気まぐれ日記
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に行ってきます。なんのコンサートかは内緒。去年ドラクエコンサートに行った時と同じように、感想書かせていただきます。それにしても北海道に来てくれるとはうれしい。
ティママンが剣で払ったり突いたりしてもスノムウェインは弱るところがない。 「てめえ、何かしたか?」 「人間が作った剣では無駄だと言うことだ」 アニムが魔術による足止めを、バルクがティママンの剣で斬りつけても彼には通用しない。 「駄目だ。ここはそ奴の世界。そ奴の思い通りになるのだ」 「ちっくしょう……」 「その通り。もうお前たちにはあがくことしか出来ない」 離れていたルイの前にスノムウェインが現れ、ルイに手をのばす。 「まずは、この悪魔だ」 「いや、やめて!」 「ルイちゃん!」 ルイの頭をわしづかみにしたが、ブロードが手を引いてスノムウェインから引き離した。 「大丈夫? ルイちゃん」 「うん、でも……」 足元がおぼつかずがっくりと彼女は座り込んだ。 「あいつに触られたら終わりみたい。ごめんね。私、強制的に戻されるみたい」 「どうゆうこと?」 「多分、おばあちゃんが、あたしが危なくなると自分の世界に戻るような魔法をかけたと思うの……」 「ぼやっとすんな!」 バルクがルイとブロードの前に立つ。スノムウェインの体が割れたが、少し移動したところで現れる。 「バルク、アニム、さよなら」 ルイが消え去った。 「ルイ?」 アニムが振り向くが、もうそこにはいない。 「何だ? ルイは?」 「ルイちゃんなら大丈夫だ。ちょっと実家に帰っただけだよ。後で理由話す。さっさとそいつやっちまえ」 「できるんならとっくにやってる。おい、ガキお前もなんかやれ」 と、ティママン。次はどこから手が伸びてくるか分からない。目が話せない。気が抜けない。 「空間を壊せたらのう」 アニムがふと、もらす。
メールくれた友人。昨日の鬱憤を読んでゲーム勧めてくれた。全部アクションじゃん(ぷよぷよ意外)。確かに鬱憤はらせそう。でも、アクションは少々苦手なんよ。ああ、ぷよぷよやりたいかも。
「待たせたな。さて、ゆっくり時間をかけて食おうか」 スノムウェインが現れる。部屋だったその空間が真っ暗な空間となる。 「おい、ビアソーイダの王族ならこの剣が使えるだろ」 ティママンがどこからともなく一振りの剣を渡す。 「こりゃ……」 「俺の剣だ。グオンが返してくれていたのを忘れていた」 「思ったものだけを斬る、ティママンの剣……」 その昔、フォーランズに安置されていたがバルクが借りていた。一年前それをフォーランズに返したのだが……。 「それだけ知っていれば使える。いや、使っていたな」 「昔、初めて旅に出るときにな。ひよっ子の俺を見かねてグオンが貸してくれたっけ」 だが、騙されて剣を交換してしまい彼の手元に「貧乏になる剣」が残った。どっちかと言えばその剣が彼を強くしたのではないか、と思われる。 「スノムウェイン、よくも俺を閉じ込めたな」 「ほお、人間に成り下がったのか、ティママン。最強とも呼ばれた魔族だったのだが」 「まあな、おめえよりはマシだ。分けのわかんねえ体になっちまって」 「強がりだな。まず、誰から食おうか」 スノムウェインが動き、まずティママンにかかっていった。
自分もそうですが、職場の職員がそうです。それでちょっと腹が立ちました。今日のこととは別件だけど、自分の体調も整えることも社会人として大事なんじゃないかと(本音・ちゃんと野菜も食べないから風邪ひいたりすんだよ。いい年こいて好き嫌いして残してくんじゃねえ。特に肋骨折るならスキーなんかすんな! 丈夫な体になってからやれってんの!)思います。
「そうだな、暇つぶしに少し話してやるか」 ティママンが剣を腰から外しバルクに見せてやった。 「この家紋を知っているということはビアソーイダの王族だろ?」 「まあな」 「驚きやしない。昔っからお前みたいのがわんさかいた」 「バルクみたいのが……」 「わんさか……」 「どうゆう家系だ……」 バルクが三人をにらむ。アニムが取りつくろうようにティママンに話を促した。 「そうだな、どこから話そうか……」 「うわっ」 ティママンが話そうとすると、バルクがうめく。剣を手にしていた。 「なんだよ、これ? かなり重いぜ?」 「そうか? おかしいな……」 「それに、そうとう古いな」 「ああ、千年も前だ」 イスがないので皆じゅうたんの上に座っている。ブロードがルイにベッドにあったクッションをすすめた。女の子には優しく、が本来の彼だ。ルイも遠慮なく受け取る。 「俺は、この世界に初めて踏み込んだ魔族なんだ。それが今で言う伝説になっている。実際には一緒に入ってきた魔物を魔界に戻していただけだ……」 ある時、魔物と相打ちになり彼は体をなくし、更に復活するのに時間と人間の体を借りなければならなくなった。 「それが、ビアソーイダ王族だったんだ。時間も千年近くかかった。俺と波長の合う体はその時まだ十四、五のガキだったんだ」 その体を操ることはできなかった。少年の自我の方が強い。少年の意識がない時にしか動けない。 「ところが、こいつは意外に短命だった。自殺しちまった」 「自殺?」 「ああ、親友を守れなかったからだって。それでこの体を俺にくれた」 ティママンはバルクに手を差し出す。剣を返してくれといっていた。 「この剣はこの体の持ち主ってわけだ。いい剣だからな、使わせてもらっている。話はこれくらいでいいか?」 「なかなか面白い話だったが、もっと詳しくききたかったのう」 と、アニム。 「詳しく話していると、スノムウェインに食われちまうぜ」 ティママンが立ち上がった。 「そろそろ準備が出来たころだ。この空間が開く」 その言葉に四人も緊張が走る。
友人が勧める本でも探してみる。タイトル忘れた。海外小説だったような。とにかく、「鋼の錬金術師」のアルを彷彿させる一冊らしい。
その広い部屋は、寝室のような部屋だった。壁に家具……箪笥が一つ、鏡台、鏡台の椅子、真ん中に大きなベッドが一つ、背のついた椅子が一つ。天井まで届きそうな窓が二つある。 「あんた、確か総統の……」 「リュレイミアよ」 ルイはティママンのことを知っている。 「お主が、あの伝説の英雄だったとはのう……」 アニムはいまだ信じられんという顔をしている。ティママンはアニムをじっと眺めてから言った。 「エルフ、か。駄目だ不味くて食えん」 「……悪かったのう。お主は何を糧にしておるのだ?」 「ほんのちょっとの魔力だ。極上であればなおいい。エルフの魔力は純粋だが、くせが強いから合わない」 「分からぬ……」 もちろん魔族たちにとっての話であって、アニムには理解できない。少々憤慨したあと、食われるよりはましだと思うことにした。 「それに比べて、こっちのガキはめっちゃくちゃ美味い」 今度はブロードを見て言う。 「俺?」 「そうだ。それと、こっちのおっさんには全く魔力がない」 と、バルクを見る。そして、続ける。 「人間と、エルフと、悪魔と、魔族?……変な組み合わせだな」 「皆に言われてるぜ。で、どうすればここから出られるんだ」 「それは、無理。スノムウェインが出そうと思わない限り、無駄だ」 バルクの問いに、ティママンは淡々と答える。 「さいわいこの空間、時女神の干渉は受けてないから、餓死して死ぬってことはないぜ。よかったな」 「よくねえよ。それに、気になることが、あんだがよ」 「へーなんだろ」 「なんで、おめえ、その剣を持っている?」 「これか?」 ティママンが腰に差している大振りの剣の柄には、ビアソーイダ王族の家紋が彫られていた。
