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「君に届け 3」椎名軽穂
2007年01月30日(火)
新刊です。
陰気な外見から、「貞子」と恐れられる爽子。しかし、少しずつクラスに馴染んできていた。
吉田さん・矢野さんと仲直りをして、風早くんと龍と5人で、楽しい夜を過ごした爽子。
お互いに好意を抱く風早くんと爽子だが、くるみという女が爽子に近づいてくる。彼女は風早くんが好きらしい。

なんて心温まる…。ピュアですね〜。
みんなでわいわい騒いでる様子もほんとに楽しそうだし、その後で爽子が「楽しかったなー…」とつぶやくと、「楽しかったね!」「これから何回も何回もいっぱいいっぱいあるからね!」と声がかかる、それが全然鼻につかないんですよ。
ああ、よかったね〜この子をよろしくね〜と、子供を見守るお母さんの心境ですよ!
二人を暖かく見守る外野もいいし、爽子の素直さがこれまた嫌味がなくていいです。最後のシーンも、きっぱりと断れるあたりがいいですね。がんばれーと応援したくなる。

これといって派手なことがあるわけでもない漫画なのに、人気がある(らしい)というのもうなづけます。
「アンジェリーナ」小川洋子
2007年01月29日(月)
「佐野元春と10の短編」というサブタイトルがついているように、彼の曲のイメージで短編を書いていくという趣向の短編集。
私は佐野元春のファンというわけでもないので、微妙かなーなんて思いながら読み始めたんですが、どうしてどうして。おもしろかったです!
小説の前に、その元になった曲の歌詞が載ってるんですね。小説を読んだ後にその歌詞を読むじゃないですか。うーむ、すごい…。よくこんな話を思いつけるな、と。
抽象的な歌詞が多いから、かえっていいのかもしれないですが。

日常がちょっとずれて非日常に変わっていく感じの軽いSFといった話が多いですね。
長編でも使われているモチーフが、同じ形で使われているものもあります。身体のパーツの記憶が無くなっていく「誰かが君のドアを叩いている」とか。

私が好きだったのは、地図を完成させようと調査員のおばさんが訪ねてくるのだが、空き地になにが建っていたのかを思い出せない「奇妙な日々」と、みみずくクラブの提供する声に惚れてしまった男の話「また明日…」の2本です。
ちょっとシュールで、でもなぜだかその世界に浸っていたくなるような話。
★★★☆
「ラディカル・ホスピタル 1〜9」ひらのあゆ
2007年01月28日(日)
とある病院の外科病棟を描いた4コマ漫画です。
個性的な医者・看護婦、そして入院してくる患者さんたちが描かれています。

病院というデリケートな場所にも関わらず、ほのぼのと、とても気持ちよく読めます。
ブラックにも下品にもなりすぎることなく、気の利いた笑いをこれだけ描き続けられるというのは、実はすごいことなんじゃないかな。

先が気になるという類の漫画ではありませんが、安心して読める漫画かと思います。
「働くことがイヤな人のための本」中島義道
2007年01月22日(月)
中島義道氏の本ですので、仕事の素晴らしさを発見とか、自分にあった仕事の見つけ方とか、そんなことを書いたものではありません。
現代日本においては、(扶養家族でない限り)ほとんどの人々が生活のためになんらかの仕事をしていかなければならないわけですが、生きがいが感じられるとか、天職だなんて感じて働いてる人は、ほとんどいないわけです。
本書は、そういう生きがいだとかの意味での仕事を求めつつ得られない空虚さを抱く人たちの架空の対話形式で、仕事とはなんだろうかということを哲学的に語ったものです。

私自身は、働いてもいいけど、会社でのいろんなことがイヤだなあと思っている人間です。集団行動苦手ですから…。
そして、確かに生きがいだとかやりがいだとかはあまり感じないですね。誰でもできることですから。
でも働かなければいけない。一人でやっていく才覚がない自分は、会社という場所の歯車になるしかない、というこの状況。
そんな私ですが、本書で開眼したとかそういうことはまるでなく…。
うーん、彼の本は好きなのですが、本書はイマイチでした。私としては。
どこがどうと言えないですが、ぴんとこなかった。

彼は「どうせ死んでしまうこと」がとても恐ろしいことだと思っているようなんですが(これまで読んだ中でもたびたび出てくる表現です)、私にとっては「死が無であることはやすらぎ」なんですよね。
そこらへんの違いがあるのかもしれません。
「怒る技術」中島義道
2007年01月17日(水)
「怒る(いかる)技術」というタイトルですが、いわゆるマニュアル本ではありません。
まー、世の中、「人に好かれる方法」だの「幸せになる方法」だのの本はあふれてるわけですが、「怒る技術」なんか学びたい人はあまりいないですよね(笑)
「戦う哲学者」という異名をとる著者が、怒りがなんたるものか、怒りのススメ、どうして怒ることができるようになっていったか、そしてどうやって怒らないでいられるのか、そんなことを書いたものです。

