・味は味わえ
反対のことを言えば、味は味わうことでしか感じられないということです。 つまり味は舌で味覚としてしか感じられないということが言いたいのです。 例えばトマトは酸っぱいものとして認識されがちですが、実際高級なトマトは甘いといいます。 言葉という情報でトマトを既に酸っぱいものであると決め付けるのではなく、実際色んなトマトを味わなくてはトマトの味を知ったことにはなりません。 味は味わって感じましょう。
・猫の飛び降りる様を見て自覚する
猫は高い所から飛び降りても骨折しません。(程度問題) 高い所から飛び降りても猫は無事ですが、身長と高さの比率を人間に当てはめるとただでは済まないでしょう。 あくまでも猫だから無事なのです。 自分が人間であることを自覚しましょう。 そうしないと危険な目にあいます。
・隣は晩御飯 隣は晩御飯でもうちはこの時間はランチタイムである、と言えるくらい自分のペースで生きていきましょう。
―END―
2004年03月30日(火) |
ショートストーリーストレンジエクスポジション |
昨日、「世にも奇妙な物語」を視聴した。 初めの観月ありさ主演「殺し屋ですのよ」と渡部篤郎主演「Be Silent」と、永作博美主演の最後の作品(バスが転落する話)が個人的には好みだった。 「殺し・・・」はオチの部分まできて、星新一が原作であることに気がついた。 以前、「ぼっこちゃん」を立ち読みしていたからだ。 星らしいオチのすっきりとしたストーリーだ。 「Be・・・」は、終盤に登場した無音室の感じがよかった。 あのシーンを見ている時は本当に音のない世界に自分も踏み入れたような気がした。 自分のうちの冷蔵庫の音などが鳴っているはずなのに。 きっと視覚的な情報が僕を虜にしていたのだろう。 注目している映像からはどうやら音が出ていない、と脳が判断し、耳から入ってくるはずのテレビの外の世界の雑音がシャットアウトされたということは、僕は聞こえない音を目で見ていたのかもしれない。 最後のやつは、簡単に言えば筒井康隆っぽくて好きだ。
―END―
ついしん 「殺し・・・」のトリックは実際使えないこともない・・・
今日は家族で大須に行った。 先日ヤフオクでPS oneを落札したので、何かソフトを買っておこうと思い、早速「Dの食卓」を買った。 ちなみに私は自分の家ではゲーム機はファミコンしかプレイしたことはない。 同じ世代の人に比べれば遥かにコンピューターゲームの経験が少ない。 PS oneを手に入れようと思ったきっかけは、私が好きな作家の作品がPSのソフトとしてゲーム化されていることを知ったからである。 しかしそのソフトは若干値段が高いので、またの機会に購入する予定。 ということで初めての購入ソフトは「Dの食卓」。 「D・・・」は名前くらいは知っていた、という程度に過ぎないが、インタラクティブシネマというものらしく、映画好きの私はストーリーに期待している。(作者が有名なことも知っている) マルチエンディングらしいので数回はプレイする必要があるだろう。 映画をプレイしているような気分になるのか、はたまた映画仕立てのゲームなのか。 PS oneが届くのが待ち遠しい。
―END―
ついしん 「D・・・」のソフトをDVDデッキ(プレステではない)に入れ再生ボタンを押してみた。 メロディーだけが聞こえてきた。
2004年03月28日(日) |
私は佐藤雅彦から逃れられない |
