気まぐれ日記
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2005年01月31日(月) |
すずめの涙はとても小さいので |
すずめの卵も小さいと思ったので、このタイトル。 今朝は酷かった。前が見えない状態で運転。吹雪と吹き上げられた雪で。午後にはおさまったけど。
学校の帰り道、柘植洋(よう)はとぼとぼと歩いていた。さすがに成績が悪いので補習を食らったのだった。同じく受けていたクラスメイトと別れてすぐ後、パトカーが目の前に止まっていた。二階建てのアパートの前、黄色の「立ち入り禁止」のテープが一部に巻かれている。もちろん、野次馬たちが集まっていた。 「事件か……」 通り過ぎようとして、野次馬の中からふらりと男が離れていった。 「……」 彼はそれをなんとなく見ていた。 「まだ二十代の女の人ですって」 「裸で殺されてたんでしょ?」 「そうそう、お風呂場で包丁で刺されて……」 この町内にしては大事である。滅多にない殺人事件だった。
「ただいまー」 外は寒い。家に入るとまず眼鏡が曇った。眼鏡を外すと全く見えないので、これではつけている意味はない。 「おかえり、洋」 「あれ、母さんパートこれから?」 「ええ、遅番だから。もう夕飯の用意はしているからチンして食べてね」 電子レンジは偉大な電化製品である。食品から懐炉まで温め、物によってはオーブンがグリルがなにやら機能がついている。最近は音楽で知らせるレンジもあるが、それでも「チン」という元来からのお知らせ音の愛称で通じている。などと彼はまったく余計なことを一通り考えた。 「そうそう、お父さんがね、事務によって行きなさいって」
内容は未設定なんですが、かなり前に、「間抜けな探偵と間抜けな組織の間抜けなハードボイルド」を思いついたといいましたが、それを最初に思いついた設定を変えてやりたいと思います。(ああ、ややこしい) で、すずめの卵ほど小さなハードボイルドということで、タイトル(仮称)が「すずめのゆで卵」。なんだかほのぼのしてますね。絵本のタイトルみたいです。
息子の通知表? 見ない方がマシだ。 彼はそう思った。どおせ、運動会だろうと。運動会って言うのは、「いちにいいちにい」つまり、一か二しかないってことだ。 柘植拓馬はタバコを吸い吐いた。わっかを作るのが得意で自然とそれが出来る。小さい頃の息子はそれを見て喜んだのをわっかを見るたび思い出す。 彼は、探偵事務所(興信所ともいう)を構え、探偵を行い、事件を解決している。もちろん、めったにない。いや、あったことはない。ほとんどは浮気調査の依頼である。まれに、犬や猫を探している。だから、拓馬の家計はほとんど妻である道子がパートでまかなっていた。それでも道子は拓馬にベタぼれなんで文句もなくこの家庭を切り盛りしている。今、この事務所があるのは道子のおかげだといっても過言ではない。 「あら、あなた。あの子は美術だけはいいのよ」 通知表を放り出す拓馬に道子はおっとりと言った。見た目は若いが拓馬より年上である。 「美術?」 その理由は、こうだ。探偵たるもの偽者と本物の区別はつけなければならない。なので、小さい頃から美術館やら博物館やらによく連れて行った。その結果、審美眼がつき美的センスも養った。だが、美術品が盗まれたりしてその能力を使ったことは一度もない。 「とにかく、俺はあいつがどんな悪い成績だろうと叱りはせん」 「まあ、そうですけどね」 「あいつは、探偵に向いている」
予定通り髪を切り、すっきりした。 で、ちょっと出かけてきた。中華系の怪しい店にて、輸入タロット(大概そうなんだけど)があり、そのなかに「DRAGON TAROT」があった。カード収集家(?)なんで購入。後でネットで見たら二倍くらいの値段で買ったことも判明……。でも、世の中、いろいろなタロットカードがああるんですね。
なんだか、無理やり終わらせたというか、なんというか。あーゆー形で終わらせて申し訳ない気持ちになってきます。 不完全燃焼して中毒を起こしてしまった感です。でも、まあ、いいかなあ。無駄に一人一人の話を書いたりして(あんまり意味なかった)、いろいろな人物(?)を書いただけでもよかったな。 書き忘れたこともあったけど……次回の反省点として。(つーか、懲りずに勧めてる) そういえば、グオンって人、韓流俳優にいるんですね。ぜんぜん知らんかった。(アクセス解析にあったので) とにかく、読んでくだすった皆様、長らくありがとうございました。またよろしくお願いします。
去年八月以降、切りにいってなかった。 長くなると、洗いにくくていやだ。 今回は予約入れているんで、すぐやってもらえる予定。
ヘネシーは確実にバルクを圧していた。それは素人目でも十分にわかった。最初はやる気のなさそうに見えたグオンも、真剣な顔つきで見ていた。 「この勝負、ヘネシー姉ちゃんの勝ちだな」 ブロードがつぶやく。しかし、グオンは首を振った。 「ヘネシー王女は確かにヒーガルを上回る腕をもっていらっしゃる。しかし、ヒーガルは……」 剣がぶつかり鋭い音が鳴った。それが、合図のようにバルクの動きが変わった。 「まさか、あやつ……」 バルクがすごい勢いでヘネシーを切りつけた。危うく逃れる。 「ヘネシー……」 イーリスも気づいたようだった。 「我を忘れ、我を制せず……バーサーカ」 アニムは書物の一節を唱えるように言った。 「ヘネシーはそれ、知っているの?」 ルイは不安そうにグオンに聞く。 「おそらく、感づいていたと思います。だからヒーガルに勝負を挑んだのでしょう」 「あのおっさん、見かけによらず強いんだな。つーか、ああなるとは思わなかった」 「ヒーガルは現王の兄弟の中で一番強いな。しかもビアソーイダ王族でも珍しいバーサーカ体質だ」 「それが、ヘネシーが呼び起こしたんだ」 イーリスが手を握り締めて、歯がゆそうに見ている。 今度はバルクが圧している。疲れすら見せないバルクに対してヘネシーの動きが鈍くなってきた。 ついに、ヘネシーの剣が弾き飛ばされた。そして、バルクの剣の先がヘネシーの額前で止まった。 「……はあ」 バルクは剣をゆっくりおろした。 「止めてくれて、ありがとうよ」 剣に礼を言って、収めた。 「ヘネシー、これで満足か?」 「ふ、ふふふ、あはははっ」 「笑い事じゃねえ! 腕の一本なくなったらどうするつもりだったんだ」 「叔父上、すまない。でも、たとえ、腕を亡くしても自業自得として受けるつもりだ」 ヘネシーはまだ笑っていた。彼女の強さはここにも見られる。 「もう二度と、お前の相手はやらねえからな。それと、セルヴェスに感謝しろよ」 「セルヴェスって?」 「この剣のことだ」 「はははっ、わかった。セルヴェス、ありがとう」 彼女はセルヴェスのことは知らない。その剣が亡きドラゴンの長が姿を変えたものと。しかし、その剣から不思議なものがあると感じ取ったらしい。 「まったく、兄貴に文句いわねえと」 バルクはアニムとルイを見た。 「では、行き先はビアソーイダだな」 「チョコレートね」 もはや行く気満々の二人にバルクは、まあいいかとつぶやいた。 「やれやれ、もう少しゆっくりしていったらどうだ?」 グオンがバルクに言った。 「なんだ、お前。何気色悪いこと言ってんだ?」 「いや、イーリスがメイドに頼んだらしい……と、いうわけでリュレイミア嬢、お部屋の用意が出来ています」 グオンは、にこやかにルイに言った。 終わり
