猛暑と呼んでふさわしい夏がいよいよ終焉に差し掛かっている。気がつけば9月に突入。 お盆の頃の暑さのピークが過ぎ、ここのところちょっと涼しい日々が続いていたので「ああ、このままぼんやりと秋になってゆくのかなあ」などと油断していたら、そんなにムキになるなよ――と天に向かって叫びたくなるくらいの残暑のラストスパートが待ち受けていた。 そんな真夏の日差しが戻ってきた8月の末日に、大学時代の後輩の女の子が婚姻届を出した。 そんなシアワセの彼女を祝おうではないか、ということになり、その日大学時代の仲間が数人集まってささやかな『結婚おめでとうの会』が開かれた。17時半、集合。店は新宿のとある中華料理店。 約束の時間に少しだけ遅れて主役の彼女が登場。俺はすでに2杯目の生ビールに突入していたが、 「いやいやまあそれではとりあえず……」 と、彼女の結婚を祝って乾杯。「今日はガツンと中華を食べるんですよね、先輩!」と、本日の幹事役を勤めてくれたMのチョイスでテーブルに並べられた料理の数々をガシガシとやっつけながら、『結婚おめでとうの会』は進んでいった。
聞けば、特に大仰な結婚披露宴などをする予定はなく、年内に海外で結婚式を挙げ、そのまま新婚旅行――というふうに考えている、という。俺自身もそれほど大人数を呼ぶような結婚式も披露宴もやらなかったので、彼女がそうしたい気持ちは俺なりにわかるような気がした。 「ダンナさんはどんな人なんですかぁ?」 「いつごろから付き合ってたんですかぁ?」 「お互いナンて呼び合ってるんですかぁ?」 次々と浴びせられる質問に、彼女は彼女らしいキャラクターのまま淡々と答えたが、それでも時折見せる彼女の笑顔がちょっとだけ素敵に見えた。
披露宴や二次会をやらない――ということなので、めでたく結婚した彼女に唄の贈り物。まあ、二次会かなんかの席で、俺がギター抱えて歌っている、と思っていただければ。誰の唄なのかは想像つくでしょ。彼女がこのページを読んでくれることを祈って。 (本当はこんな風に歌詞を載せてしまうのはマズいのでしょうけれど、大目に見て下さい)
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天狼星(シリウス)に
自分だけは だませなくて 独り夜汽車で旅立つけれど ひとつひとつ 数える駅の 数だけ不安も 数えている それ程遠くへ行く訳じゃない それが悲しい理由でもない 父さんよりも愛する人が できるなんて 思わなかった
膝の荷物が 二十余年の 重さというには 軽すぎるけど いつか何処かで 根付いたならば 許してもらえる そう信じてる 窓から見上げる夜空にひときわ 輝く星の名は知らないけれど 蒼い光に かけて誓う 何があっても くじけない
それ程遠くへ行く訳じゃない それが悲しい理由でもない 父さんよりも愛する人に 出会うなんて 思わなかった
父さんよりも愛する人が 出来るなんて 思わなかった
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