大きな桜の木の下で 笑ったり泣いたり 積み木のようにひとつずつ 積み上げてきた毎日・・・・
これは 出発の歌の 歌いだしです。
出発の歌は 百石幼稚園のオリジナルの曲です。 3年前の年長が歌詞を考え 私が曲をつけました。
その年の子供たちは 特別なイベントに出演することが多く そのために歌う曲をアレンジしたり 録音していたのです。 その中で、何人かの子と 「みんなの曲でも作ろうか」なんて 私がうっかり約束をしたところ 作るまで毎日 「先生、曲はいつ作る??」と いわれ さすがに、何とかしなければと思いつつ 3学期になり それでも毎日 「先生いつ作る?」と 打診がくるので あのときだって十分忙しかったけれど 子供たちから 幼稚園の思い出や楽しかったこと よかったこと、大変だったことなどを聞いて それをまとめて詩をつくりました。
曲がまたなかなかできずに なんと、卒園式の3日前に出来上がり こっそり年長と練習して 卒園式の謝恩会で 最初で最後の発表をしたのです。
思い入れがあったので たまに歌ったりしていましたが 次の年の3学期 「先生、今年は卒園式で出発の歌を歌いますよ」と その年の年長の担任がいいました。 「あの曲、好きなんです」
うれしかったな。
そして、今年は なんだか恒例になりつつあって 式に歌うそうです。
今年の年長に 「この歌はね、幼稚園だけの歌なんだよ。大きな桜の木は、ほら園庭の桜だよ。緑の丘は?「お山!!」そう、みんなのお山だよ。心を込めて歌おうね」
そんな話をしていました。
普段は忙しく過ぎていく毎日も 歌ひとつ 活動ひとつが 卒園へと向かっていきます。 うれしくもあり 寂しくもあり。
そう、まだ果たせない約束も 3月までには何とかしたいな。 この出発の歌を CDにしようねと 3年前の卒園児と約束しています。 わ〜、やることがいっぱいで 24時間では足りません。 まあ、幸せってことでしょうか?
年長の話
この歌の話をしたとき みんなは、幼稚園にきて何がよかった?とたずねると 「幼稚園に入れてもらえたこと」と 満面の笑みで即答したのは Sくん。
私、かなり感動。 だって、S君、 「幼稚園を辞めるって、手紙書いてポストにいれて」と お母さんに頼んだほど 幼稚園に入園するのを拒んでいた子でした。
とっても明るくておおらかなお母さんも 入園を拒否する息子を 心配だったようです。 「先生、大丈夫かな? 毎日「俺は幼稚園行かないぞ」っていうんだよ。」
大好きなお友達もいるし きっと大丈夫だよ。といいながら ずっと見守ってきたのです。
年長になって 大きな太鼓をもって がんばるS君がいました。 こういうの、苦手だといいながら がんばるというよりは 状況を受け入れて 取り組んでいるという様子。
それでも 「S君、すごいじゃない。かっこいいよ」といわれると 「へへへ・・・」と照れ笑い。 とにかく何か自信にして欲しいと 先生たちは願っていました。
ゆっくりと花開いていく Sくんの姿。
入園を拒んでいたのは お母さんとの居心地がとてもよくて 愛情いっぱいで、そこから離れるなんて きっと考えられなかったんだということが 今ならよくわかります。
なぜって、深い愛情の土台があったから 今、S君は、とってもS君らしく 自分のペースで 着実に 成長できているからです。
あんなに入園を拒んでいたのがうそのように 幼稚園の生活を楽しみ 集団のなかで、自分らしさを発揮して みんなに好かれているS君。
友達との楽しみや 幼稚園ですごす醍醐味を知ったいま 「幼稚園に入れてもらえてよかった」と 思えるようになってくれたんだね。
ありがとう。 君の成長がうれしいです。
私たちの仕事は 成果を数字に表すことができません。 だからこそ 「よかった」といってもらえることは 何よりの評価です。 しかも、子ども自身が 「幼稚園に入れてもらえてよかった」といってくれるなんて 本当に、本当にうれしいです。
当然 家庭でS君の後押しをしてくれた ご家庭の愛があったからこそ。
まさに家庭と幼稚園の両輪が うまく回った その成果だと思います。
今年も忙しく 3学期が過ぎていきます。
ご家庭への感謝 子供たちへの感謝 支えてくださる 地域の皆様への感謝 そして、 子供のためにとがんばる 職員へ感謝を
一日遅いバレンタインとして 愛を込めて贈ります。
副園長 松橋でした。
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