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「神を喰らう狼」「隻腕のサスラ」「片翼で飛ぶ鳥」「おまえが世界を変えたいならば」榎田尤利 2005年08月25日(木) 「神話の子供たち」というシリーズです。作者はえだゆうりと読みます。カタストロフィーと呼ばれる世界規模の大災害の後の世界を描いた作品。シティと呼ばれる、管理された世界と、その外のDエリアと呼ばれる世界。クローンという存在がクローズアップされています。 …ま、設定はありがちと言えばありがちなんですが。 1冊目の「神を喰らう狼」は、シリーズのプロローグとも言うべき1冊で、クローンとして生まれてきた少年が主人公。 2冊目からは、サラという「世界を変える」と言われる少女が主人公。父を亡くした後、一人で無気力に生きてきた少女が、Dエリアからやってきた双子の少女と、美貌の大学講師に出会い、自分の運命に翻弄されていくようになる…というもの。 サラの無気力具合がとてもいいなと思います(笑) 命をかけてサラを護るエリアスという青年が、泣かせます。 割と淡々とした文章だと思うのですが、不思議と心情が伝わってきて、泣かせるんですよね。 ボーイズラブをよく書いてらっしゃる作家さんのようですが、このシリーズは普通にSFファンタジー。こういうのお好きな方にはオススメ。 私なんか、新刊が近所の本屋になかなか見つからなくて、3日間で9軒も本屋回っちゃったよ…。だって続きが気になったから〜。 それくらいおもしろかったってことで(笑) ★★★★ |
LaLa10月号 2005年08月24日(水) 「夏目友人帳」緑川ゆき本誌には初登場のシリーズ。読んでみたかったので嬉しい。 この世ならぬ存在を目にしてしまう少年・夏目。祖母の遺品である、妖の名を連ねた「友人帳」(名を縛る契約書のようなもの)を持つ。 昏さと繊細さを併せ持つ絵が、物語とあっている。特に、名前を返すところの絵が非常に妖艶で、美しい。けっして絵のうまい人だとは思わないのに、こういうキメの絵を描けるというのは素晴らしいじゃないですか。 お話も、「蛍火の杜へ」を思わせる話で、せつなく泣かせる、とてもいいお話だった。同時にくすっとさせられるユーモアさもあって(ニャンコ先生がおもしろい)、素晴らしい。 1巻が10/5発売らしい。楽しみ!! 「おまけの小林クン」森生まさみ とうとう最終回でした。 吹雪ちゃんと健吾くんの不器用な恋が微笑ましかったのだけど、それは数ヶ月前に丸く収まってしまっていて。本題である大和くんのお話に。しょうがないよね、タイトルどおり「おまけ」だった彼が、どう成長するかのお話だったんだから。 なんか、泣かされた。 「龍の花わずらい」草川為 もおもしろいです! ルシンがかわいいーよねー。 ルーとクーも、最初は丸すぎる!と思ったけど、なんだかだんだんかわいく思えてきちゃって(笑) |
「ハチミツとクローバー 8」羽海野チカ 2005年08月22日(月) 新刊出ました。今回はあゆの恋が主でした。私はこの子の話の時がいちばん好きだなー。だって、すっごくオトメじゃないですか(笑) 胸キュン☆です。かわいいよねぇ。 こういう漫画がこんなに人気があるのが嬉しいのです。 |
「ヤーンの朝 グイン・サーガ103」栗本薫 2005年08月21日(日) うーんと、どんな内容だったっけ…と思ってしまうような1冊。タイトルの割りに。(ヤーンの朝というのは運命に導かれた朝みたいな感じだと思う)あ、ヴァレリウスがどーのこーのという話でしたっけ。彼は決して嫌いではないんですが。 最後のシーンが、おおーという感じでした。これがヤーンの朝なのね。最後の数ページかよー(笑) こうやってまた、いろんな人と再会していくのですね。早くパロに着けー。 |
「みんな元気。」舞城王太郎 2005年08月20日(土) 夢っていうのは不条理ですよね。自分の不安や期待や予感、考えたことがあっという間に整合性なんて吹っ飛ばして、目の前で実現していく。夢の中の高揚感というのはその中でしか効かない魔法みたいなもので、すごくおもしろい夢だったと思っても、それを文章にした途端に、つまらないものになってしまうし、「夢のような世界」を文章で創ることも、実はすごく難しい。舞城王太郎の世界は、まさに夢のような世界。お伽噺のようなとか、夢のある、という意味ではなくて、実際に私たちが夜みる夢に近いと思う。わけがわからないのだけど、身体が浮遊しているような妙なスピード感があって、おもしろいんだかおもしろくないんだかわからない感じ。 表題作の「みんな元気。」は、とある家族のお話。4人兄弟の一番末の女の子が、他の家の男の子と取り替えられてしまうというお話。なんだか泣けます。でもよくわからない…。 5編が収録された短編集だけど、他のもよくわからない…。 「我が家のトトロ」は、珍しくあまりスプラッタじゃないお話。なんかほのぼのしてました。「復しゅうノート」いいですね。 この1編には小説家が出てくるのですが、彼は「面白い小説」というのを書きたい、それは「読むのがやめられない小説ですよ。とにかく最後まで読ませられちゃう小説。(中略)とにかく何かに引っ張られて最後まで読めるやつです」と言っている。これは作者の気持ちも入ってるのかなーと。 ★★ |
