気がついてみると、なんとなくコレクションしているようになってしまったのだが、自宅のPCの横にはいくつかのフィギュアモデルが並んでいる。 あ、いま“フィギュア=おたく”という図式を想像したでしょう? 俺の中にいわゆる一般的に理解されるところの“おたく”的素養は全く無い――と否定するつもりはないが、勘違いはすんなよ。フィギュアったって精巧なアニメ系美少女女子高生のフィギュアモデルとかじゃないからな。 じゃあ一体どんなのが並んでいるのだ、と強く詰問されると、これがまあ、『ガンダム』とか『パトレイバー』とか『ウルトラマン』とか『ウルトラマンエース』とか『仮面ライダー2号』とか『エルガイム』とか『シャア専用ザク』とか『昔、日曜7時半からやってたカルピス名作劇場「ペリーヌ物語」で主人公のペリーヌが可愛がっていた愛犬・バロン』(説明が長えよ)とかが並んでいるわけですね。 先日、仲間達と盛大に忘年会を行ったのだが、その時にも友人のWからフィギュアをもらった。
『弟・妹たちと抱きあう左門豊作』
今、コンビニに行くと、このテのフィギュアモデルをおまけとした商品がずらりと並んでいるのは恐らくご存知であろう。これが結構、子供達以上に20代、30代のオトナに売れている、というが、俺もハマったそのひとりとなるのであろう。かの『チョコエッグ』から始まったおまけフィギュアブームはかなり過熱気味であり、中には「ちょっと無理があるだろう……」とツッコミたくなるようなものまでフィギュア商品となっているのだ。 俺がいちばんびっくりしたのは『戦国武将』と『銅像』。 かつての戦国武将の鎧兜をフィギュアにした『戦国武将』だが、いったいどこの誰が欲しがるというのか。「おおっ、上杉謙信だぜ、こりゃあレアだ!」なんて喜ぶ人間がいるのだろうか。近所のスーパーに山済みになった『戦国武将』を見たときは、さもありなん――という気分だった。 『銅像』もかなりイってしまっている。「二宮金次郎」「西郷隆盛(上野の、あれ)」「クラーク博士」「武田信玄」――いったいどこの誰が欲しがるというのか。こんなのを机の上にずらり並べて嬉しい奴がいるのだろうか。 「明日のジョー」「巨人の星」いずれかのフィギュアモデルが入っている 『ジョー&飛雄馬』というフィギュア商品はギリギリセーフ、といったところか。 「あーあ、こんなのまで出ちまったよ」 コンビニでこの商品を手にしたとき、さすがに呆れてしまったのだが、そのラインナップを見て俺はがく然とした。 『弟・妹たちと抱きあう左門豊作』 ――欲しい。“重いコンダラ”を引っ張る星飛雄馬よりも、スポーツカーに乗った花形満よりもこの“左門豊作”に俺の眼は釘付けだった。 前出の友人Wは無類の「明日のジョー」ファンであり、おそらくこの商品のことも気になっているのだろうなあ、などと思っていたら、すでにこの商品を何度か購入していたらしい。で、忘年会の席で、彼にとってはハズレに等しい「巨人の星」フィギュアをまとめて俺に譲ってくれた、という次第。 「おまえよー」 彼に手渡された袋には7、8個の“ハズレ”が入っていた。「おまえ、どれだけジョーが欲しかったんだよ……」
35歳の俺達を魅惑するフィギュア商品、まだまだ目が離せない。
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先日、茨城の実家へ帰ったら、リビングのテーブルの上に「二宮金次郎」「西郷隆盛」「クラーク博士」「武田信玄」らが。 こんなのをずらり並べて嬉しい俺の兄貴は、6つ年上である。
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