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「アヒルと鴨のコインロッカー」(映画) 2007年07月28日(土) 仙台の大学に進学した椎名は、引っ越してきた下宿先で、河崎と名乗る男に本屋を襲うことを持ちかけられる。傷心の隣人・ブータン人に、広辞苑をプレゼントしたいのだという。--------------------------------------- アヒルと鴨は、伊坂幸太郎の中でも3番目くらいに好きです。 でも映像化はあまり歓迎しない方なので、当初は見に行く予定はなかったのですが、旅先で日中暇になる日ができたのでせっかくだから行ってきました。 本書を既読の方はご存知でしょう。映像化不可能のはずの仕掛けが、この物語にはあります。それが、物語の肝になるわけです。それをどうやって映像化したのだろうということが気になるわけですが…。 うーん、これはどうなんでしょうね。私は、おお!!とは思いませんでしたが…。見ながら「えー…」でしたが(笑) 終盤の泣かせのシーンには、やっぱりちょっと泣かせられました。なんかあざといなーって思ったんですけどね。原作にこんなシーンなかったですよね? でもそこはやっぱり役者さんの演技の迫力ですよね。その後のブランコのシーンも、せつなかったです。 以下ネタバレ。(反転) 日本に来たばかりのドルジが、すごくそれらしかったのでおもしろかった。 あと、本当の河崎が登場した時、ああこれがほんとに本物だ、と思えたのが、びっくりしました。役者ってすごいですね。配役が絶妙でしたね。 展開にはちょっと不満。 琴美はほんとに身の危険を感じていたのか? あんまり自然な展開と思えませんでした。 そしていちばん不満なのは、ドルジがどんな思いで日本語を憶えたのかというのがイマイチ伝わらなかったこと。私としてはドルジが2年間どんな思いでがんばったのかということを、もっと見せて欲しかった。 あと、ラストは曖昧にしちゃってましたね。原作だともっと明解にラストが書かれてるんですが…。原作のラストだからこそ、余計にせつなく、でもこれでいいんだと思えるのになあ。 割りと丁寧な作りだったので、悪くはなかったです。 でもねえ……やっぱり原作のよさには遠く及びません。やっぱり原作が先だと映像化を受け入れるのって難しいですね。 |
「姫様の花束 3」碧也ぴんく 2007年07月24日(火) 郁・穣・直の3人が大切に守ってきた花屋「シャトー・ラ・フルール」の近くに、強力なライバル店が出現した。女性をターゲットにし、店員は客の女性を「お姫様」と呼び、カフェ、マッサージ等のサービスまで受けられるという。さらに、妨害により仲卸から花を仕入れることもできなくなってしまった。 そのライバル店は、郁の実家と関係があるらしい。さらに、明らかになる穣の過去…。 -------------------------------- 最終巻です。 ラスト1冊は、お客さんではなくて、店のホスト側であった3人がメインのお話。 1巻の頃は羽菜ちゃんという謎の存在の秘密が次第に明かされていくのかなとか思ってたんですが、結局そんなことはなかったですね(笑) 一応、どうしてこの3人が集まったのかの説明はなされていたけど…。 でも、カタログなんかで花束を選ばせるのが嫌だって言い始めた郁に、直がする話がよかったですね。 一歩間違うと説教くさくなってしまいがちなのに、素直に涙ぐんでしまいました。 お花を贈るっていうのは、ちょっと特別な行為だと思います。そこにこめられるいろんな人のそれぞれの気持ちを描いたお話でした。 ★★★ |
「コバルト風雲録」久美沙織 2007年07月22日(日) コバルト黎明期(?)を駆け抜けた久美沙織による、少女小説界の裏話。とでも言ったらいいのでしょうか…。なんだかよくわかりません。もうちょっと、コバルト文庫のなにがウケたのかみたいな分析的なことをなんとなく期待してたのですが。 なんとなーく…個人的な後悔やら恨みやら自慢話やらを読まされたような……。 作家って大変なんだなーとは思いました。ファンレターの話とかねえ…。 内容的にもなんだかなあ、ですが、さらに文体がどうにも。読みやすくはあるけど、ちょっとテンション高すぎじゃないですか? もう少し落ち着いた、上品な語り口の方が私は好みです。 |
