マリナーズが負けた。10月のヤンキースはやはり強かった。 明暗を分けたのは昨日の試合。佐々木のまさかのサヨナラ被弾。だがこの結果は佐々木だけのせいではなく、ピネラ監督の「攻め」の意識の欠如がもたらしたと言えなくもない。 佐々木は気持ちで投げる男だ。以前NHKで、横浜時代の佐々木のブルペンでの様子を追った番組を見たが、緊迫した試合展開の時は張り詰めたテンションでマウンドに向かう反面、大差のゲームやリードされている場面では、気乗りしないタイプのようでもあった。 昨日のゲーム、ブーンのホームランで先取点をもぎ取った時点で佐々木のテンションは最高潮に達したはずだ。勝負に「もし」はないが、直後の8回から佐々木を投入していたら、このゲームは取れたのではないか。1点を守り切る強い意志を指揮官が見せ、チームに喝を入れる為にも、「攻め」の継投という選択肢があったのではないか。 近鉄が優勝を決めた試合、梨田監督は3点ビハインドであえて守護神・大塚を起用し、運をたぐり寄せた。勝機をつかむには、普段通りやろうという「守り」の気持ちだけでは不十分だと私は思う。
呪縛(10/23)
マリナーズは2年連続でヤンキースに敗れ、ワールドシリーズ進出を逃した。プレイオフに入ってからのマリナーズは普段の「輝き」の様なものが感じられなかった。プレイを楽しむ表情が消え、修行僧のような顔つきでゲームに臨んでいた。選手たちにすれば、去年の意趣返しの思いがあったろうが、それが呪縛となって却って硬さを生んでしまったようだ。 また、今回は良くも悪くもイチローのシリーズだったように思う。イチローが出塁し足でかき回す本来の攻めが出来れば圧勝するが、逆だと苦戦する。先のシリーズでも初戦でイチローが盗塁死してリズムが狂いかけた。 勝負では「パターンの崩壊」は往々にして敗戦への序章となる。ボクシングでも執拗なジャブやボディーブローで相手を崩すが、これで一旦リズムを失うと立て直すのは難しい。イチロー封じに徹したヤンキースは、こうした勘所をよく心得ていたと言えよう。
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