何故、ログが受け付けなかったんでしょうか? 1、ログが間違っていた。 2、やっぱりログが間違っていた。 3、打っても●と表示されるので間違いに気づかなかった。
ちょっと雑談。平成教育委員会予備校・宿題の答え。 横の長さが12cmの立方体を縦23cm、横18cmの袋に入れる問題。 途中計算は打つの面倒なんで、省略。しかも、問題も何を求めるのかよく聞いてなかった、と来てる。とにかく、立方体をすっぽり入れるのであれば、袋は、縦17cm、横12cm、幅6cmになり、容積は1,224cm立方メートル。(袋の口を閉じなくても良い場合、縦の長さは20cm)
「おーい」 やっぱりブロードはいきなり現れた。 「お楽しみ中、水差して悪いな」 「んなんだよブロード」 「おぬしも一杯やりに来たわけではなさそうだのう」 「ああ、ヘネシー姉ちゃんがお待ちだぜ」 「ヘネシーが?」 「約束だ、と」 「……どうするべ」 「とにかく俺は、あんたを連れてこなけりゃならないんだ。でなきゃ斬りつけられる」 「ご愁傷様ね、ブロード」 「バルク、約束をしたからにはいかねばのう」 「ああ。せっかくここに戻ってくれてよかったと思っていたのに」 バルクは残った酒を飲み干した。だが、味はしなかった。
「叔父上、約束だ」 ヘネシーはいつもの無表情であるが、心なしかうれしそうだった。 「酒を飲んだから、明日な」 「父上から聞いた。叔父上は酒は強いから十分相手になる、と」 「……余計なことを」 バルクは観念したようだった。城の中庭は兵士たちの練習場でもあった。しかし、ビアソーイダのそれと比べると、やはり文字通り庭だった。まわりには兵士がもはや見物している。その中にイーリスがいた。 「あらイーリス。風邪はいいの?」 「うん。こんな面白い試合、見逃したくないよ」 「ヘネシーって、やっぱり強いの?」 「グオンが言うには、バルクさんより強いらしいけど……」 「へえ……、魔族を切っちゃうくらいだからね」 「その昔、ビアソーイダの王子に魔族を切ることが出来るものがおったそうだ、名前は確か……」 「サミクラス……」 「そう、そんな名だった。よく知っておるのう」 「うん、会って来たから」 「な、会ってきた?」 そんなとき、グオンが試合合図をする。審判に駆り出されたらしい。忙しいためかいい表情はしていない。 「両者、構え」 バルクは青ざめていた。それでも、剣を抜き語りかけた。 「ま、いっちょ頼むわ」 相手が相手だ。本気で行かなければならない、と彼は思う。しかし、勢いあまり過ぎて怪我を負わせたくもない。 「始め」 グオンのやる気のない声がした。ヘネシーはこちらに向かってくる。バルクもそれに応じた。
パスワードが合わない。変えた覚えもないし……。 もう、どうなってるのかわかりません。(HPのことです)(泣)
二人の魔王は向き合っている。 「なんで、わかったんですか?」 「もう、僕の真似はよしてください。時女神」 魔王の片方が姿を変える。 「うわあ、時女神って……」 人間で例えると、十歳ほどの少女だった。 「時女神、何故こんなことをしたんですか?」 「だってえ、退屈だったんだもん。だから創造主と遊んだの。でも、カルストラに止められたって言ったら、あたち、怒られるわ」 「……怒らないように言っておきます。それと、二度とこんな悪ふざけをしないよう、きつく言っておきます」 「ありがとう、カルストラ」 「まだ、礼を言うのは早いです。創造主には怒らないように言いますけど、僕は叱らなければならないですからね……」 ブロードは魔王の背後から黒いオーラを感じた。一瞬だったが。 「そそれって……」 「あなたはここにいる皆さんに、大変な迷惑をかけました。それと、世界中いたるところの時間を止めてしまいました。責任は取れますか?」 「あの、あたち……」 「オーフさんの羽、直すことが出来ますか?」 「えーと……」 「歴史をゆがませるところでしたけれど?」 「その、ね……」 「バルクさんはドラゴンの機転がなければ毒で死ぬところでしたが?」 「う、ごめんなさ……」 「まずは、皆さんに謝る!」 「うわーん!」 時女神は、ついに爆発した。
数十分後、時女神が泣き終わると、カルストラは彼女を背負った。 「まさか、彼女がこんなことをやるとは思いませんでした」 「こんな小さな子だったのね」 ルイは涙と鼻水で濡れたハンカチをどう処分しようかと迷っていた。 「つい、最近交代したのです。でも、能力的に彼女が圧倒していたのですが……年が年なんで」 「人選ミスだ。創造主とかってやつも、同レベルなんだろうな」 ブロードは、力の抜けた声で言う。結果が結果だけにそうなるのは無理もない。 「人手不足、なんですよ」 魔王は疲れたような顔でため息をついた。 「でも、早く終わってよかったのう」 「そうね」 「何よりも、犠牲が少なかったのは喜ばしいことですね、フレクアさん」 ゼデューの笑顔に、フレクアは怒鳴る。 「犠牲が出ただけでも大変なの!」 魔王は、ご迷惑をおかけしましたと頭を下げてから、オーフに向かって言った。 「オーフさん、後で僕の母に会ってください。元生命の女神なので、羽がなんとかなると思います」 「ああ、そのうちな」 魔王は去っていった。時女神を連れて行くと、止まっていた時間が動き出した。
『かんぱーい!』 彼らは、村の酒場で祝杯をあげた。もちろん本物の。時間が動き、バルクたちは、時間の止まった酒場にいた。その酒場はもう魔族の騒ぎなど忘れたかのように、いつものようにほどよくにぎわっていた。なので、戻ってきたついでに彼らは祝杯をあげることになった。 「なんだか、納得いかないけど、これでよかったのかしら」 「まあ、いいんじゃねえ? 俺たちが考えたところで理解なんぞ無理だ」 「そうだ、もうこの話で悩むのは無駄だ」 「それもそうね、こうやって本物の祝杯をあげることに感謝しなきゃね」 フレッシュジュースを飲み干して彼女はおかわりを頼んだ。 「それにしても、魔王、もう少し優しく出来なかったのかしら?」 「ああ、でも、時を背負う女神なら、厳しくしておかなきゃならねえんじゃねえ?」 「そうなのかなあ?」 「魔王にとっても時女神にとっても良い薬になったと思うぞ。あやつらももう少し慎重に人選するだろう」 「そうそう」 バルクも二杯目を頼んだ。しかし、彼には大きな試練が残っていた。
ラジオで流れていた。この曲にはそれなりに思い出がある。 小学校の卒業式に「お別れの演奏をします」といって演奏した。 なんで、お別れに演奏せねばならないんだ?
