに縁を切ったのかもしれません」 「……でもそうだとしたら、何故縁を切ったのかしら」 「そこまでは、なんともいえません」 「そうですね。人の心まではわかりませんよね。私も、これで主人の浮気が終わるのなら、今までのことはなかったことにします。ありがとうございました」 一週間分の調査料と依頼料を振り込んでもらうように言い、彼は山口家を後にした。 なんとなく後味が悪い。
なんか二日開けただけなのに、久しぶりって感じ。
洋はまず、山口家に向かった。玄関先を箒で掃いている女の人がいたので、話しかける。 「こんにちは。柘植探偵事務所のものです」 「まあ、しばらく返事がなかったから、どうなっているのかと思っていましたわ」 「すいません。依頼順に片付けているものですから」 この女の人が依頼主の山口富士子であることを確認する。 「で、旦那さんはお仕事ですか?」 「ええ、そうよ」 会社の名前や住所は書類に記されている。 「では、今日から開始します」 「よろしくお願いね」 まず、山口氏の会社へ向かった。大きなビル内の小さな会社といったところだろうか。洋が入ったところで何もいわれなかった。三階が喫茶店なので、そこを利用する人も少なくない。山口氏の務める事務所は五階で、ガラス張りの囲いの中にある。こちらとしては都合はいい。 山口氏は、事務で文字通り働いていた。書類を書き、電話を受けて、コピーを頼み、上司に相談し……。洋が知らない世界がそこにある。しばらくして洋は移動した。ここにいても仕方がないし、怪しまれる。昼休みにまた着てみることにした。それまで、一階ロビーのベンチで過ごすことにした。
日記自体は更新されているけど、表示はおとといのままになってるわ。 今日はバレンタインデーということで、特別(?)企画。田中学院の話をやります。季節の節目にはやっぱり「田学」ですね。(なぜ?)
田中玲子。田中学院の大学部にして、理事長の令嬢である。去年だか一昨年だか三年前だかに変人、東可奈他四名にそそのかされて悪魔に恋を託すという荒業を試みたが、結局、中野春季は男に走ったままだった。そして去年クリスマス、岡崎優介に婚約者がいることが発覚し、失恋。しかし、転んでも只で起きないのが玲子だった。 彼女は上機嫌で自宅のキッチンにこもっていた。鼻歌なんかも歌っている。彼女はもう数え切れないほど恋をしたが、新たな恋に熱を上げている。相手は、岡崎秀介。同じ大学部の生徒だった。田学一、二を争う変人岡崎良介の兄で、優介の弟、つまりは次男なのだ。 「やっぱり、バレンタインに誰かに頼るっているのが大きな間違いよね」 彼女は今、上機嫌でチョコレート製作にいそしんでいる。 彼女は少し前のことを思い返していた。 あのときのバレンタイン前、悪魔を呼び出したのはいいが、もはや理性など吹っ飛んでいる悪魔で願いをかなえるどころではなかった。クリスマスのときも呼んだっけ? あの時は、恋に関するメレンゲだかの悪魔を呼び出そうとしたら、総大将のサタンが現れた。一応願いを言ったが聞いてもらえなかった。 「チョコレートは買ってもいいけど、やっぱ手作りよね」 ともかく、彼女は上機嫌だった。すくなくとも。
翌日、岡崎秀介のロッカーにはチョコレートが詰め込まれていた。変態にしか好かれないことを知っている彼には、うれしくともなんともない。このチョコレートの送り主は、ファンクラブだかなんだかの変態団体のやつらからだ。 「鍵かかっているのに……」 鍵は壊されていた。 「用務員さんに怒られるのは俺なんだよッ! たくっ!」 「おはよー、なんだよ朝からカリカリと」 と、春季。 「まさか、お前からもねーよな、このチョコレートの中に」 「あー? お前は甘いもの嫌いだろ。わざわざそんなもんはやらねーよ。それよりも、今日はトンデン軒がバレンタインセールでチャーシュー三倍なんだぜ」 「へー、おめえのおごりでなかったら行く。これはおめえにくれてやる!」 ロッカーに詰め込まれていたチョコレートを春季に渡した。 「お前な、こうゆうものはありがたく受け入れて、食ってやるもんだろ」 と、言いつつ春季が一つ包みを開けて、中のチョコを食べた。 「うっ! なんだ、これ、変な味が……」 「おい、春季……やっぱり」 「か、身体が……しびれるッ!」 