500文字のスポーツコラム(平日更新)
密かにスポーツライターを目指す「でんちゅ」の500字コラムです。

2001年10月11日(木) 「鎖国」より育成を

 阪神・川尻投手が希望していたポスティングシステム(入札制度)による米大リーグ入りを、球団側が拒否した。
 球団は理由の一つとして「優秀な人材の米国流出は、日本球界にとっていいことではない」ことを挙げたという。私は、選手の流出にただ戦々恐々とし、制度で強引に縛り付けるだけの「鎖国的発想」から脱却しない限り、球界の未来はないと思う。
 プロ野球界はこれまで、アマチュア球界が育てた選手を吸い上げる「搾取者」の立場にあった。しかし今、逆に自分たちが選手を持っていかれる側に陥ってオロオロとうろたえている。
 片やサッカー界では、プロ野球より活発に海外移籍が行なわれているが、国内リーグの空洞化論が出ることは殆どない。それは、Jリーグ球団は地域に自前のグラウンドを整え、ユースチームなどを作って次代の選手をきちんと育てているからだ。野球界が会社の宣伝に血道をあげ、「育成」に全く興味を示さなかったのとは対照的である。
 子供たちがキャッチボールをする場所すらなくなりつつある一方、芝生のサッカー場は着実に増えている。10年後、日本のスポーツ勢力図はどうなっているだろう。


テロ実行犯の顔写真に思う(10/11)

 少し前、新聞紙上に例のテロ事件の実行犯の顔写真が、一斉に掲載された。中には若者と思しきカオもあって、私は何とも言えない切ない気持ちになった。
 彼らは一体どんな思いでこのテロ行為に加わったのだろう。飛行機でビルに突っ込めと言われた時、どんな思いでそれを受け入れたのだろう。彼らだって、本当は死にたくなかったのではないか。そう思うと次第に彼らの顔が、日本の特攻隊員たちの顔とダブってきた。体制に翻弄される一兵士の悲哀を思わずにいられない。
 もちろん、今回のようなテロ行為は断じて許されるものではない。しかし、本当に憎むべきは、彼らを意のままにコントロールし、その命を虫けらのように扱う一部の指導者なのである。
 今、わが身だけは安全なところに置き、派兵を決めている先進諸国の指導者たちも、日本の政府もまた、同じ思考回路の延長上にあると私は思う。


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