イタリアチーズの王様、パルミジャーノ・レッジャーノ。パルメザンとして知られるこのチーズの名は、原産地・北イタリアのパルマ地方に由来する。中田のいるあのパルマである。 パルミジャーノは力強いコクのある赤ワインと相性がいい。パルマ前監督ウルビエリはローマの蔵に眠っていた中田ワインを取り寄せ、テーブルに置いた。だが彼はそれを十分堪能する事なくディナーを終えてしまった。 序盤戦故障者が相次ぎ、つまずいたパルマ。しかしここで、お気に入りのワインを楽しむ余裕がウリビエリに残っていれば、今の状況とは違っていたはずだ。うろたえて中田を左で起用したりせず、本来のトップ下で我慢して使っていたなら、チーズの味が多少変わっても力強い個性が一口ごとに料理と溶け合い、ここまでディナーが台無しになることはなかったと私は思う。 新監督就任後2戦、中田はサブに回った。しかし25日のミラン戦、短い時間に彼は芳醇なパスを何本も放った。上等なワインは口に含んでこそ本来の価値を発揮する。パサレラには、時にワインに合わせてチーズのチョイスを変える位の覚悟を求めたい。
飲み口軽やか、小野ワイン(11/27)
中田をワインに例えるなら「力強くコクのあるワイン」だと書いた。これは時にその強すぎる個性が料理の味とぶつかり、合わせにくい一面も併せ持つ。いわば、ワインが料理や飲み手を選ぶタイプと言えよう。だが、はまった時は特上の味わいを醸し出す。通にとっては何とも魅力的なワインだ。 一方、オランダで活躍する小野は、軽やかで飲みやすく、料理の選択肢も広いワインだ。中田がサブで出場したのと同じ25日、小野はオランダリーグのホームでの一戦に初めてボランチとして先発出場。不慣れなポジションながらチームにリズムを与え続けた。「食欲を引き出すワイン」とでも言おうか。小野のスタイリッシュかつ創造力あふれるテイストはチームを3-1の勝利に導き、首位進出に貢献した。 タイプの違う2種類のワイン。これが欧州で磨かれ、W杯という最高のディナーをどんな形で演出してくれるのか・・・考えるとワクワクする。
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