ヤクルトが優勝を決めた。若松監督ではないが、「ファンの皆様本当におめでとうございます」。 優勝の原動力は文句なしにMVPに輝いた古田。彼の一番素晴らしい所は「洞察力」だと私は思う。近鉄の強打線を1・2戦で見切り、以後勝負どころではほぼ完全に抑え切ったリードは見事としか言いようがない。 野村克也氏はヤクルト監督時代、古田について「感じる力」が凄いと評した。古田は野村監督の傍に座って試合を見ながら、絶えず次の展開を読んではブツブツと呟いていたそうだ。同じ捕手出身の野村監督は、体じゅうで常に何かを感じようとする男の姿を見て、彼を本気で育てる気になったという。野村監督は南海監督時代にもスカウトに「ドラフト候補選手の知能指数を調べられないか」と注文を付けた逸話がある。 知にこだわる野村氏が見込んだ古田はその期待通り、抜群の野球IQを持つ「日本一」の捕手に育った。36歳で迎えた今年の日本シリーズでは、その集大成を存分に披露し、(白状すれば)近鉄を応援していた私にとっても見応えのあるナイスゲームを作ってくれた。そんな古田にも「ありがとう、そして、おめでとう」と言いたい。
もうひとりの「感じる」男(10/26)
今日のコラムは「感じる男」古田について書いたが、昨夜の神宮球場にはもう一人、抜群の「感じる力」を持つ男がいた。フジテレビのゲスト解説として招かれた野茂英雄である。 例えば試合の局面に応じてアナウンサーが彼に話を振る。「次の球は何を投げましょうか(文字にすると何と陳腐な質問なんだ…)」。野茂が答える。「外スラ(外角のスライダー)がいいと思いますよ」。するとそれが面白いようにスバスバ当たるのだ。こうした配球以外にも、点差を考えた投手の心構え(もう1点までなら、やっても大丈夫…など)、さらには外野の守備位置まで、細かく神経の行き届いた話の展開に感心した。 野茂は無口で何を考えているのかわからない所があるが、この「感じる力」があるからこそメジャーで何年も活躍できるし、2度のノーヒットノーランという快挙をも成し遂げる事ができたのだろう。一流の条件はインテリジェンス。私の持論である。
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