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「グイン・サーガ107 流れゆく雲」栗本薫
2006年04月29日(土)
それぞれの国で待つカメロン・リンダのお話。

リンダがスニを相手に愚痴をこぼすのだけど、私だったら言葉をしっかり理解しない相手に話したら余計ストレスたまります。

しかし、こんな中味で一冊終えられるとは…。この1/10で済む内容だと思います。
「グイン・サーガ106 ボルボロスの追跡」栗本薫
2006年04月28日(金)
グインとマリウスたち一行の逃避行のお話。

スーティねえ…どうなるんでしょうね。壮大な未来を匂わせるのは、けっこう好きです。だって恩田陸のファンですから(笑)
どうでもいいけど、赤ちゃん言葉は激しくそぐわなくて興ざめです。すーたんて……。
「夢幻紳士【幻想篇】」高橋葉介
2006年04月25日(火)
帯より
「莫大な遺産を相続した"僕"の危機を救う黒服の守護天使」

夢幻紳士のシリーズは好きで全部読んでいると思うんですが、いろいろバージョン(?)があって、それぞれ雰囲気がまったく違うんですよ。私がいちばん好きなのは親子でわいわいやってるやつなんですが。
ミステリマガジンに連載されていたこの幻想篇はおどろおどろしいですね。でも、うまくできてる。おもしろかったです。
やっぱりかっこいいなあ、マミは(笑)
「海を飛ぶ夢」
2006年04月24日(月)
「海を飛ぶ夢」の評を新聞で読んだ私は、ぜひこの映画を観てみたいと思いました。→その時の記事
それから約1年経って、ようやく観ることができました。
二十数年寝たきりで暮らしてきた男性が、尊厳死を求めるという話です。

尊厳死、安楽死、延命処置の是非、それらは答えの出るものではないんだと思います。なにが正しいとか悪いとか。
「なぜ(自分は)死にたいんだ」と夜中に叫ぶラモンの姿、愛情を注いで世話をしてきた家族の姿、どちらも真実の姿であって、けれども彼らの望みは一致しない。
もし自分だったらと考えると、なにができるのだろうと思います。当事者としても、周りの人間としても。
プライバシーもなく無為に過ぎていく時間。誰かの世話にならなければなにもできないということ。けれど、家族はそのままでも生き続けることを望んでいるということ…。
自分はその人に行き続けて欲しい。けれど、自分だったら尊厳死を望むだろう。さあ、このジレンマをどう解決したらいいんでしょうか。

こういった問題を正面から描きながら、それを表面的な論争で終わらせずに、もっと奥深いところまで掘り下げているところが素晴らしかった。雰囲気があってテンポもよくときにユーモラスで、美しい映画だったと思います。
押しかけファン(?)のロサと、自らも不治の病を抱える弁護士のフリアという二人の女性の絡ませ方もうまかった。
「波に座る男たち」梶尾真治
2006年04月23日(日)
内容(「BOOK」データベースより)
食い詰めたヤクザの一家がクジラ捕りに!『黄泉がえり』の梶尾真治の新境地。

いや、新境地じゃないと思うんですが(笑)
ハートウォームな(?)冒険活劇ですね。
クジラって食べたことないんだけど、そんなにおいしいものなんでしょうか。問題提起してるわけじゃないんだろうけど…。なんか、どう思っていいのかわからない話だった。
「くらやみの速さはどれくらい」エリザベス・ムーン
2006年04月22日(土)
内容(「BOOK」データベースより)
近未来、医学の進歩によって自閉症は幼児のうちに治療すればなおるようになっていた。35歳のルウ・アレンデイルは、治療法が確立される前に大人になってしまった最後の世代の自閉症者だ。それでも、ルウの生活は順調だった。触感やにおいや光に敏感すぎたり、ひとの表情が読みとれなかったり、苦労は絶えなかったけれど、自閉症者のグループを雇っている製薬会社に勤め、趣味のフェンシングを楽しんでいた。だが、新任の上司クレンショウが、新しい自閉症治療の実験台になれと自閉症の社員たちに言ってきた。ルウは、治療が成功してふつうになったら、いまの自分が自分ではなくなってしまうのではないかと悩む。ルウの決断のときは迫っていた…光がどんなに速く進んでもその先にはかならず闇がある。だから、暗闇のほうが光よりも速く進むはず。そう信じているルウの運命は?自閉症者ルウの視点から見た世界の光と闇を鮮やかに描き、21世紀版『アルジャーノンに花束を』と評され、2004年ネビュラ賞を受賞した感動の長篇。

