500文字のスポーツコラム(平日更新)
密かにスポーツライターを目指す「でんちゅ」の500字コラムです。

2001年09月26日(水) これが本当のミラクルだ!

 スゴい。信じられん。ホンマかいな!
 大阪近鉄のあまりにも劇的な優勝。最終回、3点のビハインドを北川の「代打逆転満塁サヨナラ+優勝ホームラン」で撥ね返す。漫画だってクサ過ぎて書かないようなドラマが現実に起こった。どんな形容もしようがない。しびれた。
 9回、先頭の吉岡がヒットで出塁。これだけでベンチは大いに盛り上がる。今年の近鉄は終盤でリードされていても決して諦めない。緊張を切らない。常に「何かが起こる」という期待をファンに抱かせ、それを何度も現実のものにしてきた。今年の近鉄は、まさに「見て損のないチーム」だった。本当に心から、この価値ある優勝を祝福したい。おめでとう!
 思えば去年は最下位。この優勝を本気で予想した人は少なかったはずだ。しかしいざシーズンが始まってしまえば、去年の事なんかもうどうでも良かった。ただ純粋に、野球を見るのが楽しかった。

 今やかの三ツのベースに人満ちて そゞろに胸の打ち騒ぐかな(正岡子規)

 まさに胸の打ち騒ぐ戦いの連続。そしてきょうの結末。パ・リーグのファンは胸を張ってこう叫ぶがいい。「これが本当のミラクルだ」と。


柔よく剛を制す(9/26)

 今日のゲーム、もう一人の「北川」の存在も忘れてはならない。20日のコラムでも触れたオリックスの「契約金ゼロ」ルーキーだ。
 近鉄の優勝が掛かりスタンドは超満員。ルーキー投手には荷が重いと思われたが、飄々と6回2/3を2失点で投げ抜き、ゲームを締めた。
 球速はせいぜい130キロ台前半。それでもいてまえ打線の名だたる強打者を討ち取ってゆく。まさに「柔よく剛を制す」。この言葉を生んだ柔道も今では体重別に試合が行なわれ、小兵が大男を倒す図は殆ど見られない。他の格闘技や、サッカーのようなボディーコンタクトを伴う球技でも、体格差は大きなハンデになる。
 でも野球は、優れた技術や人にない特徴があればやっていける。身体的資質の差を努力や工夫で補える。オリックスの先輩・星野伸之も然り。彼らの存在は、野球というゲームが決してパワーのある選手たちだけで成り立つのではないことを、教えてくれる。


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