2004年02月25日(水) |
ちなみにソノラマ文庫 |
アクセス解析で怪しいアクセス先をみたら「ミシンの修理」だった。そういや、ブロードがフェザに修理を頼まれている。あと、「ととまん」???なんだ、これは? 「(プレステが)と、とまんなーい」ってやつでした。 人生(違う)、何でアクセスされるかわかりません。
「っ……!」 声にならない悲鳴と共に落ち、気づいたら部屋の中にいた。窓からは何も見えない。ただ暗いだけの夜の風景だった。 「大丈夫か?」 見知らぬ声がする。男の声だ。 「誰だ?」 「他の奴らも大丈夫だ。すぐ目が覚めるだろうよ」 バルクは痛む体を騙して立ち上がった。騙しきれなかったが。 「まずは、ここの説明だ。ここは、スノムウェインの空間。お前らのいる世界とは別世界。奴のプライベート空間って言えやいいかな」 束ねた長い金髪を背中に払ってその男も立ち上がった。一緒に落ちた仲間の介抱(楽な姿勢で寝かせているだけだが)をしていてしゃがんでいたのだ。 「プライベート空間?」 「奴が作った小さな世界だ。この部屋だけが奴の世界ってとこだな」 「……それから、お前は?」 「俺は、ティママン。もっともこの姿は元は人間のものなんだけどな」 人懐こそうな笑みを浮かべる。 「ティママン? ティママン……」 バルクは思い出そうとした。なにか、引っかかる。よく聞いた名前だ。どこで聞いた? 「伝説の英雄ティママン!」 子供の時、よく聞いた話だ。誰でも一度はあこがれる英雄の話。 「ああ、なんか人間らにはそう、言われている。けど、俺、魔族だぜ」 「……魔族?」 バルクはぽかんとしたが、すぐに気を取り直した。 「で、お前はなんでここに?」 「それが、ドジ踏んで……閉じ込められちまった」 ティママン気まずそうに愛想笑いをする。 「おい、そろそろ起きろ」 バルクは無視してアニムとブロードを起こした。二人はすぐに気づいた。ルイもゆっくりと体を起こす。 「あのアホ魔王……」 ブロードは目覚めてすぐ今の状態を把握する。 「閉じ込められちゃったわね」 ルイも、またそうだった。アニムはいまいち理解できなかったようだが、ティママンの説明を受け、納得できた。
こんなに続けてのせるということは、よっぽどここにのせるネタがないか、よっぽど小説が面白かった、ということです。 ライトジーンの遺産。一言言えば、表紙が残念です。(誰に描けとはいわないけど)惑わされず(中の文章はすばらしいので惑わされることはないと思います)読んでくださいな。このように文が書けたらなあ、と思います。
その町は凍りついていた。アルマスの都と比べるせいだろうか、人はまばらで、活気というものがない。町の人々はただ、日々をすごしているようだった。自動的に動いているようにも見えた。 「はあ……」 アニムはため息をついた。あまりにも活気がないため何もやる気がないようだった。 「バルク、とにかく今夜の宿だ」 探すとすぐ今夜の宿は決まった。値段も安いし部屋もきちんとしているようだ。でも、やはり中の活気はない。 「いらっしゃい」 宿屋の主人は言った。疲れたような声で。その先、こちらから、人数、部屋数、泊まる日数、食事の有無を言わなければ進まなかった。 「なんて店なの?」 ルイが憤慨した。もっともこのくらいならばケーキの一つで治りそうだ。 「スノムウェイン、か?」 と、バルク。剣をちらっと見る。 「この町、例の魔力がない」 ブロードが辺りを見回した。 「今まで、どこの街道であろうが村だろうが森だろうが魔力はあったんだ。その魔力がない」 「やはり、ここにスノムウェインの分身があるのかのう」 「だろうな」 「じゃあ、さっさと探しに行きましょ。今のうちに……」 ルイがぎくりとする。ブロードは部屋のソファーを見つめたまま動かない。バルクが剣の柄を握ったまま離さない。 「相変わらず、お前たちは感がいい」 スノムウェインだった。しかし、その姿は透けている。 「なんだ、その姿は?」 「移行中なんだ。私の分身への」 「移行中?」 「そうだ。言っておくが今の私に何をしても無駄だ。それに分身を見つけることも不可能だな」 お前たちがここに来るのはわかっていた、とも。 「まあ、こちらもお前たちをどうこうすることはできないしな。また少しおとなしくするといい。ちょうど馬鹿な魔族も捕まったことだし退屈はせんだろう」 床に穴が開いた。ぽっかりと。この部屋は宿の二階のはずだが、その穴は深く真っ暗である。当然その上にいた四人はその穴に落ちていった。穴がふさがり元の床に戻る。 床が戻ったその時、別の魔族が現れた。 「遅かった……」 別段、大したことなさそうにその魔族はつぶやいた。セアレはスノムウェインを見たが、もういなかった。
急いで読むのがもったいない気がします。でも、読まずにはいられない。今、そんな気分。やっと、読み終わりなので。でも今夜読破するつもり。
セアレは運命神とは違う飄々しさの魔族である。今回魔帝に呼ばれてきてはいるものの、どこか抜けたような声で言った。 「何か御用ですか?」 「お主に管理人代理を頼む。カルストラの代わりに……」 「はあ。じゃあ、バイトしててもいいですね」 「バイト? また何を買うつもりでいる?」 「えーと、あの世界ならミレンディ産のブランディをちょっと」 「なるべくスノムウェインの近くにいて欲しい」 「……そうですか」 「しかし、代理を頼んでおるのにバイトとは何事だ?」 「だって、あの方はいつも寝ていらしているでしょ? だったらバイトしている方がましでしょ?」 「……確かに。つーか、カルストラめ、サボって毎日寝ているのか」 「あーあ、魔族なんてうまくないのに。場合によっては消滅してもいいんですね、スノムウェインは」 「そうだ」 セアレは目を細めて(もともと細いが)笑った。しかし、すぐに表情を曇らせる。 「あー、まずいの、想像しちゃうなー」 「お主の好きなものは、なんだっけ?」 「人間の感情」 魔帝は知ってるが、確認のため聞いた。再認識のため。 「では、今回はエルフと悪魔と人間と、元人間で今は魔族の感情を食えるぞ」 「……どうやったらそんな交友関係ができるんですか?」 セアレはあきれながらも、果たしてエルフは感情までまずいか? と思っている。 「すべては、偶然。なるようになっているのだ」 魔帝は、先ほどまで運命神が立っていた位置をにらんでつぶやいた。
今日は読むことに没頭。どうせ日曜だから小説は休みます。 ウィスキーはたしなむことないんですが、これ読んでいると「飲んでみてー」と思ったり、酒の飲みかただけはかっちょいいと思ったり(いえいえ、他の部分もかっこいいですよ、多分)、さらには複雑な兄弟関係により、兄(でも女で年下)との微妙なやりとりに笑えたり……。
お好きな方は、立ち読みしてからでも購入(図書館からでも借りる?)して見ましょう。
急いでいます。
「右手が戻った」 魔帝は自分の右手を見るのは初めてだった。人間同様手のしわの刻まれ方は左と違っている。 「お前、悔しいか? 全力を出しても、あのスノムウェインは消滅しなかったんだぞ」 右手はなにも答えない。 「魔帝、どうだ? 自分の本当の右腕は」 目の前に、黒髪の男が立っている。つかみ所のない飄々とした男だった。 「つまらんことを聞くな。早くもとに戻したらどうだ?」 「その腕に力が戻らない限り駄目だ。しばらく腕だけ療養しろ」 「わかった。酒をたっぷり飲めばいいんだな」 「方法は任せる」 「そうだな、こやつの代わりといってはなんだが、管理人代理を立てねばならん。あの人間たちをわし等の都合で巻き込んではならんしな」 「私が行こうか?」 その男の言葉に魔帝は震えた。 「主が行ってどうすんじゃあー!!」 そして、叫んだ。続ける。 「運命新であるお主が……て、いうかお主が行ったところで向こうは大混乱じゃ! その件についてはセアレに頼んである」 「冗談だ。面倒なことはしない」 「……」 男、運命神は去って行った。