一行は、アイルマイン島に着いた。 「えーと、全員いるな」 ブロードは団体旅行の案内役をする人のように、人数を数えた。 かつて、三流魔王が住んでいたという島で二流勇者がそれを退治したという伝説が残るこの島。今ではたった一つの村で人々が細々と暮らしている。それでも伝説の話を求めてやってくる観光客もいないわけではないので、一通り宿や店屋がある。そして、カルストラという魔王がそこに住み着いていた。 「じゃあ、魔王んとこに行くからな」 村から少し離れた森の中、ひっそりと立つ洋館。そこが魔王の城だった。もともと、伝説の三流魔王が建てた城なのだがカルストラはそれを住処としたのだ。幻覚が見えるなどいろいろ仕掛けがあるらしいが彼には問題はないらしい。 「まさか、またここに来ることになるとは思わなかった」 バルクはため息をついた。 「ここで、いろいろあったわね」 と、ルイ。 きい、とドアが開いた。魔王だった。 「皆さん、お待ちしていました。遅かったですね」 「ああ、まあ。作戦会議があったんだ」 「作戦会議?」 ブロードが視線を少し上げた。 「あんたが偽者だからな、ちょっと事前に打ち合わせしといんだ。もちろん、本物とね」 「ええと、何を言ってるんですか?」 「いい加減、正体を現してくださいと言っているんです。と、言っても正体はわかりましたが」 魔王の後ろに魔王がいた。本物が。 「どうしてあなたがこんなことをしているんですか? 時女神」 『なんだって!』 全員が驚いた。
ウィルス対策として、そのダウンロードを購入したのはいいんだけど、手続きの際、全部記入する前にエンターを押してしまいエラーを起こしまくっていた。長ったらしいカード番号を記入したのにもかかわらずファックス番号が電話番号と同じだったためか、エラーも……。お疲れ。
ブロードはそこに音もなく現れる。 「よう、準備は出来だぜ。こっちはどうだ?」 彼は、会議室に集まった面々をまわし見た。 「まあ、大体そろったぜ」 「じゃあ、行くぜ……グオンはどうするんだ?」 「私はあまりここを離れることはできん」 「だろうな、じゃあ行くのはこのメンバーだけか。ヘネシー姉ちゃんは俺が連れて行くから、後各自で頼むわ」 「うん、わかった」 「へーい」 ルイとオーフがうなずくと、それぞれ皆消えていった。後に残されたのは、グオンだけだった。彼が扉を開くとメイドが盆を持って開けようとしていたところだった。止まっている。 彼はそのまま会議室を出る。イーリスの部屋に入る。 「皆、向かったぞ、イーリス」 「そう……」 イーリスはベッドの中で返事した。うとうとしかけていたが、グオンの入ってきた音で眼を開けた。 「それと、この城の時間が止まった」 「……どおりで静かだ」 イーリスは咳をした。しばらくしてやっと止まる。 「こんなときに風邪引くなんて、ついてない」 「普段くしゃみすらしないくせにな」 グオンが呆れたようにいう。 「まあ、せいぜい休むことだな」 「それにしても、時間障害を受けた俺たちだけが無事だなんてな」 「ああ、免疫がついているのかもな」 グオンは自室に戻っていった。イーリスは再び眠りについた。
2005年01月23日(日) |
もう少しで終わると思いつつ |
なかなか終わらないです。 一気に最後までこぎつけたい気もしますが、一日ではちょっと無理。つーか、今の日常では無理。
今回、大所帯なんでごちゃごちゃしていて書きにくいです。特にゼデューなんか何を言わせていいのかわからないときがあります。しまいには、いるのかいないのかも不明だわ。
ただいま、フェアリードールをパソに打ち直してます。裏表印刷(は出来ないので手差しする)で読みやすいようにしようと思う。 気の長い話だわ。
今夜の夕飯はすき焼きでした。奇遇にも、磯野家と同じでした。 ちなみに、カタログとはがきを送ってカタログから好きなものを選べるというお歳暮をもらい、それで「牛肉」を頼みました。うまかったです。
では、今日はこの辺で。
地元コミュニティラジオで、セイコーマートの商品を紹介する時がある。今週はイチゴフェアにちなんで、シュークリームとか、プリンとかおいしそうなものばかり。食いたいなと思ってみたり、太るなあっと思ってみたり……。
三人は、フォーランズにいた。 「リュレイミア嬢、よくいらっしゃいました」 グオンが迎えた。 「あら、イーリスがいないのね」 「フレクアが来てるって聞いたが」 グオンはルイの質問だけに答える。 「ああ、奴は風邪を引いてな、寝込んでいる」 「そう、お大事に」 「まったく、風邪を引くなど精神が脆弱だ」 「それは、厳しいと思うわ……」 「おい、俺の質問にも答えれや」 バルクが、いつものことだと思いつつ言った。 「フレクア王女はヘネシー王女と話をしているが」 それがどうしたという口ぶりでグオンは答えた。バルクはそれで黙った。 「とにかく、予定を再確認しよう。こうも予定通りになるとも思わなかったが」 「そうだな、おい、グオン」 「それならもう、会議室に集まっている」
会議室ではヘネシーとフレクアが話し合っていた。 「で、イーリスは移るからといって私すら部屋に入れてくれんのだ」 「まあ、あのイーリス様がお風邪を召されるなんて……」 「珍しいことではあるな」 会議室は、前と同じようにお茶と菓子が置かれてあった。 「来たのか?」 入ってきたグオンにヘネシーが顔を上げた。 「ええ、今着きました」 グオンに連れられ三人は会議室に入った。 「叔父様、こんにちは」 フレクアが立ち上がってお辞儀した。 「おう、フレクア。さきに着いていたんだな」 「はい、少し前だけど」 オーフはテーブルに頬をつけて眠っている。ゼデューは会議室に置かれている本が気になったためかそれを読んでいた。 「叔父上」 ヘネシーがすっと、バルクの前に立った。 「お願いがある」 「……なんだ、ヘネシー?」 「一度、手合わせ願いたい」 「……やだ、殺される」 「そこをなんとか」 「第一、そんな場合でもないだろ?」 「では、木刀かなにかで」 「それでも骨折は免れないだろ?」 「わかった。叔父上は剣で」 「それも危なっかしい。だから、そういう場合でもないだろうに。それにここは、フォーランズだ」 「フォーランズ王には話がついている」 「……ヘネシー、じゃあ全て終わったらな」 ヘネシーはバルク手をがっしりと掴み、うなずいた。それで、満足したらしい。もしかして、彼女の作戦だったかもしれない。バルクは何か背中に冷たいものが走った。 「勝算があるのか、バルク」 アニムが小声で聞いた。 「あるわけねーだろ。せいぜい打ち身ですむように祈る」 バルクは泣きそうな声で答えた。
2005年01月21日(金) |
昔の日記を読み返して |
すっかり忘れていた。SAGAを……。 その内、気が向いたら続きを書きたいです。
その頃、バルクたちは妖精主の大陸の北、ジョウロフェンツァ国にいた。依頼をいくつかこなして、少しばかり潤っていた。 「これが、ルイの分だ」 アニムが賞金を配分する。 「ありがと、アニム」 「ルイ、あんまり無駄遣いするでないぞ。お主は甘いものには眼がなさ過ぎる」 「はーい」 しばらくは一緒に行動するということで、アニムは当分の宿代などの必要費を預かっていた。バルクいわく、アニムは金庫よりも丈夫な財布だと。 「バルクも落とさぬようにな」 「おう」 「では、昼飯にするぞ」 「あたし、おいしいスパゲッティ屋さんを教えてもらったの」 「へえ、誰から?」 「ブロードから」 「……あるか? 六百年前だぜ」 「さあ?」 ともかく、三人はいつものように過ごしていた。そこに、ブロードは現れた。急に三人の前に現れ、「よっ」と挨拶する。 「よう、日に日に魔族らしくなるなあ」 バルクも挨拶を返す。 「うるせっつーの。それより……」 「お主が来たってことは、あれか?」 「ああ、そうだ」 「ちょうどいいところに来たわ、ブロード。例のスパゲッティ屋さんは?」 「それなら、後ろの……」 ブロードの言うスパゲッティ屋はピザ屋になっていた。 「私はピザでもいいけど、アニムはどう?」 「それよりも、どうやら行かねばならないらしいのう」 「じゃあ、ピザはまた今度ね」 「ルイちゃん、もうボケなくていいからね」 ブロードは釘を刺しておいてから、続ける。 「もう、フレクア嬢ちゃんは向かったぜ」 「そうだな、小生らも行くとするか」 「まあ、どうなるかわかんねえけどな」 「じゃあ、先、行ってるわね」 ルイはブロードに手を振って消えていった。