その場に倒れこんだ春季。そこへ、我らがヒロイン、玲子がやってきた。春季を踏みつけて。 「おはよ、秀介。あら、春季。何そんなとこで寝てるの?」 「うるぜー、どけれ」 「はい、秀介。今日はバレンタインデーでしょ?」 「?」 「どしたの? この私が愛情込めて作ったチョコレートよ」 「お前さ、俺が甘いもん嫌いなの知ってて、わざとやってんのか?」 「はう! そうだった……」 玲子は、がっくりと肩を落とした。 「ごめんね、私としたことが……」 「大丈夫か? 玲子? お前最近おかしいぜ?」 「そ、そんなことはありませんことよ」 「ふーん、じゃあ。あっと、春季、保健室までつれてってやる」 秀介は春季を引きずってロッカー室を後にした。 「恋は盲目ってやつ?」 「それにしても、玲子先輩って報われないわね」 一部始終を眺めていた双子の姉妹、夏季と秋季はそう目で合図をした。 「ちょっと、あんたたち、何やってんのよ」 「もちろん、取材ですわ」 「玲子先輩、気をしっかり」 「って、あんたたちも授業でしょ!」 「きゃー、遅刻よー」 「いっそげー」
こうして、玲子の『2005バレンタイン大作戦・シンプルな攻撃は実は◎』は終わった。
2005年02月13日(日) |
やっぱり、こういうつもりでは |
なかったんですよ、この話は……。って、いっつも思っているんですけど、これほど自分の思うように行かないこともないわ。(え、と。「わ」は訛りです。今更ですが今まで男性キャラが使っていて、「オカマ化?」などと思った皆様、それは間違いです。……訛りなのか?) しかも、どう進むのかわからないので、毎回短いです。 洋が、田中学院生徒とはっきりすれば、ふっきれて今までと違う方向に進んでしまうと思うので、今はまだやめときます。
関係ないけど、今日特番でなかった平教の宿題の答え。 式など略。(めんどくさい)
70.65-18√3c㎡ 多分。自信あまりない。(ルートってなによ、はっきりしねえなあ)
そんなわけで、ちょっとフラストレーション(?)がたまっていて、別なものが書きたいです。 もっと、はじけた(?)感じのものにしたかったんですが。 メガネキャラを(しぶしぶながら)考えてくれた友人が、前言撤回を求めてきたのですが、もうどう変えてよいのかわからないので、どうなるのかもわかりません。 あー、違うのが書きたい。
スタオーのディレクターズカット版にて、ボイドと契約した。妹が辞書にて驚いたといっていたが、ホントに驚いた。 耳、とんがっている理由がわかります。(?)
犬はしばらく、柘植家の一員となった。 「犬じゃかわいそうだよな」 と、拓馬。 「何か名前をつけてあげましょ」 と、道子。 「でもさ、名前何かついてんじゃねえ?」 と、洋。 「うーん。パグ」 「それは犬の種類の名前だろ」 「それでいいんじゃない」 こうして、犬はそのままパグと呼ばれることになった。喜んでいるのかパグは短い尻尾を勢いよく振っている。 「よかったわね、パグちゃん」 道子が呼ぶと、パグは顔をこすり付けて甘えてきた。
調査その三、不倫相手は、なくなっていた。
今日は日曜日ということで、さすがに講習は休みだった。だが、洋にはまだノルマが一つ残っている。と、いうことで、日曜日はまるまる不倫調査をすることになった。 朝ごはんを済ますと、依頼書を読み直す。依頼主は主婦で、どうやら夫が浮気しているらしい、というもの。証拠を掴んで真相を知りたいと言うのが依頼。この男の名は、『山口一』普通のサラリーマンらしい。 「じゃ、いってくるね」 「いってらっしゃい」 拓馬はすでに違う調査に出ている。お見送りは、道子とパグである。 「あ、そうだ。ついでにパグちゃんのごはん買って来てね。ドッグフードをね。いつまでもご飯じゃダメだからね」 「はーい」 洋は生返事をして、家を出た。
菓子会社の戦略。でも、メリーのチェリーボンボン、すっげーうまいので、自宅用に買っちまった。お酒の弱い方は遠慮した方がいいですが。
