今月の山場であった出張ラッシュが漸く峠を越えた。 12/11から3日間の出張、12/14(土)は一日休んだものの、その翌日は休日出勤して、その日の夜から再び12/20(金)まで5日間の出張、というなかなか衝撃的なスケジュールだった。 出張先は神奈川県某所にある会社の研修センター。中途入社および中途配属の社員に対しての基礎的な社内研修を行う、というのが俺に課された任務。“研修”と言っても俺が受講者の前でエラソーに講義をした、というのはわずか2時間ほどで、基本的には事務局的任務がメインだったので、研修中はずっと教室の後ろに座って、ただ黙って研修時間が過ぎてゆくのを待つ――という楽なんだかツラいんだかよく分からない日々であった。 合計9日間にも及ぶ長期出張生活である。会社の研修センターにはビジネスホテル程度の宿泊施設が完備されているが、それでも9日間もこんなところで寝泊まりするのは正直キツい。今までも研修を“受ける側”の立場で何度かこの研修センターに来たことがあったが、研修そのものが非常に退屈なことが多くて、決して快適というわけではなかった。 9日間をいかに快適に過ごすか――をテーマに考えてみた。そこで出た答えは「ここで生活してしまう」こと。 ビジネスホテルを想像して下さい(ああ、そうそう出張なんてないであろう女性読者には難しい想像かしら)。簡易なクローゼットがあって、2段くらいの引き出しが付いている。狭いユニットバスに、小さなテレビが乗っている机とデスクライト。俺はここを「自分の部屋」にしようと決めた。 今までは着替えのTシャツや下着、ワイシャツなどは出張バッグの中にいれたまま出張期間を過ごしていたが、そいつをまず全部バッグから出して、クローゼットとその引き出しの中にすべて納める。歯ブラシセット、シャンプーなどのお風呂セット、クシ・整髪料などをすべてユニットバスの洗面台にきちんと並べる。持ってきた暇潰し用の文庫本と雑誌(週刊ベースボール)、MDプレーヤーとソフトは机の上に整理。 これをするだけで、疑似生活感と言いますか、きちんと生活をしているようでなかなか快適な気分であった。研修そのものが毎晩22時近くまで行なわれるため、研修センターの大浴場の最終時間に間に合うことができないので、俺は毎晩ユニットバスに湯をはり、傍らにビールやポカリスエットなどを置いて、ゆっくり湯船の中で文庫本を読んでいた。毎日“一番湯”だから気持ちいい事この上ない。
大阪での一人暮らしの4年間を懐かしく思い出した。狭苦しいワンルームではあったが、それなりに楽しかったな。 長期出張も悪くない――、そう思った冬の夜であった。
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