2001年11月21日(水) |
同一グループ複数球団所有の弊害 |
横浜ベイスターズの筆頭株主がマルハからニッポン放送に代わり、球団の実質的オーナーになった。しかし、ニッポン放送が属するフジサンケイグループのフジテレビが既にヤクルト球団の株式を所有しているため、「球団が直接間接を問わず他球団の株式を所有することはできない」とした野球協約183条に違反する疑いが出てきた。 条文の成立根拠を考えてみよう。例えばシーズン前半で横浜が低迷し、ヤクルトが首位にいるとする。この際フジサンケイグループが優勝の望みのあるヤクルトが有利にペナントレースを戦えるよう、同一グループの横浜の主力をヤクルトにトレードしたらどうなるか。ペナンントレースの公平性は大きく損なわれ、ファンはプロ野球を見放すだろう。また、最終戦でヤクルトが勝てば優勝といったシチュエーションで両チームがぶつかる事にでもなったら、八百長まがいの事が起きるやも知れない。そうした事を未然に防ぐのがこの協約条文の主旨なのだ。 かつて西武がクラウンライター・ライオンズを買収する際、所有していた大洋(現横浜)の株を放出した。ニッポン放送にも同様の措置を望みたい。
対照的な2人のMVP(11/21)
イチローがアメリカン・リーグのMVP(最高殊勲選手)に輝いた。今季既に、首位打者、盗塁王、ゴールドグラブ賞に輝いているイチローにまた一つ勲章が増えた。前記3つの賞はそれぞれ、攻走守と対である。賞はつまり、その全てにおいて最高だったという事だ。そしてMVPはそれらの総合評価と言えるだろう。 このイチローに唯一無いもの。それはパンチ力だ。その分野で最も優れ、今季73本のホームランを放ったバリー・ボンズがナショナル・リーグのMVPに輝いた事も興味深い。つまり21世紀最初のシーズン、ファンは、野球の持つ「スピード」と「パワー」という対照的な2つの魅力を、この2人の選手のプレーで堪能する事ができたわけだ。 MVPとは直訳すれば「最も価値のある選手」の意。日本の至宝からアメリカの至宝になったイチローは、来季もまた野球本来の魅力を存分にファンの前で披露してくれる事だろう。
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