「父さん、この犬、どうする?」 「ふーん、今夜はとりあえずうちに泊めるか」 拓馬は犬を抱き上げた。一応抵抗はするものの小型なために意味がない。 「かわいいワンちゃんね。捨て犬かしら?」 「だったら保健所に連れて行かないとな」 「でも、殺されちゃうんだろ?」 「すぐには殺されないだろ……」 犬の行く末を思うと皆、黙った。しばらくした後、道子は夕飯の支度をすることにした。冷蔵庫のありものを片付けると、夕飯はすぐに出来上がった。犬にはご飯をやった。 「ご飯でいいの?」 「いいのよ。変なものを食べさせるよりは、ね」 洋は、ご飯を一生懸命に食べる犬を見ていた。不思議なものを見るように。 「あ、そうだ」 拓馬はビールを一口飲んで気がついた。 「どうしたの、あなた?」 「京子さんの不倫相手が決まったぞ」
翌日、マンションに問い合わせると、条件が合えばペットはOKだった。後は京子が承諾すれば万事OKだ。 「へえ、不倫を勧めるねえ」 と、洋。学校へ向かうところだった。 「まあ、相手は犬だからな」 「でも、この犬だって出所不明だし。もしかして迷子かもしれないじゃん」 「それはもう、手を打っている」 拓馬は今朝、保健所に連絡を入れていた。今のところ、この犬の捜索願いは出されていないようだった。 「京子さんが気に入ってもらえればの話だが」 拓馬は犬を連れてマンションへ行くと、京子は困ったような顔をした。 「どうしたんですか? この犬?」 「実は、あなたの相手役にどうかと思いまして」 「でも、私、犬は飼ったことがなくて。はっきり申しますと苦手でして……」 「あ、そうですか……」 「でも、ペットがいれば淋しくないですよね。ありがとうございます。私、前から飼いたいものがあったんです」 「へえ。犬は苦手ですから、猫ですか?」 「猫はアレルギーなんです。実は爬虫類が好きで……イグアナなんかを。ほら、マンションでも飼いやすいし、主人も好きなんです」 「はあ、そうですか」 アイデア料として気持ちだけの料金を胸に、拓馬は犬を連れて家路に着いた。 「お前、しばらくうちにいるか?」 犬の短い尻尾が左右にゆれた。
2005年02月10日(木) |
こんな話にするつもりはなかった |
んだけどなあ。どうしても、実際の探偵業というのは、不倫調査くらいしか思いつかないんだけど……。あ、人探しとかも? ドラマなんかも、実際探偵ではなく、偶然居合わせた主人公が偶然解いているような感じだから、コナンとかは異例中の異例なんだよ、きっと。
拓馬が家に戻ると、犬が一匹玄関でうろうろしていた。 「ん?、依頼人いや依頼犬か?」 雑種らしいが、パグの顔をしていた。大きな目を拓馬に向けている。 「お前、まだいんのか?」 洋が玄関から覗いた。 「あ、父さんお帰り」 「ただいま。なんだこの犬は?」 「なんか知んないけど、ここから離れねーんだ」 「ふーん」 実は、昨日洋が、菓子をやった犬である。どういうわけか家からはなれずうろうろしていた。追い払っても何をしても、玄関に向かってくる。諦めた拓馬は放っておいて自分は中に入った。 しばらくして、道子がパートから帰ってきた。 「あら、ワンちゃん。どこから来たの?」 玄関先で犬と目が合った道子は、しまったと思った。しかしもう遅い。ドアを開けるなり、犬は入っていった。 「あ、こら」 遠慮なく犬は玄関から居間へ入っていった。 「なんだ!」 「あ、さっきの犬!」 柘植家はその犬を追い掛け回し、大騒動になった。で、落ち着いたのは午後六時過ぎ。柘植家の夕食時間を過ぎていた。
エラー起こして、全部消えちゃったよ。
京子が、お盆にお茶と羊羹を乗せて戻ってきた。 「甘いものは大丈夫ですか?」 「ええ、いただきます」 拓馬は、甘いものに目がない。特に、チョコレートをつまみにブランディーをやるのが好きだった。そんなところにも道子は惚れたのだ。 お茶と皿に盛った羊羹を拓馬に差し出すと、ややして口を開いた。 「罪の意識はあります。でも、淋しいんです。一人で過ごすのがとても。一時期は、習い事とかいろいろやりましたが、ダメでした。夜が来るのが辛くて」 「だからといって不倫に走らなくても……」 「そうですよね」 「でも、お話はわかりました。何か方法を考えましょう」 拓馬は、爪楊枝で羊羹をさして口に入れた。そこに熱い茶をすする。彼はそれが好きだった。 「それと、今夜は私のうちへ泊まりに来ませんか? 家内と息子がいるので淋しいことはありませんよ」 「せっかくですけど、今夜はうちにいたいの。主人が電話をかけてくる日だから」 「そうですか、では都合の良い日にでもどうぞ」 「ありがとうございます。すいません、わがままを言ってしまって」 「いえいえ、普通の不倫調査よりは楽ですから」 と、言いつつ彼は「はて、どうするか」と考えていた。
