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「死と彼女とぼく ゆかり 6」川口まどか
2006年02月17日(金)
三本収録。親子の愛情について考えさせられる一冊。

「残光」
うーん…なんとなくすっきりしない。納得いかない。それでいいのか?

「カリンちゃんのパパ」
親って、そういうものなのかもしれない。子供が鬱陶しくて、それでもかばってしまうのは本能なのかも。

「夜ごとの闇の その空で」
生きていると楽しいより苦しいことのほうが多いという優作。生きてるすべての人の苦しみがわかってから言えって、そりゃないと思う。でも、苦しいことを憶えてるから注意して生きていくことができるというのは、なんとなく説得力ある。

テレビで、難病の子どもたちを育てる親を紹介していた。無痛無汗症の子どもに、痛みを教える親。それと重なった。
その番組では、レット症候群の子どもを育てるお母さんに、感銘を受けた。
「好き好き大好き超愛してる。」舞城王太郎
2006年02月13日(月)
表題作ともう1編を収録。

表題作の「好き好き大好き超愛してる。」は、恋人を病気で亡くす男の子の話。確かセカチューを意識してるんだとかいう解釈をどこかで読んだような気がします。
舞城王太郎は、すごく抽象的なことを書いているようでいて、実はストレートなんだなとよく思います。
なぜ小説を書くのかというようなことについてちらっと書かれていて、ストレートだな…と。
「無駄と知りながらも言うべき言葉は一つの祈りだ。」

もう1編の「ドリルホール・イン・マイ・ブレイン」は、気持ち悪くてちゃんと読めなかったです…。スプラッタ(?)は苦手です。血の気が引いて気持ち悪くなってしまうので。
「ふしぎをのせたアリエル号」リチャード・ケネディ
2006年02月12日(日)
確か井辻朱美さんの本だったと思うんですが(他にもあったかも?)、この本が紹介されていて、それ以来読んでみたいと思っていた本です。児童書ですが、私は読んだことなかったので。

お話はエイミイという女の子の生い立ちから始まります。エイミイが生まれてすぐにお母さんは病気で亡くなり、仕立て屋だったお父さんはエイミイを孤児院にあずけて船に乗ります。そして戻ってきませんでした。
エイミイはお父さんが残していったキャプテンの人形と育ちます。いつもマザーグースなどの本を読み聞かせていたキャプテンの人形は、綻びを繕おうとしたエイミイに針で刺されて、言葉をしゃべるようになります。だんだん大きくなり、人間になってきます。
孤児院にいられなくなったキャプテンは、エイミイに1ヵ月後に迎えに来ることを約束し、船に乗ります。
しかしひと月経っても戻ってこないキャプテン。実はまだ時間がかかると手紙を出していたのに、いじわるな孤児院の先生が焼いてしまっていました。
エイミイはキャプテンが死んでしまったと思い、だんだん生きる力をなくし、今度はエイミイが人形になってしまいます。
そしてなんやかやがあって、アリエル号の船長になったキャプテンは人形のエイミイを連れて、黄金を探す旅に出ます。その旅の仲間というのが、黄金を狙うオニババ、キャプテンが人形から人間にしたステテコやらサルやイヌ(元人形)…。

とこんな感じで話は進みます。
恐ろしいのが、海に沈む黄金を探すために、キャプテンが人形になってしまったエイミイの目(ボタン)を取って海に沈めるあたりですね…。しかも目は魚に食われて行方がわからなくなってしまうという。
その上人間に戻りかけていたエイミイは、目が戻らないので、人間に戻るのを遅らせるために塩漬けにされるんです。おっかねえ…。

なんというか、雰囲気が重苦しい話でした。いろんなことがシュールでブラックでした。
後半、アヒルの一団とか出てくるあたり、冷静に考えたらすごいおかしいし笑いどころじゃないかと思うんですが、物語に入ってしまってる私には、笑い事じゃないぞと思えてしまって。
この設定を笑えるか重いととるかで、読まれ方は全然違ってくると思います。私は重かった。

重くはあったけど、おもしろかったです。読み応えありました。
★★★★
「インストール」綿矢りさ
2006年02月11日(土)
今更ながら、読んでみました。
学校をさぼって昼間押入れの中で風俗チャットのバイトをする女子高生と、小学生の男の子の話。
おもしろかったです。
チャットに来る聖璽くんが、なんだかリアルだ…。リアルというのはちょっと違うか? 一般的ではないけれど、すごくどこかにいそうな感じを受ける。

クールな視点がおもしろいな。でもクールなだけじゃないんだろうなという印象も受ける。
不器用さに対しての話とか。
文章を過度にこねくりまわしすぎないところもいい。
今後も読んでみたいと思いました。
★★★☆
「DEATH NOTE 10」小畑健・大場つぐみ
2006年02月06日(月)
新刊出ました。
…えーと、後半からまたおもしろくなってきた(笑)
魅上投入は正解かも。てことはニアがつまんなかったのか?
しかし、秘密を知るものが多いほど、ボロが出やすくなると思うけどなあ。