ベッド脇スペースに引き出しが入りました。ちょうど良い大きさの引き出しで値は少し張ったけどプラスチックボックスよりかなりまし。はじめてみたときからすごい気にってしまった家具は初めてかもしれない。
二週間後、フレクアたちはクレンムの北部バンデン王国の辺境の村でゴブリン族から畑を守っていた。 「まーた、こんな依頼受けて」 「まあまあ、フレクアさん。これもウォンテッダーの仕事ですよ」 フレクアは捕まえたゴブリンをぽこぽことたたく。キーキーとわめいていたが、構わず用意した檻に投げ入れた。 「俺はいいね。こーゆー田舎が結構好きだ」 オーフもゴブリンを両脇に抱えている。それも檻に入れ、草むらに座った。大体仕事が片付いたのだ。 「へー、意外ね。あなたは都会とかの方が好きかと思っていたわ」 「何を言うんだ。俺は静かなところの方が好きなんだよ。悪いか?」 「悪くないわよ」 「僕は、街の方が好きですね」 「そうよね(街の方が喧嘩も多いでしょうから)」 「そうだな(本性は正直だよな)」 「ここまで静かだと、少し淋しい気がしますから」 「あなたでも淋しいと思うのね。さ、片付いたことだし、とっととこの子達を役所に突き出して食事にしましょ」 フレクアが檻が載っている荷車を引いて村役場へ向かった。ゴブリンを引き取ってもらいなけなしの賞金をもらう。その時、何か風のように通り過ぎた。 「何?」 「魔王だ」 「魔王ですか?」 そこに、魔王が現れた。 「どうしたの? 休んでいたんじゃないの?」 「ええ、実は、大変なことになりまして……各地の時間が止まっているんです」 息を切らせて走ってきた(?)ように、彼は途切れ途切れ言った。 「何ですって」 「ここももうすぐ……ですから、皆さんここから逃げてください!」 「わかりました、で、どこに行けばいいの?」 「アインマルト島へ」 フレクアはオーフに振り返った。こころなしか少し笑った。 「オーフ、お願いします」 「おう!」 彼女らはその場から消える。そして、魔王も。魔王が消えてすぐ、村人は止まった。時間が止まってしまった。
蛸。それは、多分一番いただきたくない代物。 先日いただいた(寄付で職場に)蛸を切ったら、髪の毛が身に刺さっていたそうだ。蛸は、なんでも食べるので、溺死した人間も食べるということで、髪の毛まで糧にならず身に入ったまま……。
フォーランズでささやかな晩餐会が行われた翌日、それぞれは目的のためにまた、旅立つ。 「じゃあ、お姉さま、叔父様、わたしは強くなるためにがんばります」 「おう、がんばれ。一度兄貴の顔でも見に行ってやれよ」 「そうだな、フレクアがいないと父上も淋しいだろうし」 「おめえもたまには帰ってやれ、ヘネシー」 「私はいい。どうせ父上はフレクアの方がかわいいだろうから」 「……ヘネシー、おめえ何かやってきたな」 フレクアが笑った。 「そういえば父様が言ってましたよ、父様の剣のコレクションで一番いいものを持っていったって」 「そんなことしたのか、ヘネシー」 「知らん……」 やや、気まずそうにヘネシーはそっぽを向いた。 「行きましょ、ゼデュー、オーフ」 「ええ、これはフレクアさんの武者修行ですからね」 「またくだらない依頼受けたら怒るからね」 「俺はいかねえ。だってリュレイミアちゃんは……」 「さよなら、オーフ。お大事にね」 オーフが何か言う前にルイは早口で彼に別れを告げた。そして、フレクアに引っ張られていった。 「そういや、ブロードの奴は?」 バルクは当たりを見回す。 「それなら、魔王が連れて行ったぞ。どうやら、女神の捜索を頼むらしい」 「ふうん、まあいいか。ほんじゃ、グオン。じゃあな」 「イーリスも達者でのう」 「またね」 イーリスは軽く手を上げて振る。 「リュレイミア嬢、お気をつけて」 「うん」 バルクたちは歩きだした。いつも、この繰り返しである。帰るところがないわけではない、帰られないわけでもない、帰りたくないわけでもない。(ルイは別だが)だけど、彼らは旅に出る。それが日常なのだ。
今日のお夕飯・ほか弁当。その店のドアに「すべるので注意」の張り紙がしてあったの。が、その左上はしに、あのコロ助が! サインペンで一発書きで、ちょんまげの変わりにスキー帽をかぶっていました。微妙に鼻の辺りがドラえもんなんですが、十分、コロ助でした。何ゆえ、コロ助!?
フォーランズでは、突然の王子の帰宅にメイドや使用人が驚いたものの、そこはプロなんで平然と向かえた。 「すまないけど、この人たち全員の部屋の用意を頼む」 滅多にないイーリスの注文に使用人は戸惑いながらも、やはり平然を装って準備を始めた。 魔王はイーリスの部屋に皆を移したが、さすがに狭い。もとよりそれほど広い部屋ではないのだが。実はグオンが使っている部屋のほうが広い。 「会議室を使うか」 グオンは全員を会議室に案内した。会議室は滅多に使わないので普段メイドが掃除するときにしか入らない。廊下ですれ違ったメイドにお茶か何かをイーリスは頼んでおいた。 「見事な団体様だな」 バルクは苦笑いする。確かに妙な団体だった。お茶と菓子を持って入ってきたメイドが気後れして廊下に戻ろうとしていたのでイーリスはそれらを廊下で受け取った。 フレクアとルイ、それにゼデューがお茶の用意を手伝っている間、彼らはずうっと黙っていた。お茶が全員にいきわたった時、ようやく話は始まった。 「これから、どうしたらいい?」 グオンが最初に口を開く。もちろん魔王に向かって。 「さて、どうしたらいいんですかね。正直、僕にも正体がつかめていないので、どうしたらいいのかわかりません。ただ、偽者はほうっておくのは得策じゃないです」 これで、話は終わってしまった。何しろ、魔王の偽者は現れないのだから。 「全く、心当たりもないのか? 第一誰にやられたんだよ」 ブロードは目の前のケーキを二口で平らげてから言う。 「恥ずかしながら、さっぱり。急に襲われて気づいたらああなってましたから」 「みの虫のようにぐるぐると、か?」 「はあ、そうです」 「魔王も、そうなると無力だなあ」 バルクは何か珍しげに言う。 「すいません」 「しかし、このままではどうにもならんだろう。一度、解散するというのはどうだ?」 アニムはにやにやした顔で言う。何か、いいことを思いついたような顔だった。 「お主もなにやら大変だったようだし、一度自分の住処に戻ってはどうだ? 一ヶ月寝ているとか?」 「……そうですね。そうしてみます。時女神の捜索はしばらく、誰かに任せておきます」 「じゃあ、皆解散しちゃうの?」 と、フレクア。 「いや、皆、一泊はしてもらうよ」 少し席を外していたイーリスが会議室に入ってきた。 「なんでだ?」 「今、部屋の用意が整って、さらに食事も全員分作っているんだ。俺たちだけでは食べきれない」 「僕も、その中に入っているんですか?」 魔王は間抜けに聞いた。そうだ、とイーリスは答えた。
読みました。 青春アドベンチャーで聞いて面白そうだったので。 ほとんど脚色されなかったんだな、と思いました。(感想はそれか?) でも、ドナルドダックは無理があったらしくラジオではペンギンのぬいぐるみになってました。
