のづ随想録 〜風をあつめて〜
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【のづ写日記 ADVANCE】

2002年05月06日(月) いたずら

 ウチの会社の事務所から歩いて1分位のところに営業車を停める駐車場がある。その駐車場は7台の駐車スペースがあって、さほど広い駐車場でもない。
 先日、残業を終えて、とぼとぼと駐車場へ歩いていった。22時を回ろうか、という時間だった。
 俺の営業車のワイパーが、まるで昆虫の触角のように二本とも立てられていた。暗闇の中で不自然にワイパーが中空を突き刺すその様はどうも異様であった。そして、脱力感……。
「……」
 こんなくだらないいたずらをするのは同僚のAかYしか考えられなかった。二人は俺より早く事務所を後にしていたので、恐らく彼らが駐車場から出る直前にこんなしょーもないいたずらをしてくれたのだろう。
 俺は失笑しつつ、すぐさまAのケータイを鳴らしたのだが、すでに帰宅してしまっていただろうAは電話には出なかった。
 まったく――。この仕返しはナニをしてやろう、などとほくそ笑みながら運転席に座った。エンジンをかけ、何気なく運転席側のサイドミラーに視線を移し――。
 脱力感……。
 運転席側のサイドミラーがたたんである。
「ええいっ!」
 こまかいいたずらをしやがって。間髪を入れず、俺はYのケータイを慣らす。
「てめー、Y! おまえだろ、俺の車のミラーをたたんだのは!」
『ああ、バレましたぁ?』
「AかYしかいねーだろ、こんなくだらないことすんのはヨ」
『でもワイパーは僕じゃないっすよ。Aさんです』

 こんな具合に、俺とAとYは何かにつけお互いを陥れようと虎視眈々とスキを狙っている。まあ、そんな関係がおもしろかったりもするのだが。
 で、今日。
 先日のワイパーとサイドミラーの仕返しを決行。残業中、俺はAとYの目を盗み、こっそり事務所を抜け出すと、彼らの営業車のワイパーに紙を挟んでおいた。
 Aの車には『迷惑駐車』と書いた紙。ちゃんと駐車場に停めてある車に『迷惑駐車』という張り紙がしてあるところがポイント。我ながら面白いと思う。
 そしてYの車には『すべて解決した。すぐ帰れ』――意味はない。
 彼らのリアクションが楽しみである。


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