変な話だなあ……。
焼きそばを食べ終わり後片付けすると、彼は依頼人の話を聞くことにした。何しろ、浮気がしたいから相手を探せっていう内容なのだから。 「おい、洋。どうした?」 「依頼人とこいってくる」 「なんでだ?」 「だって、浮気相手を探すんだぜ。好みとかも聞かなきゃ」 「はあ?」 洋から依頼書を取り上げ、拓馬は眼を通した。何度もうなずいて、彼はいった。 「教育上よろしくない。これは私が引き受ける」 「何を今更」 こうして、洋はノルマを一つ取り上げられた。
拓馬は依頼人の家に行った。 「こんにちは、柘植探偵事務所です」 京子の家はマンションの一室。三十代前半の美人であった。 「あら、探偵屋さん。今日は何か?」 「ええ、実はあなたの依頼に取り掛かろうと思ったのですが、具体的なことがお聞きしたくて伺いました」 「あら、そう。そういえば、そうよね。どうぞ、あがってください」 「お邪魔します」 リビングに通されて、座布団が用意された。 「どうぞ、お座りになって。今お茶をお持ちします」 「お構いなく」 こぎれいに掃除されている部屋だった。子供はいないらしい。子供がいたのなら、このきれいさを保てないだろう。 「京子さんは、不倫相手をお探しで?」 「はい。夫は単身赴任で……」 ありがちなパターンだ、と拓馬は思った。 「毎日が淋しいんです。子供がいればまだいいのでしょうけど……」 「私どもは、探偵なので深くは追求できません。奥さんに罪の意識がなければ、探して来ます」 「……」 京子は黙って立ち上がった。湯が沸いているのでお茶を持ってくるのであろう。
平教の宿題のこと。三角形の定義はわかるが、長さの定義はいまいち覚えてないので、ネットで調べたらあった。
数分して書きあがった人物は、三十代ほどの男性でやや面長の普通の青年だった。 「平凡な顔だなあ」 拓馬は、それを手にとって眺めてテーブルに置いた。それ以上、興味はないようだった。 洋は立ち上がって、自分の部屋に向かった。 「なんだ、どこへ行く?」 「部屋でゲーム。面白いテレビないし」 「あ、そう」 洋には、大事な使命があった。世界の平和を取り戻すという。あくまで、ゲームの話だが。
調査その二 浮気相手を探せ
補習中、居眠りをこいた。教科書でたたかれ起こされる。 「お前、何のために補習を受けてんだ」 ややあきれ顔の教師に言われ彼はぽかんとする。昨日、見事に彼は世界の平和を取り戻した。一度全滅したため更に己を磨き、再度挑戦してラスボスを倒したその時、夜中の二時を過ぎていた。 「柘植、お前ここはエスカレータ式の学校だがな、世の中の中学三年生は受験して高校に受かるか受からないかの瀬戸際なんだぜ」 「はーい」 笑っている何人かの生徒にも、教師は声をかける。 「お前たちも、そういうことを考えろよ」 午後十二時、洋は学校を出た。今日はもう補習はない。家に帰ると、昼飯と依頼書が置いてあった。例のノルマである。浮気調査、と。 「おかえり」 母、道子が玄関に向かっている。入れ違いで出て行くらしい。 「ただいま。今から?」 「ええ、おやつは冷蔵庫にあるからね」 「いってらっしゃい」 昼食の焼きそばは、今作られたのか温かかった。彼は依頼書を読みながら食べた。青海苔が飛ばないよう気をつけながら。 『依頼人名 山田 京子』 『依頼内容 浮気相手を見つける……』 よく読むと、今までの内容とは違う。普通、浮気相手を見つけることの意味は不倫の立証をすることだが、これは浮気相手を探して欲しい、つまり依頼人は浮気をしたいので相手を見つけて欲しい、という内容だった。 「なんじゃ、こりゃ?」
主人公が男でも、やっていることは同じ。 (あと、メイドが若い(笑))