昨日、新品の文庫本を久しぶりに購入した。 その名は「プチ哲学」。 佐藤雅彦著。 彼はコンピューターゲーム「I.Q.」や爆笑問題出演のトヨタ車スパシオのCMをつくった人である。 以前にも彼の本では「毎月新聞」という、サイズが下敷きほどの中途半端な本を買って読んでいる。 「クリック」という本も立ち読みしている。
ここで、おひとつ「プチ哲学」に登場した問題を僕の言葉で紹介しよう。
南北に伸びる階段がある。(上段が北の方向) その一番下の段、中ほどの段、一番上の段にそれぞれAさんBさんCさんがいる。 三人は皆南を向いている。 BさんはAさんの姿を、Cさんは他の二人の姿を捉えることが出来る。 三人は赤か白のいづれかの帽子を被っていて、三人とも同じ色ということはない。(そのことを三人は知っている) さて、「自分の帽子の色がわかる人はいますか?」と尋ねると少しの沈黙の後、一人が手を挙げた。 もちろん彼は見事に自分の帽子の色を言い当てました。 それは誰? ヒントは<情報がない、という情報>。
ちなみにこの問題、僕は答えを見るまでわかりませんでした。 残念。
―END―
ついしん 上の問題の答え:Bさん。 Bさんは上のCさんがすぐに答えないことによって、自分とAさんの帽子の色が違うことに気がついたのである。
花粉症にかかったのか風邪気味だからなのかすっきりとしなかった今日。 昨日、笑っていいともに出演していたある人が、体質水という清涼飲料水が花粉症の自分に効き目があり、開発者に感謝していると言っていた。 そのことをコンビニで体質水を見つけた時に思い出した。 さっそく買って飲んだ。 すると鼻の辺りが幾分すっきりしていくように感じた。 その後、体質水のテレビCMを見た。 そして、以前、そのCMを見た時に、演出が酷いなと思ったことを思い出した。 僕は、そのCMを見て体質水を飲もうと思ったのでなく、明らかにいいともに出演した人の影響で飲んだ。 僕にとっては体質水の広告媒体はCMでなくいいともの出演者であった。 今やCMをCMとしてしか見れない時代には、番組の中でタレントが言った何気ないリアルな意見の方が説得力があるのかもしれない。
―END―
2004年03月26日(金) |
点滅しているかのような点滅 |
僕は某スーパーのレジでアルバイトをしている。 今日、その店で、休憩中に親に買ってきてと頼まれたものを買った。 買ったのは自分の担当レジでである。 つまり自分で品物をスキャンし、財布からお金を出し、おつりを閉まったというわけである。 その一連の行為をしている間、僕は何者であったのだろう。 店の人間でもあり客でもあったのだ。 ライトの点滅のように店の人間であったり客であったりしたのだ。 こういう経験はレジのバイトをしない限りなかなか味わえないだろう。 一例をあげれば、タレントがバラエティ番組の収録で自分以外のタレントのお喋りが面白くて笑う、というのもそれに近いかもしれない。
―END―
日中が穏やかな春。 冬の寒さが遠のいて、暑い夏が迫る春。 そう、春は冬と夏の間にあってこその春。 冬から春、春から夏へと移行する時に感じる春の存在感。 季節は、その季節だけでは存在し得ない。 暖かくなってきたと迎えられる春。 しかし花粉が飛ぶ春。 春の暖かさにも慣れると、人は春の存在を忘れていく。 そして夏の記憶を取り出して予習復習。 春はとまらない。 季節はとまらない。 しかし繰り返す。 何度も何度も。 気の遠くなるほどに。 あぁ、どこかにも似たようなものがあったなあ。
―END―
ついしん 切れてるチーズは、本当は<切れかかっているチーズ>なんだ。 間違いない!!