「皆さん、申し訳ありませんでした」 魔王は地面に頭が付くほど下げた。ほっとくと土下座しかねない。 「あなたも、偽者に酷い目に会っていたのでしょう? そんなに気に病むことないでしょ?」 フレクアは事情を聞いたあとそういった。 「いいえ、偽者をのさばらせていたのも事実です。僕の責任です。皆さんには本当にご迷惑と危険をおかけしました」 「もう、いい。カルストラ……時女神は見つかったのか?」 グオンはため息をついてから聞いた。 「見つける前に捕まりました」 それを聞いてグオンはもう一度ため息をついた。 「魔王、あてはあるのか?」 ブロードが聞いた。 「ないこともありませんが、その前に偽者退治しないと」 「何で?」 ルイの問いに彼は答える。 「偽者のやることがとんでもないからです」 「たしかに、あんな大掛かりなワナだったけれど……」 「皆さん、時間障害を受けてかなりダメージ受けたでしょ? あんなことをするなんてかなりの力を持った何かなんですから」 「何かって、まだ正体もつかめてないのに」 「魔王……」 アニムが声をかける。 「多分、お主が思っておる以上に、小生らはダメージは受け取らんだろうと思うが……」 「でも、オーフさんは羽を失いました」 「あ、俺ならへーき」 互い違いの羽を出してみせる。それを使い空を飛んで見せた。 「結構飛べるものだぜ」 「……他に、何か影響は?」 「別に」 「特に」 「なし」 「……ところでよ、魔王」 バルクがきょろきょろして、周りを見ながら声を掛けた。 「俺ら、かなり目立っちまって外野が増えてるんだわ」 見ると、村中の人が彼らを囲っていた。 「……どうしましょう」 「いい、カルストラ。フォーランズに移せ。いいよなイーリス」 グオンの提案にイーリスはうなずいただけだった。
2005年01月16日(日) |
そろそろ話も終われるかな? |
ブロードを最後に持ってきたのは、エーデルを復活させたかったからです。が、十二月中ごろまで本格的に雪が降らなかったのですが、話もそこにたどり着かなかったのでよしとしましょう。 書いていて、こいつこんなダメ男だったっけ?とか思いました……。 「ただいま、坊や」 白い妖魔は笑みを浮かべた。周りは真っ暗な空間だが、そこでは彼女は白く浮き上がっているように見える。 「その坊やって、よしてくれ」 「ここまで気づくのに手を焼いたから、まだまだ坊やよ、あんたは」 ふと気づいて、彼は自分がやっと元に戻っていることに気づいた。 「そうだな、エーデルの言うとおりだな。で、どうしたらこの夢から覚める?」 「いつでもOKだけど、やっておかなきゃいけないことがあるわ」 「なんだよ?」 エーデルはいたずらっぽい笑みを浮かべる。 「魔王を助けるのよ。思いっきり恩を売りましょうねえ」 エーデルの笑みにブロードもつられた。
ブロードの章 了
魔王は、ぶら下がっていた。 そう表現するのはおかしくないとブロードは思った。 「よう、魔王? 何やってんだ?」 「わっ、ブロードさん」 魔王は見上げて驚いた。その時、彼を吊るす糸の束がゆらゆらとゆれた。 「何やってんですか? 危ないですよ。落ちたらどうするんです!」 ブロードは糸につかまって魔王の上にいた。 「何寝ぼけたこと言ってんだよ、あんたを助けるんだ。そんでもって、アホらしい時間障害を終わらせるんだよ。話はエーデルから聞いた」 「でも、この下がどうなっているか、わっ、まさか、ダメですってば!」 ブロードはショートソードを抜いて、糸を切った。 「すっげー、いい切れ味」 「ひゃっワーッ!」 彼らは落下した。そこでエーデルが空間を開き、彼らを別の空間へ移動させた。 彼は、戻ってきた。 円柱状の部屋で、彼は多くの視線を受けて目を開けた。 「お帰り、ブロード」 ルイは静かに声を掛けた。 「あなたが最後に帰ってきたんだけど……」 「ああ? 俺で最後? ならちょうどいいな。ここから出れるぜ」 「出れるって?」 と、バルク。 「ああ、魔王がそろそろ出してくれるはずだ」 気づくと腰にあのショートソードが差してあった。 「夢から持ってきちまったか」 周りの景色が崩れていく。彼らを閉じ込めていた空間が消されていった。そして、彼らは、時間が止まった酒場の前にいた。
の日記が見れるのは、なかなかいいです。 一日だけでは、どう話が進んだのかわからないときがあるので。
閉じたまぶたから光を感じた。朝だった。 あの、おばさんの家だと気づいたのは少し経ってからだった。額に冷たいタオルが乗せられている。 「おや、気づいたのかい?」 あのおばさんが部屋に入ってきた。 「あんた、昨日一日熱でうなされていたんだよ」 「俺が?」 「そうよ。何か食べるかい?」 「……お願いします」 それほど腹は空いていなかったが、ブロードはそう返事した。頬に刺すように冷たい風が当たる。 「ずいぶん、寒いんだな」 「ああ、そうか。あんたにはわからないか」 おばさんは、戸を開けた。戸を開けてすぐ縁側になっていて庭があるのだが、そこは白い光に包まれていた。 「雪だよ」 「雪……」 ブロードは納得した。 「通りで、寒いと思った」 おばさんは何か作ってくると、台所に向かった。ブロードは起きてからずうっと気になっていた背中の異物に手を伸ばした。 「……」 ショートソードだった。起き上がって、縁側で庭を見た。廊下が冷たく足を冷やす。雪は朝の日差しに反射してきらきらと光っている。 あれは、夢じゃなかったのか? ポケットを探ると、紙切れが出て来た。あの紙幣ではなかったが何か書いてある。 『さあ 思い出せ』 急に、ブロードは走り出した。台所へ。おばさんは、お粥を作っていた。 「どうしたんだい?」 「もう、いい。そんな芝居はいいんだ」 「急に何を言い出すんだい?」 「だから、いいんだって。俺が悪かった。気づかないで、ごめん」 「……」 「俺を助けてくれて、ありがとう」 「……気づくのが、遅かったね。あんたを見つけた時は驚いたけど、やっと帰ってこれたね」 おばさんの姿が変わっていく。そして、周りの景色も。 「ただいま……。そしてお帰り、エーデル」
妹が今夜いないため、すし屋に行きました。(百円寿司) 何故なら妹は寿司嫌い。だからのけ者にしても全く気にしません。(これで、カツとかだったら怒るけど) だから、必然的に妹がいない日は寿司なんです。
「……」 夢の中で。 夢ではないかもしれない。 彼は、研究所にいた。 「なんで、俺、こんなところにいるんだ?」 しかし、あの街やおばさんにしてもおかしいのだからと思うとあまり気にはしなかった。ただ、全く関連性がなかった。ここにしても、そうだと思った。 この研究所はなんなんだ? 彼は、この研究所の制服を着ていた。夢ではないのによく出来ている。彼は、自分がまだ人間であることを確認した。 「おい、新入りか?」 年配の同じ制服を着た男に呼ばれる。新入りと思わせたほうがいいと思い、そうだと答えた。 「お前、もしかしてここがどういうところなのかもわかってないだろう?」 ブロードはうなずいた。 「そうだろうな。ここは非人道的なところだよ。だけど、食いっぱぐれたくなかったら、非人道的になることだな。とりあえず、この部屋の奴の世話を頼むよ。何、人形だと思えばいい。すぐ、慣れるよ」 あまりなれたくないと思いながら、彼はその部屋に入った。 「……」 そこにいたのは、自分だった。まるで、魂の抜けたような自分だった。なるほど、人形とはよく言ったものだ。 「ブロード……」 自分ではない、と彼は近づいた。 「なんで、お前、ここにいるんだ!」 答えはなかった。 しばらく研究所で暮らして、おおかたのことがわかった。 魔力の研究所であること、魔力を持つ人間の確保が難しいこと、一般にはよく知られていないこと……。 最後に弟の世話をしたとき、弟が起き上がっていた。何度かぼうっと起きていたが、その日は、意識は多分ないのだろうが、その手にしたものをブロードに渡した。何も言わず、眼もうつろで何も見ていないが、確かに、彼に渡した。 「ショートソード? お前が持っていた奴か?」 彼はそれを受け取り、今でも持っていた。使うことは出来ない。魔力がなければ意味のない代物らしかった。 その後、彼は弟の世話を外され他の仕事をまかされた。だから弟がどうなっているか、見ずにすんだ。それでも、夢なら覚めたいと思った。 ある日、大掛かりな実験をすることになった。 「ああ、なんでも魔力を補うために、別の魔力を取り込むんだってよ」 研究員の一人が、食事中にそんな話をした。 「なんだって!?」 「なんだよ、急に大声出して」 「そんな、危険なことするのか? 波長の合わない魔力をいれたらどうなるか、知ってるのか!?」 「お前、なんでそんなこと詳しいんだ?」 ブロードはその実験が行われているという部屋に走った。その部屋は決まっている。一番広い部屋だ。その部屋のドアを開けようとしたとき、爆発が起こった。白い光が眼を焼き、衝撃が身体全体を襲う。 遅かったか……。 不思議なことに、その後は痛みも何も感じなかった。
