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「大奥1」よしながふみ 2005年09月30日(金) 帯にはSF大河ロマンと書かれてます。設定がすごいんですね。男子ばかりが亡くなる疫病で、男女比が1:4になった日本。男の子は子種をもつ宝として大事にされ、女が全ての労働力の担い手となる。 そんな世界では、将軍職も女性が継ぐ所となる。大奥は美男三千人を集めたと言われる女人禁制の男の城……。 というものです。 時代物ではありますが、男女の立場が逆転しているのでなんとも不思議な雰囲気です。 ストーリーとしては、貧乏旗本の息子、水野祐之進(美男)が大奥に奉公にあがり、上様に見初められご内証の方(初めての夜のお相手)を務めることになるのだけど、ご内証の方は打ち首にされる決まり…という、これまたすごい設定。(上様の身体を傷つけることになるから) 吉宗(女です)がなかなかかっこいいです。容姿は華やかではないけど、言動が凛々しいというか。 1巻では主にこの水野の話だったのですが、終わりの方では吉宗がこの設定自体の真核にせまる…という感じでした。どうなっていくんでしょうね、この漫画は。 さすがよしながふみ、というべきでしょうか。すごい話を描こうと思ったものです…。 純粋にエンターテイメントとしても楽しめる描き方をしてるところも、さすがです。 |
「バガボンド21」井上雄彦 2005年09月25日(日) 話が武蔵に戻りました。でも私の頭が戻らない(笑)コレ誰だっけ…と思う人多数。←読み返せばいいのにね。 絵は相変わらずすさまじく上手くて迫力あります。 |
「太夫1 鬼外カルテ其ノ拾参」碧也ぴんく 2005年09月24日(土) 愛しい男を待ち続けて、「虚空族」として今も生き続ける太夫。一人の青年との出会いが、太夫に在りし日の記憶を思い起こさせる。貧しい農家に生まれ、吉原に売られた幼いゆき。ゆきは高尾太夫の禿(かむろ)となり、次第に才覚を見せ始める。やがて出会った男は太夫の客であった。ご法度と知りながら気持ちは募り、そして…。 高尾太夫は、「恋人に操を立て、落籍した大名を拒んで斬り殺された」という悲恋の太夫。だから、この思いの行き着く先は悲しい結末なのだとわかっているわけです。 島田様に、客に抱かれても、心が自分にあるならいい、もし心を通わせるような男ができたらその時は身体を触れさせなければいい、心と身体両方の真を尽くすのは自分だけ、と言われて、約束をするのですが。 1巻の最後に現れた男。…たぶん、この人に惹かれてしまうのだろうなあ。でも、心を通わせたら身体に触れさせてはいけないから、それで悲しい結末になってしまったんだろう……。とあれこれ想像すると、実にせつない。 でも、この鬼外カルテは、長い間待ち続けた思いを成就させてくれる話だから、続きを楽しみに待ってます。 ゆき(後の高尾太夫)はほんとにいい娘で、暮らしぶりを見ているのも楽しい。同時に、千鳥という同じくらいの年頃の娘が悪役なんですが、彼女もいいスパイスになってます。悪役なのにこんなに害がない(結果的に)存在も珍しいのではないかと(笑) 話の流れもすごくよくて、思わず何度も読み返してしまいました。 鬼外カルテの中でもかなり好きなお話になりそうです。 ★★★★ |
「θは遊んでくれたよ」森博嗣 2005年09月23日(金) Gシリーズ第2作。飛び降り自殺の死体に口紅で描かれたθのマーク。その後、同じマークが描かれた飛び降り自殺死体が続出。これは本当に自殺なのか? 連続殺人なのか? 前作よりは、まともだった気がします(笑) でも、動機なんて関係ないというスタンスはいいんですけど(よくない時もあるけど)、三人目の人のメールはなんだったのか、動機はなんだったのかが激しく気になります! 思わせぶりなんだよー。 今回の探偵役は海月くんらしいんですが、彼の描写の時は文章が生き生きしてますね。そーいうところが相変わらずおもしろいです。犀川先生もちょこちょこ出てきてるし、Hさんまでもが登場。 …海月くんて何者、もしやHさんの子供とか言わないよね……と想像してしまいましたとさ。 ★★☆ |
「きみはペット 13」小川彌生 2005年09月13日(火) 晴れて恋人同士になったスミレとモモ。しかしモモはベルギーへ留学。あっという間に遠恋です。でも遠恋中の二人のやりとりがなかなかかわいくて、おもしろい。 モモの好みがマニアックなところも素敵だし、「スミレちゃんが何決めたってキライになんないから!」の台詞がたくましくて惚れそうです。 そして、「目も閉じてなよ」で、バービーボーイズだ!と思った私は古い(笑) 今回驚いたのが、蓮實さんの変貌ぶり。 しかし、この方がかっこいい!と思ってしまった私の趣味の悪さよ…。 |
「明日、月の上で」平安寿子 2005年09月11日(日) 好きな人を追いかけて、ひなびた温泉街に居座ることになった、とび子。しょっちゅう入り浸っているストリップ小屋の面々、バイト先の、町で一軒のラーメン屋。個性的な人たちがたくさん。そして、「ブンちゃん」とのいきさつ。うーん、おもしろくないことはないのですが、なんとも煮え切らないブンちゃんに苛々。どうしてそんな男をいつまでも追いかけるんだよー(笑) いろんな意味で演歌調のお話…? ★★☆ |
