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「青年のための読書クラブ」桜庭一樹
2009年04月29日(水)
東京・山の手の伝統あるお嬢様学校、聖マリアナ学園。その学園には、校内の異端者のみが集う読書クラブがあった。秘密のクラブ誌に記されているのは、学園史上明るみに出ない珍事件ばかり……。

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女生徒のみの学園で、「ぼく」という一人称を使う少女たち、対立する生徒会、演劇部、年に一度選ばれる「王子」、少女たちが引き起こす一見ユーモラスな事件の数々…。
なんかもう、随所でにやりとしてしまいます。
「拗ねたように唇を尖らす」なんて、いったいどこで読んだ表現でしょうか。でも、どこかで見たような気がする。

この甘やかな時間。耽美(?)な文体で描かれる「櫻の園」。よくできた舞台を見ているようで、とても心地よい時間でした。
そうした「舞台と事件」を描きつつ、他の作品と同じく「少女」という存在を描いているところが好き。

連作短編として5つのお話が収録されてますが、終わり方も綺麗でした。
聖マリアナ学園の100年。

いやあ、よかった。楽しかった。いいなあ、読書クラブ。
自分の学生時代を思い出しました。学校は嫌いだったけど、部室は大好きだった! 毎日放課後は部室で本読んだり友だちとしゃべったりしてました。あー…楽しかったなー…。
そんな気持ちを思い出させてくれた一冊。
★★★★
「ヴァムピール 3」樹なつみ
2009年04月26日(日)
男爵と同化することに同意した伶は、男爵の持つ力と知識を手に入れる。しかし、別人格が生まれ、騒動を起こす。48時間以内に人を"食え"ば、伶は完全な死者となるのだ…。
それを阻止しようとする笙(カンタレッラ)。

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1・2巻とぶーぶー文句言ってましたが、3巻はそれほどひどくなかった。(って、そんなハードル低くていいのか)
伶が半死者のままいかにがんばるか、そしてヴァムピールたちの勢力争いが、今後の展開になっていくんでしょうか。
うん、そうだ、1・2巻は、半端に現実の人間たちの悲哀みたいなのを描いてたから、なんじゃそりゃ!ってなってたんですよ。
浮世離れした物語の方が、あってると思います!
「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」桜庭一樹
2009年04月24日(金)
転校生の少女の名は、海野藻屑。その、あんまりな名を持つ少女は、有名人の父を持ち、そして自らを人魚だと言った。
なぎさは、なぜか藻屑にまとわりつかれる羽目に。
そんななぎさは、兄が引きこもりだった。中学を卒業したら、自衛隊に入るつもりだ。

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私が読んだ(借りた)版は、イラストがものすごくライトノベルーな感じでした…。
でも内容は、ハードだった…。
なにしろ、最初のページで、藻屑のバラバラ遺体が発見されたという新聞記事が載ってるんだから。

うーん…なんか、うわあ…という感想しか出てこない。(それ、感想か?)
もやもやするというか。いや、でもそれは不快なもやもやではなくて…おもしろかった…のかなあ。そうともはっきり言えないけど。
世の中には、残酷なことが存在するんだよなーっていうせつない気持ちになりました。
★★☆
「八日目の蝉」角田光代
2009年04月22日(水)
不倫相手の子供を堕胎した経験を持つ希和子は、その相手の子供を連れ去り、自分の子供として育て始める。しかし、逃亡しながらのその生活は長くは続かない……。
やがて連れ戻された子供は、大きくなり、自身も不倫をしていた。

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おもしろかったです。
前半が、希和子の逃亡生活が一人称で語られる。友達に嘘をついて乳児の育て方を教えてもらい、立ち退きを迫られている老女の家に居候し、宗教団体のようなホームに入所し、小豆島で名前を偽り暮らし……。どうなるんだろうとドキドキしながら読みました。なんとも甘くてせつない逃亡生活。
後半は、その事件の子供が成長して、連れ戻されてからのことを一人称で語る。これもせつない。壊れた家族の中で育つこと。事件は、彼女にとっては逃亡中ではなく、連れ戻されてからなのだということ。
でも、感傷的になりすぎずに、淡々と書かれていると思います。諦観。そうならざるを得ないんだろうなあ…と思わされます。