はキムチ鍋となりおいしくいただきました。カキも火が通って安全にいただきました。
「お兄さん、こんなところで寝ちゃ、風邪引くよ」 おばさんがゆすり起こした。ブロードはぼんやりと起き上がった。うとうとしていたようだった。おいしそうなにおいが部屋に漂っている。 「ごはんだよ。たくさん召し上がれ」 「どうも」 「誰かと食事するのは、何年ぶりだろうねえ」 彼は見たことない料理を食べた。とてもおいしかった。だが、記憶はどんどん忘れていくような気がしてならず、食べたものがどこにいったのかわからなかった。 「もう、いいのかい? もっとお食べ」 「す、すいません」 気づくと手が止まっていた。せっかく作ってもらったのに、と彼は思ったが食欲は湧かなかった。このおばさんにすまない気持ちになった。 「それとも、お疲れなのかい?」 「そうですね。ずっと歩いてきたから」 疲れていたのは本当だった。その疲れから自分が人間だと実感できた。筋肉を使っての疲れ、肉体的な疲れだ。 「じゃあ、ふとんをしくよ。食べ終わったら隣の部屋に来なさい」 おばさんは、そう言って隣の部屋に入っていった。 もう少し食べてから彼は言われたとおり、隣の部屋に入った。部屋の真ん中に布団が敷かれてあった。 「さ、お休み」 「あの、なんで俺にこんなによくしてくれるんだ?」 先ほどの街では、考えられないほどだった。 「あんたを見ていると、息子を思い出すんだよ」 と、おばさんはそう言うだけだった。 「ありがとう、おばさん。お休み」 「ああ、お休み」 布団に入ると自然に眼は閉じた。そのまますとんと眠りに落ちた。
と、かきのむき身を八百屋が間違えたため、牡蠣をゲットした。 この文では首をひねると思うのけど、細かいことは気にしなくてよし。 八百屋で間違って買った牡蠣のむき身は八百屋ではさばけないので、職場で買ってくれということなんですよ。ノロウィルスには要注意ですが、生で食いたい。
その人に連れられ、ブロードは古い一軒の家に招かれた。 「どうぞ、まずはお茶でも」 と、カップに注がれたお茶と菓子を差し出された。 「ありがとう」 見たことのないお茶と菓子。それでも彼はそれを飲んで、菓子を食べた。彼にとって、甘くない菓子は初めてだった。 「礼もいらないよ。なんだか息子がいるみたいでこっちもうれしいんだから」 「おばさん、息子さんがいるの?」 「いたんだよ。だけどね、戦争でなくなったんだ」 「戦争で?」 「ああ、だからそのときからわたしゃ一人なんだよ」 「……」 「まあ、そんな湿っぽい話はこれくらいにしようね。お夕飯にしましょう」 おばさんは立ち上がって、台所に向かった。 「何か、手伝うことは?」 「いいんだよ、座っておいで」 そう言われて追い払われた。彼は、落ち着かず座っていた。今までのことを考える。確かにかなり歩いてきたが、あの繁栄していた街からここまで様変わりするだろうか……。 「そもそも、なんで俺はここにいるんだっけ?」 それが、思い出せない。というか、ここに来てからどんどん自分のことが忘れていく。記憶喪失と言われたが、そうかもしれない。 ブロードは、自分が魔族になったときのことを思い出そうとした。思い出せなかった。それと同時に、彼は人間に戻っていくような気がした。どういうわけか、切なくなった。
職場での餅つき大会。なんで鏡開きにやるかは不明だが、とりあえず皆がほぼそろっていて職員も落ち着いているっていう理由。が、水をつけすぎたため、とろとろな餅が出来た。トルコアイス?
彼は、静かなところを目指した。この街は建物の中も騒がしいようで入る気がしない。どこも騒がしいこの街は、夜になっても騒がしかった。 ただ、見ていて規則的に歩いている。人も車も何か合図されたように止まっては歩き出す。彼には奇妙だがそれを知らない彼はこの街では奇妙なのだろう。自分はこんなにも奇妙だろうにと思うが、何故か誰も彼をじっと見ることはない。見えていないと言うことはないだろうが、他人のことなど見えないに等しいのだろうと思うことにした。 歩いて歩いて、ふと気づいたら……先ほどとは打って変わった景色が広がっていた。 畑のようなものがあり家がまばらに散らばっている。いつのまにか、そして夕方だった。 夜だったよな……。 「今晩は」 後ろから声を掛けられた。おばさんと言うよりはおばあさんと言った人だった。 「今晩は」 ブロードは挨拶を返した。 「見ない顔だね。観光客かい?」 「いや、違う」 「そうだろうねえ。観光にしても見るところはないからね。今夜泊まるところは決まっているのかい」 彼は首を振った。 「だろうねえ。ここには旅館ないしね。なんでまたこの村に?」 「わからない……」 「じゃあ、今夜はうちで泊まるかい? お金なんかいらないし、遠慮もいらないよ」 「ありがと、おばさん」 ブロードは、その人の好意に甘えることにした。彼は、正直かなり参っていた。本当にどうしていいかわからなかった。
なんか、変になってますね……まあ、いいか。
ブロードの章
空が狭い。見上げると高い建物が空を埋めている。 ブロードはぼんやりとしていた。それしか出来なかった。あまりにも違う世界に彼は呆然とするしかなかった。 それに、彼は魔力のない人間となっていた。 「魔法も使えず、わけのわからない世界。こりゃ、死ぬかも知れねえな」 やっと、死ねるかもしれない。 彼は笑った。変な目で見られた。 道は舗装され、馬車が通っている。いや、馬ではないかと一人思う。 ここは、どこだ? 裏路地に入ると、みすぼらしい格好の男たちが地面に座っている。道歩く人はさまざまだが、これほどまでにみすぼらしいものはいない。 なんとなく、彼は尋ねてみた。 「ここは、どこだ?」 一人が答える。 「はあ、ここはどこだってえ!?」 別の一人が怒ったような笑っているような声で聞いてきた。 「お前さん、からかっているのかい? それとも記憶喪失かい?」 「ここは、俺たちが集う裏路地だよ」 「裏路地はわかるけど……」 「兄ちゃんは、どこから来たんだ?」 ブロードは少し考えて答える。 「遠いところ」 「じゃ、ここは兄ちゃんの家から遠いところだよ」 「……」 どうやら、ここがどこなのか教えてもらえないらしい。 「で、兄ちゃん。家出でもしてきたのかい?」 「いや、家出する家なんてないし、家族ももういないし……」 「兄ちゃん、じゃあ、ホームレスかい?」 「なんだ、それ?」 「やっぱり、兄ちゃん記憶喪失か?」 「もう面倒くさいからそれでいいよ」 「じゃあ、記憶喪失の兄ちゃん。ホームレスてんのは、俺たちみたいなもんだよ。家から社会から外されたような奴だよ」 「じゃあ、俺も一緒だな。俺もこの世界から外されているようなもんだし」 「なんだ、行くところがないのか? ならここにいなよ。寒さをしのぐ新聞紙もあれば、酒もある。俺たちはいつでも誰でも歓迎するぜ」 「サンキュー、おじさん。でも、俺はあてもなくふらふらしたいと思ってるんだ」 「そおか。記憶を取り戻す旅をしたいのか」 勝手にそう解釈されたが、ブロードにしても都合は良い。 「金はもってなさそうだな。ほれ」 紙幣らしいものを何枚か渡された。 「じゃ、兄ちゃん。車とかに気をつけてな」 「くるま?」 「ああ、そうか。記憶がないんだよな。あれだよ」 馬のない馬車をさして言った。 「あれ、車っていうのか? ありがと」 「達者でな」 ブロードは裏路地から出ると、急に騒がしくなったような気がした。車は列を作っているは、街行く人々は乱雑に歩いていた。裏路地は、同じ場所にありながらこの街とは別世界のように感じた。
2005年01月09日(日) |
とにかく印刷してみて |
本日休業。