「オルタード・カーボン」リチャード・モーガン 2005年08月18日(木) 二十七世紀の未来、人間は精神をデジタル化し、肉体(スリーヴ)を乗り換えることができるようになっていた。首の後ろに埋め込まれたスタックが破壊されなければ、何度でも生き返ることができる。スリーヴを確保できる金持ちは何百年も生き、犯罪者は精神を保管され、釈放された時には違う人間のスリーヴをまとって外に出ることになる。元エンヴォイ(特命外交部隊)のタケシ・コヴァッチは、地球にデジタル移送され、ローレンス・バンクロフトという大富豪の依頼を受ける。その内容とは、自分を殺した犯人を捜して欲しい、というもの…。 こちらで大絶賛されてまして、図書館で見つけたので読んでみました。 なるほど、設定は非常にSFでありながら、ストーリーはミステリであり、ハードボイルドでした。 設定がとても興味深く、死なないゆえの拷問の繰り返しであるとか、カトリックは再生を拒否するとか、老いることは疲れるから、よっぽどの人間じゃないと繰り返そうと思わないとか、姿は同じで違う心を持つ人間、心は同じで姿が違う人間、記憶を失った人間の違いなど…がおもしろかったです。 だんだん解けていく謎や、終盤の盛り上がりなどもうまいと思います。 …ただ、私は普段ハードボイルドを読み慣れていないので、読みづらかったですね。 上下巻とヴォリュームもたっぷりで、非常に読み応えがありました。 |
「のだめカンタービレ 1〜4」二ノ宮知子 2005年08月17日(水) 最近、この漫画が巷で大人気なことをご存知でしょうか?あらゆる雑誌で紹介され、講談社漫画賞も受賞、現在13巻まで出ています。 傍若無人な少女・のだめと、指揮者を目指す飛行機恐怖症の少年・千秋が主人公。クラシック音楽を学ぶ学生を描いたラブコメですね。 私、人気のある漫画や小説には手を出してみるタイプです。絵も嫌いではなかったし、そんなにおもしろいなら読んでみたい、と思ってとりあえず4冊買ってみた「のだめカンタービレ」。 …実は買って読んだのは数ヶ月前です。 読んでみて、別におもしろくなくはないけど、こんなにブームになるほどおもしろいか?というのが、感想でした。だから、続きを買うのも感想書くのもを躊躇してしまった。 そして、友だちに貸してみました。二人に貸してみて、二人とも私と同じ感想。…やっぱり、続きを買うのを躊躇してしまうわけです(笑) 音楽は好みの違いというのは大きいけど、漫画や小説は、ある程度世間での評価は信頼できると思っています。もちろん例外も多いわけですが…。 たとえば、私は「ブラッ○○ャックによろしく」と「N○N○」がダメでした。 なにがダメって、主人公の性格が! ああいう、周りの迷惑顧みず人を巻き込んで自分は人のためだと思ってる主人公がほんとに嫌いで。って、好きな人いたら申し訳ないですが、私にはそうとしか見えなかった。 のだめの性格は、あまり好きではないけれど許容範囲なので、それが問題ではないと思うんですが。 マスコミ先導というわけでもなく、実際におもしろいという感想をいくつも見ています。…そんなにおもしろいかなあ。 これからおもしろくなるんでしょうか? もっと買ってみるべき? あわないだけ? 期待しすぎ? |
「わたくし的読書」「花のような女」太田垣晴子 2005年08月14日(日) コミックエッセイというかエッセイコミックというか、イラストと手書きの文字で描かれた本。「わたくし的読書」の方は解説で書評コミックとか書かれてますが、あまり書評という雰囲気ではなかったような…。その本に対する評価などが書かれているわけではなくて、なにかのテーマについての本は紹介されているけれど、その本ではなくてそのテーマについて書かれてる感じです。 私は「花のような女」の方がおもしろかった。花をひとつずつ挙げて、その花の花言葉や見た目などから受ける印象などを女性にたとえて語っているもので、女性というものの語り口が赤裸々でいいんじゃないかと。 納得してしまうこともあり、ええーと思うこともあり、ですけどね。 |
「アブダラと空飛ぶ絨毯」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 2005年08月13日(土) 今回のお話はアラビアン・ナイトを下敷きにしたお話。絨毯商人のアブダラが、空飛ぶ絨毯を手に入れ、夜目を覚ますと知らない庭に。そこで出会ったお姫様と恋に落ち、駆け落ちしようとするもののお姫様はジンにさらわれてしまい、アブダラはスルタンに捕まってしまう。空飛ぶ絨毯のおかげで逃げ出してお姫様を探す旅へ。 「ハウルの動く城2」ということで、前作でおなじみのみなさんも出てきてます。意外な登場の仕方をするので驚きました。 どの人物も愛嬌たっぷりで、展開もトリッキーで予想がつかず、おもしろかった。 友だちは2冊目はイマイチだったと言ってましたが、私はこっちの方が好きかなー。 ★★★☆ |
