moonshine  エミ




2003年02月13日(木)  恋よ来い来い

 昨日のことになるが、男性社員と仕事の話をしていた。二人とも立って、ひとつの資料を見ながら。つまり、肩がさわるくらい近づいていた。
 すると、多分吸ったばかりだったのだろう、背広から、煙草の匂いがした。
 匂い。
 匂いというのは、視覚や聴覚よりももっと、ある意味リアルな感覚だと思う。体・本能というものに、ダイレクトに入ってくる、というか。テレビも本も、匂いは伝えない。
 さて、彼の煙草の匂いを嗅いだとき、二つの歌を思い出した。とても有名な歌です。これを読んでいるあなたも、いま、思い浮かんだんじゃないでしょうか。

♪煙草の匂いのシャツに そっと 寄り添うから 『赤いスイトピー』

♪最後のkissは 煙草のflavorがした 『First Love』

 そう、煙草の匂いというのは(註:オジサン臭の混ざらない場合に限る)、女の子が大人の男を感じるものの比喩として用いられてきた。ちょっと苦いところがまた、これまで知らない世界を背伸びして見るような気持ちにさせたりして。

 もちろん、私はタバコに「あっ、大人の香り・・・」なんてキュンとしちゃうようなかわいいお年頃では当然なく、件の男性社員も毎日毎日顔を付き合わせている人、しかも二人の子持ちのパパで、何のときめきようもありゃせんのだけれど、この、“匂いがわかる距離”まで近づくというのは、何だかポイントだなー、と思った。
 これがお互いに独身で、恋人募集中で、お互いのことを憎からず思っていて、煙草の匂いがわかるくらいに接近しても話が弾むようだったら、恋に発展する可能性は低くない。特に、非喫煙者の女の子が、煙草のほのかな匂いを感じてもそれが不快でなければ、相手に対して好意は抱いているといっていいかもしんない。

 そして、好意を恋に発展させるきっかけは、合意である場合が多いと思う。「この人、私を好きなのかも」「俺を好きなのかも」お互いがそう思ったら、ボンッ!と点火する。「運命の人」同士で付き合っているカップルなんてそう多くない。決してマイナスの意味ではなく、ずっと私はそう思ってきた。 
 大人には長い片思いをしている人はあまり多くない。相棒がいない人の多くは、「好きな人が特にいない」という状態。それは好意が合意に達する機会がなかなかないから、という気がする。「昔の人が忘れられない」という場合もけっこうあるが、それだって、一度合意に達したことがある人のことを想ってるんですからね。

 合意を確かめる方法は、大人にはいろいろある。何より体に聞く合意(これは何もセックスそのものだけ、を指しているのではなく、先ほどの“その人の匂いがイヤじゃない”とかそういう、本能的な感覚のことも含みます。)が一番手っ取り早く、まずは確実のように思われるものだろう。それが得意な人も苦手な人もいる。得意な人は、「お付き合い」に至るのはけっこう早い。どれくらいの合意でお付き合いまで至るかは、もちろん個人差がある。
 いったん確かめ合った「合意」について、大人はたいてい誠実であろうとする。でも、何もかもについて合意して付き合い始めるのはほぼ不可能なので、すれちがいは必ず起きる。
 どこまで合意を求めるか、も、その人しだい。合意できない部分を交渉しあうのが自然よね。それは妥協ではない。歩み寄りだと思う。

 これが完全にして絶対唯一の論なんて、もちろん思ってません。
 私自身は恋の始まりのとき、その合意に酔うタイプです。そりゃあ一生懸命になっちゃう。
「恋なんて、説明できないよ」
「楽しいと思えばそれでいいんだよ」
 ええ、その通り。
 こんなこと考えたって、なんの役にも立ちゃしない。
 でも、こんな愚にもつかないことを、つらつら考えちゃうのが私の性分で、ただちょっと考えたことを書きたかっただけ。人間には体がある。そして心がある。二つは作用しあっている。

 今日は「うたばん」でヒッキーを見ようと思っていたのに、その時間だって会社にいた。ちぇ。慌てて家に電話して録画を頼んだよ。
 でも、ひと段落ついた。この2週間ほど、ほんと疲れた。明日は軽めに流しましょう。





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