ところで、登場人物にあんまり現実にはいないような名前をつけているのは、似た名前の子どもがいたらいじめられるからですかねえ。

あと、映画化には興味津々です(笑)
「冷や汗の向こう側」三谷幸喜/「不死鳥のタマゴ 1」紫堂恭子
2006年02月05日(日)
「冷や汗の向こう側」三谷幸喜
朝日新聞で好評連載中のエッセイの第4弾。

今回は大河の最終回の話がよかった。
香取慎吾演ずる近藤勇の最後の台詞の解釈。斬首される近藤の最後の「トシ」というひと言の解釈を、三谷さんは役者に託したそうだ。
そして、彼はかすかに笑みを浮かべてその台詞を口にした。笑顔のイメージがなかった三谷さんは虚を衝かれ、どうして微笑んだのか聞いてみた。すると「トシ、次は一体何をしようか」だったという。

私は「新撰組!」は観てませんでした。…だって、大変じゃないですか。毎週観るのも、録りだめて観るのも。それと、時代劇って苦手なのです。
そんなわけで観てなかったのですが、このシーンを読んだだけで不覚にも涙ぐんでしまいました。

脚本家という仕事。人の手による部分が多くて、自分の思い通りにならないことが多いんだろうな、と思ってました。(実際そうだろうと想像します) でも、役者やスタッフの力を得て完成するものなんだなーと思いました。
でも待てよ。
普通の小説だって、そういう部分はあるのでは?
たったひと言、たった一行を読んで、どう解釈するかは読者次第。素晴らしくもなるし、つまらないものにもなる。地味で目立たない世界かもしれないけどね。



「不死鳥のタマゴ 1」紫堂恭子
田舎町エルダーに保安隊員として赴任してきたクリストファー。内戦が終わったばかりで、敵方だったクリストファーに人々の対応は冷たい。そんな彼が拾った生ゴミ…もとい小鳥。ちゅんちゅんはしゃべる鳥で、不死鳥のひなだという。

雰囲気のあるファンタジーを描かれる紫堂さん。友だちが彼女大好きでずっと買っているので、私もずっと読んでます。
絵が独特で話もちょっとわかりにくいところがあるかなと思うのですが、ほのぼのとしてます。
今回の話はコメディ色が強いのかな?
ちゅんちゅんは…かわいいのか憎たらしいのか、ちょっと判別不能ですが(笑) 私はこういう振り回しキャラがすごく苦手なんで、イマイチ好きになれないかもしれないな。
「星のカギ、魔法の小箱」小谷真理
2006年02月04日(土)
SF&ファンタジー小説のガイド本です。実際読んでみた雰囲気では、ジュニア向けなのかな?
私はこういう読書ガイド的な本がけっこう好きで、よく読みます。
自分が読んでみたい本を探す、という意味合いももちろんあるんですが(それが正統的な読まれ方だよね?)、私としては自分が好きな本がどういう紹介をされているかということに興味があります。
だから、ガイド本を選ぶ時の判断基準は、自分の好きな本がどれくらい収録されているか、ですね。(こういう本は目次とか巻末を見ると、紹介されている本の一覧が見られます)
これは、好きな本がけっこう多くて、こういう風にまとめるのかーというのはよかったですが、紹介内容としては控えめで、ちょっと物足りなかったかなと思いました。
「ハッピーバースデー」青木和雄・吉富多美
2006年02月03日(金)
文章がやけにあっさりしているなと思ったら、児童書として出版されたものが、大人にも読んで欲しいということで加筆されて出版されたんですね。

小5のあすかは、出来のいい兄とくらべられ、母親から疎んじられている。誕生日も忘れられ、兄から「生まれてこなきゃよかったな」と言われ、あすかは声が出なくなる。けれど、祖父母の家で過ごすうちにあすかは生きる力を取り戻す。という話です。
親子問題だけにとどまらず、いじめの問題などにも、あっさりとだけれど触れられています。

すごくわかりやすく書かれていて、母親がどうしてあすかには愛情を持てないのか、その原因も、あすかの感情の動きも共感しやすいと思います。
現実はこんなにわかりやすくなく、いろんな愛憎が複雑にからみあっているから、こんなにうまくは行かないんだよな…とは思うんですが、自分の問題をわかりやすい問題として再構築できるとしたら、意味のあることかもしれません。

私ももういい年なので、親子関係を子どもの立場から読むというのはどうかなとも若干思うのですが、子どもはいないけど両親は健在なので、どうしてもそうしか読めないです。
それに、親子関係というのは、その人のすべての人間関係の根本にあるものだと思います。
会社で、「やっぱり男の子の方がかわいいよね」という会話を聞いたりしていると、「自分の子どもは平等にかわいいに決まってる」なんて幻想は、どうしても持てないですしね。すべての生命が祝福されるものだというのも幻想だと思います。

物語のように、簡単に人の性格や気持ちは変えられず、ハッピーエンドとはいかないものだから、どうにかして自分とも他人とも家族ともつきあっていかなくちゃいけないですね。自分の内面を見つめて、それで納得できるものならいいのだけど…。

私は、とてもおもしろく読みました。
自分が満たされないとか、人を傷つけたくないとか思ったことがあるのなら、読んでみるといいと思います。


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