季節が秋に変わってから一リットルパックの牛乳を毎日一本飲み干している衛澤です。
フリーライタースタパ齋藤氏の「
よりぬきスタパさん」を中古で購入、早速読む。
スタパ齋藤氏は旧アスキー社(現エンターブレイン社)に編集者兼ライターとして入社し、退社まで「ファミコン通信(現「ファミ通」)」に携わっており、丁度その頃創刊一〇周年に向けて疾走している「ファミコン通信」を私は一生懸命に読んでいた。「ファミコン通信」はまだ週刊ではなく隔週刊だった。コンピュータゲームの黎明期、晴れやかなる時代の夜明けであった。
但し書きとして付け加えておくと、スタパ氏は退社後もフリーライターとして「ファミ通」の記事を暫く書いていた。そして私も暫くはそれを読んでいた。プレイステーションが世に出まわった頃から「ファミ通」を読まなくなったんだよね。いま思うと私はコンピュータゲームが好きなのではなくファミコンゲームが好きだったのかもしれない。
私は当時からスタパ氏の文章が好きだった。うつくしくもなく、流麗でもない、むしろ小中学生の坊ちゃん嬢ちゃんは手本にしちゃいけない文章だ。その、技巧的にも思想的にも危険まった感じが、理由もなくアクティヴでパワーフルで反体制思想に染まりがちな一〇代後半から二〇代にかけての私には心地よかったのさ。ふふ、子供ちゃんネ。
スタパ氏と言えば「ゲーム帝国」や「ビデヲゲーム通信」の「だめだ!!」であり「ズギャッ!!」であり「イカス!!」であり「いきたい!!」であるが、私はそれ等よりもひっそりと連載がはじまってひっそりと最終回を迎えた「スタパ齋藤のメカフェチバカ一代」がとても好きなのだ。
何せ一クール(一三週)で終わってしまったので不評でもなければ盛り上がることもなく、ほんとうにひっそりと頁がなくなってしまったもので「私がこんなに好きなのにあなたはいなくなってしまうのね」などとハーレクインぽいことを思ったりしたものだった。
機械音痴の坊ちゃん嬢ちゃんもこれを一読即ちメカヲタに!というほどユーザフレンドリーに日常に頒布する機械たちを実例や冗句やうそや波平やCDを交えて紹介してしまうという大都会も大震撼してしまう大記事であるッ! 私はこれを大紹介したい! さあ読め! いますぐ読め! 当時の「ファミ通」なんて何処にも残っていなさそうだが我が家には当時の記事をスクラップしたものがいまだにあるのだ! 読め! 読むんだ! 読まねば死あるのみ!
スタパ文体を模倣してみましたが、俄かに模倣しても似ることはない訳で。ああん大暴落。何が言いたいかと言いますと、その「メカフェチバカ一代」が「よりぬきスタパさん」に収録されているので読むといいヨ。てことです。
勿論その他収録作も読んで太郎さん見て次郎さん。洒落が判る人にだけお勧めします。スタパ氏ほど無駄にハイテンションでどうでもいい文章を量産できる人はほかにノーバディでありましょう。ああ私も愉しく読めて毒にも薬にもならない文章を素早く書けるようになりたいものだ。