限りがあるものに惹かれる習性があるのか、 大事なものはいつでも有形固形ではなく、 命そのものです。 一番好きな音は愛するものの声だったりします。 なので、宝物は当然それらの命そのもので。 例えばそれを失う時が来たら、 私はそれをどう乗り越える事が出来るのだろう。 皆、そんな思いをどうやって抱えて 生きているのだろう。 考えるだけで息苦しくなるような、 いつか訪れる現実を、 どう内に秘めて生きているのだろう。 壊れてしまうような形のある物であれば 納得もいくのに。 愛しいものがそばにある事の事実が 時に私を追い詰める事もある。 それでもそれなしでは息も出来ない 自分もいる。考えるだけ不毛な事を 飽きもせず考えるのは、怖さに慣れるためだろうか。 そんな事を思ってふと振り返れば必ず、 ピタリと目を合わせてくる姿に見とれてしまう 今があるというのに。 流れる時間の中で確実に今が存在する。 それが何より大事で何より本物。 怯えるような未来には目をつぶってしまえば いいのだと、今を生きる自分に諭される。 何より好きな音を信じていれば、いいのだと。
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