おもしろかったですよ。ベルトを盗んだ話とか、笑ってしまった。
私は真似できないけど、こういう生き方もあるんだよなあって思います。
どっかのなんとかカウンセラーがテレビで、「人を憎むというのは殺人と同じことだ」とかなんとか言ったらしい(また聞きのまた聞きですが)ですけど、そんな偽善的な世の中が息苦しくてたまらないアナタにお奨めします(笑)
「天空聖龍 3」山口美由紀
2007年01月06日(土)
白い膜に覆われ、繭のようになり意識を失ったカナン。サンワの庄に連れ帰り、眠り続けるカナンをラムカは見守る。そして、カナンが脱皮して…。記憶のほころびが少しずつ現れ始める。

雑誌の方読んでしまってるので、わくわく感は薄いんですが、少しずつ隠されていた過去が浮かび上がってくる過程は、読み直してもおもしろいです。
そして、かわいいと評判の、脱皮後のカナン。ラムカさんに対するカナンの態度が、乙女心をくすぐります。
あと、動物もやけにかわいい。ひつじとか。
「中庭の出来事」恩田陸/「子育てちゃちゃちゃ!」うぐいすみつる
2007年01月05日(金)
ホテルの中庭で毒を飲んで亡くなった気鋭の脚本家。上演されるはずだったひとり芝居の候補者である3人の女優。舞台として活用されている廃駅を訪れる二人の男性。
様々な場面が交錯する、不思議なミステリ。


友だちが読んで、イマイチだったというので譲り受けました。あらすじ読んだ時から、「夏の名残の薔薇」と「ユージニア」混ぜたみたいな話だなと思ってたんですが、それにプラス「チョコレートコスモス」って感じ。思ったより、舞台のシーンが多かったです。
私が思ったのはもうちょっと筋があって、最後にあやふやに終わるっていうタイプだったんですが、最初から最後まで混沌としてる話でした(笑) でも思ったより最後がまとまってた。好きなまとめ方ではないけど。

でもねえ、まあ、いいんですよ!
私は彼女の文章が大好きなので。読んでられるのがしあわせだから。
最初の方の、坂を歩きながらボタンが取れたことに気づく場面が、何度か微妙に変えながら繰り返されるじゃないですか。あのあたりとか、好きですね。
女優によって、同じシーンが違う語り口で語られているのもおもしろい。微妙な変え方が、いいんですよ。

ちょっとしたものの見方なんかも、大好きです。
「あんたに一言で俺のことを言い表されるのは、きっとあんまりいい気分じゃないですね。誰だって、自分を一言で片付けられるのはいやだろうけど」とか。
たとえばワイドショーとかで、亡くなった人や容疑者を、近所の人だとかが「あの人は○○だった」とか言ってるのが、私はすごく嫌いなんですよ。そういうちょっとしたところで、あーそうだよねーって共感してしまう。

あとね、彼女の文章を読んでいると、なんとなく頭の中がそういう文体になってくるんですよねー(笑)
ちょっと芝居がかった感じで。
そういう自分がおもしろいから(笑)、彼女にはたくさん書き続けていただきたいものです。

でも、この本はイマイチ(笑)
★★☆



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「子育てちゃちゃちゃ!」うぐいすみつる
タイトルどおりの実録子育て漫画です。
「子供好きな人、子育てにちょっぴり疲れた人…みんな元気になれるハッピーコミック!!」と帯に書かれてるのですが…それはなんか違うんじゃ…。
だって、ほとんどずーーっと怒ってますよ、お母さん?(笑)
いや、おもしろいんだけど、子育てってほんと大変なんだろうなあとしみじみ思わせられますよ?
…まあ、そういう漫画です(笑)

「タイスの魔剣士 グイン・サーガ111」栗本薫
2007年01月02日(火)
前巻に引き続き、タイスの支配者に見込まれてしまったグインが、闘技場での試合を重ねるはめになる。

なんかこう、町の人と会話して情報を仕入れたり、試合前に武器を選んだらそこにはもう戻れないとか…RPGでもやってるような気分になりました(笑)
早く脱出しないかなあ……。
こんなところで話が終わるわけがないから、あまり緊張感がないですよね〜…。
2006年総括
2007年01月01日(月)
昨年読んだ冊数を数えてみました。

小説:65冊
小説以外の書籍:18冊
漫画:166冊

うーん、いつになく漫画たくさん読みましたね(笑)

その中でも、特におもしろかった本。

■小説
「イニシエーション・ラブ」乾くるみ
「チョコレート・コスモス」恩田陸
「銃とチョコレート」乙一
「老ヴォールの惑星」小川一水

■漫画
「うさぎドロップ」宇仁田ゆみ
「文鳥様と私」今市子
「大原さんちのムスコさん」大原由軌子
「GANTZ」奥浩哉

小説はとにかくこれは猛烈におもしろかった!と言えるものがなかったのが残念。もうちょっと開拓したいところです。
漫画は、新規開拓の宇仁田ゆみ、今市子なんかがよかった。
そして、GANTZはどーんと来ましたよ! 今後がほんとに楽しみな漫画に出会えました。

さてさて、ずっと見続けてきて下さっているみなさま、ありがとうございました。
とりあえず、読んだ本は地道に感想をアップしていくつもりです。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。


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