「……越田水穂二十四歳で、警察では殺人事件と断定して捜査を続けています」 と、ニュースは続き写真が出されて、拓馬はため息をついた。 「まだ若いのに可哀想になあ」 ビールをがぶりと飲み、空になったコップにつぎ足した。他のキャスターとの二、三言のコメントの後、「次のニュースです」という声が聞こえた。明るいニュースらしく笑い声が聞こえる。先ほどの湿っぽさはもうなかった。 「ねえ、父さん。野次馬が急にふらっといなくなって変か?」 「なんだ、洋? そんな奴がいたのか?」 「うん。俺はほとんど素通りだったけど」 「うーん、用事があったら見たいけど立ち去るだろうが……。顔、覚えているか?」 「うん」 夕飯の後、洋は、紙と鉛筆をテーブルに放り出した。茶碗を洗ったあと、一気にそれで似顔絵を描いた。彼は写真のようにその人物を書き出した。美術五は伊達ではない。
小説を買って読んだら、主人公が男だった。ドラマは結構アレンジされているのだね。雑誌か何かで、作者が「何書いたか覚えてない」といっていたらしい。初版が昭和59年なので、納得。 それでも、小説版も読んでみると面白いと思うので。昔の外人俳優さんの名前と顔を一致できたら、さらに楽しめるのだけど残念ながら草は無理。 筒井康隆のショートショートは高校の時にはまってたけど、最近はぜんぜん読んでなかったなあ。
余談話。
今回書いている登場人物の名前はあるものをもじったりしてつけています。柘植一家は地元のばかりです。 ちなみに、この話を書く前、友人に「メガネのキャラが書きたい」とのたまりました。しかし、「メガネいなくていい」との返事。「それでも欲しい」と言ったら、「ごっつい女性で体力自慢でお人よしでかわいい物好きの王宮兵士で伝令係」とかと言ったので「それじゃ、そんな感じで」とOKしました。彼女が、形で現れるか楽しみにしてください。 もう一つ、ちなみに洋は田学生徒だったりなかったり。
2005年02月04日(金) |
おちおち五百円貯金もできない |
偽五百円玉が多量に見つかったとニュース。貯金缶に入っている五百円は大丈夫だろうか。あと、うっかりとスーパーで買い物も出来ない。その昔の「日本の安全神話」はどこへいったんでしょうねえ。
「ただいま~」 洋はとりあえず、台所に向かった。今日の夕飯のから揚げはラップされてテーブルにある。それをレンジに入れた。そして、ガスレンジにある味噌汁を温めなおす。 「親父、飯」 事務所側に大声を上げておく。六時は、特に用事のない限り柘植家の夕飯の時間だった。 冷蔵庫を開けるとレタスが入っている。大雑把にちぎってあるところを見ると、から揚げの付けあわせらしい。洋はそれを皿に適当に盛り付け、レンジで温まったから揚げを適当に盛り付けた。それから、炊飯ジャーからご飯をよそう。 やっと、父が降りてきた。居間にあるテレビをつける。いつも見ているニュースにチャンネルを合わせた。 「洋、ビール」 「自分で出せよ」 洋は「いただきます」と言ってもう食べ始めた。何かに気づき立ち上がってガスの火を消した。父はしぶしぶ自分でコップとビールを出す。彼はその間に味噌汁を盛って置いた。 「次のニュースです」 テレビからそんな声を聞いた。いつものことながらニュースは絶えず報道される。女性キャスターの口から、地元のニュースが流れてきた。 「今日午後三時頃、アパートで女性が刺殺されているのを発見されました」 父はから揚げを食べる手を止めて、ニュースを見た。 「こりゃ、近所だな」 「ああ、これ。帰る途中、通ったな」 「お前、こんなチャンス滅多にないのに、そのまま帰ってきたのか! なんで捜査に協力しない」 「あんな、いくら探偵だっていっても、捜査してる中に入れるわけねーだろ。ドラマとか漫画だったら簡単だろうけど、実際実績と信頼をつまねえ限りむりだろ。捜査やりたかったら親父も事件の一つや二つ、解決してみれ」 それもそうだと、父・拓馬は納得した。
つまるとこ、火の用心。今朝、通勤中にラジオで「今朝5時56分ころに起こった火事の煙があがってます」 今、8時だよ……。 ちかくを通りかかったとき、その方向を見たら煙が空を覆っていました。 飼い主の家に着いた洋は、家の周りを見て歩いた。そして、それから玄関に向かい、チャイムを鳴らす。 「はい」 インターホンから女性の声がした。 「柘植探偵事務所のものですが」 ややして、中年の女性がドアを開けた。 「見つかったんですか? うちのチュチュちゃん」 「いえ、でも、もう見つけたも同じです」 「はあ?」 「そうか、チュチュちゃんいうんですか? お邪魔してもよろしいですか?」 