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「『恐怖の報酬』日記」恩田陸
2005年07月31日(日)
飛行機恐怖症の恩田陸が、恐怖を乗り越えてイギリス・アイルランドへ旅立つ。
旅行前の緊張や持参する本選びに始まって、様々な場面での妄想・空想・考察・思い出話…などなど。
たとえば、笑いと恐怖は紙一重であること、恋人の四つ目の条件、歴史上の人物を探偵役にしたら…の空想、「エアハート嬢の到着」の絵と切り裂きジャックだと言われるその作者のこと、文章を「打つ」ことと「書く」こと、曇り空が好きなこと、作家と神の視点のこと、日本は言霊に祝福されていた国だということ……などがおもしろかった。
そしてこの本のクライマックスは丘の上での、いつか書かれるであろう小説の断片が描かれていることだと思います。
私はこの場面だけで、ノスタルジーに浸れました。
この本、「酩酊混乱紀行」と書かれていますが、実は「図書室の海」に収録されているような「長編の予告編の短編」と「三月は深き紅の淵を」の第4章とをあわせたようなものであると思います。

私は元々エッセイの類は好きなのですが、作家によっては小説はすごく好きなのにエッセイはちょっとあわないわね…という人も、その反対もいます。恩田陸のエッセイを読むのは初めてですが、さいわい両方とも好きなようで嬉しい。もっと読みたいな。
「イヴの眠り 4」吉田秋生
2005年07月29日(金)
んんんーー…やっぱりあまり展開が変わっていく気がしない。(ハラハラ感がない)
好きになってはいけない人に惹かれているわけなんですが、たぶん、アリサの「毒に浸っていたいと思っている」という気持ちに共感できないのは、死鬼(スー・グイ)があまり魅力的に思えないからなんですよね。
アリサの方がかっこいいと思うんですが(笑)
「ぼくんち 全」西原理恵子
2005年07月24日(日)
一太と二太の兄弟のところに、かあちゃんがお姉ちゃんを連れてきた。お姉ちゃんはピンサロに勤めていた。かあちゃんはすぐに家出。3人の生活が始まる。やがて今までの家も追い出され、お姉ちゃんの稼ぎでマンションへ。無邪気にお姉ちゃんに甘える二太とは対照的に、一太は、お姉ちゃんの稼ぎがどういうものか薄々わかっていたので家出。

兄弟と、その町の住人たちの話ですが、すごくシュール。落書きみたいな絵だからいいけど、リアルに描かれたらすごく気持ち悪いだろうな…と思うような。暴力的で、悲惨で壮絶で…それなのになぜか泣かせる。
不思議な世界ですね。
でも私はこれは好きとは言えないかなあ。目を背けたい気持ちの方が強い。
私は、さおりちゃんがお父さん亡くして「食いもんの味わからへん」というのがいちばん泣きそうになった。
「読むのが怖い!」北上次郎×大森望
2005年07月23日(土)
「読むのが怖い! 2000年代のエンタメ本200冊徹底ガイド」北上次郎×大森望
ロッキング・オンで連載していた、二人の対談による書評をまとめたもの。2001年夏から2004年秋までのものが収録されています。
基本的には編集部選(話題作)と北上選と大森選の各3冊、計9冊を、二人がABC(+と−)で評価をして、さらに対談で紹介しています。
自分の既読の本の紹介や評価を読むのもおもしろいし、二人のやりとりもおもしろいし、これから読んでみようと思う本もあって、おもしろかったです。

ただねえ、二人が絶賛してても、どうしても読もうと思えないジャンルというのがあって。私はスポーツ(競馬含む)小説と時代小説と戦争ものが苦手なのですよね…。
あと、作家によって文体や姿勢などがどうしてもあわない人というのはいるんですね。初めての作家はとりあえず1、2冊読んでみて相性を確かめることにしよう。
そういえば最近あまり翻訳物は読んでなかったけど、たまには読もうかなと思いました。

これから読もうと思った本。
殊能将之「黒い仏」(ハサミ男は割りとおもしろかった)
米村圭伍「影法師夢幻」
ニール・スティーヴンスン「ダイヤモンド・エイジ」
平安寿子「グッドラックららばい」
ジョージ・R・R・マーティン「七王座の玉座」
森絵都「永遠の出口」(カラフルはあまり好きではなかったのだけど…)
沢村凛「瞳の中の大河」「カタブツ」
グレッグ・イーガン「しああせの理由」
姫野カオルコ「ツ、イ、ラ、ク」
シオドア・スタージョン「不思議のひと触れ」
鷺沢萠「ウェルカム・ホーム!」
梨木香歩「家守綺譚」(やもりとずっと読んでました)
サラ・ウォーターズ「荊の城」「半身」
奥田英朗「最悪」
戸松淳矩「剣と薔薇の夏」
「ホームメイド 2」谷川史子
2005年07月20日(水)
仏像修理師の父と、漫画家の母(実は伯母)を持つ日和子が主人公のお話の2冊目。
家族や母子の絆を描いているこのシリーズ。
お父さんはほとんど出てこないですが、傍若無人なお母さんは2巻も元気に活躍。そして、小鳥のように繊細で綺麗な女の子との関わりが、この巻では主。

