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「秋好英明事件」島田荘司
2007年09月29日(土)
昭和51年に福岡で起きた一家4人の惨殺事件。一家の生き残りである女性の内縁の夫・秋好英明が犯人として逮捕された。家族に結婚を反対されたために一家に恨みを抱き、深夜家に入り込み、包丁で4人をめった刺しにしたというものである。
その事件の公判中に秋好は4人中3人の殺害を否認し始めた。しかし、死刑が確定。現在は再審請求中である。

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本書は、死刑囚である秋好英明の半生をたどり、また事件の詳細・公判の様子なども書かれています。
島田荘司が死刑制度に反対していて、死刑囚と書簡のやり取りをしているということを知って、以前から読んでみたいと思っていた本です。重さ(実際の重量と内容の重さ)に負けて、今まで手が出ずにいたんですが、読んでみたら息もつかせぬ展開でするすると読んでしまいました。
波乱万丈の人生。でも、一人の人生をそのままたどっただけなのに、こんなに読ませるというのは改めて島田荘司の凄さを思い知りました。ノンフィクションであるだけに、「おもしろかった」という感想は不謹慎なのでしょうが。
でも大幅に脚色してるんですよね、きっと。見てきたような臨場感ですもん。

前半の事件にいたるまでの半生は、もどかしかったですね。どうしてそうなってしまうの、と言いたくなりますね。悪い方悪い方へ行こうとしているから。
いろんな局面で、逃げると余計に後で大変になるということが、どうしてわからないんだろう。

ま、それはともかく。
冤罪っていうのは恐ろしいです。
裁判の部分を読んでいると、どうしてこれで死刑になってしまうの?と思ってしまいます。それはまあ、擁護のために書いている文章ですから、そう読めるのは当たり前なんでしょうけど。実際の裁判を見ていたら、おかしいと思わないものなんでしょうか? どうして検察側は都合の悪い証拠を隠すんでしょうか?
テレビなどでも、よく冤罪の話を目にします。裁判官のうちの一人が、過去の事件について「無罪だと思っていた」と言ったりということもありました。(その事件の詳細はよく知りませんが)
裁判というものは公正だと思っていた時代も…あったような気がしますが、まったくそうではないんですね。
どうして?と、疑問ばかりが浮かびます。

裁判員制度が始まったら、一般の人が量刑について考えなければならないわけで。私は、そんなの専門家がいるんだから専門家がやれよーと思ってたんですが、その専門家もアヤシイ…。
でも一般の人はもっとアヤシイと思います(笑) なにかの事件が起きての街の声などを聞いても、冷静で公正な声というのはあまりに少ない。極端です。「凶悪犯? そんなの死刑だ!」で終わりですよ。
そんな「大衆」が事件を裁いても大丈夫なんでしょうか? 重大犯罪は扱わないらしいですが…。軽犯罪だったら余計に量刑がどの程度かなんてわからないですよね。

星新一のショートショートに、画期的な裁判システム(これなら冤罪も起こらない)の機械を作った男が、人間の行う裁判にかけられて死刑にされるという話がありました。こんなものができたら我々の仕事がなくなってしまうじゃないか、と。
それを思い出しました。

というわけで。現在も、この事件は再審請求中だそうです。何十年も前の事件が…。
いろいろなことを考えさせられる1冊でした。力作。
★★★★
「21世紀少年 下」浦沢直樹/「大原さんちの教えて!子育てエラい人」大原由軌子
2007年09月28日(金)
「21世紀少年 下」浦沢直樹
ついに最終巻。
読み終わった時は、だれそれよくわからん状態でしたが、その後ネットで謎を説明してくれるページを読んだりして納得しました。なるほどねぇ……。深いですな。

一気に読んだら、また違う感動も得られるのかもしれませんね。
いつか読み返したいと思いつつ、MONSTERも未だに読み返してないしな。しかも全巻そろえて並べてないので、まず部屋を片付けることから始めないと(笑)

この巻の感想としては、看護師がえらく怖かったです(笑)

なにはともあれ、お疲れ様でした。
後半はともかく、前半はほんとにわくわくして楽しかった!