えーと、本のタイトルです。まだ序盤しか読んでないですが、超能力者の癖に蟻と格闘しているのが笑えます。 日記のデザインを変えようかとしましたが、結局今のままでいいやと思い、変えないことにしました。慣れちゃったしね。 この街はまだスノムウェインの支配下になっている。そのためアニム、ルイは宿から出ない。 「もう出るか? この街」 「そうね、もういいわ」 「しかし、どこへ行く? スノムウェインはこの街を支配しているから、ここに戻ると思うが……」 「お前たちは動けないだろう。ここにいるよりは、近くの町にいた方がいいと思うんだが」 「うーん……」 アニムが周辺の地図を持ち出した。この大きな都の周りには小さい町や村はいくつもある。 「ここが、小生とルイが飛ばされた町だ」 都に近い一つの町を指した。 「じゃあ、そこにいこう」 と、ブロード。 「あのアホ魔王の作った分身があるかもしれない。奴がいないうちにぶっ壊す」 「そうか、そういう手があるか」 「そうね、何も待たなくても……」 「こっちからゆく、決まりだのう」 翌朝、彼らは宿を出た。まっすぐ都の出入り口に向かう。その日も人の波があり、祭り騒ぎのようににぎやかだった。中にはエルフや獣人の姿が稀に見かけた。この都がどんな街かも知らずに。 「なんか、つまんねえ街だったな」 ブロードが出る際にぼそりと言う。聞こえたのか出口付近にいる門番ににらみつけられるが、彼は知らんふりした。
最近売れてる『ジュピター』 ホルストの組曲『惑星』からメロディとってます。(当時、冥王星は発見されてないので、海王星までしかないんですよ)と、言っても、ほとんどの方は知らないと思われるので、うんちくを。木星は、パチンコのCM「地球逆回転したらどうなる!?」でBGMとしてかかってました。他、いろいろなとこでも結構かかってます。 ちなみに何故、私がこの曲を知っているかというと、昔「ハーメルンのバイオリン弾き」一巻か二巻当たりに、枠線の間に、「BGMはこの曲だ」みたいなことがかかれてまして、試しに聞いたからです。(笑)
「カルストラ!」 消滅。それは死ねない魔族の死を意味した。 スノムウェインも消滅した。 「……」 ブロードは力が抜けたように床に座り込んだ。バルクも呆然としている。彼らが消えた場所は、何の痕跡もなくそのままで残っている。 「どうしたの?」 その場所にひょっこりルイとアニムが現れた。なんとか場所を知り、つきとめてこの場所に帰ってきた。事情をバルクが話すとルイは驚きながらも言った。 「きっと、大丈夫よ。カルストラは。だって……ただの魔族じゃないもの」 「そりゃ、スノムウェインにしたってそうだろ」 「そうね、ただ二人とも無駄に体力を消費したから消えたと思う。カルストラなら大丈夫よ、本体はまた別だから」 「別?」 「魔帝の右腕だからよ。ブロードは会ったことなかったかな?」 「ああ、そういえば、会ったような……」 「右の腕がなかったでしょ?」 「覚えてない……」 「そう。カルストラは現魔帝の右腕に運命神が性格を吹き込んでできた一個体なの。本体がなくならない限り平気よ」 「そうなのか?」 「そうよ」 「なんだよ、驚かせやがって……」 ブロードは立ち上がった。 「だけどね、多分、スノムウェインも消えてないと思う」 「そうだな」 ルイはブロードと顔を見合わせてから、言った。 「なんでだよ?」 と、バルクは尋ねる。 「魔力がまだ奪われている、だろう?」 アニムが答える。ルイが、ブロードがうなずいた。 「なら、まだウォンテッダーとして、やらねばならないんだな」 バルクはほくそ笑んだ。 「おっさん、まだやる気か」 「ああ。だってよ、やられっぱなしだからな」 バルクが、剣をさすった。次はやるぜ、と剣に言い聞かせるように。
この話のめどがついたかも。スノムウェイン、名前覚えづらいので、『酢』で結構です。(安心した?)こいつなんか大したことないですから(いや、大したことあるキャラだと……)
「まず、この魔力が何故この世界にあるのか、だが」 スノムウェインは手のひらに輝く魔力の球をのせて見せた。 「これは私が支配する世界の魔力に近いものだ。だから少し改造すれば扱いやすいものである。偶然別の世界で見つけて回収しようとしたが当時の私では魔力を抱えきれず……」 「こぼしていったんだな、この世界に」 ブロードが、つまらないと言った顔をする。 「そう。魔力は私が知る以上に強力だった。しかし、喜んだよ。この世界にあることにより更に強力になった。ただ、散らばりすぎて回収は面倒になった」 「で、偶然に不可解な事件が多発して……」 「管理人であるカルストラが、回収作業を行ってくれた。頼みもしないのに、な」 「回収した魔力をお前がいただいて、お前が強くなる、か」 バルクもあきれたような顔つきをする。 「ああ、そうなるな。私の分身を動かすのにちょうどいい」 「分身?」 「そうだ。魔力を奪われると弱い我々魔族の弱点を補った私の分身を作った。その材料があの魔力だ」 「なんだ、お前が使うんじゃないのか」 バルクが立ち上がった。剣を抜きスノムウェインの胸を貫く。 「ふん、どうやら切れんようだな」 「ちっ、やっぱりだめか」 すばやく抜いて鞘に戻す。 「その剣、ただの剣ではないが。残念だったな。しかし、この私に剣を刺したことを後悔するといい」 この宿ごと吹き飛ばしてやろうか、とスノムウェインは言う。 「やめてください!」 空間から現れたのはこの世の魔王だった。バルクたちとスノムウェインの間に割ってはいる。 「ふん、また懲りずに現れたか」 「まさか、そんなこと考えてたとは思いませんでした。ブロードさんはともかくバルクさんのような人間を巻き込んでしまったのは僕の責任ですからね」 「俺はいいのかよ」 ブロードの非難を軽く無視して、魔王は言った。 「全力かけて、あなたを消します。悪く思わないでください」 「面白いことを言うな。魔帝の分身のくせに」 「あなたも御自分の分身を作っているんじゃないですか。お互い様です」 お互いにお互いを消す。周りの空間がゆがんでいた。 「くっ、なんて奴だ……」 「仮にも、僕は魔帝の一部ですから」 二人は消えかかっていた。 「おい、魔王!」 「ブロードさん、僕なら大丈夫ですから……」 「大丈夫じゃねえだろ! おい!」 魔王が、笑った。天使のような笑顔。その笑顔が薄れて消えた。
びゅーびゅー吹いてます。しかも寒い。いや、そんなことはどうでもよいっすね。つい、ガンガンYG買っちゃった。(心の声 全プレに惑わされた世の少女には可哀想な一冊。こういうあこぎな商売すんなよ、SE。少女が読まない漫画がほとんどじゃねーか。だから……ぶつぶつ……。とにかく荒川先生に負担かけさせないようにしてくだせい 心の声終了)ああ、つい、文句が出ちゃったよ。