子供にとって、お母さんというのはもう全世界なんですよね。どんなに振り回されても、子供は親が正しいと思うものなんです。
そういう束縛、そしてそれからの解放を、さらりと描いています。
「木霊」田口ランディ
2005年07月18日(月)
周りと違和感を覚える少女の寓話的な短いストーリーと、グロテスクでありエロティックでもある点描のイラストとのコラボレーション。大人の絵本て感じでしょうか。

少女が取り残されていく様子が、ほんとに淡々としていて、寂しい感じがしないんですよね…。
でも、お母さんとのシーンはじーんときました。
これ、乙一が書いたら、泣かせるんだろうなあと思ってしまいました。(泣けたらいいってものでもないでしょうが)

私としては、終わり方がちょっと教訓めいてるのがなんだかすっきりしませんでした。
私が説教されるの厭なだけかもしれませんけど。
なんというか、ゲゲゲの鬼太郎のストーリーに、現代人が森林伐採とかで乗り込んできちゃったよーみたいな。
個人的には、そういう現実を感じさせられるのが苦手でした。
「φは壊れたね」森博嗣
2005年07月17日(日)
S&M、Vシリーズに続く新シリーズ。Gシリーズというらしいです。なんのGなんだろう…。
萌絵は出てきます。国枝先生も出てくるし、犀川先生も電話でちらっと。でも主な登場人物になるのは山吹、海月、加部谷(大学生と大学院生)あたり。

今回は密室殺人事件。アパートの一室で宙吊りにされて刺された遺体。遺体発見の様子はビデオに録画されていた…。というもの。
相変わらずな森テイストです。
しかし、終わり方が…いつにも増して、なんだそりゃ………って感じです。
らしいといえばらしいんですが、私としてはこれは推理小説だと思ってるので、そこで終わられるのはなあ…と思います。
この先もずっとこんな感じなのかなー。
ま、彼の小説は全体じゃなくて細部を楽しむものだと思ってるので、この先も読みますけど。
★★
「死神の精度」伊坂幸太郎
2005年07月16日(土)
死神を主人公にした連作短編集。
「クールでちょっとズレてる死神」とか書かれてますが、いやほんとに。淡々とした語りがいいです。
不慮の死を迎える予定の人間の下に現れ、一週間の調査期間で、予定通り死ぬことが可であるか、見送りであるかを判断する死神。彼はその時々によって姿が変わり、音楽が大好きでCDショップに入りびたり、そして彼が仕事をする時はいつも雨が降っているため晴天を見たことがない。
そんな死神が出会う6つの物語。本格推理小説っぽい雪の山荘があり、ロードノベル風あり、恋愛小説風あり。
どれも味わい深いものでした。最後の1編のシーンでは、なんともジーンとしました。映像がないのに伝わってくるのはすごいよね。

