moonshine  エミ




2003年01月02日(木)  『ピストルオペラ』 荒涼として極彩色の映像世界

 ゆうべ、年末にレンタルしておいたビデオ『ピストルオペラ』を見た。
 うん。おもしろかった。

 何を楽しむかって言ったら、映像。
 黒い和服にショートブーツを履き、ふくらはぎや太ももを見せながらピストルさばきを見せる江角マキコは素直にカッコイイ。
 ショムニのOL姿よりよっぽどいいよ。
 着衣や花の極彩色と、大正か昭和初期みたいなのどかな風景。
 スリリングなアクションシーンと、気まぐれのように挿入される非現実的な世界。
 そういう対比をじゅうぶん楽しませるかのように、ストーリーは“秘密暗殺組織の内部争い”と、一見、単純化してあるのかな。
 いかにもミニシアター系の、アヴァンギャルド(?)な作品なので、新進気鋭の監督が撮ったのかな?と思ったら、鈴木清順て、もう80歳近いじーちゃんなんだって?! 驚きだ。

 江角や山口小夜子(知らなかったけど有名なモデルだったらしい)、樹木希林、それに少女役の子も、女優たちは、総じてすごく魅力的。
 車椅子に乗った殺し屋(このアクションがかっこいいんだこれが)や、頭の足りないっぽい外人の殺し屋も、すごくキュートだった。
 対して、永瀬正敏・平幹二朗・沢田研二といった男優陣は、いま一つ素敵に描かれていない。
 そこらへんも、「きっとこのじいちゃん、老若問わず女性と、どこかフリークスな人々がすっごく好きなんだろうな〜」と思えて、何だかニンマリ。
 脚本は、わざとなのかちょっとたどたどしいかも・・・。
 三人の女優が、それぞれ見た「奇妙でちょっと気持ち悪い夢」について延々と語るシーンがすごく印象的だった。

 どういう意図なのか・・・?
 なんて、一つ一つのシーンを吟味して辻褄あわせしようとするのはナンセンスなのかも。
 なんたって、タイトルが『ピストルオペラ』。
 歌劇で歌にウットリするように、ピストルを中心とした映像世界を純粋に楽しめばいいのです。
 緊張感あって、ダレなかったよ。
 
 見る者、聴く者に歩み寄って、わかりやすく安全につくられたものじゃない。
 この映画を「大傑作!!」とは思わなかったけど、奔放につくられた研ぎ澄まされたものを見るのは、楽しいよなあ。
 もちろん、家族団らんのときに見るのは、オススメしません(^ー^;





↑エンピツ投票ボタン

My追加

Mail Home

BBS blog


<< >>