2004年03月22日(月) |
表面は外と内の間のセンサー |
懐かしい風景や優しい表情は何の為にあるの? 人を騙すためにあるの? 己を守るためにあるの? それらは現実ではないの? いや 何が現実かなんて決められないから 何もかもが宙ぶらりん 私もあなたも みんなも世界も 現実も虚構も この世もあの世も 地球も宇宙も 内も外も
―END―
いかりや長介さんが亡くなったという。 舞台コントを大衆に広め功績は凄いと思う。 他のメンバーは、彼の悪口をあまり言えなくなって寂しいだろうか。 そう言えば、立川談志が、ドリフを誉めてたっけな。
―END―
「めちゃイケ!」のヨモギダ少年愚連隊を観ながらキットカットのホワイトをかじりながらコーラをグビグビやるのは最高だ。
―END―
最近、以前読んだ森博嗣の短編を読んでいる。 最近では彼の作品は長編よりも短編の方が好きである。 昼下がりの午後、彼の短編を一編読むと、溶けるように眠くなるのが最高だ。
―END―
次の夏頃に、爆笑問題の所属事務所のライブを観に行きたいな〜と思う。 あと、M−1グランプリの予選に参加してみたいと思う。
―END―
早く爆笑問題のコント番組始まらないかな〜と思う。 はじまるかどうか定かではないが。
―END―
最近、キットカットのホワイトをかじりながらコーラを飲むひとときが好きである。 そんなひとときにはキットカットのホワイトのように甘く、 コーラのようにはじける、 そんな瞬間を夢見ながら、 たちまち日常は甘いものがまとわりついた歯のように溶け出される、 しばしその感触に浸る。 しかしそれも束の間日常を思い出す。 誰かが僕を呼んだのだろうか、 それとも気のせいか。
―END―
2004年03月15日(月) |
1/2+1/4+1/8+1/16+1/32+・・・(過去の映メモつき) |
彼の起きている時間は次第に少なくなっていく。 彼はここのところ、睡眠中に決まってみる夢があった。 遠くに見える大きな木の下に向かう夢だった。 この夢を初めて見た時は、睡眠時間が12時間であった。 丁度半日である。 また、初めてその夢をみた時は、スタート地点から木の下までの中間地点を過ぎた瞬間に終わり、彼は目覚めた。 その日以来、彼は夢の中で走らなければいけない距離、つまりスタート地点から大きな木の下までの距離を1とすると、1日目はスタートから1/2の地点、2日目は1/2+1/4の地点、3日目は1/2+1/4+1/8の地点まで進んで行った。 その後もそういう割合で徐々に大きな木の下へと向かって行った。 尚、その日みる夢は、前日までに走り終えた地点からの出発となっていた。 そして今や、夢の中の彼は大きな木の下を目前にしているにも関わらずいつまで経ってもゴールできそうにもない予感を抱いていた。 そして現実の彼は、1日の大半を睡眠時間に消費していた。 その夢をみ始めてから7回目の夜・・・というよりも7回目の睡眠時間は23時間48分45秒だった。 彼は次第に睡眠時間が増していくことが苦でなかったが、このままでは一生のほとんどを眠ったまま過ごす事になりそうで、そうなると家族にも迷惑がかかりそうなので悩んだ。 そこで、夢の中の自分があの大きな木の下に到着することができれば睡眠時間も元どおりになるのではないかと推測した。 よし、次の起床時間が来た時に近所の大きな木の下に行ってみよう。 そうすれば夢の中の自分もそれに呼応するように木の下へ辿り着くかもしれない。 ええと次に目覚めてから眠りにつくまでの時間は・・・5分37秒。 そんな計算を終えた彼は、長い眠りについた。
× × ×
彼は起きていられる時間5分37秒の間になんとか身長の3倍ほどの木を見つけた。 少しスケールに欠けるので彼は地に這ってその木が大きく見えるように工夫した。 そしてなんとか夢の中の木のイメージに近づけた。 そして彼はその木の下で眠りについた。
× × ×
彼は夢の中で遂に木の下に辿り着いた。 そしてそのまま一時たりとも目覚めることなく、一生を夢の中で過ごした。
