やっと「名探偵コナン」劇場版第10作「探偵たちの鎮魂歌」を観てきました。前売観賞券を販売開始直ぐに購入したもののなかなか劇場に出向く機会を摑めずにいままでずるずると先延ばしにしていました。……別にこのまま上映が終わってしまってもよk(寸断)。
ま、10年続いている年中行事ですから。
事前情報を可能な限り遮断して観る、というのはいつもの通りにしていまして、御話の舞台すら知らずに観はじめたもので、去る大型連休中に
江戸川コナンみなとみらい駅一日駅長なんてことをやっていたのはこういうことか、ということが判りました。
今年の当たりは横浜市在住のみなさまです。舞台がみなとみらい周辺なので、みなさまに御馴染みの風景が沢山登場致します。
実在の風景が登場して、その中に架空のものが上手に溶け込んでいます。観るだけでその街に行った気分になれる、或るいは行ってみたくなるという仕掛けは劇場用第7作「迷宮の十字路」以降恒例となりましたね。馬車道も氷川丸も海側に大きく張り出すジェットコースターも、何れも見てみたくなりました。
観るべきところは、そこだけ……かも。
「10周年だし」「お祭りだし」「オールスターキャストだし」ということで、まともな御話は期待していませんでしたが、ほんとうに薄味で……まるで病院の糖尿食のように。一見おいしそうなのですが食べてみると「んんん?」と首を傾げてしまう、という感じの。作画の質も年々落ちてきているように感じます。ジェットコースターの場面なんて第4作「瞳の中の暗殺者」の方がずっと迫力があったように思います。
監督の山本氏にはぜひとも早いうちに「劇場版」の構成を把握して頂きたい。氏が監督なさった第8作「銀翼の魔術師」第9作「水平線上の陰謀」、そして今作と、何れもテレビシリーズ30分枠の構成をつぎはぎして無理に長編に仕立て上げた感が否めません。カット割りに妙なタイムラグがたびたびあったのは、長編を意識してのことだったのでしょうか?
「映画10周年記念作品」だし、いままで「コナン」って観たことなかったけど一遍観てみるか。そんな風に思って御覧になる方も大勢おられるのではないかと思います。何かを期待して御覧になったみなさまには大変申し訳なく思ってしまいます。まるで制作関係者のように。むしろこの作品は逆効果なのでは。
全体として、コナン・平次・キッド・白馬の人気キャラクタを揃えて「女性のみなさんこんなの好きでしょ」という場面を羅列するあざとさが見えてしまって、それが厭でした。これが「オールスターの豪華さ」なら、こういうのはテレビの特番2時間枠でやって頂きたい。各場面の整合性や動機づけも薄く、昔々の香港映画並みにあんまり細かいことを気にしないように気を付けながら観ないといけないものか、と観客であるこちらが気を遣ってしまうこともしばしば。
「依頼人」が実は優作パパで、「日本の名探偵たちが揃って難題を解く姿を見たかったのだよははは」などと人死にの出ない事件を設定した(そして最後に有希子ママが「やっぱり新ちゃんが一番ね」などと恥ずかしげもなく公言)、という「オールスター」の方がまだ納得できたかも、と私は思います。今回の事件は凶悪さの割りに根が浅かったと言うか。同じ奔走させるなら最後に「どっひゃー」とか言ってひっくり返るようなものがいいですよね。劇場版だし。
今作を観て何が一番驚いたかと言えば、白鳥警部の背広が青色ではなかったことです。それから、原作第30巻「黄昏の館」エピソードの茂木・槍田両探偵が名前だけとは言え登場したこと。これは白馬くんを登場させることから発想された小芝居だったかな?
それにしても某ユニットはほんとうにコナン映画との相性が悪い……主題歌を担当した作品は何れも「コナン」としてはアレなもので。エンドロールがはじまった途端に関係者でもないのに思わず謝ってしまいました。歌が巧いだけに余計に申し訳なくなるのですよ。
あ、愛憎劇の中心となる二人の声を演じていたのがもと夫婦ということに作為はないのですよね?
【今日の半月に一度】
小さな倖せ「
ひとくち焼きいもようかん」(やおきん)。