私は、最後に叫んだという言葉が最後で明かされるところが、泣けてしょうがなかったです。
母親ってねー…愚かで盲目なんですよね……。

余談ですが、うちの母の話。
姉が話していたんですが、みんなで遊園地に行って、弟(私の兄)がなにかの乗り物ですごい怖がっていたらしいんです。母と姉はそれを外から見ていて。ふと横を見たら、母が涙を流していた、と。「あんなに怖がってかわいそうに」って。
というのを、大笑いしながら言っていて、私も笑って聞いたんですけどね。
私たち兄弟には笑い話だけど、うまく書いたら感動的な泣ける話になるのでしょうか……(笑)

自分が母性本能ないので、子供を奪ってまで欲しい、どんな苦労しても愛しいと思えるような気持ちというのは、そうなんだねー…としか思えないのですが。この年になっても、私が母子関係を考える時は、子供としての立場なんですよね。
それでも、おもしろかった。
すごく、よく書けていて、最高傑作と言われるのが理解できる。

ただ、この人の文章は、それほど好きにはならないなーとは思いました。すごく一般的で読みやすい文章ですけどね。
確か、1冊くらい、だいぶ前に読んだことあるんですよ。そのときは、なにがおもしろいのか全然わからなかったんですけど。今回は、おもしろかった。でも、もうよっぽどじゃないとそれほど読みたいとは思わないだろうとも思った。
文章の好悪、相性って、なんなんでしょうね。
★★★★
「脳は意外とおバカである」コーデリア・ファイン
2009年04月19日(日)
心理学者である著者が、脳がいかにうぬぼれが強くて仕切りたがりで意固地で感情的で誘惑に弱く、偏見に満ちているか…を、実験などで得られた結果などから紹介している。

そんなことやっちゃいかんだろう…というような実験がたくさんでした(笑)
しかし、タイトルがかわいいですよね(笑) 「バカ」に「お」がつくだけで、かわいいタイトルになるんだな〜。

前半は、ちょっと退屈。知ってるよーってことが多くて。
あと、著者がアメリカ人(?)ということで、たぶん日本とはちょっとずれがあるのではないかなーと漠然と感じました。文章も、日本人の私としては、まだるっこしい感じがします。

後半は、そうなんだよ!と思うことが多かったので、ちょっとよかった(笑)
具体的に言うと、「不幸な人は悪い人」という…不幸な目にあったのはその人が悪いからだという考え方や、女性差別、人種差別などですね。
私は、それらに憤りを感じることが多いので。
まあ、それらが脳の勝手な働きによることだとわかったところで、どうにもならないわけですが…。世界は、偏見に満ちている。
「精神のけもの道」春日武彦・吉野朔実
2009年04月12日(日)
「つい、おかしなことをやってしまう人たちの話」というサブタイトルがついています。
精神科医の春日武彦が、常識から考えるとなにかちょっとおかしいんじゃないか?と思える事例をあれこれ紹介。
もっとつっこんだ内容、というか、目からウロコ的な内容を期待したんですが、単に紹介するにとどまった内容で残念でした。しかも、ええっそんなことが!?と興味を覚えるようなことも少なく…。
それに、患者さん、および人間に対して、微妙に上から目線な気がしてしまって、ねえ。
「桜庭一樹読書日記 書店はタイムマシーン」桜庭一樹
2009年04月11日(土)
2007年4月から2008年3月まで、Webで連載された読書日記をまとめたもの。
この人の読書は海外ミステリが主なんですよねー。おもしろそうなのもあるんだけど、翻訳ものは読み慣れるのに時間がかかってなかなか手が出ないなあ…。
本にまつわるあれこの話も、まあおもしろいのだけど…吉野朔実のエッセイにはある「あるある感」がない。なぜだろう……。
「桜庭一樹日記」桜庭一樹
2009年04月06日(月)
2004年9月から2005年12月までの日記をまとめたもの。
この前読んでいた「読書日記」より時期が前のものということで、文章なども違ってます。なんか、軽い(笑)
うん、すごくフツウに日記です………。
なんか、時々、どうして人の日記読んでるんだろうなって疑問に思ったりすること、ありますよね(笑)
「生徒諸君!教師編 17」庄司陽子/他
2009年04月05日(日)
「生徒諸君!教師編 17」庄司陽子
2クラス同時担任て……。
自分のクラスの子たちにも、ひいきしてるとか言われたのに、他のクラスにまで手を広げるとは…。


