2001年11月29日(木) |
エースの役割は完投ではない |
今週発売の「週刊ベースボール」で、「先発完投の美学」という特集を組んでいる。この中で何人かの投手が「リリーフに負担をかけたくない」と発言しているのが気になった。 確かに中継ぎや抑えの「酷使」は良くない。しかし、彼らだってマウンドに上がってこそ金になる。大事なのは彼らに投げさせない事ではなく、ゲームを壊さずいい状態で引き継いで、「一緒に」勝利に貢献する事ではないだろうか。 一方、ヤクルトの石井は、ローテを守る方が大事だと言う。私はこちらの意見に賛成だ。年間10にも満たない完投のために中5日や中6日で先発するより、中4日で1年投げ通す事の方が「チームの勝利」に結びつくと思うからだ。中6日とは7日サイクルという事。休みが週1日あるとしても6人の先発が必要だ。この内、計算できる柱が3本だとすると残りの3本はいわゆる格落ち。その登板日は早い回での継投が想定されるため、結局リリーフ陣の負担は重くなる。しかも、継投した時点で負けている確率は、3本柱の先発時より高い。これでは5割勝つのも苦しいだろう。 エースの役割は、数多く先発してきっちり勝つ事。完投できても負けては意味がないのだ。
中4日なら20勝投手も(11/29)
日本では20勝投手が出なくなって久しいが、大リーグでは毎年何人かは必ずいる。1チームに複数のところさえも。 日米の決定的な違いは、ローテーションに対する考え方の違いだろう。メジャーでは中4日が当たり前だが、その代わり先発投手の球数をきちんと管理している。中継ぎ・抑えについても、契約段階で役割が決まっていて、頭数の計算がしやすい。一方、日本は先発の球数もバラツキがある上に、シーズン途中でいきなり抑えに回るなど一貫性がない。一体、どうやって一年を乗り切ろうとしたのか、その展望すら感じられない。 投手が肩やヒジを壊すのは球数のせいではなくフォームが悪いからだという説もある。しかし理想論ではそうでも、現実には故障しないフォームで投げられる投手は少数派だ。その少数派でさえ、160球も投げれば次の試合に影響が残る。例えば松坂は今季15勝15敗に終わったが、中4日で、球数を120球前後に留めれば毎年でも20勝する力があると私は思う。
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