「月館の殺人 上」佐々木倫子・綾辻行人 2005年08月12日(金) あの2人のコラボレーションてことで、話題になってたりなってなかったり。全然違うジャンルと持ち味のお2人ですから、それはどう生かされるんだろうか?(具体的には、笑えるだろうか?ということ)が気になっていました。鉄道ミステリということですが、私はあまり鉄道ミステリも読まないですしね。 本屋で見かけてちょっと迷ったのですが、ちらりと中を見てみたら、老婆が窓に張り付いて追いかけてくる絵が笑えたので、まあ買ってみるかーと。 で、まあ、コミカルと言えばコミカルではあります。でもイマイチしっくりこない。 なんでかなあ……。 上巻ということですので、下巻も買うとは思います。でも、上巻の感想としては、「あんまり面白くなかったよ」…。 |
「魔法使いハウルと火の悪魔」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 2005年08月07日(日) アニメ「ハウルの動く城」の原作ですね。私はまだアニメの方は観てないのですが。図書館で原作を見つけてしまったので借りてきました。三人姉妹の長女として生まれたソフィーは、父を亡くし帽子屋で働きづめになる間に、だんだん生活に疲れ、老婆のような心になってしまう。そして現れた荒地の魔女に、姿も老婆に変えられたために家を出て、ハウルの動く城で住み込みの掃除婦として働くことに。 ハウルの城には、魔法使いのハウルと、城を動かす火の悪魔と、魔法使いの弟子が住む。 ハウルは、わがままでよく拗ねるし、凛々しくもないし、お洒落だけど女の子を追いかけてばかりだし……でも、なんかかわいいなあって思わせられる人。ここにいていいよとも言ってくれないから、ソフィーは何度も出て行こうとする。 ソフィー自体が、おとぎばなしで出世するのは末っ子だから長女の自分はダメと最初からあきらめているような女の子で、それがなんだか私は好きです。あきらめてるんだけどからっとしてるの。そういう人が好きなんです(笑) 私は末っ子ですが…。 って、なんだか私が説明したら若干ハーレクインぽくなりました…? おもしろかったですよー。アニメも観られるのを楽しみにしてます。 実は2巻も借りてあるのです。 ★★★☆ |
「スペシャリストの誇り クラッシュ・ブレイズ」茅田砂湖 2005年08月06日(土) いつもの方たちとその周りの人たちが活躍する短編集・クラッシュ・ブレイズの2冊目。今回は一芸に秀でた人たちの話らしい……。ううーん。 「ファロットの美意識」は、すごく難しい問題だと思うんですが、さらりと書いてるんでしょうか、考え抜いて書いてるんでしょうか。よくわからん…。 関係ないけど、なんとなく最近、私はシェラがご贔屓らしい気がしてきました。 やー、ご主人様を偵察してるのがかわいいじゃないですか。 |
「君たちに明日はない」垣根涼介 2005年08月05日(金) リストラを専門に請け負う会社に勤める青年が主人公。リストラの候補にあがった人たちの業務実態を調べ、面接し、退職を勧告する面接官。リストラ専門の会社だなんて、一見悪役に思えますが、主人公の真介も社長もやけにさわやかだし、仕事に対しても真摯な態度で臨んでいることが伺えて、好感が持てます。じゃあ、リストラされるような社員はよっぽど…と思うと、こちらも愛嬌のある人物ばかり。 そんな人たちがリストラされるなんて…と思うと、後味は実にいい。 実際問題としてこんなわけはない…と思わなくもないですが、痛快で、読んでいる間とても楽しかったです。この人の良い所は、後味のよさですね。 何よりも、登場人物が愛嬌があっていい。 真介が惚れることになる八つも年上の女性・陽子も、とても魅力的です。なんとなく読んでる間、戸田恵子さんの笑い顔が浮かんでました。 そして、カップルがお互いに相手をかわいく思うシーンというのがすごく共感できるのですね。 たとえばこんなシーン。真介が陽子にコンサートのチケットを渡すのだけど、真介は面接が長引いてコンサートに少し遅れて来る。陽子は不安と怒りを感じているのだけど、真介は笑顔で近づいてくる。陽子が怒鳴ると、真介は聞こえないらしく笑顔で何度も聞き返してくるので、怒りが失せる。…実は真介は怒ってるのもわかってたし怒鳴ってるのも聞こえていたのだけど、怒っているのが愛嬌たっぷりでもう少し見ていたい…とか思っている。というもの。 私だったら、どっちの立場でもそんな気持ちにはならないと思いますが(笑)、この人のテンポのよい文章で登場人物ににやけられると、なんだか同じ気持ちになっちゃうのですよ。不思議なことに。 そんな感じで、うきうきした気持ちになれる一冊です。リストラがテーマなのにね(笑) ★★★☆ |
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