「恋愛で死神」に出てくる、「自分と他の人が同じことを考えたり、同じことを言ったりするのって、すごく幸せに感じるんですよ」には同感。ロビンソンだね。
★★★☆
「十二秘色のパレット 2」草川為
2005年07月13日(水)
2巻が出ました!
南海の孤島オパル。触れたものから色を奪い、他のものに色を移すことができる特殊技能者のことをパレットという。パレットは、美しい羽を持つ鳥とペアを組み、色鮮やかな品々を生み出す。
セロは、パレットの学校に通う少し落ちこぼれな女の子で、グエル先生は校医。グエル先生はセロが失敗した色をいつも消してくれる仲。
男の校医といえば、蓮川先生なんですが(笑) それはともかく。
グエル先生が素敵なんですよー。無表情で淡々としてて、部屋に牛が踏み込んできても、「……ワーオ」だけなんですよ(笑)
でもお茶目さん。「ビバウカツ」がかわいい(笑) 父親気取りのヨーヨー(セロとペアの鳥)につつかれてるのもかわいい。父親気取りなヨーヨーもかわいいけど。や、恋人気取りなオルガ(グエル先生の鳥)もかわいいよね!(笑) 射程距離が素敵。
そんな射程距離を保った二人がいい感じです。今後も楽しみ。
「三日月パン 2」ささだあすか
2005年07月10日(日)
友だちに借りました。…が、2巻なんです。1巻は貸してもらってないのですよね。ま、いいけど。付き合い長いので、もう慣れっこさ。
途中からの読者もわかるように、ちゃんと冒頭で自己紹介してくれてあるしね。
その自己紹介によると、主人公のみずほちゃんは小学生の時に両親を亡くし、叔父叔母の家で育ち、高校を卒業・就職して自立するも、就職先の会社が倒産して寮を出ることになり、彼氏の二股が発覚して人に騙されお金を取られ、住む所もなく行き倒れ…たところを、兄妹の住むパン屋さんに転がり込んで住み込みで働いている…ということらしい。
なんとも悲惨な設定なのだけど、この作者の持ち味はほのぼのなので、この漫画も設定の悲惨さをものともせず、この上なくほのぼのしてます。
みずほちゃんも、ちょっと無愛想だけど妹バカの兄・たっちゃんと、幼い妹・なっちゃんの兄妹も、ほんわかしていてとてもかわいい。
こちらもほんわりした気持ちになれる一冊。


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みずほちゃんが、仲のよい兄妹にとって自分は邪魔者なんだーと思ったりとか、他人が一緒にいるのは変でしょうかと言ったりするシーンがあるんですね。
…私は、自分がそういうシチュエーションにすごく弱いという自覚があります。
これみよがしに泣き喚いたりするのはNGで、あくまでひっそりと自分が邪魔なんだと気づくのがいいんですよ。
これって、結局「そんなことないよ。君は必要な人間だよ」と言われたいってことなのかなと思うと、厭なんですが。
トラウマって、原因がわかると解消されると聞くので、あれこれ自分の過去を考えてみたりしたんですが、解消されないんですよね〜。なんでかなあ…。
みんなにも、そういう自分のカタルシスを感じるシチュエーションてあったりしないのかな?
「結婚の条件」小倉千加子
2005年07月09日(土)
この本を読もうと思ったきっかけは「女の人生すごろく」の感想にも書きましたが、少子化の責任の一端を担うものとして「どうしてみんなが(自分が)結婚しないのか」に興味があるのです。
帯に「これだけ結婚したいのに、世界一の晩婚化国日本」と書かれているのですが、私は常々疑問でした。ほんとにみんな結婚したいと思ってるんだろうか?と。テレビなどでも独身のある程度年のいった女性は「結婚したい」とよく言ってますが、ほんとかな?とずっと思ってました。
自然な出会いなどないし、そういう目で探そうと思わなければ相手など見つからない、というのはその通りだと思うのですよ。だったら、結婚したいと思ってる人なら見つかるだろう、それなのになぜ「できない」んだろう?と思って。

本書で言われているのは、「就職と結婚は同じである。究極のところ、選ぶことをやめればできるが、無意識のレベルで選んでいるから就職も結婚もできないのである」ということです。
できるだけ好条件の結婚を望み続けて、結局結婚を先延ばしにしている人が増えている…らしいです。
結婚に対して女性が求めること(求められること)を考えると、確かにそうかもしれないと思います。

結局、「年頃になったら結婚するのが当たり前」という価値観が崩れたから、こういう状態なんですよね。どんなに悪条件であっても、「当たり前」だったら、みんなどんなことでもするんです。でも当たり前じゃない。当たり前だと思っている人というのは根強くいますが、結婚しない人の存在もある程度は認められている。
就職しない人というのも同じですよね。生活していけないから、どんな仕事でもしたけれど、しなくても生きていけることに気づいてしまった人は、就職「できない」んだと思います。

「この国の少子化対応政策は、ことごとくツボをはずしている」という指摘にも同意。どんな政策を行っているのか詳しく知ってるわけではないですが。
現在の世界の少子化トップ3はドイツ・イタリア・日本という、第2次世界大戦の枢軸国三国なんだそうです。
「かつてファシズムの国家体制によって、遅れていた近代化を一気に推し進めようとし、結果的に連合国に敗北した三カ国が、戦後五十年経って少子化に見舞われているのである。少子化は、政治における何らかの問題の予期せぬ結果だと考えるのが妥当である。日独伊は、戦前から女性に母性と主婦性を強要する国でもあった。その国で、女たちは結婚することと母になることに静かに反乱を始めているのだ。」

