「心技体」。相撲の世界において、強くなるために求められる3つの要素である。 しかし、この3つが全て揃わなければ、決して強くなれないというわけではない。舞の海や寺尾・若乃花のように体に恵まれない力士でも、技と心でそれを補うことは可能だ。 それとは逆に、体も技も卓越しているのに、心が原因で負けてしまうこともある。 大関・魁皇が今日で3連敗。綱取りを目指し、体も技も充実して臨んだはずの秋場所だったが、なかなか心が伴わない。普通は仕切りを繰り返すうちに「気」が満ちてくる。「気」は「心」の領域。なのに、今の魁皇は「頭」であれこれ考えすぎ、「心」がおろそかになっているように私には見える。優勝経験のある魁皇でさえ「平常心」でいることは、かくも難しいものなのか。 「心技体」。これは相撲の世界だけのものではない。メンタル・テクニック・フィジカルは全てのスポーツに当てはまるエッセンスだ。中でもメンタルの充実なくしては、一流にはなることは難しいだろう。魁皇はこの壁を自力で破れるだろうか。一つ言えるのは、それができない限り、彼が横綱にふさわしい「品格」を身に付けたことにはならないということだ。
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