作者の息子さんが自閉症で、その経験を元に書かれた作品ということです。(モデルにしたわけではないそうですが)
ルウの視点で話は進みます。自閉症の方の思考の仕方というのがとても興味深く、かつわかりやすく書かれていました。フィクションではありますが、確かにそうなんだろうと思うのです。
普通に過ごしていると、人がどういう思考の仕方をしているかなんて、考えないし違っていても気づかないものです。
だから、こういう物語を読むととても興味深く感じます。

そういう思考方法の違いもおもしろかったし、「なにが普通なのか」という問題、そして「なにが自分なのか」ということ。
自閉症である今の自分を、受け入れてくれる人、変わることを望む人。それは、自閉症以外のあらゆることに言えることです。ただ、それらは性格の範囲として位置づけられているし、治療という強制での変化ではないから、私たちは決断をせまられることはないだけであって。

ラストは、なんともせつないです。
解説(梶尾真治)の一文。
「意外な結末というわけではない。だが、一見ハッピーエンドに見える結末を振り返るたびに、微妙に複雑な感情がエコーのように湧き出てくるのだ。一見、予定調和に見せかけながら、この結末の複雑さは、ちょっと例を見ない。」
自分が決断を迫られた時に、何をどう選べるだろうか?と思います。

「不思議のひと触れ」の感想で翻訳ものは読みにくいとか書きましたが、これは読みやすかった。なんでしょうね、元の文章の違いか、訳者の違いか…。両方かな。
読みやすいし、おもしろい。おススメです。
★★★★
「不思議のひと触れ」シオドア・スタージョン
2006年04月18日(火)
SF短編集です。SFと言っても「ちょっと不思議な話」。
最近海外SF(及びミステリ)を読んでみようかなーと思っていて。なぜかというと、大森望の書評を読んでいて読みたくなったから。
どれも味のある話でしたが…。2編目の「もうひとりのシーリア」の後味がどうも悪くてねえ。
イマイチ、どれもこれもすっきりしないまま、読み終えてしまいました。あわないのかも…。
「閉所愛好症」は、うらやましかったけど。私にもお迎えこないかなあ(笑) もっと専門分野に突出してないとだめかしら。
「タンディの物語」は割りと好き。

しかし、翻訳っていうのは慣れないとほんとに読みにくいね。日本語読んでるはずなのに、気づくとどういう状態なのかがさっぱりわからないことがあります(笑)(日本人の作家でも、菊○秀行はそういう状態によく陥ります)
「フラワー・オブ・ライフ 3」よしながふみ
2006年04月12日(水)
女の子たちが買い物する話や、本を貸し借りしたりする話。それからみんなでクリスマスパーティする話。
どれもこれも、あああるある、って思ってしまう内容。あるあると思いながら、ちょっと胸が痛くなったり…。
高校生っていうのは、こういうもんなんだよねー。私は本の貸し借りの話に共感。
ほんとにうまいなあ。この巻もおもしろかった!

そして、そんな高校生活とは裏腹な人たちが約2名…(笑) おまけ漫画に爆笑。まあ、人を好きになるって、そんなもんよね〜(笑)

でも、楽しいだけじゃ終わらなそう…。
「花よりも花の如く 1〜4」成田美名子
2006年04月09日(日)
「NATURAL」まで全作品読んできてるんですが、なんとなくこの漫画には手をつけないままでした。それは、全作家追いかけていたらもたないからね…。
でも、なんとなく新しい漫画を買いたいなと思って(読みたいじゃないあたりがミソ)、最新刊が4巻というのはお手ごろだわと購入してみたわけです。

