2001年10月10日(水) |
イチローが残した記録と記憶 |
スポーツ選手には「記録に残る」プレイヤーと「記憶に残る」プレイヤーの2種類があると言われる。メジャー初年度で首位打者と盗塁王の2冠に輝いたイチローは、記録にはもちろん残るが、同時に野球ファンの記憶からも消え去ることはないだろう。 彼は、野球という競技が本来持っている面白さのエッセンスを具現化して見せた。それは、丸い断面の木の棒で球体を弾き返すという不確実性への挑戦であったり、ボールと人間との競争を演出するフィールドの微妙な距離のバランスであったりした。そのプレーの根底にあるのは、足の速さや肩の強さという「スピード感を生み出すための要素」であって、決してボールを遠くに飛ばすような「肉体的パワー」ではなかった。 つまり、これまで日米の野球の違いとして強調されてきたスピードとパワーのうち、後者は必ずしも野球というゲームに不可欠な存在ではなかったことを知らしめてくれたのだ。ここ数年繰り広げられてきた「ホームラン記録争い」を向こうに回し、球界にルネッサンスの風を吹き込んだイチローは、記録の数字以上に強烈な記憶として野球ファンの脳裏に刻まれたに違いない。
期待できる 高い修正能力(10/10)
サッカー日本代表が、欧州遠征の第2戦を行い、ナイジェリアと2−2で引き分けた。この試合で私が注目したのは、前回の戦いの反省点をどれだけ修正できるかということだったが、とりあえずフィジカル面で押し潰されることはなかった。 一番変わったのはディフェンス面だろう。森岡に代えて起用した宮本がうまくラインを統率して、失点を防いだ。中盤の稲本もしっかり粘り、伊東もスピードの強弱をつけた動きで相手を翻弄して柳沢と鈴木の得点を演出した。右サイドからの組み立てに課題は残ったが、広山の動き自体は悪くなかった。 この欧州遠征は、司令塔を欠き2列目の森島も不在という中で苦戦を強いられたが、課題を素早く修正できたことが一番の収穫だったと思う。1敗1分という結果以上に、2002年に向けたいいデータが蓄積できたのではないだろうか。
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