―END―
【映メモ64】 2004年2月25日 「MONDAY」(邦画)を観た ホラーよりも怖い映画であった
【映メモ65】 2004年2月26日 「USED CAR」を観た 監督は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の人である この作品は「バック・・・」よりコメディ色が強くそして騒々しい 観る人を選ぶ作品であるかもしれないが、そのエネルギーは貴重だと思う 最近のハリウッド映画のコメディに飽き飽きしているあなたにこの渋くて突っ切った作品をオススメします
【映メモ66】 2004年2月26日 「アダプテーション」を観た この映画はまるで作中に登場する<幽霊ラン>のようだ・・・
【映メモ67】 2004年2月27日 「ゼブラーマン」を劇場で観た パンフレットが売り切れで悲しかった
【映メモ68】 2004年2月29日 「スコルピオンの恋まじない」を観た ウディ・アレンの中でもオススメの心理映画
友達が、僕と同じ場所でアルバイトをし始めた。 同じ場所といっても僕の体の中に彼が入ったのではない。 同じ勤務先の会社で働き始めたということである。
僕が出品したノベルスの本二冊(800円×2)が、オークションで500円で落とされた。 実に妥当な値段と言える。(送料は落札者が負担)
―END―
難儀、という言葉だけが難儀
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気持ちが軽いと危険である 飛べもしないのに飛ぼうとするからだ もっと地に這うようにそっと置いておかなければいけない なるべく下の方に、添えておかなければいけない そして誰の目にも触れぬよう、影の中に落としておこう 光の存在は闇の中に映える 誰が光の中に光りがあることに気づくだろうか? 気持ちが重ければ、 坂道をよく転がっていくよ 下へ下へと転がって行くよ 下の方の暗い場所へ、気持ちをそっと置いておこう
―END―
2004年03月11日(木) |
石森美代子アナウンサーとの出会い |
僕は今日、街中で石森美代子アナウンサーと会った。 テレビで見るよりもおっぱいが大きく見えた。 さすが立体の石森アナ。 僕は「石森アナウンサーですよね?」と言うと、彼女は「えぇ、はい」とブラウン管の中のイメージそのままに返事をした。 たぶん僕を一視聴者として捉え瞬間的に営業的な態度を取ろうと判断してのことだったのだろうと推測される。 次にどう声をかけたらいいかを僕が模索していると、彼女の方からこんな言葉が発せられた。 「あのー私ってアナウンサーに見えます?」 「え、うーんそうですねテレビの中の印象とあまり変わらないし、見えますよ、アナウンサーらしく」 「そうですか?私は仕事とオフのときは気分を変えているつもりなんですけれど同じに見えるんですね」 私生活と仕事とのギャップが元々ない人なのか、仕事の影響で私生活でもブラウン管の中の印象がまとわりついているのか・・・ 「でもそれが自然なんだと思いますよ。仕事と私生活でのギャップがある人って二重人格みたいですもん」 「そうですか?」 彼女は不思議そうな顔をして僕にこう切り返してきた。 「時や場所によって態度が変わることの方が私は自然だと思うんです。だから今の自分がちょっと危険な状態なような気がするんです」 危険というのはどういうことなんだろうか? 「危険?」 「えぇ。やっぱり仕事と普段の生活の時って気持ちが違いますよね。仕事の時は緊張が伴うから、やっぱり表情も違ってくるし。だからあなたがさっき、今の私がアナウンサーらしく見えるって言って頂いたけれどそれはやはり危険なんだと思います」 「でもしょうがないんじゃないですか?」 彼女の瞳が僅かに広がった。 「というと?」 「だってここは家の中じゃないんだから。それにあなたはアナウンサーなんですから。