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「絶対音感」最相葉月
2004年03月31日(水)
一時期流行ってましたよね。この言葉。古畑にも、テーマになった回があったし。
正しい表現かどうかいまいち自信がないですが、簡単に言うと、音を聞くと(その音が楽器の音でなくても)その音名がわかるという能力です。たとえば、救急車のサイレンの音をドレミで言えたり。

本書では、前半は日本の音楽教育の歴史や周波数だの調だのと専門的な部分が多くて、ちょっと読解が難しかったです。というか、周波数とかピッチとかがどういうものなのか感覚的にもわからなかった。でも、わからない世界があるということがわかりました(笑)
後半は、「解析できる音」ではなく、もっと広く「人が楽しむための音楽」について語られています。
右脳と左脳の発達具合だとか、カクテルパーティ現象(雑音の中から、自分に必要な音だけを聞くことができること)の話がおもしろかった。

「100%のテクニックがあるために、自分にないものを完璧にさらけ出してしまったのです。何の表現をしたい自分もいなかったのです」という千住真理子さんの言葉や、「音の前にこそ欲動がある」という三善晃氏の言葉が響きました。「音が発せられる前に、その音が欲しいという欲求が自分の中にあり、その発せられた音が自分に変化をもたらし、その変化が次の音を生む欲動へと螺旋状につながっていくことが演奏という行為である」という。

あとがきを読むだけでも、音楽に対してもっと興味を持てるようになるのではないかと思います。
私は専門的な知識も能力もなく聞く専門だけど、音楽が大好きだし、音楽がなかったら人生灰色だったと思う。音楽が今まで私に与えてくれたものを思うと、涙が出そうになる。その音楽というものに対して、また少し違う角度からも見ることができるようになった気がします。
★★★★☆
「図書館の神様」瀬尾まいこ
2004年03月28日(日)
高校で部員が一人しかいない文芸部の顧問をすることになった女性のお話。
いろんな人の感想などを見て、読むのを楽しみにしていた本でした。どの人の感想にも書かれていたように、垣内君がいいですね。
「さぶ」の主人公は誰かっていうエピソードはおもしろかったです。つい読みたくなりました。
「知っている人の紡ぐ言葉は心を打つ」っていうのも、なるほどと思いました。「何か間違ったこと言ってる?とか言ってるから頭が痛くなるんですよ」には、苦笑ですね…。
テーマ的に、もっと重い話なのかと思っていたら、さらりと書かれていました。それぞれのエピソードはささやかであり、その裏側の重さは書き込まれていないのですが、それが読む側にとっては自分の問題として共感しやすくなっているのかもしれません。なんとなく、読み終えた後にほっとするような暖かいお話でした。
★★★☆☆
「ハリガネムシ」吉村萬壱/「クレオパトラの夢」恩田陸
2004年03月27日(土)
「ハリガネムシ」吉村萬壱
気持ち悪い。嫌悪感しか湧いてこない。読むんじゃなかった。
★☆☆☆☆

「クレオパトラの夢」恩田陸
双子の妹と会うために北海道に渡った神原恵弥。
おもしろかったです。やっぱりこの人のは読書って楽しいなーと思える。意味ありげな会話とか謎めいた行動とか、こういうのが好きなんです。
★★★☆☆
「天使の舞闘会 暁の天使たち6」茅田砂胡
2004年03月24日(水)
シリーズ完結。えーと…特に感想はないんですが。
ああ、終わってすっきり、という感じです。や、終わってないけど(笑)
★★☆☆☆
「汝の名」明野照葉
2004年03月21日(日)
女同士の勝つか負けるかの熾烈な戦いのお話。どろどろしております。そして身も蓋もない…。
だいたい、どうして勝ち負けでしか見れないんだ?と思うものの、わりと楽しんで読みました。ちょっと間違ったらすごくイライラするし気持ち悪い話だと思うんですが。
初めて読んだ人ですけど、きっと私には肌があってる人なんでしょう。
★★★☆☆
「煙か土か食い物」舞城王太郎
2004年03月20日(土)
前に読んだ「世界は密室でできている。」よりは、耐性がついていたのか読みやすかったです。
奈津川家の物語。変わったタイトルだと思ったら、すごい意味ですね…。
これを読んだ上で、もう一度「ベストセラー本ゲーム化会議」が読みたい。
★★☆☆☆
「春告小町 3」山口美由紀 他
2004年03月18日(木)
「春告小町 3」山口美由紀
どんどん真相があきらかに。おもしろい。◎。

「闇のアレキサンドラ 全3巻」原ちえこ
私が初めて好きになった漫画家さんです。(歳がばれる)
久しぶりに読んだけど、私が読まなくなってからも世界が変わってなかったのね。
古き良き時代。ハーレクインだけど。

「瞳をそらさずにいて 1〜3」猫山宮緒
いじめがテーマ。ちょっと虚構が過ぎるというかご都合主義が過ぎる部分もありますが…。

「七年目のかぞえ唄」曽祢まさこ
これも古き良き時代。ホラー風味。
「最相葉月のさいとび」最相葉月
2004年03月14日(日)
最近気になっている最相さん。エッセイやらブックレヴューやらをまとめた一冊。
後半、競輪の話がずーっと続くので、競輪にまったく興味のない私は少々辛かったですが。
『「絶対音感」で出会った音楽家たち』はとてもおもしろかったです。「絶対音感」、読んだことなかったのですが、ぜひ読みたいと思いました。感受性って、才能って、なんなんでしょう?
★★☆☆☆