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「大原さんちの教えて!子育てエラい人」大原由軌子
「寝ない」「食べない」「おねしょ」「予防接種」など、子育てに関する悩みが漫画でつづられ、それに対して「エラい人」からの回答が寄せられるというものです。

この人の漫画すごく好きなので、楽しかったです。
子育てに関して悩む必要は私はまったくないわけですが(笑)、そういうものかーと思いながら読みました。
「死と彼女とぼく ゆかり 8」川口まどか
2007年09月26日(水)
優作が生まれる前の両親の話がまだ続いてます。
いいんだけど、タイトルに偽りあり(笑)
「非常ノヒト 2」碧也ぴんく
2007年09月24日(月)
平賀源内を描く、鬼外カルテ最後のシリーズとなりました「非常ノヒト」。3巻で確か終わりだったと思いますが、2巻は非常にどんよりさせられる展開となっておりました…。
そして、相変わらず、おもしろいと思えない。源内の内面・せつなさがあまり描かれないからでしょうか。
最後に登場した絵描きさんに、若干の期待を寄せているのですが、どうなることやら…。
「LIAR GAME 5」甲斐谷忍
2007年09月21日(金)
わーい、新刊だ!
まだ密輸ゲームが続いてます。
ドラマは、4巻の最後のあたりから展開がまったく変えられていたんですよね。なので、読めるのは新しい展開。
ヨコヤVSアキヤマという形になっていて、旗色はヨコヤ優勢。そして、ゲームの性質上、ゲーム自体には負けた方がいいというこの展開。どうなるんでしょう…。
巻き返しが楽しみです。
「オールド・ボーイ」
2007年09月18日(火)
何者かに、理由もわからず期限もわからず監禁され続けたオ・デス。
15年目に解放された彼は、ミドという女性と知り合い、彼女の部屋にころがりこむ。そして犯人探しを始めるのだが…。

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映画「オールド・ボーイ」のノベライズです。
映画の方がすごくおもしろかったので買ってしまったんですが、今まで寝かせてました(笑)

えーと、映画を見たのは約2年前ですね(笑)
→その時の記事
http://ameblo.jp/papermoon/entry-10002803047.html

確かにこれはオチがバレバレだなぁ……。
全体的に映画に忠実だと思いますが、最後はちょっと変えてありますね。
映画のシーンを思い出しながら読みましたが、やっぱりこれは映画のための脚本(物語展開)なんだなと思いました。映像で映えるように作られてる。
映画では、学校のシーンも幻想的で美しかったし、最後のイ・ウジンの手が回想と重なるシーンも秀逸だった。なにより、あの写真のスライドショーのシーンが、「言葉」ではなく見せ付けられるところが素晴らしかった。

私は映像よりも小説を愛してますが、やっぱりノベライズはノベライズだなと…。
ノベライズの存在意義ってなんだろうと、改めて考えてしまいます。
「朝日のようにさわやかに」恩田陸
2007年09月16日(日)
恩田陸2冊目の短編集。
私が現在いちばん好きな作家は、恩田陸だと思っています。
が、短編集はねぇ……。まったくおもしろいと思えません。
なぜなんでしょうね。長編にはある、”なにか”が、短編にはないんですよね〜。
「図書室の海」もイマイチだったけど、さらに磨きがかかってます(笑) 「図書室の海」は「予告編」が多かったせいもあるかな。(予告編=長編の一部と考えると)

ひとつだけちょっとおもしろかったのが、「淋しいお城」。
淋しい子供が「みどりおとこ」に淋しいお城に連れ去られるという童話風の話です。「ミステリーランド」の予告編だそうです。やっぱり予告編(笑)
というわけで、「ミステリーランド」が楽しみなのです。
★★
「エンジェル・ハート 23」北条司/「新・花のあすか組 6」高口里純
2007年09月15日(土)
「エンジェル・ハート 23」北条司

シャンインがストリートダンサーと知り合う話が始まり、いいんじゃないでしょうか。


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「新・花のあすか組 6」高口里純

蘭塾へ入ったあすかは行動を起こし始める。蘭塾という限られた空間での勢力争い。
なんとなくおもしろくなってきました。
蘭塾ってなんなのか、そこで何をしたいのかはさっぱりわからないままですが。
「偏食的生き方のすすめ」中島義道
2007年09月12日(水)
偏食(食べ物の偏食)と、その他あらゆることにおいての偏食を日記形式でつづった一冊。
彼は、普通の現代日本人が食べる食べ物の8割は食べられないそうなのです。それは身体的とか宗教的な理由ではなくて、彼自身の観念的な問題、たとえば「ウナギの蒲焼は蛇を連想する」とか「サラミは手足の切断面のようだ」とかいう、確かにもっともな理由ではあるのです。
「おいしいから」と勧める人が多いけれど、そういう人には「あなたの可愛がっていた子猫の肉、おいしいから」と言っても食べないでしょう、と言っています。これまたもっともです。

読み進めていくと、ほんとに細かくこだわりがあって、それが食べ物だけでなく日常のあらゆることに対して発揮されるので、毎日が不快と闘いの連続といった感じです。
これは大変だ……。

騒音や明るい時の照明にも偏食を発揮し、日々駅員らと闘う中島氏。駅長に「存じてます、有名ですから」と言われたというのに、ちょっと笑ってしまった。そんなに巷では有名なのですね(笑)