やっぱりテレビの中のあなたと街中でのあなたにギャップがあることをあなた自身が許さないんだと思いますよ」 「えぇ、そうなのかなぁ」 彼女は驚いた表情をしながら口元をあげた。 「その分、家の中のあなた、身近な人といる時のあなたは、きっとあなたらしいと思うんですけれど・・・ごめんなさい、余計な詮索をしてしまって」 「いいえ。とても嬉しい指摘です」 「あ、じゃあ僕はこれで」 そう言って僕はその場を離れた。 それ以上石森さんと一緒にいることに抵抗を感じたからだ。 まるで初めからそういう台本があってそのタイミングでその場から離れるように指示されていたかのように。 「有り難うございます」 彼女は僕にそう言った。 それは本心だろうか? いや、そうでなくてもいい。 そう言ったことが重要なのだ。 ただ、どこかでそれが本心であって欲しいとも思っている。 それは石森という一人の人間に近づきたいからだろうか? いつもテレビで見ているのに実際の彼女を知らなくて、そのギャップを埋めようとしているのだろうか? とても危険な発想だ。 彼女と分かれた直後、実際の彼女に出会ったことに心臓が高鳴った。 本当に彼女は彼女なのだろうか? むしろテレビの中の彼女の方が彼女らしいと言えた。 そもそも本当の彼女なんて知らない。 知る由もない。 それに本当の自分なんていうのも知らない。 いくつもの自分があるとして、一体どれが本当だというのか。 当たりくじのように<本当>のラベルなど貼られていない。 なぜ、<本当の自分>という幻想をみるのか。 なぜ、<本当の彼女>を求めようとするのか。 いや、石森アナの本当などどうでもいい。 本当の父、本当の母、本当の妹、本当の自分、そして本当の彼女。 そんなものはどこにもない。 よく自分には嘘をつかないと言うが、そんなことをどうやって知るのか? 自分の知っている自分だけが自分ではないのかもしれないというのに。 だけど、人は素直になりたがる。 それ、つまり素直な自分がまるで本当の自分であるかのように感じながら。 まるで生まれたての赤ん坊のように、裸になりたがる。 だからそうなれる場所を探しているのだろう。 彼女(石森アナ)は一体、いつどこで本当の彼女になっているのだろうか。 まあそれが本当の彼女であることを祈ろう。 誰に祈る? 自分に祈る。
―END―
「この番組は、無償の愛、一方無償の愛などないという意見、期待、嫉妬、恨み、妬み、希望、絶望、思い出、好奇心、食欲、性欲、睡眠欲、死への憧れ、生の衝動、怠惰、慕情、執着心、猜疑心などの感情を提供され翻弄されながらも24時間お送り致します」
―END―
夜と共に去ろう期待や憎悪を胸に秘め きっと秘めたことさえ忘れるだろう
本能や理性といったって曖昧で どちらも他人との関わり合いによって消えていく
何もかもがなくなるんだ それだけが本当なんだ
重力に逆らい続けられない哀れな生き物たちよ 今こそ落ちていこう
落ちていくことの快感を 邪魔できるものなどいないのだから
―END―
2004年03月06日(土) |
五編(過去の映メモつき) |
以前この日記に載せたショートショートのつもりの作品を、文芸社の電子出版サイトの企画「ショートショート大賞」に五編応募しました。(メールでの応募) 日記に載せたものを一部加筆、訂正したので以下にその五編を載せておきます。
「ランゲージマジック」 以前、アルバイト中にズボンのポケットから、入れておいたはずのシャチハタを取り出すべく手をそこに入れ探り出すと、目にしたそれはリップであった。 目にするまではてっきりシャチハタだと思っていたので驚いた。 今度こそはとまた手をポケットに入れ、それらしきものの感触を探り当て取り出すと、それはまたもやリップであった。 これには笑った。 ポケットに二つも入っていたとは。
あとで探してみると、シャチハタは結局控え室の机の上にあった。(控え室というのは、アルバイトの休憩中に使う畳三畳ほどの部屋のことである。) ということはその控え室は僕のポケットだということになるのだろうか。 僕はシャチハタをポケットに入れたはずなので、きっとそうなのだろう。 その日から、アルバイト先の休憩中に使う控え室は、僕のポケットになった。 随分便利で広いポケットだなあ。
