衛澤のどーでもよさげ。
2006年03月21日(火) 読んだ。

実は昨日から少々体調が思わしくなく、今日も一日横になっていた。何も手につかないほど具合いが悪い訳ではなく、身体を起こしているときだけ頭重と目眩と倦怠感がある程度。何れも軽い。
原因は判っていて、先日の他府県出張からトレーニングジム定休日の今日まで各筋肉を意識的に充分に動かすということをしていないために筋肉(特に肩)が凝って血の巡りもよくなくて頭が巧く働いていないのだ。つまり単なる運動不足。身体を動かせば治る。

こんな日は無理に仕事をしても進まなくて却って気が重くなるだけだし、近頃は書くばかりで読む立場にもなっていなかったし、今日は積ん読になっていた本を少しずつ読むことにした。
二冊読了。一冊は「白夜行」(東野圭吾/集英社)、もう一冊は「長い道」(こうの史代/双葉社)。

「白夜行」はドラマ化以前から気にはなりつつ読んでいなかったもの。うっかりドラマの第一話を見てしまって、半分くらい読み進めたところでドラマを見てしまったことを後悔した。これから読もうと思っている人でまだドラマを見ていない人は見ないままで読了することをお勧めする。小説の結末に限りなく近い部分がドラマの冒頭に書かれていて、物語を読み解く愉しさを奪われてしまうからだ。
ドラマを第一話だけしか見ていないのに、読んでいる間中、常に武田鉄矢さんが脳裏に浮かんでぼくのイメージを邪魔した。つまりこれは武田さんが強烈に印象に残る演技を見せたということなのでしょう。その意味でドラマはよくできているのかもしれない。第一話しか見ていないけれど。しかし一クールで語りきれる御話ではない。ドラマはきっとダイジェストみたいなものになってしまっているのだろうと想像している。
ただ、ぼくはミステリという分野が恋愛ものと同じくらい苦手らしい。読んでいる間あまりどきどきしなかった。沢山登場する人物の中に共感できる視点を持った者がいなかったからかもしれない。
おもしろかったか否かを問われたら、おもしろかったと答える。でも、もっとぎすぎすした御話を期待してしまっていたので、ぼくと物語とが擦れ違ってしまった感はある。

「長い道」は主に双葉社の四コマ漫画誌で地味に活躍しているこうの史代氏のショートストーリイ作品。「白夜行」と対極にある物語と言っていいかもしれない。人の良心が紡ぎ出す滋味溢れる作品だ。
物語の味も独特でこうの氏にしか語れないものと窺えるが、画に関しても同じことが言える。スクリーントーン(模様が印刷されたシート。陰影や衣服の柄などに多用される)とベタ(黒で塗りつぶすこと)をほとんど使用しないでペンが描き出す線のみで色や影の濃淡を描ききってしまう技術は感嘆すべきものであるし、味わい深さがある。
ただ、この物語や画の味わい深さは、或る程度の年令を経ないと身につかない読解能力や感性がないと理解できないもので、だから少年漫画や少女漫画の起伏のはげしい御話こそがおもしろいと思っている人には不向きかもしれない。

何れも読んでよかった。これ等の作品は栄養素となって書き手としてのぼくを形成し、この先のいつかにぼくの筆先からその面影を滲み出させることでしょう。
積ん読本はまだ沢山あるけれど、取り敢えずは明日からまた書き手に戻る予定。


【今日の意外に】
山根くんの女装姿はなかなかかわいいじゃあないか。誰かきちんと衣装とメイクを整えてあげなさいよ。


エンピツユニオン


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