「1/2 2」木々 2007年07月21日(土) 一日交代で仮死と覚醒を繰り返す、双子のドギーとマギー。彼らはシウの寮部屋に転がり込んでいる。さらに、園芸部のレイ先輩までが押しかけてきて、さらにさらに霊が見えるというネルまでが転がり込んできて、シウの部屋は満員御礼。 ついに風紀委員に部屋を追い出されることになる。そして、ネルが見たシウの背後にいる人物とは…? ----------------------------------------- ほのぼのしててかわいいですねー。 仲間に入りたくなります。ジュリエットもかわいい。うちにも欲しい。 |
「こどもの一生」中島らも 2007年07月19日(木) 瀬戸内海にある小島をレジャーランドにしようと下見にやってきた社長とその秘書。彼らはMMMというサイコセラピーの施設に治療のためと称して一週間滞在することになった。さらに女性二人、男性一人を加え、五人のクライアントの治療が始まった。それは、投薬と催眠術を用いた治療であり、彼らの意識はこども時代へと戻る。そしてこどもに返った彼らはこどもとしての遊びを始める。やがて、身勝手な社長を懲らしめるために、四人はひとつの遊びを考えた。「山田のおじさん」という架空の人物を作り上げ、その人物の話ばかりすることで、社長を仲間はずれにしようというのだ。 しかし、この遊びはやがて思いもよらない事態を招くことになる…。 ----------------------------------------------- あらすじも読まずに読み始めたので、最後に一気に(B級)ホラーになるのでびっくりしましたよ。 最初の方を読んでた時は、これは筒井康隆の「パプリカ」みたいになるのかな?と思ってたんですが、まったく違いました(笑) でもこれは、知らずに読み始めて正解。思いがけない展開にぞぞぞーっときましたもん。もしこれから読んでみようという方は、あとがきとか感想とか読まずに、まず本編を読んでくださいねー。 読み終わってみると、最初の方の説明的な展開が浮いている感じしてしまいますが…、後半の加速具合がよかったので、まあいいか。 私は図書館で借りたのですが、どうやらCDがついてくる版があったようですね。それがすごく怖いんだとか。ちょっと聞いてみたいような…怖いような…。 ★★★ |
「オンナらしさ入門(笑)」小倉千加子 2007年07月16日(月) ヤングアダルト向けに書かれた本。オンナであるということの裏の意味を説く内容になってます。…が、これはどうなのかなあ…。若者に向けてこういう書き方は。 世の中の建前に疑問を持ちましょう、っていう書き方ならいいと思うんですけどね、決め付けるような書き方でしょう。オトナ向けだったら信じるも信じないも本人しだいだけど。 それから、「今のお母さん」てどうなのかな、ということが疑問です。 小中学生の子供を持つお母さん、今なら若ければ20代ですよね。20代のお母さんの意識も、○十年前のお母さんの意識も変わらないものなんでしょうか…。 全体的にもぴんとこないことが多くて残念でした。 |
「ベルカ、吠えないのか?」古川日出男 2007年07月15日(日) 一九四三年、北洋のアリューシャン列島、アッツ島に取り残された四頭の軍用犬。自爆した一頭以外の三頭は保護され、島を離れることになる。そして、彼らの血を受け継ぐ犬たちはさまざまな運命をたどることになる…。---------------------------------- 帯に「イヌによる現代史」と書かれていて、なんのこっちゃと思っていたのですが、この本の主役はイヌたちです。101ぴきわんちゃん。いや、何匹出てきたかわかりませんが。 イヌが主役ってどうなんだろうと思いつつ読み進めていったら、思いがけずどっぷりと感情移入してしまい、ハナをずるずるさせながら読みました。 