ポケットには大きくわけて二種類ある。 便利なものと、そうでないものだ。 便利でないものは、ただ袋の機能が備わっているだけだが、便利なポケットは人が何人も入ることができるほど大きいし、電気も点くので都合がいい。
僕にはテレビタレントの友人がいる。 先日、僕は彼にこんなことを言った。 「ポケットには二種類の意味があって使う時紛らわしいね」 「え、二種類ってどういうこと?」 僕はポケットには、スーパーなどで店員が使う控え室のことを意味する場合もあることを教えた。 「それにしてもそんな意味もあるなんて知らなかった。今度昼の番組の収録があった時にでも豆知識として披露するか」
それからしばらく経った日のこと。 朝のニュースを見ていると、キャスターがこんなことを言っていた。 「昨晩、○○スーパーでアルバイトをしていた吉村恒彦さん(22)が休憩中に誤ってズボンについている方のポケットに入ってしまい、圧縮死したということです。えー、昨晩、○○スーパーでアルバイトを…」
「プリンタつきアイドル」 今人気のグラビアアイドル人出菜史子が出演しているプリンタのCMは、どのチャンネルをひねっても見かけるほど頻繁にTVで流れていた。 有田は彼女が好きなので、そのCMを見る度に目が釘付けになった。 どこのメーカーのプリンタか、なんてことは印象に残らず、彼女がプリンタの横で何やらそれの説明をしているシーンばかりが、見終わった後も彼の頭の中で繰り返し再生される。 その結果決まって人出菜史子が欲しくなるのであった。 まさか誘拐してくるわけにもいかない。 ある時有田は、菜史子の等身大のパネルを、インターネット上のオークションで見つけた。 たまらずそれを買った彼は、さっそく彼女を自室に飾った。 それから数日間、有田は自室のソファに座り、右斜め後ろからの菜史子の突き刺さるような視線を感じることを楽しみにした。 しかし次第に彼は物足りさを感じるようになった。 そうだ、あのプリンタだ! 彼はインターネットで、あれがどこのメーカーの何ていうものかを調べ、近所の専門店へ注文し、購入した。 そして自室にある彼女のパネルの横に、そのプリンタを置いた。 彼がソファに座って右に首を捻ると、視界には丁度れいのCMに似た光景が広がっていた。
「孤独」 ずっと一人だ。 生まれてこのかた、僕はずっと一人。 そのことはいつまでも変わらない。 例えばちょっと習う前よりはピアノがうまくなったりはしたけど、今はもう弾かなくなって下手になってるだろう。 そうやってちょっとずつ自分の能力に変化はあるけれど、基本的には変わっていない。 よく、<今の俺はあの時の俺じゃない>って言う人がいるけれど(そういうセリフを何かの物語で聞いただけかもしれない)、今も昔もその人は<俺>には違いないわけなのか・・・という冗談は置いておいて、とにかく本当に違うのだろうか?と疑わざるを得ない。 そんなに変えなければいけなかったものを人に宣言までしておいて、 もし変わってなかったらどうするのだろう? 大袈裟だな、と思う。 変わった変わったって、そんなに気安く言うもんじゃ焼き。 しまった、ついつい<もんじゃない>って言おうとして、これだ。 そう、とにかく・・・考え方がたとえ変わろうと、僕自身が変わるわけじゃない。 頭痛がしなくなっても、頭痛があったことは覚えているし、忘れても僕は僕だ。 何が変わっても、僕は僕なんだ。 僕は一人なんだ。 だから、僕は自分の指に自分の存在のすべてをとまらせるんだ。 その指にいつでもとまれるのは僕だけなんだ。 これって結構贅沢なことかもしれないけど、なかなか気がつかないし、気がついたとしてもその有り難さは希に思い出す程度。 でも、飽きても逃げないしさ、この指。 案外都合がいいんだ。 