アニムはスノムウェインが苦しんで倒れる姿を見た。魔力はほとんど吸われていない。握られた腕も投げるように離した。 「ど、どうしたの?」 「……まずい」 「?」 「何故、エルフは不味い? 話には聞いていたがこれほどだとわ……」 エルフは不味い。その血も肉も魔力もすべてが不味い。と、魔族の間ではささやかれている。 しかし、その不味さを克服できれば、人間よりはるかに美味で、より強い力を得るとも言われる。が、迷信である。実際エルフを好んで食らう魔族はいるが、単なる悪食としか見られていない。 「悪かったのう!」 アニムは腹が立ってさっき懐にしまった魔封環を取り出しスノムウェインの腕に取り付けた。 食われるのはいやだが、不味いと言われてはうれしくない。 「なんだ、これは!」 「魔力を封じただけだ」 「こんな物を!」 「ルイ、今だ。逃げよう」 「うん!」 ルイの移動術でそこから脱出した。場所は適当なため、街の中であるがどこなのかわからない。 「ここ、どこ?」 「さあてのう」 アニムは地図で場所を調べたが、通りの名前や店が一致していない。つまり、ここはアルマスの都ではないことがわかった。 「そう、遠くを考えたわけじゃないのに……」 「むうう、どうやらさっきのスノムウェインのところがすでにアルマスではないのかもしれん」 「あ、そうか。でも、どうしよ、アニム」 「とにかくここがどこのなのか知ることが先決だ」
宿屋の一室。バルクはベッドに腰掛け、ブロードはソファ−の上で転がっている。 「どうするよ、おっさん」 「うが〜、どうすればいいんだ?」 お互い、いい案なんぞ思いつかない。ブロードはため息をついた。 「どうするってったって……」 バルクが突然剣の柄を握った。空間を一薙ぎする。何事かとブロードは起き上がった。きいん、と金属が鳴りそれが現れた。スノムウェインである。 「おめえ、確か……」 「スノ? すのの……酢の物?」 「スノムウェインだ。元人間」 ブロードのボケを短く打ち切る。 「助かったぞ、人間。このやっかいな腕輪が外れた」 「腕輪?」 床を見ると、真っ二つに割れた魔封環が落ちていた。バルクが振るった剣はそれにあたったのだ。 「なんの用だ?」 「礼にきたんだが、あのエルフはいないようだ」 「礼? エルフってアニムのことか?」 「さあ。名前など聞かないからな。いないのであれば、変わりに元人間、お前を食おうか? 魔力は十分集まった。だからあの悪魔とともに食おうと思ってな」 「……その前に聞かせろ。ルイちゃんが言っていたけど、糧は生きる元であって人間が食事をするのと同じなんだそうだ。強くなるものでない。だったら、あの魔力はお前の糧ではない。強くなるにはあの魔力は不安定だ。それで、何故強くなれるんだ、お前は?」 「ふーん、では、教えてやろうか」 スノムウェインが、適当にイスを引いてきて腰掛けた。二人にも座るように促す。バルクは座ったが、ブロードは座らずにいた。それに構わずスノムウェインは話し始める。
ああ、本当直すって億劫なんで気にして欲しくないです。(でも、気になっているは自分だけ)その日のうちに直せば楽なんですけどね。後から気づくのが、世の常。 『ウォンテッダー』ですが、相変わらず進まないと言うかなんと言うか……。最後の方決まってきているんだけどね。全部できたらワープロに移してちゃんとまとめてみたい。そんな暇ないと思うけど。誰か一ヶ月くらい休みください。(笑)
ルイはイラついていた。牢は寒いし暗いし食事はまずいし。 「あー! もう、いつになったら出れるの!」 「うるさい娘だな。静かにしろ!」 「う〜……」 「あっちの奴を見習え!」 見回り役の男が指差すが陰になっていて見えない。こんな牢屋に入れられて黙っていられるなんてよっぽど変わっているのでないかと彼女は思った。 「今度騒いだら飯抜きだからな」 見回り役もイラついて怒鳴り、さっさと次の持ち場に行ってしまった。 「何よ!」 ルイは舌を出してその見回り役を見送ってやった。 「そんなに騒ぐ出ない、ルイ」 「その声といい、じじい言葉といい。アニムね」 「ここからでは良く見えんかったからのう。お主もつかまったか」 「そーなの。もう少しでおいしいケーキが食べられたのに……」 「それは残念だったのう」 「アニムはよく落ち着いてられるわね」 「無駄な動きをするにも億劫でのう」 「たかだか六十でそんなこと言わないでよ。で、アニム。どうやって出ようか? この牢屋ぶち壊す?」 「お主、移動術が使えるであろう?」 「あ、そうか」 「まあ、何かあるような気はするがやってみよう」 「何か?」 ルイは疑問に思いながら集中した。アニムの入っている牢に入る。 「アニム、どうしたの! これ!」 アニムの手首にきれいな宝石を施した腕輪ががっしりとはめられていた。 「魔封環、といってな。魔力封じの道具だ。小生にはきつくてのう……」 「今はずしてあげる」 ルイが複雑な留め具をいじり十分ほどではずした。 「でも、見事なものね」 「その宝石が魔力を封じるといわれる。逆に使い方を知ると便利なものなのだ。自分の魔力の温存や他人の魔力を封じることが可能となる」 「へえ」 「だから、もらっておく」 アニムはその腕輪を懐に閉まった。 「さてと、今度は外に出るわよ。でも、ここがどうなっているか、よくわからないし……」 「それなら小生がわかる。だが、うまくいくかわからんが……」 「何、それ? さっきも言っていたわね」 「捕まるのは人間と神以外。悪魔やら魔族やらが捕まったところで大人しくしているはずがない。だから、移動術を使っても出れないような罠があるような気がしてのう」 「ふーん。じゃあ、やめとく?」 「いや、このまま大人しく捕まっているのも癪だからやってみてくれ」 「わかった」 アニムはこの内部の見取り図、方角などを紙に簡単に書いて教えルイはそれを見て外に向かうように集中した。 彼らが現れた場所は、どう見ても建物の内部だった。 「あ、失敗したかな」 「あるいは罠か、だのう」 「それは、ないかも。変な感じは……」 「しないように工夫した。よく来たな、確か悪魔の総統の孫娘だったな」 「スノムウェイン!」 「お主が、か?」 ルイが声する方を見た。それは黒い髪の魔族、恐怖を名乗る魔王だった。 「なんであんたがここにいるの?」 「この街の支配者となった。それだけのことだ」 「はあ?」 「それで、人間と神のみの街にしたのか?」 「飲み込みのいいエルフだな。そうだ」 「でも、なんで?」 と、ルイ。 「それは、こやつが神だからだ。少なくともこの街では、こやつだけが神であるということだ」 「この街は、いろいろな種族が入ってくる。だから入り口付近だけはフリーにしておいた。それでも、人間以外のものは入ってくる」 「それを、餌食にしておるのだな。お主」 「本当に飲み込みのいいエルフだな」 「それほどでもない」 「褒美に食ってやろう」 「危ない、アニム!」 ルイが叫ぶより早くスノムウェインがアニムの腕をつかみ取った。
2004年02月15日(日) |
コーセルテルの竜術師 |
超ほのぼのファンタジー。4巻が最終巻。そのわりに謎が残っているのは、どうかと。内容はほのぼのしてるんで深刻ではなさそうですが。とにかく、生みの親より育ての親。ということが良くわかる話だと思います。
