(『発見(仮)』をお送りする予定でしたが、予定を変更して緊急特別随想録をお送りいたします)
春に大学時代の後輩カップルがめでたくゴールインして、決してそれが理由というわけではないだろうが、昨年にはほぼ2、3ヶ月に一度定例的に行なわれていた大学時代の仲間達との呑み会がそれ以来ぱったり途絶えてしまっていた。まあ皆忙しいことだろうと慮ってはいたが、それでもちょっぴり寂しいなあと思っていた。そこへ、その呑み会のメンツの一人である後輩からメールが届いた。
この夏、結婚する――という。
大学時代、彼女は俺の2コ下の代で、それまで両手で余るほどの人数しかいなかった我がサークルに、当時からすれば結構な人数が入部してきた代の一人だった。お調子者のKやカラオケで激しくスパークするR子などかなり個性的な連中が揃ったその中で、彼女は特別目立つわけではないが実にしっかりしたタイプの女性だった。サークルの幹部連中――つまり当時の俺達の代――が、たとえばサークル内での後輩達の役割分担を決める、というような場面においても、 「うん、アイツは大丈夫だよ」 と、 誰もが口々に言うほどで、特に彼女の同期の仲間達からは頼りにされる役回りのようにも見えた。
学生時代もその片りんはうかがわせていたが、それぞれが卒業してから定例的に行なわれる呑み会では彼女のその酒豪ぶりもいかんなく発揮していた。 彼女なりのいろんな不満もありながらも仕事はきっちりこなし、ある時は“酒”と格闘する。そう書くと彼女があまりにも豪傑な酒飲み女ととられそうだが、彼女と呑み会の席でいろんな話を交わすうちに、俺はそんな彼女がとてもカッコよく見えた。それは俺と彼女の“先輩―後輩”という図式を超越した、彼女自身の人間的魅力だった。 ああ、この娘はケッコンしたら幸せになってほしいなあ――などと身勝手なことを考えていたのだが、いよいよ彼女も新しい道を歩み始めようとしている。
あえて彼女に苦言を呈すとすれば、彼女自身が“アンチ・ジャイアンツ”だというところか。 TV中継でジャイアンツが負けているとお茶の間に不穏な空気を漂わせるほど不機嫌になる、という立派な父上がおられ、聞けば彼女のフィアンセも“超”が付くほどのジャイアンツマニアだというではないか。 この点だけは彼女に強く更生を促したい。
結婚おめでとう、A.T。やろうやろうと言って実現していない“浦和の夜の会”、可及的速やかに実現したく思っております。
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