能の世界を描いた漫画です。
いやあ、能には全然興味がなかったんですが、やってみたいとさえ思いました。すぐに、無理無理と思ったけど(笑) 力のある作家さんというのはすごいですね。

相変わらずの見やすく端整な絵とストーリーで、派手なんだか地味なんだかわからない世界を丁寧に描いていて、おもしろかった。
それに、彼女のストーリーって、すごく細やかな心の動きを描くんですよね。誰にでも共感できるようなわかりやすい世界じゃないと思う。

何かというのははっきりわからないけれど、何かに対しての意欲を掻き立ててくれるような力を持った漫画だと思います。
★★★★
「のんdeぽ庵 1」なかはら・ももた・イタバシマサヒロ
2006年04月08日(土)
表紙が割りとかわいかったのと、女性向けの居酒屋のお話というので、なんかいいなーと思って、店頭で見て衝動買い。(表紙の絵とあらすじだけで)
美人姉妹が営む居酒屋のお話なんですね。

…衝動買いはするもんじゃないです(笑)
なんとなーく、こう、納得いかない話でした。

いろんなお客さんの女性を癒すという話なんだけど。たとえばね、「僕の夢を支えてくれ」ってプロポーズされた女性が「私はつっかい棒かー」って落ち込んでると、人の夢を支えることの素晴らしさを教えてくれちゃうわけですよ。夢を支えるのも悪くないだろうけど……それ読んで、女性って癒されるもの?

あと、釈然としないのが、やけに高い店だってこと。ブラックジャックは法外なお金を要求するけど、あれは物語的にも説得力があるよね。でもこれはなあ…。
お金持ってそうって判断すると、高いお酒とか食材とかばかすか勧める。で、お客さんは最後にお勘定見てびっくりするっていう。そんな店、癒されるかー?(笑)

お父さんは家を出てしまっておいしい塩を探して放浪しているらしいけど、どんなに遠くから見守ってたって、そりゃ放任だろ。

というわけで、釈然としない気持ちになった一冊でした。
「人格転移の殺人」西澤保彦
2006年04月06日(木)
内容(「BOOK」データベースより)
突然の大地震で、ファーストフード店にいた6人が逃げ込んだ先は、人格を入れ替える実験施設だった。法則に沿って6人の人格が入れ替わり、脱出不能の隔絶された空間で連続殺人事件が起こる。犯人は誰の人格で、凶行の目的は何なのか?人格と論理が輪舞する奇想天外西沢マジック。寝不足覚悟の面白さ。

なんだかややこしかった。身体と中に入ってる人格が違ってるので、これは誰だっけ?と思ってしまうことがしばしば。
文章自体があまり好きではないので、最初ちょっととっつきにくいかなと思う面もあります。
後半、急展開になるあたりでようやくおもしろくなってくる。あまりに急展開なのでびっくりしたけど…。

発想とかはおもしろいと思います。
★★★
「太夫 2〜鬼外カルテ其ノ拾参」碧也ぴんく
2006年04月03日(月)
太夫の話はこれで完結。なんと、こんな展開になろうとは。

私は歌舞伎には詳しくないもので知らなかったのですが、伊達騒動というのがあるそうです。→参考
1巻までの話のおさらい。幼いゆきが高尾太夫となり、吉原の看板となりながらも、秘かに島田重三郎と通じ、「身も心も捧げるのは自分だけ」という約束を交わします。しかし島田は姿を消し、太夫の客として仙台藩主である伊達綱宗が通い始める…太夫が少しずつ彼に惹かれていく予感をにおわせる、というところまで。
ああ、好きになっちゃうから身体をあげられないのね…という話になるかと思いきや。

そういう過去の話がありつつ、鬼外カルテということで、虚空族として生き続けるゆきが思い人の魂を待っている、という現代の話が絡んできます。
予想外の展開でしたが、泣かせます。船の上のシーンが………。太夫の答えが泣かせる。
惹かれていく気持ちの描き方もうまい。

鬼外カルテ大好きなんですが、このシリーズの中でも3本の指に入る力作ですね。おもしろかった。
絵は好き嫌いあるかもしれないけど、ストーリーはとにかく素晴らしいので、お薦めです!
★★★★☆


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