それは決して覚めない夢。 覚醒、はなくていい。目覚めの時は終わりの時。 甘い言葉で囁いて、慣れた仕草で誘われて。 瞼が少し揺れる時もあるかもしれない。 それでもこのまま覚めずに夢の中。 目指すは終わらない夢のその向こう側。 例えば誰かの夢でもかまわない。 その誰かが目を開ければ消えてなくなってしまうほど 儚く清いこの物語。その物語こそが僕らの夢。 どうか、目を覚まさないで。僕らはずっとここにいるから。 例えばその夢とは僕らの船。必死で漕いで夢を紡いで行く。 例えば覚醒は現実という名の社会。 そろそろ諦めきれない夢を引きちぎれと優しい人が僕を諭す。 例えば誰かの夢は仲間の誰か。 同じ夢を持つその仲間の夢の中になら喜んで溶けて行こう。 そして僕の夢もまた、君のために喜んで捧げよう。 これは覚めない夢だから。覚める必要のない夢を いつまでもいつまでもこの胸に抱きしめて。 一つ一つ叶えてまた終わらない夢を見る。 だって僕らは夢の住人。
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