「スペシャル(ゲス+ハンサムト)」 (ゴールデンタイムのテレビ番組のオープニングに似合ったハデハデしい効果音が流れると同時に、番組セットの中央の扉から、この番組の司会者が二人現れる) 山口:は〜い、今夜のスペシャルゲスとの登場です。 鷲尾:え、どういうことですか?ゲストは… 山口:ですから、(隣の鷲尾を指して)スペシャルゲス、との登場です。 鷲尾:僕はゲストじゃないでしょ! 山口:今僕らは二人であの扉から出てきましたよね? 鷲尾:そうですよ。 山口:そんな僕が、あなたという【スペシャルゲス】と、登場したのだと言ったのです。 鷲尾:(笑)スペシャルゲスって、そんな凄いゲスなのか俺は! 山口:特別ですからね。 鷲尾:どういうことですか?なら俺は、「スペシャルハンサムとの登場です」って言えばお前は満足なの? 山口:それは…【スペシャルハンサムト】っていう言葉はないからダメですよ。【ハンサムト】って何ですか? 鷲尾:それは、ゲストの対の言葉だよ。 山口:ということは… 鷲尾:司会者の意だよ。 山口:ということは、君は、僕のことを司会者として一流だと言ってるわけだね。
「本の効果」 ある男が、近所の書店で「小さなことで悩むな!」というタイトルの本を見つけた。 その表表紙に印刷されたタイトルは、彼の心を強く打った。 (今までの俺は、少し悩み過ぎていたんだ。もっと楽観的になろう!) そう決意を固めた彼は、その本の中身を読もうとはしなかった。 ―END― 映メモ53以降のデータが不明になった為、52までに取り上げていない劇場鑑賞映画、もしくは最新のビデオ鑑賞映画、テレビ放映映画を53以降のデータとします
以下11月〜1月に鑑賞したもの 【映メモ53〜61】 「Short films」の麻生久美子がキュートだと思い 「過去のない男」の日常から人生を学び 「モリー先生との火曜日」のリアルさに感動をし 「耳をすませば」のジブリにしては現実的な世界観に共感し 「恐怖のメロディ」のスピルバーグのアレ(「激突!」)にも匹敵する怖さを体感し 「シービスケット」のハリウッド映画としての醍醐味を感じ 「ファインディング・ニモ」のディズニー・ピクサーの凄さを実感し 「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」の手の込んだ世界観に圧倒され 「着信アリ」のジャパニーズホラーの面白さを体感しました
【映メモ62】 2004年2月2日 「ファム・ファタール」を観た 自分が創ってみたかった映画を先に創られてしまいショックを受けましたが私は元気ですだって面白かったからさすがデ・パルマ♪
【映メモ63】 2004年2月9日 「ミスティック・リバー」を観た(劇場) 良いとしか言いようがない この映画のシビアさはつまり監督の優しさである
油絵を、間近で見るなぁ〜っ! 気をつけろ!!
―END―
2004年03月04日(木) |
今ダイニングテーブルに座っている男の話 |
今私はダイニングテーブルに座っている。 キッチンのコンロでは薬缶が湯気をシューシューとたてて沸いている。 それを見て私は蒸気機関車の蒸気を思い出す。 灰色のモクモクとした、機関車の進行方向とは反対に放たれているあれである。 実際に見たことはない。 きっとアニメか何かでだと思う。 よくは覚えていないが、それは哀しい物語の中で見たという印象がある。 おそらく別れのエピソードの一コマで登場していたと思う。 というわけで私は今、薬缶から勢いよく立ち昇る湯気を見て哀しい気分になっている。 実際は近くにあるその薬缶が遠くにあるように感じる。 もう遠くへ行ってしまった機関車のように。 そう感じた瞬間、私はその薬缶が急速に落下しているように見えた。 蒸気機関車が蒸気を進行方向とは反対の方向へ放っていることから、その薬缶が落下しているように見えるのだろう。 同時に、私は一切視線を動かしていないにも関わらず、薬缶が常に一定の位置で止まっているようにも見えている。 そうか、僕がいるこのダイニングはキッチンと共に下へ下へと落下しているんだ。 