「ええ」 「では、失礼」 彼は家に入り、二階にあがってよいか断りを入れて、階段を上がった。そして、ベランダのある部屋に入る。ベランダの窓は半分下がすりガラスになっていて見えにくい。彼はベランダを開けた。 「チュチュちゃん!」 チュチュと呼ばれた犬はベランダを開けると同時に入ってきた。 「外からベランダで動くものが見えたので」 「ごめんなちゃいね、チュチュちゃん。あなた出たがっていたから、でもだしたまま忘れるなんて……」 「よかったですね」 犬は飼い主に抱かれていた。外が寒かったらしくおとなしい。 「ありがとうございました」 「いえ。今回は捜索範囲一キロ未満なので、このお値段となっています。期限までに振込み願います」 「わかりました」 飼い主はやや拍子抜けに答えた。 洋は、依頼者の家から出るとこっそりぼやいた。 「ばかばかしい」 彼が、すぐ料金のことを切り出したのは、家の中にいたのと同然なのだから料金を踏み倒しかねないと思ったのだった。実際、一度あった。 庭の木の根っこにリードが絡まり茂みで隠れていた犬を見つけたとき、父は依頼者を口論。結局料金は支払われなかった。 「家帰って、ゲームでもやろ」 そんな。高校生らしいことをつぶやいて彼は気づいた。 ポケットの中に、犬用の菓子がある。本当はこれで手なづけようとしていたのだ。 「まあ、いいや」 彼は、ふと目に付いた野良犬にそれをくれてやった。犬はぽかんとしている。父には、これでおびきよせたと言おう。 彼は、家路に着いた。
朝はいつものように出たはず。なのに、どこもかしこも渋滞。こんなにどこも混むのは珍しい。っていうか、しらない。 明日はもっと早めに出よう。
調査その一、迷子犬を探せ。
洋はメモ帳に書かれた文字を読んだ。意外に父、拓馬の字はきれいで読みやすい。しかし、それを読んで理解するほうが難しい。まるで、暗号のようだった。 『犬、キャバリア、男の子、4歳、36歳、おばか、かわいい……』 「単語しかかかれていない」 多分、キャバリアという犬種のオス犬で、四歳だが人間でいうと三十六歳くらいで、少し頭は悪いが非常にかわいい、という意味なのだろう。飼い主の自慢っぷりも含めてメモしているのだ。 ともかく彼はまだ寒い中でこの犬を探すことになった。 「でも、どこへ?」 特徴、とにかく意地汚い。 単語以外の文章はこれだけである。洋は唸っていた。が、持っている鞄から、『必要経費』と書かれた袋を取り出す。千円ちょっと入っていた。そして、近所の大型ホームセンターに入った。ペット用品売り場で、犬用のお菓子を少し買って出る。そして、飼い主の家に向かった。
神戸とか広島の高速で玉突き事故。事故にあった人のインタビューで「ブレーキが利かない」「すーっと滑っていった」などと当たり前な感想を述べていた。その日は最低気温を記録した氷点下0.5度だったらしい。笑い事ではないが、笑ってしまった。きっとスタッドレスタイヤとかないのだろうなあ。(と、いいますがないよりマシ程度の効果しかないと思う)
「ただいまー、父さんなんか用?」 洋は事務所のドアを開けた。八畳ほどのスペースで、窓側に机、壁側に本棚、真ん中にソファーとテーブル。そのテーブルに道子がもらってきたという花が置かれていた。 「成績のことなら聞かねーよ」 成績が悪いのは半分は洋、もう半分は父にあると彼は確信している。 「そんなこと今更言うか。まず、そこに座れ」 しぶしぶ彼はソファーに座った。来客用だが、座るのは不倫調査を依頼する主婦か迷子になった犬猫を探す飼い主ぐらいである。まだ、一度も刑事という上客は座ったことはない。 「春休みにな、約束しただろ」 「不倫調査二件、迷子犬一匹」 「そうだ、それがお前のノルマな」 「悪いけど、強制補習授業があるんだ。簡単なので頼むよ」 「……お前、簡単だったら誰も依頼しないんだよ」 それはもっともだと彼は思った。しかし、彼はまだクリアしてないゲームがあり、それがやりたい。 「けど、あとラスボスだけなんだよー」 「不倫調査はともかくまだ寒い中、迷子のわんこは可哀想だろ! さっさと調査に行け!」
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