同じ思いをするためだけに帰る場所がある。 どこにいても何を見ても優しさしかない その場所は、私を簡単に子供にかえす。 そして簡単に泣かす。 水道の蛇口をひねるだけで、思い出が あふれ出てくる。 大切な人の為だけに施された内装。 使い勝手のいいそれを、結局味わう事無く 逝った人の代わりに使えばそれだけで、 私は簡単に幼いあの日に帰って行く。 もっと立派になるからと、手を合わせる度に 出来もしない誓いを立てるのは何回目だろう。 手を合わせたそばから溢れる涙。 隣からは賑やかな笑い声。気づいてもきっと 放っておいてくれるはず。 もう一度手を合わせて、やっぱり誓いを立てる。 今度は大切な人の事を。 私の一年は毎年ここから始まる。
とある田舎の風景−ワタシノカエルバショ
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