土曜日、心待ちにしていた大学時代の仲間達との呑み会があった。どれだけ俺がこの集まりを心待ちにしていたかというと、出張先の島根県出雲市のビジネスホテルで身支度を整えながら、 「よし、“今日”だよな……」 と呟いたぐらいだ。 俺は約30分ほど遅れて約束の店に到着した。羽田空港から荷物を抱えたまま、直行である。場所は上野のとあるタイ料理店。子供連れが二組も参加するという呑み会の場所に“タイ料理”をチョイスする後輩達をどうか責めないでやってほしい。 久しぶりに顔を合わせる連中だったが、ビールで乾杯をして、話が始まれば時間が学生時代に逆戻りするのは、まあ、今までの集まりとなんら変わりはない。 「のづさんのホームページ、読んでますよ」 こう言われるのは気恥ずかしいが、やはり嬉しくもある。「こないだの『愛すべき後輩』でしたっけ。俺じゃなくてSの事だけが書いてあったんで……」と、今回の幹事役のYがイジケる素振りを見せた。 どうやらスーパーサイヤ人にはなり損ねたようだったが、その後輩Sは懐かしい人懐っこい笑顔で俺を迎えてくれた。彼の奥さんも昔から顔見知りではあったけれど、まったく変わらず美人さんのままで少し驚いた。なにより、もうすぐ3歳になろうという彼の子供が可愛いこと。この子が俺のことを「おじさん」とでも呼ぼうものなら店からつまみ出してやろうかと思っていたのだが、「おにいさん」と呼んでくれたので一緒にお絵かきをして遊ぶことにした。 後輩のI夫妻もまだまだ小さい子供を連れての参加だった。ダンナのほうは相変わらず些細なことで皆んなにツッコまれている。これはもうキャラというよりは“体質”といった方がいいかもしれない。彼の奥さんは子供を抱きながらきっちりお母さんだ。子供はと言えばお母さんにウリ二つで、なんだかもう孫のように可愛い。 女性参加のM。俺が大学4年生のときの新入生。「おいM、ビール呑むか」と俺がビールピッチャーを差し出したら、 「あぁ……?」 とタメ口以上の対応。これが学生時代ならその場で説教2時間コースだが、まあこれもご愛嬌。ジョッキから溢れそうな泡をこぼすまいと、口から迎えに行って泡を啜るその姿はもうおっさん以外の何者でもない。学生時代はいつの間にか呑み会からフェードアウトしてしまうタイプの娘だったのに、この変わりようはなんだ。頼もしいのか、悲しいのか。 旧姓Aと会うのも久しぶりだった。自分がアルバイトでやっている仕事を“老人介護”と評するあたりは彼女も変わっていない。彼女の結婚生活がそうさせたのかどうかは分からないが、少しだけ綺麗になったような気がした(気がしたけれど、本人に言うとつけあがるのでその場では黙っていた)。 俺と同級のシンゴ(これはニックネーム。本名からは想像もつかないニックネームなので、あえてそのまま表記しました)も顔を出してくれている。キャラに似合わず乾杯後はウーロン茶に突入するオトコ。
ココロから楽しい時間を過ごさせてもらった。 それぞれの生活の中で、これからますます皆が忙しくなって、こんな夢のような時間を持つことも少しずつ難しくなってくるのだろうか。俺はまだまだ半人前以下なので、できればこんな素敵な仲間達とひと時を過ごすことでエネルギーを分け与えてもらいたいと思っている。
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