結婚という制度、夫婦・家族・男女の関係に対しての考え方には、若い世代と今の国を動かしている世代によって、隔たりがあるのではないでしょうか。
世代が入れ替わった時、根本的な価値観が見つめなおされ、新しい政策が考えられるんじゃないかな。そうなるといいな。
と、他力本願ながら、そう思うのです。
SWITCH 2005.2「スラムダンク」
2005年07月04日(月)
普段行かない本屋に行ったら、スラムダンクが表紙の雑誌がありまして。買ってから気づいたんですが、バックナンバーだったんですね。
スラムダンクが一億冊を突破したことを記念して、新聞に全面広告が出ていたのは見ていたのですが、さらに企画があったようです。それが、廃校となった高校を舞台にして、最終話から十日後の彼らを教室の黒板に描くというもの。
実際にその黒板に描かれた漫画が写真に撮られて載っているのですが(全部ではない)、すごいなあ…と感心してしまいました。

インタビューも載っていて、「バガボンドでは、『漫画的記号をあえて使わない』ということについて努力している日々がずっと続いているんですが」というのを読んで、へえーっと思いました。そういえば、そうですね。言われてようやく気づくというのは、違和感がないからですよね。
「DEATH NOTE 7」大場つぐみ・小畑健/「HUNTER×HUNTER 22」冨樫義博
2005年07月03日(日)
「DEATH NOTE 7」大場つぐみ・小畑健
このために休みの日にわざわざ着替えて外出しました(笑)

いやあ、「計画通り」の顔がすごかったですねえ。笑っちゃいました。これがあのキラキラしていた人か?って感じです。
そして、以下ネタバレのため反転。

Lが〜〜。Lが〜〜。
ずっとパワーが衰えずにすごいと思っていたけど、これは明らかにパワーダウンだと思うんですが!
ニアじゃ力不足だよー。
どうにかしてLが復活する方法がないかと考えてしまう。


さて、今後どんな展開にしてくれるんでしょうねえ。




「HUNTER×HUNTER 22」冨樫義博
うーん、今回はあまりおもしろくなかった…。
話が進んでいかないし、見所がないよー。
「女の人生すごろく」小倉千加子
2005年07月02日(土)
小説以外の本を読みたいと選ぶ根底には、世の中のことに興味があるんだとか、人間ておもしろいもっと知りたいとか、自然て謎がつきないとか、いろんな探究心てものがあると思います。
私の場合、もっと知りたいからこんな本読んでみたい、という探求の中心は、いつも「自分」のことだったりします。自分がどうしてこう思うのか、こんな風に感じるのか知りたい、そんな気持ちで本を選ぶことが多いです。
…と書くと、なんだかナルシストな感じがしますね(笑)
この本の中でも、「人は自分にないものを求める」というようなことが書かれているんですが、私は自分に近いものに惹かれるんですよね…。そんなに自分が大好きなんでしょうか、私は(笑)
ま、よく言うと自己探求ってことで。

そんなわけで、私は女性なので、社会における女性の立場やなにかというのに興味があるのですよね。
で、ちょっと前に「負け犬の遠吠え」という本が流行ったじゃないですか。(現在進行形?)
私も読んでみるつもりだったのですが、図書館でも人気だったので借りられなかったのと、酒井順子さんの他の本を1冊と、「負け犬〜」のいろんな方の感想など読んでたら、なんとなく内容はわかったので読まなくていいかなと。
その感想などを見ていて、時折引き合いに出されている「結婚の条件」(小倉千加子)という本の方が読みたくなったのです。そちらの方がちゃんと分析してあると書かれてたので。
そういう経緯で小倉千加子さんの名前を記憶の片隅に留めていた私は、少し前に古本で「結婚の条件」と本書「女の人生すごろく」を購入しました。

文庫だったのでこちらを先に読んだのですが、なかなかおもしろかった。
小倉千加子さんは短大の教員をされていて(専攻は心理学)、本も何冊か出版してらっしゃいます。
本書は1988年の講演をもとに書き改められたものということです。(文章が語り口調です)
内容はというと、女の人生をすごろくに見立てて、春の目覚め篇、おつきあい篇、OL篇、結婚篇(あがりらしい)と順に語っていくというもの。
講演は1988年、文庫の奥付も1994年なので多少古い部分もあるんですが、根本的なところはこの頃からもう変わってないんだなと思いました。

