先日聞いたラグビーの元ジャパン監督・平尾誠二の講演で、彼は「パスとは何か」という話をした。 平尾によればそれは「自分が持っていた時より、さらに良い状況を作り出すためのもの」だという。これはパスを理解する上での本質的な問いかけである。しかし、日本ではとかく形から入りがちで、こうした本質を教えない。つまり、「速く、長く、正確に」という技術だけが重視され、状況判断という根本がおろそかになるというのだ。「速く、長く、正確に」パスするだけなら、反復練習で出来るようになる。しかし、「いつ」パスを出すかという状況判断力は身に付かない。だから、かえって状況を悪くするパスを平気で出したりもする。 私が思うにこれは、日本で最もポピュラーなスポーツ・野球の弊害ではないか。つまりキャッチボールの「相手の胸目掛けて」という基本を、そのままラグビーやサッカーなどに当てはめてしまった結果ではないかと。だがフィールドスポーツでは「相手に」正確にパスを配給するのではなく、「空間」=スペースに出す意識が必要だ。パスとは、実は優れた空間識を要する奥深い技術なのである。
「雪印」が大変だ(1/23)
雪印食品が大変な事をしでかした。以前、集団食中毒が問題になった雪印乳業はこれとは別法人とはいえ、れっきとした子会社。「雪印」というブランドネームが大きく損なわれたという意味において、本体も少なからず影響を受けることになるだろう。 となると気になるのは、そうした悪影響が原田雅彦ら日本のトップ選手を数多く抱えるジャンプチームに波及しないかという事だ。食中毒事件の際には、アイスホッケーや陸上競技などの運動部がなくなってしまった。ジャンプチームのあるスキー部はかろうじて残ったが、こんな事が続くと再び危うい立場に置かれかねない。 雪印よ、しっかりせよ。もう後がない。
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