いやあ、周りの人は大変でしょうね。ご本人はもっと大変でしょうが。
読者としての私はいつもとても楽しんで読んでいるのですが、彼が近くにいたらちょっと嫌かもなと思います(笑)
でも読んでいる分にはほんとにおもしろいです。自分の中にあるマイノリティな部分が認めてもらえる感じがするからでしょうか。
「光の海」小玉ユキ
2007年09月11日(火)
寺の坊主である秀胤は、住職の孫である光胤が人魚と一緒にサーフィンをしているのを見かける。寺の仕事を器用にこなす光胤。住職の血縁である光胤にコンプレックスをいだく秀胤。
波がなくてサーフィンができない日に、秀胤は人魚に会いに行くようになった。人魚が、そんな日も光胤を待っていたからだ。

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これが初の単行本だそうです。絵は、確かに「羽衣ミシン」(二冊目)の方が洗練されてる感じがしますね。
これは、人魚が当たり前にいる世界のお話なんですね。「羽衣ミシン」が白鳥の恩返しで、こっちは人魚ですよ。しかも、のっけから人魚とお坊さんとサーフィンと…なんだこの取り合わせは、と思ってしまいますが。
設定は不思議だけど、描かれているのは繊細な感情で、これもおもしろかったです。
連作短編集という形で、人魚にまつわるあれこれのお話という感じです。

その中でも、秘かに好きだった女の子に会いに行く女の子の話がよかったです。人魚の男の子がものすごく色っぽいんですよ。素敵です。女の子もかわいかった。
あと、川人魚の話も好きです。なぜかこの話の人魚だけ口を聞かないのですが、それがまたよかったかも。父親と二人暮らしの女の子が、出産間際の川人魚(川に住んでる人魚)を助けるんだけど、父親が人魚と会うようになってしまって…という話。逃げるときの人魚の笑顔がいいです。小さい女の子の柔らかそうな横顔とかも、手触りが浮かぶような綺麗な線です。

まだ2冊しかコミックス発売されてないんですよねー…。
この人の絵、すごくいいですね。雰囲気があって。
ああ、もっと読みたい!
★★★★


→小玉ユキ・オフィシャルサイト
http://www012.upp.so-net.ne.jp/kodamayuki/main/index2.html
「ララピポ」奥田英朗
2007年09月10日(月)
フリーライターの博は、ほとんど引きこもりの生活をしている。ある日、階上に住むホスト風の男が女性を連れ込んだ後、上からあえぎ声が聞こえてくることに気づいた。その日から、毎日博は彼が女性を連れてくることを楽しみにするようになっていた…。

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連作短編集。
タイトルの「ララピポ」は、「a lot of peple」。

これ、どんな話だか知らずに借りたんですが、表紙をよく見ると、鍵穴の向こう側に見えるのは……(笑)
というわけで、アダルトな内容の1冊でした。
盗聴→キャバクラのスカウト→AV→カラオケボックスで援交→ポルノ小説……という具合です。脇役だった人が次の短編では主役になるというつなげ方で、なかなかおもしろかったです。
2話目の人たちになんとなく愛着がわいてしまって、その先が気になってしまった。
ディープな世界で、やけになりつつもなんとかみんながんばって生きている、という感じがして、最後は割りと明るい気持ちになれます。(そんなことない?)
★★★
「羽衣ミシン」小玉ユキ
2007年09月09日(日)
冬の訪れと共にやってくる白鳥。橋が大好きな大学生・陽一は、ある日工事中の橋の紐にからまって動けなくなっている白鳥を助ける。
その夜、一人の少女が陽一の部屋にやってきて居座り始める。彼女は美羽と名乗り、助けてもらった白鳥だと言う……。

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すごくよかった!
美羽の黒髪に白い服という姿がとても凛とした美しさがあっていいですね。
人間離れした部分や純粋さなんかもほのぼのと描かれていて、泣くシーンも綺麗でじーんときました。
脇役である沓澤くんと糸織ちゃんの話もかわいかったです。

絵もストーリーも好きです。心が洗われる(笑)
この人初めて読んだけど、とても気に入ったのでもう1冊出ているらしいコミックスも読みたい!
★★★★
「LEGAの13 1」やまざき貴子/「黒執事 1」柩やな
2007年09月08日(土)
「LEGAの13 1」やまざき貴子
16世紀後半、薬師であり魔法使いと呼ばれている父の元に生まれた青年レガーレ。彼は、錬金術に魅せられていた。
ある日、レガーレは占いでこれから人生を変える4人の人間と出会うことになると告げられる。
そして、父が魔女の疑いをかけられ逮捕される。神父に助けを求めたレガーレは、父の身代わりとして、元首の元で幽閉されることになるのだった。