ところで、私はなぜか最相さんは「4人の女性からなる執筆集団」だと思っていたんですが、この本を読んでようやく、間違いに気づきました。4人で書いてらしたのは藤村由加さん(そんなお名前だったような)でしたっけ…。
「ビタミンF」重松清
2004年03月12日(金)
中年のお父さんが主人公の短編集。私は独身女性なので、お父さんは大変なのね…なんて客観的に読んでしまいました。
個人的によかったのは、「セッちゃん」と「かさぶたまぶた」。
「セッちゃん」は娘が学校でいじめられてるんですね。でも、親には「セッちゃん」ていう架空の転校生の話として、自分のされていることを話す…という。この子の言う、自分がいじめられている理由っていうのがすごいんですよ。中学生の子がここまで悟れるかなあ…とも思いましたが。
「かさぶたまぶた」も、娘の様子が最近おかしい…っていう話です。
この2作を読んでいて、これは結局「娘にこういうことが起きたら」っていうお父さんの話なんだよなあと改めて思ったりしました。ふと気づくと、この歳になっても私は子供の視点で読んでました。
★★★☆☆
「四季 冬」森博嗣
2004年03月10日(水)
四季シリーズ完結。めでたしめでたし。
私は四季博士のファンじゃないんで、へ〜あっそう、で終わっちゃいました。
そこにつながっちゃうんですねぇ。私はあの作品を読んでたからよかったけど、読んでなかったら(この後であれを読んだら)、ばらすなよ!って思っちゃうなあ。
彼の作品はやっぱり刊行順に読みましょう…ってことで。
★★☆☆☆
「天国の本屋」「うつしいろのゆめ 天国の本屋2」松久淳+田中渉
2004年03月07日(日)
短いお話。
人間は百歳まで生きると決まっていて、それより早く死ぬと百歳までの時間を天国で過ごす。天国は地上とまったく変わらない世界で、本屋さんもある。まだ死んでいないのにその本屋さんで代理店長をさせられる男の子の話。
この中に出てくる「泣いた赤おに」は、私の記憶にある中で、最初に泣いた物語です。そんなわけで、大きくなってもそこが私の涙腺を刺激する…。
★★☆☆☆
「夜の蝉」北村薫
2004年03月06日(土)
短編が三編。
前作より違和感は薄れてます。前作はデビュー作ということなので、こなれてきたのかな。
表題作は、前作から時折顔をのぞかせていた、姉へのコンプレックスというのが主題になっていて味わい深い作品。私には姉がいるので主人公と同じ立場なわけなんですが、うちは歳が離れているせいか、あまり共感はしませんでしたけど…。コンプレックスって、人それぞれ、家族それぞれですよね。
作中に落語がいくつか紹介されているんですが、その描写がなかなかよいです。
でも、「物語や人の行動に潜む悪意や矛盾」をたびたび指摘されてますよね。あのやり方が、なぜだか私にはどことなく居心地が悪い…。
★★★☆☆
「空飛ぶ馬」北村薫
2004年03月02日(火)
友達に借りた本。旅先で読み始めて、一編読んでようやく、短編集だということに気が付きました。後半は、平日の夕食後、一編ずつ読み進めました。
女子大生の主人公と、噺家春桜亭円紫さんが探偵役のシリーズ。派手な殺人事件などはなく、日常に潜んでいたささやかな謎を、鮮やかに解いてみせるミステリです。落語やるなんてひょうきんなおじいさんかと思いきや、噺家の円紫さん、もの柔らかでダンディー。素敵ですね。なぜか私の脳裏には楽太郎さんが浮かんでしまうんですが…。(彼はインテリで売ってるから。でも別にファンじゃないよ)
私には兄が二人いまして、下の兄は私に推理小説を教えてくれた人。そして上の兄は学生の頃から落語とか時代劇が大好きで、私はじじくさい趣味だなと思ってたのですが(笑)、こういう風に描かれているのを見るととても風流な趣味のように感じました。ま、うちの兄は寝転がってテレビ見てるだけでしたけど。

なんていうか、とても上品なお話ですね。お好きな人はお好きでしょうね。(つられて私の文章もどことなしに上品なようなそうでもないような…)
私は…時の三部作を読んだときも思ったことなんですが、いまいち文体があわないようです。なんかこう、わざとらしく感じてしまって。
というわけで、ここから先はこの作品をお好きな人は読まないでくれると嬉しいかなあと…。

主人公の女の子もねー、清らかで教養をひけらかしすぎじゃないかいと思ってしまう私は、汚れていて教養の低い女です(笑)
主人公の女子大生は、男の理想だみたいなことを書かれているのを見た記憶があるんですよ。それを見たときは、感じのいい女の子なんだろうなと思っていたのですが、実際に読んでみて思ったのは、男の理想の中にしかいないんじゃない?って。
作者が女性ではないということを知っていて読んでいるせいもあるのかもしれませんが。
たとえば恩田陸の「蛇行する川のほとり」とか、あれはすごく少女少女してたけど、妙に生々しかった。このお話に出てくる子は、自分の過去を思い起こさせるような生々しさがない。長野まゆみの少年の対極のような…。
それを受け容れて読めば、きっとおもしろいんでしょうね。いまいち割り切れなかった私は、「赤頭巾」で冷めてしまって…。ちょっと清らかすぎやしないか?って(笑)
もし、まだ私が高校生とかだったら、素直に読めたのかな? あ、話は割とおもしろかったんですけど。
★★★☆☆


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