いやあ、おもしろかった! スポットライトが当たるイヌはどんどん交代していくわけなのですが、違和感なく読み進められます。 この人の作品は時々わけのわからないものがあるのでちょっと警戒してましたが、これは普通に楽しめます。 そして、イヌたちの物語の合間に、イヌの調教をする老人と、誘拐してこられた日本人のヤクザの娘の話が挿入されています。その娘がイヌたちとだんだん心が通い合うような感じの話…と書くと、きっとこれから読んだ方は想像を裏切られてびっくりすることうけあいです(笑) イヌ好きも、そうでない方も、イヌたちの物語にハラハラワクワク、そして涙させられることでしょう。 ★★★☆ |
「凛々乙女」他/小林聡美 2007年07月06日(金) 三谷幸喜氏の奥様であることは有名だと思います。三谷さんのエッセイにも登場してますしね。三谷さんが「自分より妻の方がエッセイの才能がある」というようなことを書いていたような記憶もあります。それで、私も数年前に1冊か2冊読んでみた記憶があるのですよ。で、ふーんで終わってしまったんですが(笑) 今回再び手に取ったのは、友だちがどーんとまとめて貸してくれたからです。 気楽に読めるエッセイばかりなので、会社の昼休み中にこつこつ読みました。1冊ずつ感想書くのはしんどいなーと思ったので、まとめて書きます(笑) 「凛々乙女」 まだ二十代に書かれたものということで、確かに若い。 なんていうか、最近よくブログなんかで見る、「がんばって面白く書こうとしている」感が……。 「東京100発ガール」 「女優」なのに庶民的な話題が多くてくすっと笑ってしまう話題が満載。 「案じるより団子汁」 これは、ラジオを文字に起こしたもの。語り口調が活きがよくておもしろいです。 あと、大ウケしたのが、悩み相談のコーナー。みかんの食べすぎで、ロードレースで走った後、みんな真っ赤な顔しているのに真っ黄っ黄になり、体温が下がって真っ青と真っ黄で私だけ顔が緑色になり保健室に連れて行かれてしまいました、というもの。緑色ってすごくないですか(笑) 「マダム小林の優雅な生活」 ここらへんから文章も読みやすくおもしろくなってきてますね。 そして話題が、「三谷幸喜のありふれた生活」とかぶっているので、あーあれね、と思いながら読めるので、2度楽しい? 「キウィおこぼれ留学記」 ニュージーランドに1週間語学留学(ホームステイ)した経験をまとめたもの。 こういう旅行記って意外と難しいんですよね。とてもおもしろかったです。 「マダムだもの」 これも、「ありふれた生活」とかぶってる話題がいくつか。 奥さんの立場から見た三谷さんの姿が、申し訳ないけど笑えます。 やーおもしろかったです。 もっと読みたいと思ったけど、最近本出してないんですねぇ。残念。 |
「真・イズミ幻戦記 暁の国3」若木未生 2007年07月03日(火) 学生時代から、大好きでずっと読んでいるシリーズです。刊行ペースがかたつむりなのですが…。少年二人が合体すると(いやらしい意味じゃないよ)、一人のスーパーヒーローが現れて悪者をやっつけてくれるというお話(?)です。 その少年二人というのが天真爛漫な拓己と、神経質な省吾というコンビで、私は大好きだったんですよね。特に拓己が! あ、スーパーヒーロー・イズミも大好きですが。 で、前作の終わりでイズミがひどい負け方をして、融合が解かれて拓己は行方不明、という状態で。 「暁の国」では、省吾が拓己を探してるわけです。拓己は記憶をなくしていて、違う組織で殺し屋みたいなことをやっている、と。 "狼"と呼ばれている拓己。殺しが得意だと言われる彼が、食べ物を食べると涙を流すんです。それがもう…私としては、胸にぐっときて…。 食べながら涙を流すって、なんだかものすごく泣けてきてしまうのです。私だけですか? 「千と千尋の神隠し」でも、千尋がおにぎりをもらって泣きながら食べるシーンがありました。あれも泣けたなぁ…。なんなんでしょうね。 やっぱり、イズミは大好きなので、ゆっくりとでも、進んでくれているのが嬉しいです。 次巻はまだか。 |
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