「優しい音楽」瀬尾まいこ 2005年09月08日(木) ほのぼのほろりとさせる短編が3本。「優しい音楽」 ある朝、駅のホームで突然目の前に立った女の子、千波。なぜ彼女が自分の側にいたがるのかわからないままに毎朝言葉を交わすうちに、タケルは彼女に恋をし、やがて二人は恋人同士に。でも、なんとなく彼女には秘密があるようで…。 という、不思議なラブストーリーであり、暖かい家族のお話でもあります。暖かいのに、泣けてしまいます。 「タイムラグ」 相手が旅行中に、不倫相手の子供、佐菜をあずかることになった深雪。 始めは扱いに悩むものの、次第に仲良くなり、やがて二人は佐菜がまだ会ったことがないというおじいちゃんのところへ行くことに。 じいちゃん相手に熱弁を奮う深雪が、なんだいいやつだなーって感じです。でも、いいのかそれで、という気もします(笑) 「図書館の神様」でも不倫相手が出てきたけど、この作者の描く不倫というのはドロドロしてなくて飄々としているのですね。 「がらくた効果」 同棲するようになって1年ほどの章太郎とはな子。ある年の暮れ、章太郎が家に帰ると、はな子がなにかを拾ってきたという。その拾ってきたものというのが…。 有り得ないけど、これもほのぼの。 この人の書く文章とか会話というのは、児童書とか舞台のような、どこかお芝居めいた雰囲気があると思います。 そこが初めは違和感を感じていたのですが、慣れてくるとそれが持ち味なのかな、という気がします。 綺麗で暖かいことばかりじゃないけれど、つらくせつないことも、どこか柔らかくそれでいてたくましく受け止めてくれるように描かれている感じです。 世界って美しいんだなと思ってしまう一冊。(でもすぐに我に返る…) ★★★ |
「自閉症裁判 レッサーパンダ帽男の『罪と罰』」佐藤幹夫 2005年09月05日(月) 2001年4月に浅草で起きた、女子大生刺殺事件。この本は、その犯人として捕らえられた男が高等養護学校に通っていたこと、筆者が養護学校の教員をしていた経験があることから書かれたものです。自閉症という障害の扱われ方、診断の難しさを知ることができます。 レッサーパンダの帽子といった目立つものを被っての犯行という異様さ、顔をあげて人と目を合わせられない、受け答えの不自然さ。 しかし、裁判ではこれらの障害は、まったく無視されることになったようです。 「自閉症」という言葉を、世間の人はどれくらい知っているでしょうか。 内向的な性格のことを、「自閉症」と言ったりしていないでしょうか。近年はそうした障害のある人をテーマにしたドラマなども作られていますが、それでも理解には遠いのではないでしょうか。 私も理解しているわけではないのですが…。どういうものなのか知りたい、とは思っています。 本書は、障害を盾にして量刑を軽くしようとすることが目的ではない、と繰り返し書かれています。罪は罪であり、遺族のことを思うとちゃんと償って欲しい、と。 しかし、障害ゆえに、罪を認識することができるのかという問題。そして、どうしてそんな行動に出てしまったのかという問い。 社会は、どういう風に彼らを受け止めていったらいいのか、考えさせられます。 そして、警察や裁判というものの怖さ。 言葉遊びのような解釈の違いや、その場の成り行きや思惑で、どんどん後戻りできなくなるんだろうと思いました。これは、他人事ではないですよ。自分はそんなつもりはなくても、いつそんな立場にさせられるか、わからないですよ。 また、男の家族の話も胸に痛かった。生活に追われ末期がんでも働かされて若くして亡くなってしまった妹さんの、「今まで生きてきてなにひとつ楽しいことはなかった」という言葉が…。そして最期に差し伸べられた助けの手は、一人の女性の犠牲によってだったというジレンマ。 社会の歪みで、こういう人たちはきっとたくさんいるのだろうと思います。そうした人が一人でも少なくなることを願います。かといって、具体的に何かができるわけでもないのですが…。 |
「グッドラックららばい」平安寿子 2005年09月04日(日) とある家族の物語。両親と2人の娘。母親は長女の高校の卒業式の日に家出し、何年も戻らない。父親はそんな母を捜すでもなく、まあいいじゃないかと様子見。長女の積子はダメ男に貢ぐのが趣味で、次女の立子はいつでも何かに怒っていて、金持ちになりたいと立身出世に猛進。 どこにでもいるようないないような(笑)、そんな家族の約20年。 最初は、まあみんな好き勝手で…と思うんです。立子も厭な子だなあと思う。それが、読み進むうちにかわいく思えてきてしまうから不思議です。 もちろん、苛々したまま読み終わる人もいると思いますが、私はすごくおもしろかった。 文章自体が飄々としているんですね。テンポがよく、ユーモラス。登場人物もそれに負けず劣らず大らかでユーモラス。一見人に利用されていても、それが楽しいんだからいいじゃない、と笑い飛ばしてしまう。 人生って、考えようで、楽しいもんなんだなーって思いました。 特に、積子の気持ちがわかるよー(笑) 家族があーだのこーだのしているのを見て、笑いをこらえつつぶはっと吹き出してしまう、そしてどうしようもない男が好き。そんな積子に共感してしまいました。…とそんなことを思っていることが知れたら、うちの親が怒りそうです(笑) 人は人、自分は自分でいいじゃない。と思っている人には、オススメ。とてもおもしろかったです。 文章自体も気に入ったので、この人の他のも読みたいなー。ちなみに、「たいらあずこ」と読むようです。 ★★★★ |
「DEATH NOTE 8」大場つぐみ・小畑健 2005年09月03日(土) 登場人物増えてきましたね。人気のある漫画は巻数を重ねるごとに面白くなくなっていくというのは定説ですが、これもまた例に漏れず。 シンプルなかけひきと追い詰め追い詰められのドキドキが楽しかったのに、もうダメです。 |
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