で、この間、初めから去年六月までのを読んで(まだ途中)なんですが、逆から読まなければならないので結構読みにくい。 さらにいたるところに誤字、脱字、変換間違い、改行忘れがあり、恥ずかしい限りです。 (読んでいて、文章的に違和感も多々あり) 更に、前と名前が違ったり(名前をつけていたのを忘れ、違う名前になっていたりなど)も見つけました。 いつか、そのうち、直したいです。(いつになるかわからないけど)
では、明日からブロードの話です。
余談「スターオーシャン3 ディレクターズカット」を5、6件まわって中古を手に入れました。(笑)
やたら寄付と称して年末年始にくる物。今年は特に多い気がする。正月帰省中なので数はさばけないし痛んでくる。市役所からもくる。もう少し考えて物よこせと言いたい。
「しかし」 アニムはまだ目覚めないブロードを見下ろして言った。 「こやつ、寝ているときはおとなしいのう」 あの弟とそっくりだ、と心の中で思った。 「そりゃ、寝ているからな」 と、バルク。向かい側では、イーリスがグオンに何か話している。よく聞こえなかったがグオンが少々たじろいでいるようだった。 フレクアはオーフが意外に元気だったので心配も吹き飛んだらしい。ゼデューも見たところ怪我などしてない。ブロード以外は皆、ここに帰ってこれたようだった。 「……ここが帰っていい場所かどうかは疑問だがのう」 アニムが言い、皆アニムを見た。 ここは出口のない部屋に閉じ込められているのと同じだった。 「ここから出られないのか?」 ヘネシーは見上げた。相変わらず天上は見えない。 「空間を開けてみようか?」 と、ルイ。しかし、試す前に彼女は首を振り無理だと言った。 「頑丈で開けられないの」 オーフもそう言った。人間ではない悪魔たちがそう言うのだから無理なのだろう。 「彼が起きるの、待とう」 と、イーリス。 「全ては彼が起きてからだと思う」 そして、彼は壁側に座り背を預けた。目覚めたはずなのに、彼らは皆疲れていた。彼に習って休むことにした。
何度やってもページが見つかりませんの表示が出るこのごろ。原因もよくわからないし、ちょっと気持ち悪いです。 今日からまたもとに戻ります。
「オーフ!」 フレクアが駆け寄ってきた。目覚めてから少しうなされていたが、現実に帰ってきたことに慣れると、オーフの異変に気づいた。 「どうして、こんなことに……」 「多分、羽を切られてと思うわ。もし、彼が昔の天界に行ったのなら、それにあったんじゃないかと思う」 「酷い……」 オーフが眼を覚ました。ぼんやりとしていたがルイの顔を見ると急に起き出しルイのを手をぎゅうっと握った。 「リュレイミアちゃん、俺の看病してくれたんだ!」 「なんであんたそんな元気なの?!」 握られた手を振り解き、彼女は平手打ちを食らわした。 「心配して損した。羽切られたんじゃないの?」 「ああ、それが、もう一組あってな」 オーフ、苦笑いを浮かべる。 「痛いには変わりなかったけど……」 「もう一組?」 と、フレクア。 「俺のお袋が天使だったんだ。だから」 オーフが翼を広げた。右は天使の羽根、左はこうもり羽とバランス悪く広がった。これにはルイも驚いて何もいえなかった。 「問題は、これでうまく飛べるかなんだけどな」 オーフが比較的元気だったので、ルイはバルクの様子を見た。彼はぼんやりとアニムを見ている。 「どうしたの、バルク?」 「いや、別に……。ルイはどんな世界にいったんだ?」 「あんまり変わらない世界だったけど、楽しかったわ」 オーフには気の毒だったが、ルイはそう言った。 「小生は、なんか働かされた思いだのう。バルクは?」 「ああ、まあお楽しみってとこだ」 「なんだ、それは?」 バルクは、またアニムを見てにやにやした。
お仕事です。四日も仕事休んだので、気持ちが変です。 部屋に置く箪笥を買いました。ソファーも大きさを注文して二週間後届く予定。楽しみ。
今日は、ちょっとだけお正月企画です。お楽しみください。 内容は、ルイの話で出てきた、パラレルな話です。
彼女は頬をテーブルにつけて座っていた。ふてくされている様子だった。 「ちくしょー、逃げられた」 顔に似合わず汚い男言葉でつぶやく。 「お姉さん、なんかお酒お願い」 ウェイトレスを捕まえてそう注文した。彼女は酔いたい気分だった。 「どうしたんですか、ブロードさん?」 その声はカルストラだった。彼女はテーブルから頬を放して彼を見た。 「どうしたこうしたも、逃げられたんだよ、あいつに」 「ふーん、それで。お酒なら付き合いますよ」 「ふん、だったら俺の分も払えよ」 「わかりました。情報が少ないのは僕のせいでもありますからね」 「え、マジでいいの? ラッキー」 カルストラは呆れるような眼でブロードを見た。それも一瞬だったが。 「スノムウェンは今度は四神諸島へ逃げたみたいですよ」 「へえ……じゃあ、あの女たらしのグオンに会えるのね」 「グオンさんは女たらしじゃありませんって」 「嘘付け、俺を見て『なんて美しいお嬢さんだ、今度ダンスのお相手をしたい』なんて言うんだぜ。全くよくあそこの王女様が一緒に入れるよな」 「それは、多分どんな女性にも言っている言葉の一つですよ。挨拶みたいなものですから気にしないほうがいいです」 「うるせー、男なら、こう、がつんと男らしくいかねえといけねえだろうが!」 ウェイトレスがもってきたエールをひったくるように受け取り、一気に飲み干した。お代わりを注文した後ウェイトレスは逃げるように去って行った。 「うーん……人間のことはわかりませんが、グオンさんはタイプじゃないんですね」 「あったりめえだ、あんなたらしは結構!」 「じゃあ、俺たちなんかは?」 ウォンテッダーらしい男が二、三人ブロードのそばに寄ってきた。ブロードは、小ばかにした眼を向ける。 「なんだ、あんたら?」 「お姉ちゃん、おっとこらしい男がタイプなんだろ? なら俺たちがぴったしじゃないかってね」 「そうそう、こんながきんちょと飲んでいるよりは俺たちと飲んでる方が楽しいぜ」 ブロードはますます機嫌悪くなった。立ち上がると、ゆうに男と並ぶくらいの背丈になる。 「あったま悪そうな奴はお呼びじゃねえんだ。それとも、俺といっちょやるか?」 ウォンテッダーの二人は、彼女に襲い掛かった。バカにされたのとちょっと痛い目に会えばすぐ折れるだろうと思いながら。そんな男たちにブロードはアッパーを食らわした。そして、壁にたたきつけた。 「ふん、大したことねえな」 男たちがすごすごと通り過ぎるのを横目で見て彼女は、ため息をつき、つぶやいた。 「どこかにいい男がいないかね……」
久しぶりにゲーム屋に行ったらモニターとしておいてあった。 やった感想……「た、楽しいかも!」
例の石のもとに四人は集まった。 「では、よろしく頼むよアニム君」 アニムは無言で言われた位置に立った。ブロードはアニムと向え合わせに立った。 「直接アニムに魔力を送ることは出来ない。波長があわせづらいからね」 「うむ」 アニムは小石を作る。それをブロードが大きくした。 「きゃっ、アレが来ちゃったよ!」 それらは彼らに危害を与えようとしないが、囲むようにして彼らに近づいてくる。 「アプリさん、何とか頼む」 「えー! いやよ、あんなの斬るの!」 「だから、風圧でなんとか」 「ううっ、このまま来られてもいやだしね」 アプリは剣を抜いたのを見て、ブロードはまた小石を大きくする作業に入った。 彼女は無我夢中で剣を振るっている。が、徐々に増えていくようだった。 「どうなってるの?」 「もうすこしだから、アプリちゃんがんばってくれ」 と、フェール。彼はその石が大きくなるのをじっと待っていた。 「よし、いいぞ。これで」 フェールは、ストップをかけたそして、何かを貼り付けてそれは完了した。アレらは崩れて、土に消えていった。