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「うちの3姉妹 特別編」松本ぷりっつ
ハワイ旅行の珍道中。
テレビアニメにもなってるくらいの人気なんですねぇ…。仕事でハワイ旅行行けるってすごいな。


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「わが家の母はビョーキです」中村ユキ
統合失調症の母が発病したのは、私がまだ4歳の頃だった……。
それからの長い31年…病気とつきあってきた親子のエッセイコミック。

うーん……絵がちょっと…999を思い出しますね(笑)

やっぱり、周りのケアが大事なんだろうなあって思いました。
統合失調症というのが、患者数はガンとほとんど変わらない病気であるということにも驚きました。


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「二人ぼっち」南ひろこ
老夫婦のほのぼのした日常を描いたコミック。
これはフィクションです(笑)
うん…非常にほのぼのでした。どこかにいそうな感じです。


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「ラディカル・ホスピタル 16」ひらのあゆ
知らない看護師さんがいる……15巻を読んでないのかな?(借りて読んでます)
ほのぼので楽しかったです。
榊先生の学生時代、素敵じゃないですか!(笑) いや、榊先生は今も素敵ですけどね。
「私の部屋の猫放題」TONO
2009年04月04日(土)
飼い猫フィオーレとの楽しい(?)日常をつづったコミックエッセイ。
あー、「しましまえぶりでぃ」じゃなくなったんですね。そりゃ、もうしまちゃんじゃないもんね……。
しかし相変わらずの溺愛っぷり。おもしろかった。
「不連続の世界」恩田陸
2009年04月03日(金)
「月の裏側」に登場した塚崎多聞が登場する短編集。
トラベルミステリーでもある。

「木守り男」
木の上に一瞬だけ見えた男の姿。「こもりおとこ」とは?
発表時期が10年近く跨っているということで、作中の年齢も幅広い。まだ若い多聞。ちょうど桜の季節だったので、おお、と思いました。

「悪魔を憐れむ歌」
その歌を聴いた人間が数人変死した……。噂の真相を探るべく、多聞がたどり着いた町は…。
うーん、これは…あれを思い出しました。(ネタばれなので伏せます) あれは、聴くとすぐわかる気がするけど。よっぽどうまかったのか。
物語としてはすごくまとまりがあった気がします。

「幻影キネマ」
バンドのPVを撮りに故郷に帰ってきた男は、なにかに怯えていた。映画の撮影風景を見て青ざめる彼に、多聞は…。
これ、雰囲気あって、よかったです。ぞっとした。


「砂丘ピクニック」
フランス人ライターの自叙伝に書かれていた、砂丘消失の謎、そして偶然遭遇した男性消失の謎に挑む多聞。
砂丘、砂しかないと思いますが、ちょっと行ってみたくなりました(笑)

「夜明けのガスパール」
男性4人夜行列車で怪談をやりながらさぬきうどんを食べに行く旅に誘われた多聞。多聞は妻のジャンヌの失踪について話すのだが…。
数人で話しながら旅する話というのは、彼女のお得意のスタイルですね。うん、おもしろかった。
特に最後の場面では泣きそうになりました。(新幹線だったから我慢した!) ええ話や…。

彼女の短編集は、あまり好きじゃないのですが、これは連作だからよかったのか、けっこうおもしろかったです。
通してみると、「不連続の世界」というタイトル、うまいなあと思いました。
しかし、なぜ作中に出てくる地名とか人名をイニシャルにするのかが謎だ。
★★★☆


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