映画「ハスラー2」で、ポール・ニューマン演ずる老ハスラーが一線を退いた要因は、目にあった。視力の衰えのため、思うようなプレーができなくなっていたのだ。スポーツマンが最高のパフォーマンスを演じる上で、目は重要な役割を果たす。 例えば野球選手が打席で投球を「怖い」と感じ、引退を決めたケース。これは、動く物体を正確に捉える「動体視力」の衰えが原因と思われる。逆に言えば、肉体が衰えていないなら、目を鍛えれば選手生命が延びる可能性がある。 目で見た情報を元に正確に体を動かす=つまり、目と筋肉を連動させる能力も訓練次第で向上する。柔道の田村亮子もこのトレーニングに励んでいた。他にもパリダカで優勝した増岡もレース前にビジョントレーニング(目の訓練)を十分に積んだし、斜視矯正プログラムを毎日欠かさないメジャーリーガーもいる。 一流選手に限らず、例えば悪送球の目立つ野手は、きちんと見ていない可能性を疑ってみるといい。私自身、「捕る-見る-投げる」という単純動作を1ヵ月続けただけで、送球の精度が上がったと実感できた。スポーツは決して、筋肉だけでするものではない。
レーシック(1/24)
スポーツと視力という点で、最近注目を浴びているのが「レーシック(LACIK)」という外科手術よる視力矯正である。 これは簡単に言えば、レーザー光線で目の表面にある角膜の屈折を変えて視力を矯正するもので、ゴルフのタイガー・ウッズがこの手術のあと史上5人目のグランドスラムを達成したり、メジャー・リーグのアトランタ・ブレーブスのグレッグ・マダックスが術後10試合で9勝したりといった目覚しい効果を上げているケースもある。 かつては信頼性や手術費用の点で二の足を踏んでいた選手たちも、こうした成功例に触発されて積極的に手術を受けるようになっている。プロ野球の投手などは、ナイターの際にキャッチャーのサインが見やすくなるなどの効果もあるという。 かつて珍プレー集などで、地面に落ちたコンタクトレンズをみんなで探すシーンなどがあったが、今後は次第に見られなくなるかも知れない。
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