「○○のチーム」という表現がある。○○には選手の名前…例えば、「日南学園は寺原のチームだ」という具合に使われる。意味合いとしては○○なくしては戦術が組み立てられない程、絶対的な存在だという事だ。 パルマの中田は、チームの核・司令塔として迎えられた。しかしこれまでのところパルマを「中田のチーム」にし切れていない。ファンの不満も徐々に高まっていると聞く。一方小野は、短期間で周囲の選手と調和し、再三の好アシストなどで信頼を勝ち得た。主力の故障が相次ぐ中で必然的に彼に掛かる期待も増大し、今や「小野のチーム」に変貌しつつある。 野球でも「○○のチーム」を痛感させられた。日本シリーズのヤクルト、○○は言うまでもなく古田である。ヒザに爆弾を抱えながらマスクをかぶり、巧みなリードで近鉄いてまえ打線を封じ込める。打てば激走、果てはヘッドスライディングでチームを盛り上げる。彼の発するオーラ、そして凄み…その存在感はまさに「古田のチーム」と呼ぶにふさわしい。 崖っぷちの近鉄、チームを引っ張るキャプテン中村は、これに対抗するオーラを今夜発する事ができるだろうか。意地を見たい。
普段着(10/25)
19日のこの項で、日本シリーズのキーマンとしてヤクルト・宮本を挙げた。小技と守備力が短期決戦ではウエイトを増すという根拠だったが、今夜も彼は送りバントを決め、5試合連続成功となった。守備でも昨日の初回にサインプレーで2塁ランナーを刺し、近鉄の勢いをそいだ。 リーグ・プレイオフに敗れたイチローが、ヤンキースに勝つための条件を問われて答えた。「チームとして普通にプレーできること。もしくは、ものすごく特別な事ができること」。 禅問答のようだが、今シリーズのヤクルトに当てはめれば、バントや堅い守備は「普段着」の野球の延長であり、これを着実にできる点で条件を満たしている。昨日は副島の一発という「特別な事」も起きた。モメンタム(流れ)は完全にヤクルト。これを引き戻すのは、言うまでもなく近鉄の普段着である「いてまえ打線」、とりわけ中村・ローズの爆発しかない。
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