宿の主人は、バルクらの質問に淡々と答えた。 「ああ、そうだ。ここは人間と神のための街だ」 「じゃあ、なんで昨日は……」 「ここは一応フリーゾーンなんだ。どんな人でも泊まれる。しかし、街の中心には人間と神のみだけしかいけない。それがこの都のルールなんだ」 「つかまったやつらはどうなる?」 「しばらく牢に入れてからまとめて街の外に出すんだよ。……お客さんの連れ、人間じゃなかったのかい?」 「……なんで、そんな法律があるんだ?」 アニムからパンフを借りた時、そんな法律のことは書いてなかった。 「ああ、つい最近だ。新しい領主が決まって……」 「新しい領主? ここは領主制なんだな」 「いつからだろうか、な」 宿屋の主人にも詳しいところはわからないという。二人は部屋に戻った。 「なあ、お前ならどこにいるかわかるんじゃねえの?」 バルクがブロードの移動術を当てにして、聞いた。 「あてずっぽでやれってか? どこに出るかわかんねえのに?」 「そうか。でもよ、ルイにも移動術があるよな」 「……忘れてんじゃねえか? 今までずっと歩きだったし」 「だろうな。それにあんまり得意じゃねえみたいだし」 「アニムはもとから無理だろ?」 「ああ、多分自分が今いる場所が、街のどの辺でどの方角にいるかまでは把握しているだろうけど、脱出はできねえだろうな」 しばし、二人は黙る。 「でもよ、変だよな。なんで人間と神なんだ?」 と、ブロード。バルクは仮説を立てて、説明した。 「ああ、昔はな、神っていうのは人間の味方だって思われていたんだよ。『妖精主の大陸』の出身で更にまだ造船技術の発達してねえ時に生まれたお前にはわからんかもしれねえが……神は創造主で人間たちを見守っているっていうものだったんだよ。今は、あの魔王やルイが言うには神は傲慢で高慢ちきな奴だって聞くけどな」 ビアソーイダの古い文献には、『神様ってやつはインチキだぜ』というような文がある。バルクはふとそれを思い出した。 「なるほどな」 やはり、前に魔王が言ったとおりだ。魔族も神族も紙一重だということを。
高校以来、七年ぶりに。こんなにとしをと取ったのだなあと、実感。
ブロードはふらりと散歩に出ていた。 公園があるので、そこを眺め歩いてから、ベンチに座った。そこに一緒になって座っていた身なりが汚い男が尋ねてきた。 「あんた、人間かい?」 「なにに見える?」 「そうさな、人間に見える」 「だろうな。その通りだから」 「まだ、認めてないのか。まあよい。ここでは勤めて人間のふりをするといい」 「ちょっとまて、あんたは……」 「わしは、ただの浮浪人だ。それでも人間という理由でここに住める。お主もがんばれ」 「ここでは人間でいろと?」 「そういうことだ」
夜になってもルイとアニムは帰ってこない。バルクは心配していた。 「なんだよ、二人とも道に迷ったのか?」 「……」 バルクは何事もなく観光してきた。 「ああ、おっさん。ルイちゃんたち、捕まったかも」 「なに?」 「昼間、変な奴に勤めて人間のふりをしろって言われて……もしかして、 ここは人間のための街なんじゃないかってね」 「そういうことなら……大変じゃねえか!」 彼らは、部屋を飛び出して宿の主人に尋ねることにした。
芸能人がやること。列車で考えた。蟹を食べること、温泉に入ること、雪の上に大の字になって寝ること。間違ってる? ただ今、よっぱいらい中。なにを書くかわかりません。
アニムは遺跡を見て回った。どれも千年以上は前のものだと思われる。彼はゆっくりとそれらを見て回った。 風が強いと、彼は感じた。砂が目に入らないように顔を下げた。 ばさっ。フードがはがれてエルフ特有の垂れ下がった耳が現れる。すぐにかぶり直すが、もう遅かった、数十分後、ウォンテッダーたちに囲まれ、抵抗する間なくつかまった。
「これは、どういうことかのう」 「この街は、人間と神のためのところだ。お前みたいなエルフの街ではない」 「しかし、昨日宿に泊まったときは……」 「街の入り口付近の話だ」 「いつまでここに入っておれば良いのだ?」 「さあな、出れたとしても二度とこの街には入れないぜ」
します。疲れきって携帯からちょこっと書き込みする程度、と思ってください。14日は二日分書きます。
ルイは、街のお菓子屋にいた。実に彼女らしい。スウィートストリートとベタな名前のついたその通りは、その名の通りお菓子屋がずらりと並ぶ通りだった。彼女はもちろん、この街にこんな通りがあるのは知らなかったが、人々に「甘いものが売っているところは?」と尋ね、この通りの事を聞き、嬉々としてここにいる。まずはどこにしようか? とショーウィンドウを眺めてため息をついた。 「おいしそう……」 彼女はショーウィンドウ越しにある、おいしそうな芸術品を堪能する。 からん、と鐘が鳴る。早速その店に入ったのだ。 「え、とね」 「お客さん、人間ですか?」 「はい?」 ケーキを選ぼうとショーケースを覗いた時、女性の店員に突然尋ねられ、ルイは驚いた。 「何?」 「お客さん、人間ですか?」 「うーん、人間じゃないけど?」 「ここは、人間と神しか入れません。お客さんは神ですか?」 「はああ?」 「残念ですが、この店の商品は、人間と神のみに売れるのです。お客さんは該当しないので売ることができません。 「……じゃ、聞くけど、悪魔が買えるケーキ屋さんは?」
「お客さん、悪魔ですか?」と聞かれ、はいと答えたら、追い出された。さらに、役所に雇われたというウォンテッダーに追いかけられ、捕まって牢に入れられた。 「なんなのよ〜、これ」 彼女は泣きそうになった。こんな酷い目に合うのも初めてかもしれない。しかも、悪魔だという理由で。 「この街は、神と人間のための街。あなたは不適格なのですよ」 「でも、宿には泊まれたわよ」 「ああ、街の入り口付近のみはね。すぐ出て行けばよかったのに」 「なんで、そんな変な街になったの?」 「はあ、何を言うんです?」 「……」 彼女は何を言っても無駄だと知り、どうすればここから出れるのかを聞いた。 「そのうち出れますよ。ただし、この街には二度とは入れませんが」
では、すぐ始めます。
宿が決まり、すぐ夕食。食べ終わったら皆、部屋に戻って休むことになった。ルイだけが別の部屋だが隣にある。 「疲れたのう。さすがに」 「こんだけでかい街だとな。歩くだけでも疲れる」 「俺も、疲れた。こんな人の多いのも初めてだ」 三人はもはや寝る仕度をしていた。 「本当に寝るのだな、二人とも」 「ああ」 「これ以上起きて、何をするんだ?」 アニムが明かりを消すとすぐに寝息が聞こえた。
「自由行動だ」 アニムが言う。朝食の席でのことだった。 「ほんと? ほんとにいいのアニム」 ルイがうれしそうに聞き返した。 「各自おのおの見たいものを見ると良い。こんな大きな街では何が変わったことなのかわからん。手分けして情報を集めるのだ。ただし、昼食代などは各自で払うことだ」 「留守番ってのはだめか?」 と、ブロード。面倒なようだった。 「いや、構わぬ。ただしこの近辺の情報集めを頼む」 「……留守番じゃねえ」 「あとは、帰りもここに帰ってこれるよう。場所を把握することだのう」 朝食が終わると、ルイはすぐに用意をして街の中に繰り出した。 「アニム、パンフの予備あるか?」 「パンフならこの宿にもある。買え」 「お前が持ってるのをちょっと見せてくれ」 ケチだのう、と言いバルクにそれを渡す。世界各地の大きな街を紹介しているパンフレットである。アニムが行ったことのある場所にはいろいろ書き込みがしてあり、どのレストランがうまいか、どの宿が安いか、服を売っている店ではこうだ、などなど書かれている。アルマスの都にはこの宿が書かれている。『とりあえず安い』と。 「名所っていっぱいあるんだな」 「小生はこの博物館に行こうと思うのだが……」 「じゃあ、俺はこっちの遺跡にする」 バルクの行き先も決まり、二人も街へ繰り出した。ブロードはふらふらと近所の公園へ散歩に出た。
2004年02月10日(火) |
特に記すことがない一日 |
ねずみ騒動3・ねずみは倉庫の軒下に潜んでいた。この間はごみバケツとゴミ袋の間にいたし……。いつまでつづくやら、ねずみ騒動。