まず、春の目覚め篇の一文
「ひと言で言いますと、女の子の思春期というのは、自分の身体が、実は自分のものではなくて、誰かの快楽のための道具であり、誰かに鑑賞されるものであるということに気づく時期のことです。」
でがつーんときました。
他にも、なるほどーと思うことがたくさんあって(そうかな?と思うこともありますが)、あれこれ考えさせられました。
たとえば会社とかで、他の女性が当たり前みたいな態度で要求していることが、私には信じられなかったりする理由とか。
みんな、女性なんだなと思いました。私は自覚が足りない(笑)
「おつきあい」は「お見合い結婚みたいなもの」というのも、確かにそうなんだろうなあと思いました。「あなたじゃなきゃダメ」なんて恋愛、簡単にそこらへんには落ちてませんよね。


いくつかおもしろかったところを抜粋。

「人間はみんな平等だという理念を片一方でたたき込まれているのですが、片一方で恋愛には暗黒の世界が残っています。平等だと教えてもらったからといって、(中略)恋愛がすぐ成り立つわけではない。
(中略)近代を知ってしまって、自我の確立を成し遂げた女の子は、恋愛の不条理にぶつかったとき、いやがらせの電話(中略)そんなバカなことはできない。(中略)それでどうするかというと、これは私自身の問題である。彼にそういうのをぶつけるのではなく、彼女にぶつけるのではなく、私ひとりで何とかあきらめるしかないのだという、近代的自我を持ってしまった女の子の不条理な恋愛に対する、恨みでもない、嘆きでもない、ただの慟哭みたいなものを歌っているのが中島みゆきです。」

「だから恋愛をする能力、相手が素敵な人に見える能力というのは、そう見る人の側の能力です。見られる側の能力ではない。
(中略)そして相互投影がうまくいくこと、これを恋愛といっているわけです。(中略)自分の中にあるスライドが相手のスクリーンにぽっと映る。それを見て、わあ素敵と思っているんですが、その素敵なものは実は自分の中にあるんです。」

「都会のよさはマゾヒズムなしに生きられることです。ずーっと農村に生きてたおばあさんたちというのは頭を下げる。人の下に立つ。(中略)誰が下座に座るかというので競争です。下座を一番にとった人がマゾヒズム的快楽を手に入れるんです。
(中略)日本人はそういう女の人を『よくできた奥さん』と言うんです。」



今読んでいる「結婚の条件」の方の一文ですが、
「学生は十八歳や十九歳でも、無意識のレベルでは教員以上に現実の困難さを知っている。無意識に言葉を与え、それが『腑に落ちる』なら学生の無意識はそのことを前から知っていたのであって、ただ意識化していなかっただけなのである。」
なるほど。
「20世紀少年 19」浦沢直樹/「秘密」清水玲子
2005年07月01日(金)
「20世紀少年 19」浦沢直樹
東京へ行くために関所を通ろうとする矢吹丈。通行手形を漫画家に偽造してもらうことに。

「歌なんかで世界が変わるわけねえだろ。」
「いや、そんなことないスって。」
「俺ぁそんなものはこれっぽっちも信じちゃいねえ。」

「悪になるのは大変だ。正義の味方になる方がよっぽど楽だ。」

などが印象的な台詞でした。


この漫画はいろいろと既視感のあるものがでてきて、元がわからないものもあったりするのですが、なんとなく見たことあるよなーって思っておもしろい。
でも昨今は著作権の問題で裁判やらなにやらが起きてますよね。境目ってなんだろうと思います…。



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「秘密」清水玲子
「輝夜姫」の連載を終えた清水玲子、メロディで7月号から「秘密」の連載を始めていました。
「秘密」は、もうコミックスが2冊出ているシリーズで、近未来サスペンス。死者の脳に残された記憶としての映像を元に捜査する警視庁科学警察研究所「法医第九研究室」の物語。
今回は左手左足を粉砕され、全身の皮を剥がれ、首を落とされた死体が発見され、5年前の事件が浮かび上がる…という話。
静謐で美しくすらあるのにぞっとする怖さがあって、流石すごい…と感心して続きを楽しみにしていました。今月号も、自分の身体をかきむしり始めるシーンとか怖くて、怖いもの見たさでワクワクしました。

…が、妊娠のため来月から休載だそうです……。
残念です。でもしょうがないですね。
ただ、高河ゆんが出産後復帰したら絵ががらりと変わってしまっていて、それがすごく厭だったのでちょっと怖いです(笑)
でも、元気に復帰されることを楽しみに待ちたいと思います。待つのは慣れてますからー(笑)
40歳を越えてらっしゃるということなので、なにかと大変だと思いますが…。
しかし、人生わからないものですね。うちの姉も40を越えて結婚したので…。何が起きるかわからないなあ。


今号のメロディは、川原泉も成田美名子も柱で謝っていて、この雑誌大丈夫かいな…と思ってしまいました。


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