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しもさんの「新聞・書籍掲載文」
しもさん
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2001年01月26日(金) ■ |
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「ビエンナーレ」ほのぼのと鑑賞(42歳) |
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静岡新聞 朝刊(ひろば)
県立美術館で開催されている「富嶽ビエンナーレ展」を見に出掛けた。 慌ただしく時間が流れ、ゆっくり21世紀の自分について 考える時間が取れなかった。 そこで、久しぶりの休日に妻とのんびりドライブしながら 静岡へ向かうことにした。 子供から高齢者まで多くの来場者でにぎわっていたが、 館内は美術館らしいゆったりとした時間が流れていた。 大作を眺めながら、何か生活のキーワードとなるヒントがないものか、 じっくり鑑賞していたところ、ある作品の前で足を止めた。 廃材100%利用だけれど、周りを囲み眺めている人たちが なぜか思わずニコニコしてしまう作品。 宮沢賢治の「アメニモマケズ」の詩が浮かんできそうな謙虚さ、 そして言葉ではうまく表現できないその場の雰囲気から、 私は「ほのぼの」というキーワードをいただいた。 新しいジャンルへの挑戦も大切だけれど、 いま一度20世紀の歴史を振り返りながら、 周りの人が疲れた時にいやしてあげられる 「ほのぼの」とした雰囲気をもった人間を目指したいと 思わせてくれた作品に、 あらためて芸術の魅力、奥深さを感じた一日だった。
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