中心都アルマス。サルディクルディの最大の街。その賑わいはビアソーイダ以上であり、広さはクレンムのバンデン王国の城下町以上である。 「この都を全部見るのに一ヶ月以上はかかると言われておる」 アニムをパンフをカンペしながら言った。 「ひっろーい」 ルイが感嘆した。 「これじゃ、何が起きてもわからねえんじゃね?」 行きかう人々は、彼らを見ず、すたすたと歩き去る。気にした風もない。 「噂も噂だったみたいだな」 噂、さまざまな噂を聞いたが、それらが起こっている様子はない。大人数であるのと、祭りのようににぎわっていることを除けば普通の街並みである。 「今日の宿をとらんとのう」 とりあえず宿を探した。街の人々に聞き、やっと一件見つける。しっかりした作りの、屋敷のようなつくりの宿だった。いや、ホテルというものだった。ルイはものすごい期待のまなざしでアニムを見た。彼は渋々料金を聞いた。 「た、高い……」 アニムの足は、ホテルから遠のいていく。三人も逃げ出すようにそこから出た。 「とても、長く滞在できるようなことろではない。無理だ……」 「どんな価格だったんだ」 アニムが他の三人に料金を耳打ちする。三人三様、顔色を変えた。 「どうしよう、どこに泊まる?」 「何、これだけでかい街だったら、裏通りにでも安い宿があるだろ」 「そうだな」 裏通りは静かだが、主婦たちが世間話をしていたり子供が遊んでいたりとそれなりの賑わいはあった。そこで主婦に安い宿を聞いて歩く。三件ほど回ってやっとアニムが納得できる料金の宿を見つけた。そのときには、皆くたくたで日が暮れていた。
2004年02月09日(月) |
カードGメン小早川茜 |
漫画家の夫と娘を持つ、サンライズ会社のやり手(?)カードGメン。今やっている。二時間推理ドラマは面白い。見ていくうちにシリーズものって覚えてしまうし。好きなのは、財前直美(あれ、字あってる?)のスチュワーデス刑事。たまに、お水のあきなを演じるところがパロッててよい。
村や町によるたびに中心都の噂はさまざま入ってくる。内容はすべてばらばらで真偽を知る人はいなかった。 「結局、いったってどうってことねえんだよ」 と、ブロードは言う。 「噂は噂。その中心都についたところで何も変わったことはねえよ」 「でも、誰も向かわなくなったって言うじゃない」 ルイの言うとおり、中心都へ向かう街道には誰もいなかった。昼間でもしーんと静まり返り、山奥の村にでも向かうような静けさだった。 「確かに妙だのう」 「だな」 バルクは短く言った。周りをうかがっているようでもある。 「坊や、見てあっち!」 エーデルが指を指した方をブロードは見た。何もない。 「何もないじゃないか、エーデル」 そっと、指を立てて口元に当てる。 「そうね、見間違いかもしれないわね」 彼女にも通じたらしい。黙っているように、と。 「やっぱりいるじゃねえか」 バルクは小声で言った。アニムはにやり、と笑う。 「盗賊か強盗かごろつきか追いはぎか……」 「俺たちの相手にもなんねえ」 小声で話し続ける。 「ねえ、そろそろおなかすかない?」 ルイが大声で言った。 「何か食べるか? とは言っても、乾パンくらいしかないがのう」 「少し、休むとするか」
休憩に入る前に山の中山賊団は彼ら一行を襲い、返り討ちにされた。それもあっという間に。 「おぬしら、ウォンテッドされてないとは……、まさか初デビューの山賊だったとはのう」 「だから、俺たちを襲ったのか?」 「隠れ方もいまいちだったしのう」 「こんなの役所に突き出してもすぐ出されるし、大した賞金もでねえ。どうする? アニム」 「都まで連れて行くのは面倒だのう。逃がすか」 散々山賊たちを馬鹿にした後、彼らは中心都に向かった。
行った。ねえ、ツタヤさん、「キノの旅」三巻以降出さないんですか?、ねえ、ねえってば。(鍛冶店、あんたですよ)
中心都へは、かなり歩くことになる。それでも途中で情報を拾うため、徒歩で行くことになった。アニムが調べたところ、十分すぎるほど村や町があるそうだ。同行を嫌がるかと思われたブロードも特に気にした風もなく、構わないと言った。 「でも、なんでだ?」 「お前がいるとな、結構便利だからよ」 「……」 理由はともかく、ルイとの利害は一致している。例の魔力も尽きるどころか行く先々で増えてきている。スノムウェインの思い通りに二人は彼に魔力を送り続けている。 村を出て、すぐに彼女は現れた。 「あー、退屈だった」 雪の妖魔である。 「お姉さん、お帰り」 「ただいま、坊や」 バルクが咳払いをした。 「おめえ、見ねえ内に女連れて何やっとんだ?」 「ああ、エーデルは俺の妖魔だから。ついてくるのは当たり前だ」 アニムがぽんっと手を打った。 「お主、妖精使いだったのか?」 「ああ、そうだ」 「なんだよ、その妖精使いって?」 ルイがバルクにこそっと説明する。 「はあ?」 それでも納得ができなかったのでアニムが補足する。 「バルク、妖精使いはそうおらん。『妖精主の大陸』でなら多いかもしれんがのう。それでも少ないだろう」 「しかし、妖魔って言わなかったか?」 「妖魔も妖精の仲間なのよ、おじ様」 「お、おじ様……?」 「それにしても、変わっているわね。悪魔にエルフに人間……。あら、セルヴぇス……久しぶりね」 「セルヴぇスを知ってるのか?」 「昔殺されかけたわ。向こうは冗談だったみたいだけど」 バルクの問いに妖魔はあっけらかんと言う。 「過激だな、ドラゴンって」 ぼそっと言うブロード。ちょっと剣ににらまれたような感覚がした。 「じゃあ、紹介するよ。雪の妖魔エーデルだよ。お姉さん、あっちのおっさんがバルク、その隣の子供がアニム、こっちのかわい子ちゃんがルイちゃん」 「ちょっとまて、その妖魔をどこで連れてきたんだ」 「ああ、例の村で……」 「若い男の変死体が、どうのこうのっていうとこの?」 「まさか、原因ではなかろうな?」 「そうだよ。おっさん、魂取られないよう気をつけろよ」 「……おめえの感覚、よくわからん」 バルクは、複雑な表情をした。
ルイが冷たい。いえ、冷たいわけじゃありません。地が出てきているんです。
バルクは部屋でほうけていた。アニムが帰ってきてわれに返る。 「お主、何をやっておる」 「何も」 「まあ、時には休むのも必要か。そんなことはいい。アルマスの都へ行こう」 アルマスの都。サルディクルディの中心にある大陸最大の都。バルクが食堂で聞いた噂の都。 「なんでだ?」 「いろんな噂が飛び交っておる。小生にはどれが本当なのかわからん。だが、いってみる必要はある。例の魔力もあると見た」 「やっぱりな。やっぱりいかなきゃならないんだな」 「悪い噂も多いからのう。無理か?」 「いや、どうせいかなきゃなんえねと思った」 アニムはバルクを見た。彼にとって、おそらく一番頼りになる人間である。 「どうやら、面白いことになるかものう」 「そうだといいんだけどよ」 そんな話をしているとき、ルイとブロードが帰ってきた。 「ただ今、アニム。必要なもの買って来たよ」 「すまんな、ルイ。ご苦労」 だが、荷物の大半はブロードが持っている。それをアニムに渡した。 「ね、ね、ミヤコってとこに、すっごい石が振ってきたんだって」 「俺が聞いたのは、変な病気が流行っているだと、やべえじゃねえの?」 しかし、バルクはアニムと顔を見合わせて笑った。 「行くぜ、都に」 「何が起ころうとな」 ルイはブロード顔を見合わせ、よくわかんないと首を振った。
エモクをローマ字でEMOKU。Uを取ると、EMOK。左から読むとKOME。つまり、米。だから日本酒……多分、どぶろくみたいなものです。こんなくだらないことを考えるのが好きだったりします。