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フラワーズで出てたのでびっくりしました。他社でも描くようになったんですねー。
しかし、相変わらず絵が見にくいことこの上なし(笑) 特に豪華絢爛な衣装の歴史ロマン大作ですからね…。
ムシシリーズとか、この人の歴史ものはけっこう好きでしたが、これはまだプロローグといった感じなので、この先どうなるかはわかりませんね。
アルフォンシーナとの恋の行方が気になるところですが。



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「黒執事 1」柩やな
名門貴族ファントムハイヴ家の若当主シエル。そんな彼に仕える執事のセバスチャン…の活躍というか暗躍というかなんというか……が見所。
ま、ストーリーを端的に表すと「あくまで執事ですから」の一言なんでしょうが。

某Yくんのブログに表紙が載っていたので、本屋で見かけてつい買ってしまいました。
が、後悔。
おもしろくねぇ…(笑)
セバスチャンの活躍ぶりは、まあいいとして。

その他の使用人の皆様の「うっかり」っぷりに、イライラしてしまってダメです!
なんでその仕事っぷりでクビじゃないの!?
私は、「善良だけどうっかりして人に迷惑をかけまくる」のが大嫌いなんですよ!
ハァハァ…(←怒り)

勝手に買って、勝手に怒っててすみませんねえ(笑)
「本を読まなくても生きていけますか?」久利生たか子
2007年09月06日(木)
「本を読まなくてもいい、本は無駄と主張する人たちに、本を読むとどんないいことが起きるのか、なぜ読むべきものなのかなど、読書の必要性を信じてもらいたいと思う。」

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「本を読むのが好きなんて、偉いね」というようなことを言われた経験が何度かあります。
自分が好きだからやっていることに対して、「偉いね」と言われるのはなんとも微妙な気持ちになります。これって偉いことなの?という疑問が私の中にはありまして…。
この本は、ぱらぱらっとめくってみたところ、本を読まない人たちが「なぜ本が読めないのか?」について書かれていて、ちょっとおもしろそうだなと思ったので、読んでみたのでした。

でも半分くらい読んで、失望……。
ええー?と反論したくなるようなことがあれこれ書かれているんですよ。
その筆頭がこれ。

「そこに何があるかといったら、せこい感覚と、読書欲のなさである。つまり、彼は、自分で言うほど本を読むタイプでもないし、読書の楽しみ方も知らないということである。」

本をけっこう読むんだ、と言った男性に、あの本は読んだかと聞いてみたら、どうせ文庫になるんだから今読むのはもったいないとせせら笑われたそうなのです。で、上記の文章。
ええー、文庫化待つだけで、この言われようですか。それは、その男性の言い方がまずくて腹が立っただけなのでは。
他にも、借りた本はよくないとか、中古よりも新品がいいとか。
ええーー……。
本好きなら、本代と収納スペースには苦労しているものなんじゃないんですか?
欲しい本を気兼ねなく単行本の新品ばかり買ってたら、たまったもんじゃないですよね。本好きなら一刻を争って買わなくても読みたい本には事欠かないし。そうじゃない人は、単行本買ってがっかりしたら、もう買うのやめようって思っちゃうんじゃないですか?

そして、押し付けるのはよくないと言いながら、全編を漂う、この自分を正しいと言い切るかのごとき言い切り口調での押し付けがましさ。
だいたい、本を読まない人は向上心がないんだ、みたいなことを書いてますが、私は別に向上心があって読書してるわけじゃないですよ。
読書ってそんなご立派なことなんですか。私だったら、余計やる気が失せますが。
本を読みたがらない人にも本を読んでもらえるようにするには?を考える本なのではないのでしょうか。
手近なところで中古本とか人から借りるとかでもいいじゃないですか。人から借りた本は、読まなきゃという気持ちになるし、新しい世界が広がると思いますよ。(人にもよるでしょうが)
いろんな生活環境の人がいるし、それぞれに適した読書の形があるのでは?

もうね、優等生が「読書のよさをあげなさい」と言われて、一所懸命書いたけど、ちょっと視野が狭すぎやしないかい?という印象です。
でも、この方ライターなんですね……。うーむ。

というわけで、不満大爆発の1冊でした。
「花よりも花の如く 5」成田美名子/「オトナのコドモたち」山田南平
2007年09月02日(日)
「花よりも花の如く 5」成田美名子
能の世界を描いたこの作品。
子方である海人くんがこの道をやめたいと言い出す話。ありきたりと言えばありきたりなんだけど、なんだかよかったです。
他に韓国公演の話など。


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「オトナのコドモたち −オトナになる方法 特別編−」山田南平
久美子と真吾の子供たちが活躍する番外編。
んー…第二世代のマンガが今流行ってるようですが…あんまりおもしろくなかった。


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