のづ随想録 〜風をあつめて〜
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【のづ写日記 ADVANCE】

2004年10月30日(土) ケータイを変えた

 ケータイを変えた。
 今日、近しい友人達やメールでの連絡先がはっきりしている友人には纏めてメールでお知らせをしたのでご存知の方も多いだろう。
 様々な事情があって、今までのPHSから、ブランドイメージはなかなか良好のau by KDDIに乗り換えたのだが、そのキッカケはツマだった。ツマは以前から他のケータイとPHSとの写真の互換性にちょっと不満があるようだった。友人のケータイから送られてくる写真が見ることが出来ない、と彼女は時々嘆いていた。まあこれは俺も同様だったけれど、機種間の問題だから俺も諦めてはいた。
 そうだ、この話とは直接は関係ないにしても、先日こんな“おもしろい”ことがあった。

 会社で残業をしているとき、俺のポケットでケータイが震えた。ツマからの業務連絡のようであった。その内容は『今日の夕飯は家で食べますか』というもの。もしかしたら会社の仲間達と呑んで帰るかも知れない、と告げてあったので、その結果を知りたがっているようだ。夕食の準備をしてくれる側としては当然の確認であろう。俺は、いかんいかん……と思いつつ、ちょっとフザけた言い回しでこう返信した。

『   食べさせてください……   』

 いつもの軽いギャグのつもりだ。俺はケータイを閉じ、再び残業の資料作りに舞い戻った。
 程なくして、再びケータイがぶるぶると言い出した。なんだろう、今度はメールではなく着信のようである。ケータイのサブディスプレイにはツマの写真が点滅していた。
「──はいはい、オットです……」
 俺は送話口のところを左手で覆い、フロアの会議室に逃げ込みながら電話に出た。電話の向こう側からは雑踏の中にいるらしいツマの声が。
『忙しいところをすまないねえ』
「どーした」
『オット、さっき、メールをくれましたか』
「ああ、『食べさせてください』ってやつね。送ったよ」
『ああ、やっぱり! アレはオットからのメールだよねえ!』
 異なことを仰る。ちゃんと着信にはオットの名前が出るはずでしょう──、というようなことを言うと
ツマは俺の話を遮った。
『それがねえ、“オットじゃない人の名前が表示された”のよ〜』
「???」
『前に務めてた会社の課長さんがPHSを使ってたんだけどね、その課長さんの名前が表示されたのよぉぉ』
「その課長さんから“食べさせてください”ってメールが届いたことになるわけ?」
『そう! アタシ、間違ってその課長さんのほうにメールを送っちゃったのかと思った!』
 どうやら端末自体の不具合で、本来、メール送信者である俺の名前が表示されるはずのところが、なぜかまったく関係ない人の名前が表示されてしまったようだ。
 おもしろい。
 しかし、考えようによっては怖い。
『今までメールなんかくれなかった人だからさあ、いきなり“食べさせてください”なんてメールが届いたから、怖かった!』
 ツマの言うとおりだ。
 その数週間前にも、ツマに謎のメールが届いていた。その送信者は、オット。
 夕方の六時過ぎに、俺から『今から帰ります』というメールが届いた、というのだ。勿論、残業中の俺はそんなメールを送ってはいない。

 たまたまこんな不具合もあって、ケータイを変える運びとなった。PHS自体も今までの端末も気に入ってはいたので、いろんな面でちょいと心残りはあるのだが、ま、新しいものが手元にあるというのは、それはそれで楽しいものだ。


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