ルイの買い物を付き合うことになったブロード。はっきり言うと、女の買い物ほど、きついものはない、と彼は思っている。 「ねえ、ブロード。この帽子かわいい」 「ねえ、ルイちゃん。旅に必要なもの買うんでしょ。まずリストに載っているものを順に……」 「なによ、バルクみたいなこと言っちゃって」 「……あのおっさんも大変だなあ」 「なんか言った? そんなことより、村の様子、変よね」 「ああ、静かだよな。あんだけ旅行者が来たのによ」 店の人に尋ねると、ほとんどの者はもう村を出て行ったという。皆、口々に、何故この村に着いたのかわからないと言っていたそうだ。 「やっぱり、魔力のせいかな?」 「だろうな。あの変態魔族の思い通り、魔力は奴に行っている」 「そうね。でも、何に使うんだろうね。こんな不安定な魔力」 「不安定?」 「だって、そうじゃない? 場所によって何が起こるかわからない魔力なんて不安定もいいところじゃない。こんな魔力集めたところでそれぞれ別の力が働いて強くなろうにもなれないはずよ」 「そうも、そうだが……。俺は糧になってるぜ」 「糧は吸収されて自分の生きる元となる。人間が食べるものを食べるのと同じよ。強くなるものじゃない。あーあ、やっぱりよくわからないのよね」 「ああ、そうだな」 でも、何かひっかかる。彼は思い出そうとした。 「次は、食料店よ」 「ああ、うん」 ルイに呼ばれ、彼は思い出そうとしたことを忘れた。しかし、どこかにとどめておいた。
酔いが覚め、後に残るが二日酔い。こんな時はおとなしく寝ているのに限る。バルクは長年の経験から、そう学んでいる。 アニムは昼前から起きてどこかへ出かけてしまっていた。バルクに声を掛けず。どうせ、また副業だろうとバルクも声を掛けなかったのだが。 昼過ぎからやっと起きることができ、食堂で二日酔いに効くと言われる山の湧き水をもらった。 「お客さん、夕べはかなり飲んでたからな。今朝は相当きつかっただろ」 「ああ、まあな。でもよ、うまい酒だからな。飲まねえと損だろ」 「はは、確かに。ところでお客さん、これからどこに?」 「ああ、決まってねえな」 「都には行ったかい?」 「ああ、サルディクルディの中心都か? いや、行ってねえぜ」 「いろいろ噂があるから行かない方がいいって話だ」 「ふうん、そうか」 どうやらそこに行かなければならないと、彼の勘がそう言った。
2004年02月05日(木) |
エモク酒ってなんだ? |
ヒント まずローマ字変換してください。以上。答えは明日。
仕事場で、ねずみ駆除のため駆除の人を呼んだ。で、ハツカねずみは一日ボールペンでつついたほどしか食べないらしく、毒えさで死ぬのは一週間後くらいだそうだ……。その前に粘着テープでつかまるかもしれないし……。
「うははははは。なんだよもう飲めねえのか?」 「何よう、こんにゃろー。これくらい……」 ブロードがいびきかいて眠った。飲み比べはバルクの勝ちである。 「エモク酒は飲みやすいけどな、きついんだよ。ほれ、起きれ。宿に帰るぜ」 夜中、何人かがまだ外にいる。ルイは先に帰った。アニムはこの祭り騒ぎが終わるまでまだ商売する気だろう。 「起きろ! 寝んのは帰ってからだ」 ブロードをたたき起こしてバルクは宿に向かった。ブロードの足取りがやばいため肩を貸してやる。 「おっさん、強えじゃなねえか?」 「そりゃあ、おれあ兄弟でも一、二を争うのんべえだからな。負けねえぜ」 「……あ、そ」 「魔族でも酔うんだな」 「らしいな」 宿屋に着くとルイは布団かぶってい寝ていた。部屋は別に取ったが混んでいるため一緒の部屋となったと宿の主人は言っていた。 「俺はあのソファーに寝る。ベッド使いな」 「……」 半分寝ているブロードを寝かせ、バルクは、ふと思いついた。アニムは夜を徹するかもしれない、と。そういうわけで本来アニムが寝るベッドにバルクは寝た。 しばらくして、アニムが帰ってくる。状況は一目でわかった。むかついたがバルクの毛布を剥ぎ取ってソファーで寝た。
「う〜」 バルクはうなっていた。 「何、野獣のようにうなってるのよ?」 「頼む、怒鳴らないでくれ」 バルクは二日酔いで動けないでいた。更に風邪を引きかけている。 「何十年も風邪らしいもん、引いてねえのに……」 一方、ブロードの方は普段どおりだった。ただし、夕べの記憶はあちこち飛んでいる。 「おっさん、強いとか言って二日酔いじゃねえの」 「大体、アニム、おめえなんで人の毛布を……」 「お主が人のとこで寝ておったからだ。おかげこっちはソファーで体ががたがたなったのう」 「おめえも年だな」 「お主に言われたくない」 「すまねえが、今日は待機だ。頼む」 バルクが情けない声で言った。 「じゃあ、自由行動ね」 「小生はもう少し寝る」 「俺は、どうするかな」 「ブロード、買い物付き合ってよ。どうせ、旅に必要なもの買うんだし、荷物持ちやって」 「た、頼む。静かにしてくれ」 バルクの声はか細かった。
スタオー3、クリアしました。ラスボスですが、顔はいいのに(?)イっちゃっているのでちょっと残念。フェイトの冷静なツッコミが欲しいくらいでした。次は試練の洞窟ですね。がんばるぞう!
「やめろって! はなせ!」 ブロードが村の連中に羽交い絞めにされ、冷水をぶっ掛けられるのをバルクは笑いながら見ていた。 「ぶわっ! 冷てっ! そこっ、何笑ってみてやがる!」 「しばらくだな、ブロード! 元気か?」 「ばかやろ、なんなんだ? この待遇は?」 「この村の伝統行事だってよ! てめえもおとなしく参加するんだな」 「はあ?」 女連中がタオル差し出す。髪を拭いたが濡れた髪が凍り始めていた。 「くっそ、なんなんだよ?」 「だから、兄ちゃん、祭りだからだよ。ほれ、これで体あっためれ」 ホットのエモク酒を差し出された。 「なにこれ?」 「エモク酒を知らんのか? 兄ちゃん」 「酒か?」 すすって味を見る。ビールよりは飲めると判断し、もう一杯頼む。 「兄ちゃん、着替えあるから向こうで着替えてからにしな。風邪引くぜ」 「水かけたのはそっちだろ?」 と、言いつつ言われたとおりにする。確かに着替えがあり濡れた服は乾かしてくれると言う。 「ブロード、元気?」 「ルイちゃん、久しぶり」 「どうしてここに?」 「行った村が一件落着したから、適当に歩いたらここに着いた」 「そう、あたしたちもなのよ」 何杯目かのチョコレートドリンクをもらって飲んだ。 「どうやら、小生たちだけではなさそうだの……」 この祭り騒ぎに便乗してアニムは露店を借りれるか、相談してきた。吹く商売の占いを。若い娘たちも多いのと、村も浮かれ気分なのですぐOKが出た。 「また、客が来たようだ」 村人たちが騒いでいる。結局村を訪れる人々が、宿の部屋数を超え民家の部屋や役場、村長の家などを借りることになった。 「今年はどうしちまったんだ?」 「いやー、大盛況ですな」 「まったくだ。今年は大豊作を期待していいかもな」 いつも、エモク酒が余ってしまい皆で配るのだが、この年はあまるどころか足りなく、蔵から新しいものを出している。出店も、旅商人たちが次々参加するので、村人も見るもの初めてで商品を買い売りしていた。 「どうやら、例の魔力のせいだな」 エモク酒をすすってブロードはつぶやく。いつのまにか、バルクと酌み交わしている。 「まあ、いいじゃねえの? どうやら村の奴らも楽しそうだしよ」 酒がなくなると村人が気づいて、新しいもの差し出した。 「すごいんですよ、出店がこんなに出て。そのおかげでこの村も潤ってますよ、商人は気前よく村の特産品買ってくれるし」 そんなことをもらしている。じゃ、ゆっくり飲んでけと声を掛けて。 「ちょっと、二人とも飲みすぎじゃない?」 「ルイちゃんは飲まねえの?」 「あたしはこっち」 と、チョコドリンク。 「ルイよ、飲みすぎると太るぞ」 「なにさ、二人ともべろんべろんの癖に!」 とにかく、この二人、どうやって朝を迎えたか覚えてなさそうだ。