ということはそのうち、マグマに近づいて僕は跡形もなく溶けてしまう。 まるで嘘のような話だがそういう気がして仕方がない。 どうすればいいんだ! どうすれば。 そうだ!!あの湯気を消してしまえばいいんだそうすればいいんだ! その為にはコンロのスイッチを押せばいいんだ。 そうあのスイッチを。 だが、なぜかあの湯気には近づきたくない。 妙に怖いんだ。 僕はあのいつか見たアニメだったか何かのストーリーの主人公が機関車に乗って去ろうとしている人を見送ることしかできないように薬缶に、そして湯気に近づけない。 そう、僕はあの薬缶には近づいては行けないのだ。 だから僕はこの場で立ち尽くす。 それが僕の今の役割。 ああきっともうすぐマグマに突き当たるんだ。 きっと僕は跡形もなく溶けてしまうんだ。
―END―
2004年03月03日(水) |
「ブルース・ブラザーズ」はB級映画か否か |
「心の叫び」 ・ある競馬が好きで映画に興味がない友人が『シービスケット』を観てみたいと以前言っていた。そこで今日彼に<『シービスケット』観に行った?>というメールを送ったら<まだ。そんな暇はなかった。>という返事が返ってきた。僕はそれを読んでそそそ、<そんな>なんてそんなー、という気分になった。僕だったら<そういう貴重な時間を捻出できなくて残念だよ>と打っていただろう。ははははは。忙しい彼が忙しくなくなった瞬間からそれが持続する間の未来の時間に乾杯。
・宮崎あおいのペットになりたい。
・リリー・フランキーは実在のカメレオンマンだ。(ウディ・アレン作『カメレオンマン』参照)
・最近の真鍋かをりは熟したバナナだ。
・アサヒ カクテルパートナーのCMで男の方が意外とあっさり顔だと判明した時のおすピーのナレーションのトーンが巧妙だ。
・ア○ムのCMが怖い。
・ある女が元夫に不倫相手との間に出来た赤ん坊の始末の手伝いを頼んで実行したという事件があった。元夫も元夫だが、<出産が(不倫相手に)知れると別れを持ち出され、今後の生活に支障がきたすと思った>と供述したその女は殺人を犯しても今後の生活に支障がきたすとは思わなかったらしいです。世間は広いな。
・アメリカ軍の兵士がイラク人を発砲して殺した事件があった。どうやらイラク人の方が抵抗したことによる事件だったらしい。その事件を受けてある現地の人がカメラに向かって<アメリカはサダムよりひどい!サダムは道でこんなことはしなかった。>と言っていたが、国と人とを比べるな!そもそも<アメリカ>という単語が出てくること自体おかしい。世界は広いな。
―END―
僕には今日、あるレールの上を走る乗り物に乗っていた時があった。 ある駅でその乗り物が停まった時、そこで降りようとして扉に近づいていたある女子高校生が停まった拍子にバランスを崩し、彼女の膝小僧が座っていた僕の同じく膝小僧に当たった。(僕はその駅では降りなかったし降りる気もなかった) バランスを崩した彼女はそれによって扉から遠ざかったのだが、その直後彼女は素早く体勢を整えると迅速に僕の前を通って扉から外へと出ていった。 体勢を整えてから迅速に扉に向かうまでの彼女(と言っても彼女の足でしか彼女を認識していない。ひょっとすると足の手入れが行き届いた女装した男だったのかもしれない)の静止画が僕は忘れられない。
―END―
2004年03月01日(月) |
僕をニュービートルのイエローから排除してくれ! |
僕はニュービートルのイエローに憧れている。 いずれ運転してみたいと思う。 だが僕がそれに似合うかどうか、もしくはそれが僕に似合うかどうかは問題ではない。 たとえ似合わなかったとしてもいいのだ。 似合う車しか運転できないのなら、人間は機械も同然だ。 好きで似合う車を運転しているならいいが、似合っていても嫌いな車を運転しているそのドライバーというのは、その車に組み込まれた機械の一部品に過ぎない。
―END―
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