「やれやれ、一件落着だのう」 アニムはため息をついた。 「疲れた……」 アプリはへたりと地面に座り込んだ」 「でも、これでアレに悩ませることはないね。ここ、もしかして墓地だったの?」 「と、いうか。一まとめに遺体を焼いた場所でね。だから封じなければあんなのがわんさか出るようになるんだ。今度はきつく封じたからちょっとやそっとじゃ解けないよ」 「そうか、よかった。なあ、アニム。あんたも帰らないとな」 「え?」 ブロードが急に振ってきたのでアニムは驚いた。 「あんたから、この世界のにおいがしないんだ。だから、違う世界から来たんだろ? それも一種の呪なんだよ。俺が解いてやるから帰りな」 アプリはそれを聞いて淋しそうに言う。 「元気でね、アニム君。こんな騒動に巻き込んじゃってごめんね」 「さあ、解くよ」 ブロードはちょっと何かをつぶやいた。アニムは何か、突き落とされるような感じがした。
アニムの章 了
眼を覚ました。と言う方が正しいかもしれない。 「ここは……」 部屋だった。円柱状の部屋。ただし扉はない。まだ、眠っているような気もするが、彼は立ち上がった。 「戻ってこれた?」 アニムはぼうっと突っ立っていた。周りがよく見えない。 「アニム、眼が覚めた? どうやら、過去に行くとか未来に行くとかじゃなくて、夢を見せられていたのかもしれないわ」 と、ルイはアニムを見て言った。 「ルイ? それ……」 ルイは背が血まみれになったオーフの頭を膝に乗せていた。 「確か、悪魔だったかのう」 「うん。精神が時間を越える。だけどダメージは身体にも受ける。何が命の保証よ……」 ルイは文句をぶつぶつと言う。 「あと、眼が覚めていないのは、あのブロードだけよ」
2005年01月04日(火) |
やたらインクは食うは厚いは |
おととし六月から去年五月までを印刷。これを分別して要らないところを削る予定。でも、それがまたかなりの量なのです。月約三十二枚くらい。……大したことないか。
アニムは不安そうな顔(表情はよく見えないが)でフェールを見た。 「まさか、この坊主、エルフなのか? こりゃ、驚かしてすまなかった。何も命まではとらないよ」 それを聞いて少しは安心できた。ブロードたちもほっとしているようだ。 「エルフに協力して欲しいのは、精神の物質化だ」 「なんだ、それか」 アニムはいつものようにカードを作り出した。 「うん、それだ。だが、私が必要なのはカードではなく石そのものなんだ」 フェールはジョウロフェンツァまで行くことになった。つまり、石を元通りにするために。そして、その道はアニムにとって辛いものとなった。 「エルフなのにカードしか物質化していなかったとは……」 「すまん。小生はこれしかやったことがなくて」 アニムがジョウロフェンツァまで着くまでに出来たのは小石程度のものだけだった。もちろん、小さい。 「ああ、もう、どうしよう……」 「子供ではやはりダメなのかもしれないなあ」 フェールも少し諦めている。 「魔力が足りないってことかな。俺が手伝うよ」 ブロードが言う。 「あんなきりがないのを相手にするのも嫌だし、これからエルフを探すのも大変だし。ここはアニムに任せるしかない」 「しかし、どうやって?」 「うん。アニムはいつもどおりやってくれていい。後は俺が何とかしてみるよ」 アニムは、どうも不安だった。しかし、ここはやらなければ自分はここにいつまでも留まっているような気がした。
2005年01月03日(月) |
やることが決まったよー |
前から考えていたお正月企画。やること決まりました。 こうなると、アニムの話をちゃっちゃっと終わらせてやりたいです。
ミレンディにやっと着いたのは、三日後だった。馬車を使用しての三日なのでかなり日数を要した。アニムはこの街のことを、「ブランディの街」としか把握していない。立ち寄ったことはあるが特に気に留めたことはなかった。 ここまで来るまで、あのときの一度しかアレらは追ってこなかった。このまま石職人に会えれば(そして、なんとかなれば)いいのだが、そうは行かなかった。 甘いにおいの中に、腐敗臭を撒き散らしながら、アレらはやってきた。 「きいいきゃああ!」 悲鳴が響く。アプリの悲鳴だけではなかった。 「な、何あれ?」 「妖精のいたずらか?」 「だとしたら、なんて悪質なんだ」 「こ、こっち来る!」 「いいやああ!」 と、街は大騒ぎの混乱で人々は逃げていった。ブロードは、何も言われなくとも例の魔法を発動させようとしている。が、先日とはちょっと違う。何か書かれた紙を取り出して少し何かをつぶやいただけで、それらは全て燃えうせた。ブロードもぴんぴんしている。 「魔術か……」 「うん。しばらく魔力を使わなかったから貯めておいたんだ。発動させるだけでいいから魔力はほとんど消費しない」 ブロードがそういい終える頃、拍手が鳴った。一人の中年の男が、こちらに現れる。 「いやあ、ひっさし振りに見たな。しかも見事な魔法を」 男はそれに満足したような顔で続ける。 「君たちが、あの石を倒したのだね」 「なんで、それを?」 「あんなのが現れたと言うことは、そういうことだなあと思ってな」 「じゃあ、あなたが職人さんなのね。あの石を立てた」 「そうだよ。お嬢さん。わたしがあれを作ったんだ」 男は、フェールと名乗った。 「お願いします。あの石を元に戻してください」 アプリはフェールにそう頼んだ。 「それはもちろんなのだが……それにはエルフが必要なんだ」 ブロードとアプリはアニムを迷わず見た。アニムは二人の視線を痛く感じながら受けていた。
まだ酔いの口なのは今日八時半まで仕事だったから。 一通り食べてお腹がいっぱい。落ち着いたら飲むぞー。
2005年01月01日(土) |
喪中につき、新年の挨拶を控えさせていただきます |
それでも、新年企画として何かやろうかとしています。まだ、決めてない。だから、今日は続き。 で、明日は自動的に休ませていただきます。(携帯から簡単に書き込みしますけど)
ブロードが、がばっと起きたのは昼頃だった。 「ごめん、アプリさん」 起き上がったブロードは御者台に手綱を握っているアプリに声を掛けた。 「うん、大丈夫よ。それより、ここ頼むわ」 ブロードと場所を変わりアプリは中で昼食の準備をした。アニムはうとうとしていたが眠気を振り払って起きることにした。 「朝まで番をしていたんだからまだ寝ていてもいいのよ」 「いや、もう大丈夫だ。それより、何故、あんなものが襲ってくるのだ?」 襲うのとは違うか、とアニムは言ってから気づく。しかし、アプリは眉をひそめて言った。 「原因はよくわからないけど……わたしが何かしちゃったみたいなの」 アプリが思うには、ジョウロフェンツァの郊外にあった石を倒してしまったことから始まったらしい。それ以来、あの死体たちが集まってきてくるようになった。石を元に戻してもそれは止むことがない。もちろんブロードにも理由はわからない。詳しい者が、その石がミレンディの術者が立てたと聞いたので、そこに行くいことになった。と、いうことだった。 「それで、ミレンディに」 「もう一度その石をもとに戻さなきゃね」 簡単に昼食が済むと、アプリは少し休むことにした。アニムは暇なので、御者台にいるブロードを話し相手にすることにした。黙々と手綱を握っているブロードはアニムにすら気づいていないようだった。 「お主は、暇ではないのか?」 「うん。一人でいるのが長かったからね。慣れてるんだ」 「でも、一人で旅をするよりは誰かいた方が良いだろう?」 「そうだね。あんたも見る限り旅をして長いんだろ」 「まあ、な」 「何か目的があるのか?」 「もちろん」 アニムには、最大の目的がある。しかしブロードはそれを聞かなかった。 「お主にも、あるか?」 「まあ、ね。でも、仮死状態から目覚めさせる方法なんて知らないだろ?」 ブロードの言うとおりアニムにはわからなかった。首を振った。 「だろうね……」 「強力な目覚ましならあるが、仮死状態に聞くかどうかは別だ」 「一応、教えてもらえるかな」 アニムはその方法を教えた。ブロードは相変わらず前を見て手綱を握っているため聞いてないようにも見えたが、時折、もう一度そこを教えて、と言っていた。
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