「ゲゲゲの鬼太郎」第三期(?)のアニメにて、のっぺらぼうが人の顔のついた魂をてんぷらにして食っていた、というのが印象深い。(笑) いや、てんぷらうまそうだって思った私は変ですか? 水木しげるの貸本漫画にそんなのがあるらしい。(読んだ事ないけど) そういえば、雪男と雪女と雪ん子の親子(?)が魂をアイスキャンディーにして食っていたという話もあったっけ。 明日、二日分書きます。すいません。
適当に向かった村が、お祭り騒ぎ真っ最中だった。 『雪中寒空祭り』と、いうらしい。内容は、男連中が雪の中、水をかぶり 厄払い、健康祈願、豊作祈願する、というもの。 バルクは騒ぎに混じって一緒になって水をかぶり、ホットのエモク酒をもらって飲んでいた。ルイとアニムはあきれながら、村の人からチョコレートドリンクをもらって飲んでいた。 「バルク、風邪引くわよ」 「いいや、馬鹿は風邪をひかん。それよりもよく寒くないのう」 「ああ、この一杯がうまいからな。少しくらい冷たくても絶えられる」 「いいわね、単純で」 このお祭り騒ぎは明日まで続くそうだ。宿はあるが今日は部屋を貸すくらいで食事は出ない。そのかわり外には出店が出るし宿代は只でよいといわれた。 只ならよい、とアニムは満足げだった。 「でも、お風呂使えないのって残念ね」 風呂などの使用もできないという。ルイはちょっとだけ不満げだったが、チョコレートドリンクをもらいすぐ期限が良くなった。 「それにしても、お主が祭り好きだったとは……」 「ああ、なに言ってんだ。郷に入ったら郷に従えっていうだろ?」 バルクはまたエモク酒を注がれそれを飲んだ。 「この村には変わったところはねえ見たいだな」 「今のところはのう」 「でも、魔力はあるわよ」 ルイがつぶやく。絶え間なく魔力は吸っている。スノムウェインのために。 「おおい、若いもんが村に入ったぞ!」 「水かけろ! 水!」 「珍しいな。続けて他所のもんが訪れるなんて」 村の男たちが言う。 「ねえ、あたしとアニムが水かぶらなくて良かったのは、女子供だからだったりして」 「そうかものう」 バルクは自ら進んで水をかぶりにいった。しかし今の会話によると、男は強制的に水をかぶるらしい。
「ドラえもん」を……。まあ、いいや。自分の原点はドラえもんにありってくらい好きだし。でも、映画がつまらなくなったというのは、自分が大人になったからでしょうか?(決してそれだけじゃないと思うけど) そんでは、続きでしたね。すごいね、九月からはじめてるけど、まだ終わらないよ。すでに話の方向性が自分でもわからないよ。(泣笑)
戻って四日でブロードはその村を出た。二日間は寝込んでいたからだ。フェザには丁寧に礼を言った。 「ブロード、あなたは……」 出る間際にフェザは聞いた。結局少女には何も言ってはいない。 「ああ、そうさ。俺は……」 「神様だったのね」 「はあ?」 「ほら、よく困った老人とか助けたら幸せが訪れるっていう……。やっぱり、あなたそうだったのね」 フェザがあまりにもまじめに話すので、ブロードはちょっと苦笑いをする。アコラを見るとそっぽを向いていた。 魔王がある時言っていた。魔族も神族もあまりかわらない、と。 「ああ、そういうことだ。まあ、ちょっと俗世間にそまっちまってるが。それじゃ、元気でな」 ブロードは足早に歩いた。 「ブロードも元気でね」 フェザが見えなくなるまで手を振った。
村を離れしばらく歩いた後、急に太もも当たりに冷たさを感じた。氷を当てたような冷たさ。手袋をはいた手で小瓶を取り出す。手袋越しでも冷たい。瓶に霜が降りている。 「おい、雪女。なんのまねだよ」 瓶はなにも答えない。 「……わかった。今出してやる」 ブロードは瓶のふたを開けた。白い霧状のものがするーっと出てくる。そして、ブロードの前に雪女はすっと立っていた。 「?」 雪女が地面に正座し、指をそろえて頭を下げた……。 「はいい?」 「あなたに仕えせていただきたいのです、ブロード様」 ブロードは、一つ忘れていたことがあった。自分が妖精使いであることを。妖精使いはなろうと思ってなれるものではなく、妖精に気に入られることによってなれる。自分にその気がなくとも妖精に気に入られた以上、断るか何かしない限り妖精はついてくる。 ブロードには、たった一人だけ妖精がいた。その妖精は強制的にブロードに仕えていたが、今はいない。 ブロードはしばらく考えた。結局野放しにするよりは、と思いその妖魔を使うことにした。 「あんたの名は……んーと、エーデル」 「それは、どういう意味ですか?」 まだ、頭を下げている雪女にブロードは言った。 「楽にいいよ。こっちもやりにくいから」 「わかりました」 雪女は立ち上がって、じゃあ、坊や。よろしくね、と言う。 「で、エーデルってどうゆう意味」 「ああ、高い山に咲く白い花だよ」 「あら、素敵じゃない」 「お姉さん、次の村に入る時は姿消してね」 「わかってるわよ。まだまだ先だけど」 なれなれしすぎるのもどうかと思いつつ、まあいいか、と思うブロードだった。
2004年02月01日(日) |
それは、昔映画を…… |
うちの母は映画館まで送ってくれて、私は一人で映画見てました。(終わるころ向かえに来る。上映中は寝るので)当時、私が見る映画といえば「ドラえもん」なんで、一人で見てた方が気が楽なガキでした。 で、同時上映に「プロゴルファー猿」がやっていた年もありました。幼少の私にはゴルフの知識なんぞ、「ボールが穴に入れば良い」程度しかわかりません。が、隣かその隣にいた子連れのおじさんが説明してくれました。とりあえず、「数字が低ければよい」と。それで、「ボールが穴に入れば良い」プラス「数字が低ければ良い」という知識を得ました。二十年後、ふと思い出し、妙に笑えました。 そういえば、昔「ドラえもん」映画の同時上映は、パーマンと忍者ハットリ君が競演していたり(これ、二回くらいあったかな)、3Dで飛び出す映画やったりと(赤青メガネかけて見る。確かパーマンだったかな?)いろいろなことやってました。 今の「ドラえもん」映画はマニアックで昔から読んでる人がニヤり、とするような感じなんですよね。(ああ、でも「のび太の恐竜」ももともと短編から来ている)キー坊(木の苗木をドラえもんが進化させ、知識を持った植物になる。似たような宇宙人に連れて行かれる)が出てきたときはにやりとした方も多いはず。 フー子(短編ではドラえもんが出しっぱなしにしていた台風の卵をのび太が孵す。目玉に渦巻きをつけた姿)、よく可愛く仕上げたな、とか。 でも、なんかひねりがないような、昔のような「どきどき」感がなくなったような、どうも甘口なんですよね。(地球の危機までに至らない? 冒険というものがない? ドラえもん映画は冒険に出てこそ、映画になる) 「鉄人兵団」とか「小宇宙戦争」とか……そのあたりがすごかったですね。あと、「魔界大冒険」のひねってさらにひねった展開も。(さすが、そこは藤本先生の本髄と思う) お涙頂戴の「ドラえもん」感動作は、考えさせられます。(友情とは何かとか、自分の存在の大切さとか、思いやりとか)本編より泣けます。(ああ、思い出すだけで目が潤む)
でも、私の中の迷作は「ドラえもんだらけ」なんだよね。
「ドラえもん」映画を語る、総論編でした。
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